あらすじ
過ちを犯さない人間はいない。だからこそ愛することはゆるすこと。永遠の愛のテーマ。
牧師の家に育った奈緒美は高校卒業後、友人・京子の兄、良一から求婚される。やんちゃな面を持つ良一に奈緒美は惹かれていくが、良一の人間性に不安を感じ取った両親は反対する。一方、奈緒美の高校時代の担任で、良一の女性遍歴を知る竹山もまた、奈緒美への密かな思いを抱くだけに祝福することができなかった。周囲の声に反発する奈緒美は函館に帰る良一を送りに行き、そのまま結婚生活を始めてしまう。だが、そのわずか数か月後には、良一の冷酷な面を知ることになるのだった。
「三浦綾子電子全集」付録として、 夫・三浦光世氏による「創作秘話」などを収録!
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Posted by ブクログ
愛とはなにかが知りたくて読んだ。
愛とはゆるすこと、ゆるしつづけること。
毎日お酒を飲んで酔っ払って、たまに暴力を振るって、不倫までする夫に、いろんな配慮をして申し訳ないという気持ちが持てる奈緒実は美しく素敵だと思った。
確かにそれでも一緒にいる、いようと努力をするというのは愛なのかも。人それぞれいろんな愛があるだろうから、どんな種類の愛なのかはさておき。
でも友達に良一のような夫がいたら絶対に離婚してほしいし、例えば殺されても愛があったからよかったのと思えるのか?どこまでが愛でゆるせる範囲なのか?
良一がたまたま亡くなっていなかったら、出かける間際の会話があんな冷ややかじゃなかったら、本当に奈緒実は心からゆるせただろうか。とか思ってしまう。
美しいお話でずっと童話を読んでいるようなときめきがあった。
迷ったときはお父さんの言葉を聞きたくなりそう。
Posted by ブクログ
愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ。
まさにその言葉を体現したような内容だった。
この本は約半世紀前に認められたものであって、当時の人々に真の愛とは何かを問いかけるものであったのだろうが、現代ではどうだろうか。私は当時よりも一段と愛というものを誤認して、知った気になっている人が増えているように感ずる。人々は簡単に恋や性の直線上に愛を語るが、それは真に愛することだといえるのだろうか。
また真に愛すること、即ち相手を赦し、生かすことはどれほど傲慢でどうしようもないような相手でさえも愛に包み得るのだろうか。
不完全ながらもここで語られる愛を遂行した、或いはするべきだと説いた主人公の父親が牧師であること。これは、キリストの教えこそが真の愛を追求できる道なのではないかと思わせられるという点において、宣教的にも大きな意義を孕んでいるように思う。北海道という地とキリスト教、時代背景なども相まって、どこか高尚で美しく、引き込まれる物語だった。
Posted by ブクログ
相手につい文句を言ってしまいがち。
でも自分も相手と同じ人間なのだから、自分も同じことをする可能性は十分ある存在だ、と考えることでストレスなく人を受け入れることができるようになった。
Posted by ブクログ
読んだのは中学生ぶりくらいだった気がする。当時受けた衝撃よりも今年改めて受けた衝撃の方が大きい。ある程度歳をとった今、この作品を通して「ゆるす」ということの難しさと尊さを感じることができて良かった。このタイミングで出会うべき本だったように思う。
Posted by ブクログ
50年以上前の作品。
それでも現在でも難なく読めた作品。
舞台は戦後四、五年後の若き女子高校生達(女学校から高校生に変わる頃)の、男女間のもつれなお話。
どなたかが感想に“コンパクトな氷点”と表現していたが、確かにそんな感じがしました。
テーマは“愛”と“赦し”。
