宇野重規のレビュー一覧
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ネタバレ読書途中。20人の講師による。一人90分の講演会の収録である。一気に読めるはずもなく、じわじわと読んだ。
姜尚中の講演のなかで、夏目漱石が奥さんをなぐっていたエピソードがあった。ノイローゼであったらしい。私は夏目漱石になれないけど、夏目漱石よりましだなと少し思った。考えかたとしてまちがっているのかな?どんな偉い人もほんとうにいろいろな苦しみにもがいていきているのだと思い直した。
20名全て役に立つわけでないが、中には、気に入る人もいるかもしれないとのことだろうか?3.11後の話など考えさせられたり。光触媒の話は興味を覚えた。文学、美術に関心を持った。宇宙論や素粒子の話は、わからないので、もうい -
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筆者は、イギリス社会学者アンソニー・ギデンズが用いた「ポスト伝統的社会秩序」という言葉の解説によせて、今や広義の原理主義が台頭したと指摘する。なにが「伝統」でなにが「権威」かなど再定義する意味はなく、人々は守ろうとしているものが「私の伝統」「私の権威」に過ぎないという可能性を認めている。「進歩」や「革新」といった言葉が輝きを失った現在、それに相対して生まれた保守主義もまた迷走をはじめたというのである。しかしながらそれでも、共通の認識を欠いたまま「保守」を自認する人が増えているとき、「保守とはなにか」という疑問が生じる。本書はそうした経緯でもって著されたようである。
本書の冒頭にて筆者が引用し -
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ネタバレ現代の日本人、特に若者の抱えているもやもやとした感情や思いを、社会学としてトクヴィルの平等理論を柱に用いて説明。
・〈私〉であることを強く求めるようになっており、そのため〈私たち〉というデモクラシーを起こす事が難しくなってしまっている。社会の中で以前は機能していた、公私をつなぐ中間の存在が、企業など、役割を縮小していることが一因
・一方で、〈私〉であろうとするには、社会が機能していなければならない。なぜなら、〈私〉であるためにはどうしても他との比較が必要であり、かつ、〈私〉でいてもよいという承認機能を持つのは社会であるから。
など。
他、印象に残ったこと。
・社会問題が個人問題として現 -
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ネタバレ〈私〉が唯一の価値基準となった現代にデモクラシーを取り戻すことを論じた本。
現代では〈私〉のことは〈私〉が決めることが前提となっていますが、〈私〉だけでは解決できないことも当然ある。そこで、〈私たち〉の意志で問題を解決すること(=デモクラシー)が必要となる。
興味深いのは、現代は「前のめり」の社会になっているという論。全ての人がその仕事の”プロ”であることが求められ。待つことを許さない社会。その中では、今までと異なり、人生の見通しが立たないまま自己コントロールだけが求められる。
そして、こうなった経緯には20世紀から福祉国家化が進み、家族の中でも個人化が進んだため、前提なしの -
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[ 内容 ]
一人ひとりが <私> 意識を持ち、自分らしさを模索する現代。
分断された <私> と <私> を結びつけ、デモクラシーを発展させることは可能か。
平等意識の変容と新しい個人主義の出現を踏まえ、これからのデモクラシーを構想する。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる -
Posted by ブクログ
デモクラシーって言葉の響きからはなんか古臭い響きを感じるけど、現代的な不安や孤独や憤りは実はデモクラシーの機能不全から発しているのだ、とのこと。
孤独や不安や拝金主義や刹那主義は、生きる意味の不足から生まれる。
人生に意味と方向性を感じることができなければ、目の前の快不快だけに注目して生きるか、幻想の中に生きるしかない。
しかしあらゆる物事の価値基準を社会や伝統でなく、自分の中にだけ求めていれば、「生まれて死んでいくことに意味はない」という事実によって絶望とニヒリズムに追い込まれてしまうのは必至。個人には、役割と位置を与えて価値の源泉となる社会が必要。
今足りないのはきっと生きる意味という