【感想・ネタバレ】三浦綾子 電子全集 白き冬日のレビュー

あらすじ

著者の琴線にふれた短歌を通し、真摯に生きる人間の姿を綴ったエッセイ集。

短歌とは生活の中での呻きであり、嘆きであり、喜びである。第1部は、有名・無名を問わず、100以上の短歌を読んで喚起された思いを綴ったエッセイ集。第2部は昭和24年から36年の間に詠んだ、著者自身の241首の短歌集。ふだん短歌になじみのない人も、生きた人間の熱い血や涙、真摯に生きていく姿に共感できる、感動の書。

「三浦綾子電子全集」付録として、『旭川アララギ会報』に掲載した短歌鑑賞への批評を収録!

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Posted by ブクログ

ギブスベッドで死と闘う日々の中で,三浦綾子さんは,短歌のすばらしさに目覚めた。最愛の人,前川正さんを亡くした後の短歌は読むのもつらい。大切なものをなくしても,ギブスベッドで生きていかなくてはならないなんて・・・。
「娘たちが売られた時代」,「水野源三さんのうた」,「母国をひきさかれた人々」というエッセイが沁みる。二言目には娘の自慢話をしていたお父さんも娘を売らなくては生活できなかった時代があった。想像もできないけど。しかし,今は自分から安売りする時代・・・。
水野源三さんは、9才のとき,赤痢の高熱で全身マヒの体となった。源三さんは,首を曲げることもうなづくこともできなかった。お母さんが五十音図をひとつひとつ指していき,源三さんが瞬きした字を拾っていって,詩や歌を作っていったという。幾度もありがとうと声に出して言いたいと思いながら一日が過ぎたいう歌は感謝にあふれている。
そして,母国をひきさかれた人々に出てくるのは朝鮮・韓国の人々だ。今回のシドニーオリンピックで,統一の象徴の旗を掲げ,「アリラン」をバックに入場した「コリア」選手団。自分の国がひきさかれ,家族が離れ離れになったらと考えたら,やりきれない。
今はなき三浦綾子さん。彼女の感じていた痛みを少しでも共感できたらと思う。

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2019年01月05日

Posted by ブクログ

雲ひとつ流るる五月の空を見れば君逝きしとは信じがたし
平凡な事を平凡に詠ひつつ学びしは真実に生きるといふこと
雪の中帰り行く君振り返り少年の如く高く手を上ぐ

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2011年11月12日

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