とは言え、氷点よりドロっとした感じは否めない。登場人物を若めにしているせいか、まだまだ人生経験が足りない者も居れば、駄目の三冠王みたいな男も居る。
良一の扱いが今作のキーとなるだろう。
駄目の三冠王・良一(酒に溺れる、女たらし、妻に手を挙げる)は、初めのうちは見るに耐えないクズ男だが、肺病の初期段階における吐血するところから、自身の生き方を見つめ直す。
奈緒実にプレゼントするはずの絵、十字架にはりつけられたイエスの足下で、イエスの血を浴びながら両手を掲げ赦しを乞う自身を描きあげていた。
洗礼までには至らないが、それでも主に赦しを乞うまでに心境が変化するシーンには、以後どうなるものかと気になっては来る。
しかし、おっちゃん的には気付きが遅すぎであったとしか思えない。
作者的には若気の至りも赦しの一つ…になるのかどうか…。
完璧な人間は居ない…とも表現されているが、もっぱらこのお話では男女間の関係ってのを赦し続けられるか…にある。
倫理観の捉え方なんだろうが、浮気や不倫はNGではなかろうか。
類は友を呼ぶと言うが、奈緒実の父親が昔良一と同じことをしていたってのもキーだろう。だから義理の息子の気持ちもわかる…んだろう。
牧師とて道に誤ることはある、そう言うならそうだが、ここら辺に読者の好き嫌いが現れる気がします。
ただの犬も食わない愛憎劇ならそれまでだが、作者が敬虔なクリスチャンだからこそ、その後どう考えるのかが気になる。
だから三浦文学は面白いと思えます。
Posted by ブクログ
各作品を興味深く拝読している三浦綾子作品の一つを入手して紐解いた。単行本の初登場が1966(昭和41)年で、作者の活動歴の中では比較的早目な時期の作品と言えるであろう。少し以前に見受けられた、文字がやや小さい感じの規格で、ページ数の感じ、本の見た目の割には全体の文字数が多くボリュームが在る。ゆっくりと紐解きながら読んだ。
本作の物語は、昭和24年に起こり、そこから数年を経た昭和20年代の終わり頃、札幌を主要な舞台としている。若い女性達と、その周辺の男性達の物語ということになる。
「昭和24(1949)年」というのは、現在も続いている小学校、中学校、高校の仕組みが成立して始まったというような頃だ。未だ「占領下」で少し独特な風俗も在ったかもしれない。が、総じて「前の時代」とは変わったとされる価値観のような何かが台頭し、他方に古くからの価値観も根強く、若い人達の心が揺れていた時代という感じなのかもしれない。
そういう時代を背景に若い女性達、男性達の物語が展開する。
札幌のキリスト教系の女子高が在って、3年生の京子が在る。京子の級友に輝子が在るが、輝子は何かと京子にキツく当たるような態度だ。この2人が在るクラスに奈緒実が転校して来る。
3人の学ぶクラスの担任ということになる英語教師の竹山哲哉が在る。竹山哲哉の友人に、画を描くことに志を持ちながら新聞社に勤めている杉原良一が在り、かれは京子の兄である。
この女性3人と男性2人が物語の主要人物ということになる。ここに彼らの親達等の周辺に在る人達も関わる。
女性達の中、最も出番が多く、本作のヒロインという感なのは奈緒実ということになるであろう。
この奈緒実に、教師の哲哉は惹かれるのだが、友人の良一も同じく惹かれる。他方の奈緒実は、哲哉に関しては「先生」という「線引き」のようなモノも感じていたが、それでも好感は抱いていた。そして良一にも惹かれるようになって行った。
やがて良一は函館へ転勤する。そして札幌へ出て来た際の行きがかりで、奈緒実は函館に行ってしまう。
こういうようなことで色々と展開する。
良一には色々と「過去」も在り、哲哉はそれを知りながら公にすることを憚った。京子が哲哉を慕っていて、哲哉はその気持ちを受け止めたいと思いながら、奈緒実を想っていることに気付く。
輝子の父と、京子や良一の母との間に秘めた事情が在った。それはそれとして、輝子は出くわした良一に接近する。
