三浦綾子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大正天皇の御大葬から昭和天皇の御大葬まで、昭和史のような時代を背景に生い立ち、教師として生きていく主人公「北森竜太」を描く。
裕福な家庭に生まれた素直な少年の彼が、小学校時の受け持ちの先生の影響を受けて教師となる。
天皇のご真影を拝する学校教育に何の疑問も感じず、その時代のごく普通の教師であった。
しかし、情熱を持ってした綴り方指導が言論統制の当局の目にとまってしまった。
治安維持法で勾留され、教師をやめさせられ、教師なら免除になって逃れていた軍隊への召集もかけられ戦争に参加しなければならず、さまざまな苦難を味わうことになるのである。
ストーリーは太平洋戦争のあとさきに限られており -
Posted by ブクログ
大災害発生後の拓一の復興へ向けた情熱。若さにも関わらず完璧な人間ぶりは、最後に旧約聖書のヨブが登場するが、全くその人格そのものに感じた。また拓一・耕作兄弟の母・佐枝のキリスト者としての姿は祈っている場面、聖書のヨブ記にしをりを挟んでいる場面、児童たちと讃美歌を教えている場面が出てくる程度で非常に抑えているものの、やはり印象に残る姿だ。拓一や福子を始め善良な人たちの不条理な苦難が何故?というテーマがヨブ記を通して、耕作や叔父修平たちに語られる部分がこの小説の一番の主張であり、それが極めて自然に提示される!感動的な、希望を感じさせるエンディングである。
佐野文子という廃娼運動に取り組んだ実在のクリ