宇野重規のレビュー一覧
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ネタバレ選挙の結果が自分の想像力を超える事象が続いた2024年。選挙戦もSNSをうまく利用した人が勝つような、何を信じて良いかわからない時代に、民主主義とどう向き合っていけばよいのかについて、ここはやはり信頼できる宇野重規先生。トクヴィルについては今まであまりよく知らなかったけど、平等化の中で「想像力の変容」について考えていくことの意味は極めて現代的なテーマに思えた。
第3章の行政府への着目の中で、編集者も官僚もジェネラリストであり、様々なネットワークを持っているという点。行政の本来の役割として、市民生活をファシリテートするということ。これは我々の業界でも同じ流れではないかな。民主主義について言えば -
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・タイトル通り、働く大人が社会の問題点を考えるときの土台を教えてくれる本でした。
多分学生時代に社会で習ったことも多くあると思いますが、ピンときていないから覚えていないんですよね。
同じことを学んでも社会に出て経験を重ねることによって「あれは、こういうことだったんだな」と理解出来ることが多くあると思います。
そういうことが学べる本です。
・「労働の義務」ではなく憲法27条「勤労の義務」(まじめに労働にいそしむ)
を定めているのは日本だけ。
勤労の義務は25条「すべての国民は文化的で最低限度の生活を営む権利を有する(生存権)」と結びついている。
勤労の義務を果たしていなければ、生存権は保障され -
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プラグマティズムが生まれたのは南北戦争がきっかけ。
信念を共有しない人々の存在を許さないイデオロギー的な対立をいかに克服するか考えた末のもの。
ルソーは問う。全ての人々と結びつきながら、しかも自分自身にしか服従せず、自由であり続けることは可能か。答えは社会契約しかないと彼はいう。
それはその社会の共通の意志に従うことを約束すること
プラグマティストたちにとって、理念とは、人間が世界に適応し、世界を変えていくための実際的手段であった。ある理念は、それ自体で評価されるべきでなく、あくまでそれを使い、実践することと不可分であるとする考え。
「超越主義」の基礎にあるのは、強烈な理想主義と個人主 -
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民主主義の立法権だけではなく執行権(行政権)への着目、新たなアソシエーションとしてのファンダムの可能性への対話。
行政権のアップデートは萌芽を感じる。
ファンダムは試みとして興味深いが、ポピュリズム以外の着地が浮かばない。
第1章 「平等化」の趨勢
・平等化をめぐる想像力。かつてと比べて「違い」は相対化されたが、むしろその小さな違いに敏感になる。平等化の趨勢は不可逆。
・道具の民主化と民主主義化は別物
・個人主義の不安
第2章 ポストマンと結社
・政治的集権と行政的集権を区別する
・「自由を援け合う術」としての結社(アソシエーション)。デモクラシーを相対化する。
・宗教(所属する教会など) -
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評論文読書案内から。あと、先だって読んだ、高橋新書ガイドにも取り上げられていたし。昨今の情勢を鑑みると夢のようだけど、確かに以前、世界はいずれは民主化するという"常識"が存在したと記憶する。しかし現状そうはなっておらず、寧ろ遠ざかっていさえするのは、先進国のつまづきとか、独裁国が要所で示す意外な強さとか、そのあたりが前提を狂わせているからか。本書では、各時代の民主主義と、それぞれの政治思想とを合わせ見つつ、現在の状況に至った経緯を探る。その中で、民主主義にふさわしいのは抽選で、選挙はむしろ貴族政的性格が強い、という指摘は、今の日本にはまんま当てはまるのでは?と思えてしまった
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昔保守と革新、今保守とリベラル、ってことでこの本が生まれたのだろう。
アメリカのそれもねじれていると聞くが、日本はなお酷い。
今の自民党を保守と言えるか?
防衛費倍増といっても、アメリカの中古の武器を買うだけ。
2倍にするならその使途はまずは人件費だろう。
自衛隊員の待遇を良くし、人数を増やさなければ武器だけあっても闘えない。
アメリカの言いなりになっているだけの日本の政府と自民党。
そんなのは保守ではない。
反日統一教会との癒着でもそれは明らか。
それよりこの本の主題はリベラルにある。
立憲民主がリベラルかどうかはこの際置いておく。
日本最初のリベラリストは福沢諭吉である。
この定義 -
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ネタバレ私にはやや難解だったが、民主主義というもの、それ自体がつねに画然とした一形態として在った/在るわけではないと知り得たのは収穫だった。
ジーン・シャープの「独裁体制から民主主義へ」を読んだ後だったので、(むろんシャープは「各々の地域/歴史柄に合った民主主義が必要であると明記している)独裁体制と民主主義をたんに対立するものと解してしまいがちだ。
けれど本著は、私の本棚に寝ている「草の根のファシズム」という本のタイトルが知らず予感させる通り、独裁体制に迎合した民主主義があったことをも教えてくれた。このことは「民衆」が、自分たちの仲間を定義するとき、「自分たちに属さないものをばは外しても良い」と低きに