何やら「連続テレビドラマ」の原案のような感じもしたが、凄く惹かれた。「愛すること」とは「許すこと」というようなテーマを底辺に据えた、若い男女の物語だ。
奈緒実は色々と悩み、気持ちが揺れるようになる。そして良一だが、この人物は最終盤へ向けて大きく変わって行く。
題名の『ひつじが丘』は札幌の羊ケ丘を意識してはいると思う。が、寧ろ「迷える子羊」たる劇中人物達が集っているというような、漠とした感を表現しようとした命名かもしれないと思った。
「三浦綾子作品?」とでも問うて、直ぐに名が挙がる作品でもないように勝手に思っているが、それでも興味深い作品で、広く御薦めしてみたい。
Posted by ブクログ
23歳の今。
この本に出会って本当に良かったと思いました。
良一に惹かれて結ばれた後、後悔する気持ちのやり場の無さ。とても感情移入しました。
そして奈緒美の両親の温かさ。
愛とは何かを深く学びました。
どんな境遇に立っても人を裁くのではなく、許して生きていく。
この本からとても難しい人生の課題を与えられました。
人生のバイブルにします。
Posted by ブクログ
人をゆるすことの尊さと難しさを痛感する大作。人間誰しも弱くて完全にはなれない。だからそんな自分も受け入れゆるしてもらわなければならないし、周りの人をゆるす心の広さを持たなければならない。今年の自分のテーマとなる作品に出会えた。
Posted by ブクログ
10年前、20歳くらいの時に初めて読みました。
当時は「良一のような男性を選んじゃいけないな」くらいの感想しか持てなかったのですが、
30歳のいま、「愛するとは、相手を生かし続けること。ゆるし続けること」この意味がよくわかります。
自分の成長を感じた読書となりました。
三浦さんの別の本も再読したい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
クズはクズ。一生治らない病気の様なものだなぁ〜
というのが第一印象。
ページをめくる度、期待通りに良一がクズすぎた。
ただのクズ。
親の言う事に間違いはない。
ってのも実感した。
登場人物が限られているので、読みやすく分かりやすく面白かった。
男女のいざこざは、今も昔も変わらないんだなあ。
最近の小説は時系列がごちゃごちゃしてたり、一人称が別人だったりと複雑すぎて難しいから、こういうシンプルな流れの小説が好き。
Posted by ブクログ
三浦綾子さん大好きです。私は無宗教で、ここまで人を許すことはできませんが、なんとなく気持ちはわかりますね。しかし良一はひどい男だな、これが例えば会心しなかったり、絵を描く人ではなかったらどうだったのでしょう。人間関係が狭い話ですが、奈緒実よお父さんの言うことを聞け!竹山もっと積極的に!などもどかしい思いをしながら楽しく読めました。
Posted by ブクログ
自分の生き方を考えさせてくれた本。年齢からして、もう今更感はあるのだけど。昔訪れた函館や、最近再訪した札幌の昔の情景を思い出しながら楽しく、反省し、表現しにくい読後の気持ちを忘れないようにしようと思いながら読みました。
Posted by ブクログ
愛するとは、ゆるすこと。一度や二度でなく、ゆるし続けること。相手を生かすということ。
序盤の、耕介の言葉を聞いて、なるほどと理解したつもりだったけど、最後まで読んだら、自分の考えている『ゆるす』ことがとても浅く狭いものだと痛切に突きつけられた気がした。
自分だったら、許せるだろうか。
相手を許せないという強く根深い感情を抱いた時、
それを手放せるだろうか。
キリスト教が多く引用される本書だが、
単に宗教のストーリーでは決してない。
人と生きるということ。
許すということの本当の意味を考えさせられる。
また歳を重ねてから読みたい。
その時の自分はどう思うか。
Posted by ブクログ
またまた引き込まれる三浦綾子ワールド!
