あらすじ
1922年、北海道・旭川で生まれた私は、両親や兄弟姉妹の愛情に包まれながらも、体が弱かったせいか人一倍臆病な子供で、無気味さと淋しさ、不安や恐怖の入りまじった中にあったような気がする。しかし小学校にあがり、級友たちとのふれあいや人の死など様々なことを経験し、「生きる」とはどういうことかをおぼろげに感じ始める――。愛と信仰と文学に生きた作家、三浦綾子の原点が鮮やかに描かれた、長編自伝小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
氷点の作者の自叙伝
作者の捉え方、感じ方が伝わる。
温かい気持ちになる。
周りのみんなも温かい。
昭和初期の暮らしの様子も分かる。
こんな暮らしだったんだなあと感じる。
Posted by ブクログ
三浦さんの幼年期・少女期がつづられた自伝的小説
虚弱な体質で臆病だった彼女。でも昔から持っていたのは平たい心。
普通なら嫉妬の炎を燃やす場面でも彼女は賞賛を浴びせ
いいものを自分に取り入れる。
お風呂屋さんから布をまいて裸に近いかっこうで帰ったエピソードや
淡い初恋のエピソードなどが楽しい。
氷点に登場する「陽子」は6年と2日でこの世を去った彼女の妹の名だった。
いろんな別れが彼女を大人にする。
同年代の頃の自分を思うと,大人と子どもぐらいの開きがある。
Posted by ブクログ
作者の作品は、氷点や塩狩峠といった代表作を知りつつも、これまで読んだことが無かった。
メジャーなところにはいかず、ボリュームが少なそうなこの作品を全く事前情報なしで読んでみたのだが、作者自身の幼年期を振り返るものだったので、少し驚いた。(これもまた小説というのだと思うけれど、よく考えるとここまで自分自身を振り返っている作品は初めて読んだように思われる。)
冬の北海道の厳しさと当時の世相、その中で育つ子供の強さと普通さを感じることができた。よくこんなに自分の昔のことを覚えているなあと純粋な感心もあった。