宇野重規のレビュー一覧
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宇野重樹さんとCOG(チャレンジオープンガバナンス)の参加者の対談集。
タイトルで惹かれて購入。
ついキャリアとしての目線で見てしまいがちだが、そういうのは一切忘れて考えを巡らすと、社会や地域に対する貢献欲が生まれたり、ここに、出ている皆さんの取り組みを素直にすごいと感じたり、自分でもできるのかなやりたいかなと考えられたり、できる。
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「民主主義」という言葉には手垢がついてしまっていますからね。何かよい言葉はないものでしょうか。自分たちでこの町をよくしていくんだ、そのために自分もなにがしかの貢献をするんだ。そ -
Posted by ブクログ
『実験の民主主義』とは、自由の国として建国されたアメリカ合衆国を、19世紀のフランス思想家トクヴィルが指した言葉である。王政からの革命によって混乱期にあったヨーロッパから見て、理想的な分散型主権国家を築きつつあった合衆国は眩しく見えたに違いない。
この19世紀の理想的な民主主義国家が、21世紀には強烈なポピュリズムと分断に見舞われていることを私たちは知っている。メディアの発展やデジタル化は、情報の非対称性を解消するとともに社会階層の平等化に寄与したと考えられてきた。ところが実際は偏った情報によるイデオロギー極化や、小さな価値観や立場の差異による分断差別が起こっている。
この古くて新しい課題 -
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6.7 アメリカの影響、ヨーロッパの状況
10 保守主義とリベラリズムの定義
26 保守主義は伝統主義や復古主義とは異なる
37鳥尾小弥太
44重臣リベラリズム(西園寺公望、牧野伸顕)→戦後保守主義(吉田茂)
49 結成された自民党は自由主義的なハト派から国家主義的なタカ派まで幅広い政治的立場
50 国家主導の統制経済や計画経済の日本民主党
61 スペインから生まれたリベラリズム(フランスのナポレオンによる侵攻に対する抵抗)
62 日本独自のコンテクスト
68 コンスタンのルソー批判
76 石橋の経済的リベラリズム
95 憲法をめぐる立場
102 福沢諭吉の訳語
124 国家のエゴイズ -
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学術会議問題について、学術会議側からの意見。率直な当時の感想としては、政府の発表が中身がなさすぎるのと、また他方批判側の論点もあまりに日本的リベラルすぎて、薄い内容が引き延ばされただけの情報が続き、何が何やらというのが正直な印象でした。
ふとこの本を手に取る機会があり読んでみたのですが、全く状況は変わりませんでした。
中で繰り返し主張されていたように違法なら、行政訴訟をすればいいのではないかという素朴な疑問もありましたが、政府が説明しなすぎるのは肯定されないとも確かに思いました(それっぽい理由ぐらい考えればいいのに、と)。個人的にはメディア露出する活動的な人文系のアカデミアは政治活動に傾倒し -
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江戸・明治の身分社会や家制度がなくなり、令和の現在、ネットが普及し「個」が尊重されるようになった。その中で社会とその社会をつくる「個」とのかかわりについて考察する本。
福祉の充実を求めながら、税負担は許容できない、という調査結果について、著者は行政・政治不信と分析しているが、私は「個」は認めてほしいが、その「個」が「社会」をつくる負担を負いたくないという無責任さの表れと感じる。
自身の「個」は「社会に」不平等に扱われるべきではない尊重してほしい、が、自分が所属する「社会」が曖昧になったことで、「社会」に対して自分が担っている意識が少なくなり、かわりに「社会=自分より上の誰か、政治家や行政や上級 -
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democracyは私ではなく、私たちの力によるもの
市場化、民営化、選択制→行き過ぎれば社会を無意味化する、私たちの力で社会を変えることが不可能に
P.4 ブレジンスキーの発言
平等社会の個人にとっての「多数の暴政」問題
苅谷剛彦
「閉じた共同体的空間」内部における差異、外は奇妙な無関心さ
努力の平等主義⇔結果の平等
日本
「小さな福祉国家」にして「大きな土建国家」、その下の「仕切られた生活保障」
平等意識と時間感覚「いま・この瞬間」
佐藤俊樹 戦後の不平等感の消失
→不平等に敏感
2
ウルリッヒ・ベック「社会的不平等の個人化」
ロベール・カステル「負の個人主義」
社会問題の心理 -
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以下、引用
●これらのことは、現代に通じる重要なメッセージといえるでしょう。個人が経済的・社会的に隷属した状態では、どれだけ公共的議論による政治が存在しても不十分です。人々が実質的に議論に参加できる状態をつくり出す必要があるからです。人々の経済的・社会的解放なくして民主主義はありえないのです。
●民主主義が参加と責任の両方の契機から成り立つことは、現代においてもあらためて重要な意義をもってくるのではないでしょうか。
●自由な民主主義社会をつくるためには、日常的なレベルで人と協力する練習をしておいた方がいい。今日なお傾聴に値するトクヴィルの教えではないでしょうか。
●このような状況において残さ -
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・保守主義の思想は、楽天的な進歩主義を批判するものとして生まれ、発展してきた。
→進歩の理念が失われるにつれ、保守主義も位置付けが揺らぐ
・バークの保守主義
→社会や政治の民主化を前提にしつつ、秩序ある漸進的な変革を目指す 自由を守る
①保守すべきは、具体的な制度や慣習
②そのような制度や習慣は歴史の中で培われたもの
③大切なのは自由を守ること
→フランス革命には反対(抽象的な理念に基づいて社会の全面的な改造を試みるもの 革命)
・ハイエク
→保守主義は未来に向けてのアクセルに欠ける。自由主義は変化を歓迎する。保守主義もまた人間の理性への過信を批判するが、あくまで階層秩序を好む。自由主義は -
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古代ギリシアから民主主義の歴史を辿る。古代ギリシア時代に理想を見るのでなく、今もまだ民主主義は進歩の過程にある。ただ、今知られている中では、たぶん民主主義が最も優れた制度、あるいは精神であって、従って我々は民主主義を鍛えていくしかない。
「第一に「公開による透明性」です。古代ギリシアで成立した「政治」とは、公共の議論を通じて意思決定を行うことへのしんねんでした。力による強制でもなければ、利益による誘導でもなく、あくまで言葉を通じて説得し、納得した上で決定に従いたい。これこそが、自由な人間にとって何よりも大切であるという理念を、現代に生きる私たちもまた共にしています。そのためにも、情報の公開