クズとか世間ズレだとかカテゴライズは簡単だが
一人ひとりの背景や心情を理解しようとすると
他人にはわからない世界があるんだと気づく
凡人の私にはムリかもだけど忘れたくない視点
Posted by ブクログ
愛することは、赦し続けること、相手を生かすこと
人間は完璧な存在ではない、私も過ちを犯しながら生きている
自分が正しいと思うことは傲慢である
自分に余裕がないと、どうしても視野狭窄に陥ってしまう
相手を理解するよう努めること、相手に興味を持ち続けられるようになりたい
Posted by ブクログ
【恋とは。夫婦の愛とは。ゆるすこととは。】
青春から、
憧れから、
理解不能な、
また自分の辞書をひいてもわからないことに
惹かれ、
知りたいと思い、
やがて真実を知り、
酸いも甘いも噛み分けて、
許し、
許され、
生きていく。
良一のように、悔い改めるというのは稀だと思う。
そして奈緒美のように
葛藤をしながらもゆるし続けることは
相当に気力の要ること。
守るべき弱き者の存在があれば
なおのことゆるさない選択だってあるだろう。
ひつじが丘は美しい。
現実はそんな画になるようなことばかりではないけど
そのような関係もあるんだろうな
あってほしいなと思った。
許すことは難しい。
気づくこともまた。
Posted by ブクログ
不覚にも悲しくなった。こんなどうしようもないクズな男でもいざ死んでしまうと悲しいものだ。
牧師さんも中々ヤバイ奴だった(´゚д゚`)そうか、犯した罪の赦しが欲しくて牧師になるんだもんな。
"愛するということは赦すこと"。。。。難しい。私には愛することはまだ難しいわ。
皆がキリスト教徒になれば弁護士もいらないし犯罪も裁かれない世の中になるのか?(´・ω・`)??無理だよね。
Posted by ブクログ
心が洗われる。
美しい日本語を話す機会はなかなか無いが、こんなふうに自然に喋れたらステキ。
三浦綾子の本の一貫したテーマ、許すこと、赦すことは、なんと深く難しいことなんだろう…。
古い本だけど、やはりいい。
Posted by ブクログ
聖書読んでるみたい?(聖書読んだことないですが・・)
な感じ。ゆるすとは、愛とは。
あらためて今読むと、時代を感じます。いろいろ理不尽なことも多く、自由に恋愛も結婚も出来なかった時代。自分でどこかで理不尽を受け入れる手段の宗教感。
生きていくって辛かったり、理不尽だったり、昔も今も変わらないようで、やっぱり昔のほうが生きにくかった、自由が少なかったのだろうなと感じました。
物語の中ではゆるしすぎに感じました。ゆるし、愛せば・・・。聖書で説いてるならそういうものと思いますが、物語だと御伽噺みたいに感じてしまいました。
心の持ちようはそうありたいですけどね^^
Posted by ブクログ
読みやすかったです。
許すとは、愛するとは、生きるとは、
考えさせられました。
むかーし、塩狩峠を読みましたが、
もうすっかり話を忘れているので
再読しようと思いました。
Posted by ブクログ
(レビュー・感想というより、読むに至った経緯)
夏。
表紙の白に惹かれ、あらすじを読み、読むにいたる。
ただただ、理性や分別を失くしたくはないなと思いました。
なまなましい。そんな小説。
Posted by ブクログ
【2025年137冊目】
女学生の奈緒美は友人の京子の兄である良一の無垢なアプローチに心を動かされかけていた。一方、良一の友人である竹山もまた奈緒美に心を寄せていたが、そんな竹山を京子は一途に思っていた。一時の熱情的な判断、否定されるほどに募る感情、嫉妬と羨望と衝動。ままならない男女関係を描いた一作。
いや、納得行かねぇ…なんで「なんだかんだあったけど、いい人だったよね」エンドになってるんだ。ダメだよ、灰皿投げてるんだよ?世の中灰皿投げない男の人もいっぱいいるし、女にだらしなくない人も、酒に溺れない人もいるのに役満だよ?死んで勝ち逃げみたいな扱い、納得いかなすぎる…まあ生者がそう整理をつけたのならいいっちゃいい気もするんですが、私だったら「自業自得では?」と思うかも。
しかし、反対されるほどに躍起になる気持ちがわかりすぎて、共感性羞恥がやばかったです。今ならよくわかる過去の過ちがフラッシュバックしてもう。
「愛することは許し続けること」ってその通りだなとは思うんですけど、そうは言ってもだめな奴はだめだよ。本当に許すのは生きて償い切った時だと思うけどなぁ。
あと、全員うまい具合に思い通り言ってなくて、読んでるこっちがヤキモキさせられる建付けでしたが、読み終わってみれば上手く感情を翻弄される感じで作者さんの思うがままに踊らされた気がしました。上手い。
Posted by ブクログ
著者の「氷点」に続く第2作。青春小説のごとく始まる札幌のミッション系女子高校生(奈緒美、京子、輝子たち)と若い美男子の英語教師・竹山哲哉先生、青春真っただ中の純真な姿の冒頭のシーンからの激動の数年間を経て感動のラストへ!惹き込まれるようにその面白さで一気に読んだ。しかし、テーマは極めて重い。京子の兄・良一という女泣かせの青年の登場により、若い女性たちが不幸に巻き込まれていく。牧師である奈緒美の父・耕介が「愛とは赦すこと」と語る言葉に著者の問いかけがあり、耕介自身そして主要な登場人物たちの心の奥にある罪が抉られる。見事な展開で、最後に冒頭のシーンを想起させる青空と白い雲を見る場面で終わる。数年しか経ていないにも関わらず、大きな時間の隔たりを感じさせる場面だ。しかし、人物造形(奈緒美、良一、哲哉、輝子、京子たちの心の動き)が少し粗削りで、やや無理を感じないでもなかった。
Posted by ブクログ
ミラン・グランデラの『存在の耐えられない軽さ』を読んですぐ三浦綾子のこの『ひつじが丘』も読む。類似点が多い。
びっくり。
なんと、なんと人間は悩んで生きるもの、なのか!
