【感想・ネタバレ】三浦綾子 電子全集 裁きの家のレビュー

あらすじ

人は人を裁くことができるのか? 誰もが持っている人間のエゴイズムに光をあてた問題作!

「『家庭は裁判所ではない』ということを、わたしは度々口にする。しかし、現代は家庭もまた裁き合う場であって、憩いの場でもなければ、許し合う場でもなくなっていると言える。わたしは、現代の持つこの一つの問題を、親子、兄弟、夫婦、嫁姑の家庭関係の中で追求してみたかった。」(単行本「あとがき」より)。小田島博史と滝江夫婦、その息子・清彦、小田島謙介と優子夫婦、その息子・修一と弘二、そして姑・クメらが織りなす愛憎模様から、救いようのない現実の醜さを描く。

1970年(昭和45年)、1973年(昭和48年)に2度、テレビドラマ化され話題を呼んだ名作!

「三浦綾子電子全集」付録として、週刊誌連載時に取材旅行先で撮影した三浦夫妻の写真を収録!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

誰かからよくない噂話を聞いたときや、ネガティブなことを言われたときに読んで、気持ちの置き場所を確認しておきたいかも。

商社マンの夫と、高校生と中学生の息子を持つ優子が主人公。
夫の姉、滝江の浮気現場を目撃してしまう。
滝江に恨まれて、夫を誘惑されたり、嘘をつかれたり、いろいろな嫌がらせを受ける。
一方、滝江の息子の晴彦も、滝江への恨みを募らせていて、どうなるんだーって話。(すごく雑)

滝江の嘘を信じて嫉妬したり、
姑のクメの子育てに関する苦言を魔に受けて落ち込んだり、
客観的に見てたら「そんなの聞かなくていいのに!」と、優子をもどかしく思った。

自分も、誰かの噂を信じたり、否定されたら自分を責めてしまったりけど
嘘をつくような人とは、吉井さんのようにうまく距離を置いたり、
否定をする人の言葉を鵜呑みにするのではなくて、優子の息子の修一のように、勉強をして自分の芯を持って揺らがないようにしたりしたい。

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2022年09月02日

Posted by ブクログ

久しぶりに三浦綾子を読んだ。最初は稚拙に感じたが、やはりすぐにハマった。キリスト教に惹かれる気持ちは昔より薄れたが、やはり考えさせられる。

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2013年06月02日

Posted by ブクログ

祖母から本を貰い読みました。

衝撃的なラストが待っています。
人間はなんて自分勝手で自己中心的なのでしょう。

氷点のさらに上を行くような
人間の嫌な部分が描かれています。

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2012年01月17日

Posted by ブクログ

滝江と優子の間の皮肉や腹の探り合い、当てつけと比べるように、息子の修一と彼女の関子の心洗われるような会話が入る。優子はその会話を聞きながら、自分たちの生活に、誠実さや清さなど大事なものがかけていることを考え込まざるを得なかった。

制度の改革より、人間の改革に興味があるんですよ。制度がいくら理想的になっても、人間がやくざじゃ、しようがありませんからね。なんせ、事を複雑にしているのは、人間なんですから。
一方、人間の改革より、制度の改革のほうが、効果がある。人間はなかなか利巧にならないけれど、少なくともいい制度があれば、この世は住み心地がよくなる。たとえば、年寄を大切にしなさいって百万べん聞かされても、日本中の人が年寄を大事にするのには、時間がかかる。何万年かかっても、同じかも知れない。でも、六十歳以上の方は、月二万円の補助が国から出るとか、鉄道運賃は只だとかって制度ができれば、このほうがてっとり早いかもしれない。

人間はね、誰も相手のいうことなんか、聞こうとしてやしないよ。対話と見せかけて、結局は、自分の言いたいことを押しつけてくるだけだよ

自己主張の果ては死である。女の裸が見たいからといって、無理矢理裸にしたらどうなる。近所のきれいな女の人を抱きたいからといって、道の真ん中で抱いたらどうなる。したいからといって、したいことをしていたら、人間はどうなる?体も心も目茶苦茶になってしまうよ。金が欲しいからって、強盗したり、殺人したりするのと同じさね。自己主張の果ては死、っていい言葉だろ。だから、おれはね、自分のしたいことと戦うのが好きなんだ。これが本当の、人間の戦うべき戦いだよ。そりゃあ、時には関子さんの手を握りたいことがあるよ。だけど、関子さんは、いつか誰かと結婚するだろう。その結婚する人と初めて手を握るのが、関子さんのしあわせだろ。そう思ったら、あの人のしあわせのために、おれは我慢することにするのさ。

夫婦というものは、いい時だけのものではない。貧しい時も、豊かな時も、病気の時も、健康の時も、変ることなく支えあっていくのが夫婦だ。いや、病気の時にこそ、貧しい時にこそ、慰め手が必要なのだ。励まし手が必要なのだ。夫婦には、いろいろな未来が待っている。結婚式を挙げる時、いかなる夫婦といえども、これから先何十年の間に、何が起るか予想し得ないのだ。事業が失敗するか、あるいは交通事故で不具になるか、または殺人を犯すか、それは誰にもわからないことなのだ。未来とはそのような恐ろしい可能性をも含んだ、無気味なものなのだ。二人の男女が、将来を誓うということは、その無気味な未来をも、あるいは輝かしいかも知れない未来をも、ひっくるめて共に背負うことなのだ。もともと、心の変り易い人間が、一生を誓うということは、そうした不敵なまでの真剣さがなければならない

小事に忠実な人間は、大事にも忠実である

与うるは受くるより幸である

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

自分も日々何かを裁いているのか。裁くほどの何かを持っているんだろうか?いや、持っていないと思う。そんなことを考えました。

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2020年06月27日

Posted by ブクログ

眠れなかったので読み始めたら、最後まで読んでしまった。
登場人物の描写が丁寧で、どんどん人間不振に陥ります。
あのラストは容赦ない。

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2010年09月03日

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