宇野重規のレビュー一覧
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民主主義について書かれた本。
民主主義は独裁と異なり、成長していくものである。何故ならば、民主政治において、人々は主体性を持ち、責任を感じながら、意思決定をしていくことが求められるからだ。著者は民主主義について明確な定義をしていない。しかし、民主主義に関しては肯定的な意見を持っているように思われる。また、民主主義は市民が参加できるという点で、彼らの満足度を高めることもできる。当事者になることで、政治に対する責任が伴うからだ。また、民主主義では、自身の声が届き安いからだ。
個人的には、コロナ危機の話に疑問を持った。このような危機的状態の中で、全ての人が政治に関心を持つことができ、さらにそれに -
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民主主義って本の最後の方にも書かれてたけど言葉からの先入観があって、選挙のことをイメージするし、動詞的ではなく名詞的で、なんとなく主義というものに他人事感があったけど、この本読んでくうちに いやいやこれ自分のことやん、それこそ最近職場で感じたモヤモヤのことやん、、て腑に落ちまくりで内臓突き破られました。
あと、「はじめに」からこんなにハッ!とした書物はないかもしれない。
"自分達の社会問題を、自分達の力で解決していくのが民主主義です。いわゆる「政府」や「役所」も、そのための手段に過ぎません。私たちは今こそ、民主主義を自分たちのものにする必要があります。"
インタビューと -
Posted by ブクログ
そもそも政治にあまり興味がなかったが、あんまり政治に興味がなくてもいけないだろうと思ってこの本を読んでみた。民主主義とは何か、というタイトルから、民主主義というものについてざっくり何かが掴めるかと思ったが、この本を読んでわかったことは「難しい」ということであって、前以上に掴めなくなった。この本によってある意味自分が、ただのイメージだけで民主主義というものに満足し、あまり言葉について具体を考えなかったことを理解させられたところがある。
この本は、民主主義というものの在り方―そもそもそれが何を指しているのかについて、時代と、国、人に照らし合わせながら追っていくものである。同時に、哲学書でもある。各 -
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「民主主義について過不足ない本を書いてみたい」という著者の思いが見事に実現した良書です。既に、2021年度の石橋湛山賞を受賞し、書評等でも高評価になっていますが首肯できる内容です(この一冊で、大学のテキストにもなるくらいコンパクトかつ親切なつくり)。政治思想史とも言え、古代ギリシャから現代までの考えを紹介の上、日本の民主主義について考察します。「結び」の20ページほどで著者の考えを述べていますが、相対する考え方を両論併記しつつも中庸の考えを展開しており、著者のバランス感覚が垣間見れます。
民主主義とか日々の生活からは縁遠い印象を受けますが、この本が多くの人に読まれ、その上で政治論議が活 -
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トクヴィル―平等と不平等の理論家― 宇野重規
宇野先生によるトクヴィルの解説書。学生時代から、トクヴィルファンを自認しているが、やはりトクヴィルの慧眼には舌を巻く。何より、デモクラシーの批判的分析の深さと、その対応策の検討の2点が、実際に政治家としての実務経験もあるトクヴィルの卓越した知性を物語っている。
本書にまとめ的な文章はP181-182のデモクラシーのリアリティというところに集約されている。
その文章をベースに本書の要約を行うが、トクヴィルのデモクラシー論の最大の特徴は、デモクラシーを単なる政治的な類型ではなく、そこに暮らす人々の思考や感性の在り方を含めた一つの社会類型として再定義 -
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ネタバレ面白いー!!!
現在の「当たり前」は、意外と新しい。少し前の常識を私達はすぐに忘れる。
例)
多数決=民主主義ではない。
男性稼ぎ手&専業主婦モデルは至って最近の分業モデル。(ずっと昔からの日本伝統モデルと思いがち)
日本はどんな国になるべきか、民主主義に何を求めるか自分の頭で考える。そんな大きなことじゃなくても、自分の生活環境に対する不満とか何か変えたいことがあるなら、自分の頭で考え続けて行動に移したい。
■メモ:
・現在の「当たり前」は意外と新しい。私達は少し前の常識をすぐ忘れる。
・どれだけ平等化した社会でも対立は絶対になくならない。
・政治とは、互いに異なる人たちが -
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日本学術会議で菅首相が任命拒否した6人の中にお名前を拝見し、初めて知りました。中学生や高校生を相手にされた講義を元に編まれた本ということで、読みやすいかなと思って読み始めました。
政治を「人と一緒にいること」という視点で話し、とても親しみやすかった。
また、ルソー、カント、ヘーゲルといった哲学者を「ザ・政治経済の教科書」ではなく、血の通った人間として語り、なぜそういう思想に至ったのかまで丁寧になぞってくれて、理解が深まりました。
民主主義イコール多数決でもないし、民主主義も多数決も、絶対のものでもない。思考停止して受け入れるのではなく、考えるところから始めよう。
また最後にプラグマティズムの話 -
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ここ最近読んだ政治の本でいちばんの当たりでした。お笑い芸人のたかまつななちゃんの「政治の絵本」は政治の仕組みに特化した良本でしたが、こちらの本は、もっと根本的な、感覚的な疑問や問いから「民主主義とは何だろうね?」「政治って何だろうか?」と女子中高生の実感覚を大切にしながら理解を進めていっています。
ここの大きなテーマでもあり、根源的な出発点でもある「人と一緒にいること」から、それぞれの分野で社会を良くしていくという志や希望、方法、考え方、視点の基礎を教えてくれます。
この本の中では中高生が出てきます。やはり話のレベルは高校生の方が高いです。発達段階や知識経験の量からくる違いの差が大きいで -
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社会人になった今学校に通いたい。勉強したい。
そう思わされる本です。
現在の日本社会の仕組み、政治のこと、世界の動き…
社会人になってからニュースがものすごく気になるようになりました。
学生時代はあくまで座学にすぎなかった。勉強してることと生活を重ね合わせることなく、勉強は勉強。受験のためのもの。
大人になってから、ふとしたときに枕草子の一節を思い出したり、お吸い物の塩分濃度が気になったり。
こういうことかぁ。生きていくために学校に行っていたんだな、って、やっと分かった。
私は今の生活、日本の社会保障の仕組み、税金の使い方、政治に納得してない。もっと良いやり方があるはずだって思う。でも -
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本書の元になったのは、東京都豊島区にある豊島岡女子学園中・高において行われた全5回の講義。
豊島岡女子学園といえば、近年桜蔭に次ぐ東大進学者数を誇り、超進学私立女子校として名を馳せている。
賢いお嬢様方に向けての講義は、賢くないけれどそれなりの年月を生きてきたオバさんにも分かりやすく、政治というモノの見方を変えてくれた。
遠い昔、社会科の授業で歴史や地理の分野は好きだったが、公民だけはピンとこず、サンケンブンリツ…権力が分けられていることすらイメージできなかった。
それは、歴史や地理は自分と地続きであるが、選挙権もない保護下に置かれた子どもには、公民が自分とつながっているモノであるという認識