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著者の二十歳代前半から療養生活、自殺未遂、光世氏との結婚までを記した自伝的小説。
小学校の教師をしていた綾子は、敗戦を迎え、それまで教えてきたことが間違いだったのではとの思いにさいなまれ、虚無感を覚える。教師を辞め、結婚を決意するが、結納が届くその日に倒れ、その後、肺結核を発病する。長い療養生活の中で婚約解消、自殺未遂などを経験するが、同じ結核患者でクリスチャンの幼なじみ前川正の献身的な支えを得て、生きる希望を見いだしていく。その後、脊椎カリエスを患った綾子は、受洗する。そんな折、前川正が危険な大手術を受けることになり……。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」を収録!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
前川正、、、涙
当時の日本人にとって、敗戦は根幹を覆される出来事だったのだな。
結核との闘病の様子も辛い。月を手鏡で反射しないと眺められない。母に押さえてもらえないと手紙が書けない。前川正の逝去シーンは涙なしにはとても読めなかった。
私はクリスチャンではないので受洗の様子は少々読み飛ばしたけど、確かに敗戦後の辛い闘病生活では、信仰が相当救いになったんだろうなぁ。
前半の三浦綾子は生きる意味や信条を深く考えて悩んでいて、とても共感した。深く考えすぎだよ!と綾子さんにも自分にも言いたくなった。
表現が豊かで、眼前に風景が広がる素敵な文章だったー。父に勧められた本で敬遠してたけど、読んでよかった。
Posted by ブクログ
キリストの神様を信じることで
運命に心を乱す事なく愛を持って
生きていける
難病で寝たきりの綾子さんを
見ず知らずでも
信仰で繋がった人が
たくさん見舞う
病人を見舞おうと
キリスト教の教えにあるのか?
前川正さんを始め
元婚約者や三浦光世さん
みんな驚くほど献身的でよい人
あんなに人のために差し出されるか?
綾子さんを愛した前川さんは幸せそうだったな
わたしたちの神様は備えてくださる神さまなんです
わたしたちの目には悪いと思う事も
結局は良かれと思って準備してくださる
必要なことは与えられる
与えられないのは不必要だという証拠
御心のままに
人生に疲れたら読み返したい
Posted by ブクログ
偶々出くわした小説が興味深く、「同じ作者による他の作品」と幾つかの作品を紐解く中で出会った作品である。なかなかに興味深く拝読した小説である。
「小説」というモノは、作者が自由自在に想像の翼を羽ばたかせて綴るモノであろう。作者本人の経験や見聞、人生と然程関連が無くても何らの支障もない。それでも、場合によっては作者本人の人生が色濃く反映される小説というモノも登場する。
三浦綾子作品に関しては、丁寧に取材をして様々な人達の話しを参考にしながら綴られている作品が見受けられると感じられる他方、御自身の人生の中での経験や、考えて来た事柄等が色濃く反映されていると想像させる面も大きいように感じる。小説家として登場した当初から、活躍を続ける中、晩年近くに発表されている作品に至る迄、一貫して「取材成果」と「御自身の人生の中での経験や考察」とを巧みに織り交ぜるような感じで作品を綴り続けたのではないかと、一読者としては思う。
本作『道ありき(青春編)』は三浦綾子の「自伝」と言われている。戦前に勤めていた小学校教員の仕事を辞めた戦後間もなくの頃、病を得てしまって療養生活に入ることとなる。長く療養生活を続けるという中で、幾つかの出会いや別れが在って、やがて結婚に至ったという経過は知られている。本作もそうした、少し知られた経過の物語である。
が、それでも作者自身の「自伝」というよりも、「小説家として少し知られるようになった主人公の“堀田綾子”が来し方を回顧する物語」というような、「純粋な小説」という感覚で読んだ。そういうように「読まされた」と言い換える方が妥当かもしれない。
小説によく在るような感じで「堀田綾子は…」というような叙述が早目な段階に出て来るのでも何でもなく、「私」という第一人称での語り、「御自身の心の移ろい」を一部に旧い記録等も少し引っ繰り返しながら綴っている。眼前の他の人から「綾ちゃん」、「綾子さん」、「堀田さん」という程度に呼ばれている描写が出て来ることから、綴られている物語、読み進めている物語の主人公が「堀田綾子」と知れる訳である。本作の最終盤で結婚し、「三浦綾子」となるのである。
20歳代から30歳代の通算13年間程を療養に費やしたというのは、凄く特異かもしれない人生のようにも思う。その中の概ね半分程度は、症状の関係で自由に身体を動かせない羽目で、御手洗を使う、食事を摂るという動作にさえ不便していたのだという。そういう中、不自由さを呪うというようなことに終始する、または不運であると何もかも諦めるということではなく、出逢った人達との交流の中に様々な可能性を拓こうとするような様子に心動かされる。更に、周辺で「誰が何と言おうと…」という感じで「堀田綾子」を支えようとする人達の様子にも驚かされる。
本作の物語は、昭和20年代、昭和30年代を背景としている。当然ながら、その様々な状況は現在とは大きく異なる。それでも、苦難を嘆く、呪うに終始しない生き様、苦難の中に在る人を何とか支えようとする人の様というのは、時代や場所を超えて心揺さぶるモノが在ると思った。
三浦綾子作品の多くは長く読み継がれて「古典」という存在感を放っていると思う。本作もそうした「古典」の一つに上げなければならないであろう。
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