三浦綾子のレビュー一覧
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『塩狩峠』や『氷点』などの評判が高い著者が夫婦の信仰生活を綴ったエッセイ。
旭川の山奥で暮らしていることもあって、特に前半部分の頑固な時代批評にはやや隔世的なものを感じてしまうが、読み進めていくうちにそれらは鳴りを潜めて穏やかな文になってゆく。中盤で著者が自らの生活を省みたときにふと思い至ったこととして、「思い立ってすぐ実行に移す人間は必ずしも実行力があるとはいえず、むしろ意志薄弱型の人間なのだ。本当の実行力とは一つのことを実行に移すにあたって綿密な計画と周到な準備をもってなされるものでなければならない。」と書いているが、この部分には大いに同意させられた。
敬虔なクリスチャンである著者とその夫 -
Posted by ブクログ
人間とは何か、生きるとは何かを、平易な文章から鋭く問うてくるのは流石に三浦綾子。
憧れの医師に純潔を奪われつつ、その男がどうしようもない男だと承知しながらも愛に溺れていく若き看護師が綴る日記という設定。
ハイローの無い日記調の文体が、堕落していく(そしてそれに気付かない)人間の恐ろしさを感じさせる。
しかし、注目すべきは、主人公の働く病院に入院する広川さん。私と同じ年齢でありながら達観した思想と精神的厚みを兼ね備えた彼が、めちゃめちゃかっこいい。一方で、いわゆる世間知らずのお嬢様である主人公にに恋心を抱きつつも、「心の教師」として振る舞ううちに、そのポジションから抜け出せず…といった弱さも見 -
Posted by ブクログ
死因・心臓まひ。実は特高警察による過剰な暴行が原因で、小林多
喜二は築地署で命を落とした。
その多喜二の母が本書の主役である小林キセ。88歳のキセが自分の生い
立ちから息子・多喜二の死、その死後の生活を読み手に語る。
生まれは秋田県角館。貧農であった生家から嫁いだ先も、貧困にあえぐ
一家だった。
明治のこの時代、東北地方の貧しさは今とは比べものにならない。家族の
生活を支える為に娘たちは人買いの手に渡される。
そう、あの頃は普通にそんなことが行われていたんだよね。女性が学校に
行くことすら叶わなかった時代だ。
貧しいながらも温かい嫁ぎ先、優しく思いやりのある夫。そして子供たちに
囲ま