宇野重規のレビュー一覧
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トクヴィル専門家によるトクヴィル研究書。内容は理解できるのだが、トクヴィルの素人からするとその人物像や考え方がはっきり見えてこない。もともとそのような理解しづらい人物かもしれないが、トクヴィルがいかに偉大かは理解できなかった。また、最後に現代的な意義について述べているが、インターネットやSNSで自由に意見を述べられる時代が、トクヴィルの予言する自由で平等の社会にあたるとの意見はこじつけに思う。封建制、貴族制、自由と民主主義の時代や社会主義や資本主義が複雑に絡み合う中で時代は進んでおり、今までとは違う新たな理論が適応される時代が次々やってきてるわけで、自らの研究対象と現在を結びつけようとする他分
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Posted by ブクログ
『運動が起き、それが広がるためには、「参加者の間で何らかの価値が共有されていること」そして「その価値が相手にも共有されていると考えていること」が必要』
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相手にも共有されていると考えていること、これが難しい。運動まで行かなくても、仕事の部下と上司の関係でも同じことがいえるんじゃないだろうか。多様な価値があると考えることのできる経験と想像力と余裕が必要だと思う。
『事実の認識問題は、「出来事レベルでの認識の共有に失敗」と「解釈レベルでの認識の亀裂」がある』
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出来事レベルでの認識の共有は日常でもよくある。それをなくすために丁寧にこまめに伝えようとするとそれはそれでくどい(笑)
でも、仕事 -
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大学教授等の専門家が、現代社会での事柄について、上から目線で述べたもの。本書作成の発想はとても良いと思うが、共著となっているので章によって、質にばらつきがあり、感動的な内容がある一方、読むに堪えない稚拙な部分もある。特に松沢氏の意見は、左翼的で賛同しかねる箇所が多く、また下から目線で本書作成方針に反すると思う。
「シェアリングが広まれば、人生の生活水準は上がりますが、GDPは上がりません。物を大切に使うことや、再利用に努めることも、やはりGDPを上げません。エコロジカルな暮らし方はGDPの上昇には結びつきにくい傾向があります」p15
「(勤労)まじめに労働にいそしむことを大切にする考え方は、 -
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これからの社会をよりよくするためのヒントとして、一人一人が考えていかなければならないテーマを4人の著者が解説した本。取り上げられているテーマは、GDP,勤労、時代の分け方、多数決、社会運動、私、公正、信頼、等々全12項目。
できるだけ平易に書いてくれているのだとは思うが、それでも筆者にとってはまだ難解な個所が多かった。
そもそも本書カバーのイラストが田中圭一だったので、内容もそれなりにやわらかいものだと期待してしまったのが間違いだった。田中圭一の作品を知っている人には、カバーイラストは明らかにミスリーディング。
著者達、あるいは出版社側は確信犯なのか、それとも偶然なのか、田中圭一の起用に至るま -
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GDPに代わるもの=HDI(ヒューマンデベロップメントインデックス)。概してGDPに比例する。
国民総幸福量=GNH。
功利主義基準(全員の効用の足し算)、ナッシュ基準(掛け算)、マクミラン基準(最低のレベルに着目)。
どの基準が幸福の算定にいいか注意する。
日本人には「働かざるもの食うべからず」という背景があるため、生活保護や貧困対策よりも、公共投資による勤労のチャンスを用意することが大事だ、と考えるようになった。
日本の政治は、特定の誰かの利益、の寄せ集めになっている。教育の無償化、医療の無料化などみんなの利益となる分野が少ない。
選挙は決め方次第で結果が変わる。決戦投票方式やぼづ -
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保守主義とは何か
イギリスのEU離脱を考える上で、一度保守主義について勉強したいと考えて読んだ。
かねてからトクヴィルなどを読んでいたため、保守主義と私の考え方は親和性が高いと考えていたが、読んでみるとやはり親和性の高さを再確認した。
保守主義といっても実はバラバラで、フランス革命に対してや社会主義に対して打ち出した保守主義と現代アメリカに存在する保守主義はかなり違うように思える。
前者の根本的な考えとしては、人間の持つ知に対する懐疑(自己の能力への不信)から、抽象的な原理に基づく未来への飛躍という近代人にありがちな幻想を排することで、歴史や伝統にいったん範を求めたうえで考える糧にするという