三浦綾子のレビュー一覧
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戦時中の昭和を舞台に、主人公が教師を目指し、そして戦争に巻き込まれていく。
言論統制により、見に覚えのない罪に問われ、教壇を下りることとなる主人公。自由に、ものを言えない、思想を抱くことのできないことの恐ろしさを感じさせられました。
本書の中に度々出てくる「神」というテーマ。正しい行いをしている者が必ずしも幸せな生涯を送るわけではない。神がいるならば、正しいものにこそそれに見合った幸せな人生が与えられるものではないのか・・・。正直、私もそう感じます。しかし、「見返りを期待して、正しい行いをしているわけではない」のです。自分の中の神様に背かない生き方をしたいと感じました。常に、自分に向けら -
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ネタバレ「蟹工船」の作者、小林多喜二の母、セキの話です。
この本を知ったきっかけは、「平台がおまちかね」という本。
私は蟹工船を読んだことがなく、「ああ、学校の授業で習ったなぁ」くらいにしか覚えてなかったのですが、「母」を書いたのが三浦綾子さん、ということで興味を持ちました。
昭和初期、というのはどうも、どの本を読んでも思うことだけど、嫌な、暗い時代だったんだなと思う。
言いたいことを自由に言えない時代。
正しいことを言うと捕まる時代ってなんなのだ。
もしタイムマシンでこの時代に行けたなら、日本をこんな国にした奴(誰だか知らんけど)のところへ行って、「バカ」と頭を叩いてやりたい。
小林多喜二がどういう -
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ネタバレ「蟹工船」の作者、小林多喜二の母、セキの話です。
この本を知ったきっかけは、「平台がおまちかね」という本。
私は蟹工船を読んだことがなく、「ああ、学校の授業で習ったなぁ」くらいにしか覚えてなかったのですが、「母」を書いたのが三浦綾子さん、ということで興味を持ちました。
昭和初期、というのはどうも、どの本を読んでも思うことだけど、嫌な、暗い時代だったんだなと思う。
言いたいことを自由に言えない時代。
正しいことを言うと捕まる時代ってなんなのだ。
もしタイムマシンでこの時代に行けたなら、日本をこんな国にした奴(誰だか知らんけど)のところへ行って、「バカ」と頭を叩いてやりたい。
小林多喜二がどういう -
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ネタバレ三浦綾子さんの初期作品3編を集めた短編集です。
これらの作品は、三浦綾子記念文学館設立を機に、原稿を整理していたら出てきたものや、不完全なままだったものを東西奔走しながら復元したものであるらしい。特に「茨の陰に」の復元にはかなりの労力をかけたとのこと。
表題作「雨はあした晴れるだろう」は義理の兄に密かに憧れている主人公がある事件をきっかけに彼に失望、同級生の男の子とほのぼのとした関係が始まりそうなところまでを日記形式で書かれている作品。「この重きバトンを」は、主人公が父の半生を知り、父に対する見方が変わるという作品。「茨の陰に」は町長一家を描いた作品。
初期作品と言うことはたぶん -
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ネタバレ三浦綾子さんの初期作品3編を集めた短編集です。
これらの作品は、三浦綾子記念文学館設立を機に、原稿を整理していたら出てきたものや、不完全なままだったものを東西奔走しながら復元したものであるらしい。特に「茨の陰に」の復元にはかなりの労力をかけたとのこと。
表題作「雨はあした晴れるだろう」は義理の兄に密かに憧れている主人公がある事件をきっかけに彼に失望、同級生の男の子とほのぼのとした関係が始まりそうなところまでを日記形式で書かれている作品。「この重きバトンを」は、主人公が父の半生を知り、父に対する見方が変わるという作品。「茨の陰に」は町長一家を描いた作品。
初期作品と言うことはたぶん -
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ネタバレ大学時代、三浦綾子さんの著作を読みまくっていた時期があり、この作品もその時に読んだもののひとつなのです。いわゆる純文学風でない作品であるゆえ、太目の文庫なのに妙にとっつきやすかったように思います。
この作品の説明をする時に私は、
「確かねー、「悪徳の栄え」のような姉妹が出てきて(姉がいい人で妹が極悪人ちゅう感じね)最終的には姉が幸せになって、妹がギャフンと言わされるという話だったと思います」なんて言い方をしてしまいます。さらっと読んだ時の印象はまさにこんな感じだったのです。ところが2回目に読んでみたらもっと複雑で奥が深い作品でした。
主人公香也子は、自分より美しいものが嫌いで、また、他 -
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ネタバレ大学時代、三浦綾子さんの著作を読みまくっていた時期があり、この作品もその時に読んだもののひとつなのです。いわゆる純文学風でない作品であるゆえ、太目の文庫なのに妙にとっつきやすかったように思います。
この作品の説明をする時に私は、
「確かねー、「悪徳の栄え」のような姉妹が出てきて(姉がいい人で妹が極悪人ちゅう感じね)最終的には姉が幸せになって、妹がギャフンと言わされるという話だったと思います」なんて言い方をしてしまいます。さらっと読んだ時の印象はまさにこんな感じだったのです。ところが2回目に読んでみたらもっと複雑で奥が深い作品でした。
主人公香也子は、自分より美しいものが嫌いで、また、他 -
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三浦綾子の小説は登場人物のそれぞれの心の動きがよくわかって読書に集中できる。
登場人物を自分と照らし合わせて考えさせてくれる。
あらすじ
島壮吉と南真一郎は、旭川北成高校で働く同僚教師であり、日本画の師弟であり、友人であった。藤島と慎一郎がともに藤島の妻美枝子をモデルに描いた絵のうち、真一郎の絵が日展入選協会賞に輝く。弟子真一郎の快挙を喜ぶ師藤島であったが、この時より藤島と真一郎の友情に亀裂が入る。
藤島は表面上では真一郎の日展入選を喜んでいたが、その内心では暗く荒んだ嫉妬の炎が燃え上がっていた。その嫉妬は真一郎の才能と真一郎と美枝子の間の秘めた恋情に向けられていた。藤島は真一郎を秋の天人