を、書く作家が多いことか!
と言ってる場合じゃありません。本はたくさん読まなくっちゃ、読まなくっちゃ。
Posted by ブクログ
それぞれの心の中が表現されていて、しかも展開が早いのでテレビのような印象が強かった。
テーマは愛。
恋ではなく愛。
愛とは許し続けること。
美しい女性が見た目がよい男性に惹かれる。
本質を見誤る。
そして結末は。
読んでみて良かったけれど、なんだかすっきりしないような。
あまり見ないけれど、NHKのドラマのような印象でした。
Posted by ブクログ
愛するとは何度も何度も許し続けることである。
人生とは選択である。
小説を通してそれを伝える。
他の人に対しては忍耐深く寛大であれ。あなたも他人が耐え忍ばねばならぬようなものを事実において多く持っているからである、とイミタチオ・クリスチに書いてある。誰も自分の姿には気付かない。人を理解するためには自分自身を先ず正しく理解しなければならない。自分を知ることが人を愛するはじめだ。
そして、最後の章で言う。人間はまことに過失を犯さなければ生きてゆけない存在である故に、われわれは、ただ神と人とにゆるして頂かなければ生きてゆけない者なのであります。
Posted by ブクログ
愛とはゆるすこと。
親が牧師であったって、教会に通うクリスチャンだったって、人は全てを受け入れ、許す、ということは難しい。
奈緒美の両親は良一の変わりゆく姿をいつしか許していたんだなと。良一の最期は悲しかった。でも良一の変わっていく様はすごく感動した。
ドロドロな世界だけれど、それぞれの心情がみごとに表れていたかと。
Posted by ブクログ
愛するとは許し続けること。
「…続ける」が難しいところだと思う。
キリスト教的な考え方と、日本的な耐え忍ぶ姿勢は合わさってはダメだと感じました。
人間は弱いのなら、誰かを許し続けることが出来ない事だってあるはず。
良一のような人が、愛に触れて改心することは、理想だけど、現実的ではない気がします。
女性作家だからかな?
悪い男の改心は女性の夢なのです。
Posted by ブクログ
またまた、初挑戦の作者さんの本です。
大分前にこの作者さんの原作の小説がドラマ化して、流行ったんだよって親に聞かされていて(それはこの本じゃなかったんだけど)、それがどろどろの小説だったので、この作者さんはどろどろの小説を書く人ってイメージを持ってたんですけど……読んでみた感想は。
まあ、間違ってなかったかな、と。
運命は複雑に絡んでいて。
誰かが、誰かのことを好きで。
でも、誰かも誰かのことが好きで。
誰かはどっちか選べないで……
というどろどろっぷり。
それでもやっぱり人間は他人がいて初めて生きれる生き物だから、だからああだこうだって言えないんだろうなって思います。
結局、誰も幸せになれないラストだったけど、現実ってこんなもんっていうのには複雑すぎて、でもこうじゃない! と言い切れる程何かがあるものではない。
誰かが誰かを忘れないとうまくいかないけれど、手に入らなかった物程、手の中で重くなるんだよね。つらいな。