あらすじ
家族とは、家庭とは? 「教育ママ」の姿をえがいた人間のエゴと魂のあり方を問う問題小説。
札幌に住む二人の才色兼備の姉妹、遠野木佐貴子と桜田亜由子。亜由子の息子、純一の目を通しながら、父母のさめた関係、母から弟・真二への冷たい仕打ち、叔母・佐貴子とその息子・俊麿の異常な関係などを描いていく・・・。
大人たち、特に母親のエゴを通し、家族の崩壊をえぐるように描く問題長編。家庭小説、社会小説としても必見の一作。
「三浦綾子電子全集」付録として、三浦綾子記念文学館初代館長・高野斗志美氏によるコラム「登場人物を読む/俊麿――『水なき雲』」を収録!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
家族間で対話が不足しているがゆえの悲劇だと思った。
半年後に結婚するので、相手に対する思いやりを忘れずにいきたいです。
本の内容とは関係ないが、普段使わないデバイスで読んだので疲れた。
この人の作品は本で読みたいかな。
Posted by ブクログ
妹である母親と夫と息子二人の幼少期から受験期までの綿密で濃やかな日々にとても引き込まれた。古さは全く感じなかった。姉は狂気の母性を持ち妹は自己中心的。事故以来頭が悪くなったと言われる弟の自然な無垢さが眩しい。浮気をやめてくれと頼む優秀な兄の父親への根っ子の信頼が叶うと思えず読み進めながら苦しかった。
Posted by ブクログ
常に人を羨ましがり、今の自分の生活に不満を持ち、そんな生活をしている女性の息子の目を通しての話。家に居場所の無い父親は不倫を装い、1人の時間を確保し、その真実を見抜けない母親は、裕福な姉を羨ましがり、優秀な甥に負けるなと長男に期待し、勉強の出来ない次男を馬鹿にし続ける。その上、義兄と不倫をはじめるなど・・・どこまでも救いようのない女性を母に持つ息子はそれでも母を捨てきれず。
衝撃的なラストに息子との適度な距離を保つことの難しさと大切さを学んだ。
Posted by ブクログ
平凡で幸せそうな家族なのにこんなにもそれぞれの葛藤があるのかと
思える作品でした。
サラリーマンの夫和朗とその妻亜由子。
子供は男の子が二人、兄純一と弟真二の四人家族。
物語は少年純一の澄んだまなざしをとおして、
父と母の大人の世界を見つめながら進んで行きます。
和朗は昔から浮気症だと思っている亜由子の目線で
最初は語られるので、読者も和朗が悪いと思えますが、
和朗には和朗の言い分があり、
それがこの物語のキーワードになっていました。
この小説は昭和58年発行で、そのころの世相がよくわかる作品です。
夫婦にしてもこれは、まるで仮面の夫婦です。
ギスギスした夫婦間でも子供のためにと、
耐えて耐えて、取り繕っていた時代だったのでしょう。
今では考えられない。
恐らくこのような問題が夫婦間でおこれば、
今ではすぐに離婚、ということになるのだろうなあ。
父である和朗と母である亜由子の狭間で
ゆれながら成長していく少年純一が
自分たち子供の存在を主張し、
母の誤解や父の寂しさを理解していくまでが
三浦さん独力の文章力でせつなくも力強く書かれた作品でした。
ただひとつ、私も「?」と思ったのは、
あめん坊さんも指摘していた「三浦さんらしからぬ点」でした。
おそらく、読んだ方にはすぐにわかるはず。
そういう意味でも、異色の作品です。