村井章子のレビュー一覧
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【抜粋】
(p6)不平等は、社会によって顕著に異なる経済、政治、文化、文明、宗教の移り変わりと密接に結びついている。今日私たちが目にする社会的不平等のさまざまなちがいや度合いや構造は、広い意味の文化で説明することができる。いや、文化以上に、参政権をはじめとする政治参加のほうが大きな原因だったかもしれない。その一方で、「自然」の要因、たとえば個人の能力であるとか、天然資源などに恵まれているといったことが果たす役割は、思うほど大きくない。
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(p10)不平等の大幅な解消なくしては、また現在の資本主義システムとはまったく異なる新しい経済システムの出現なくしては、気候変動問題を解決することはできないだろうし、自然と人間の共存も不可能だろう。その新しい経済システムを私は「民主的でエコロジカルな参加型民主主義」と呼んでいるが、もちろんちがう名前をつけていただいてもかまわない。
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(p14)平等の実現は制度構築と機会の創出に懸かっているのである。(中略)変化の真の原動力となったのは、参政権をはじめとする市民の政治・社会参加であり、また制度を構築し、機会を創出する国家の能力であった。
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(p52)教育への公的支出の増加は個人の解放、社会の平等化、経済の繁栄を促し、格差を縮小すると同時に生産性と生活水準の向上に寄与した。私たちはこの事実に慣れすぎて忘れがちだが、教育支出のこの変化は、平等に向かう歩みにおいて重要な役割を果たしてきたのである。 -
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『21世紀の資本』で有名なピケティによる2022年3月に行われた講演の内容を書籍化したものとなっているので、分厚い『21世紀の資本』と違って、1時間くらいで読み終えてしまった。
内容としては、やはりピケティらしい不平等についてのもので、
不平等の問題は、まだまだあるものの、全体として不十分ではありながら平等への歩みは続いているとしたうえで、
所得格差や資本格差、ジェンダーや議決権の不平等などついて、データを示しながら、語られている。
また、不平等が生まれる背景には、社会的、文化的な原因があるため、フランスやスウェーデンの歴史的事例を通してそのことが述べられている。
これらの中で特に印象に残ったのは、自然への影響(環境問題)と不平等の関係で、格差と環境問題がどう関係するのか、と思ったが、CO2排出量が、国際的にはいわゆる先進国に偏りがあり、また、国内でみれば所得上位10%に偏っているとあり、CO2の排出量規制への努力を格差を無視して平等に強いるのは、実態に則してしないと気づかされた。
読んでいて、気になったのは、
資本格差は、所得格差よりもはるかに大きく、また、不平等の解消度合いも低いこと。
不平等の解消には、教育が必要であること。
不平等の問題を解決するには、より平等な資本主義社会か、資本主義に替わるシステムが必要なこと。など、ピケティの考えていることが端的に述べられているものの、もとが講演会の内容のため、この本だけでは十分に理解できなかったのが、ちょっと残念だった。
でも、短くても発見のある本だと思う。 -
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トマ・ピケティの著作が、さまざまな場面で取り沙汰されるのを見るにつけ、「21世紀の資本」を読まなくてはなあと思ってはいた。
だが、いつも後回し。読みたい本がたくさんありすぎて腰を据えて読む気になかなかなれず。
そんな時に、この講演録は、章立てが細かく、データを駆使してわかりやすくピケティの分析を披露してくれているので、経済学に暗い自分でも十分に読める。
データは中央値や平均値を見るのでは実態が掴めないこと。データ分析が鮮やかでさすがだ。
そこから浮かび上がる格差について、ピケティはあらゆる格差をゼロにしようと思っているわけではなく、一部の富裕層と圧倒的多数の一般庶民の格差を5対1.あるいは10対1くらいに抑えたいと考えていること。資本主義社会の枠内の現実路線を目指しているなと思う。これは意外。
そして地球温暖化と経済格差の相関性も鮮やかにデータで示している。
気候変動の影響はこの暑い夏でひしひしと感じることだが、これまで以上に日常生活で実感できるようになったら、現在の経済システムに対する考え方が急激に変わる可能性があるという仮説を立てている。
確かにその萌芽はすでにあると思うが、やはり一筋縄でないいかないだろうな。
私はこの件に関してはとても悲観的だ。
知れば知るほど、日本は、世界は、人類は決して解決できないと確信してしまう。
確信がひっくり返されることを願ってまた次の本を読んでいくのだが。さて。 -
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ネタバレ2022年3月18日のジャック・シラク美術館で行われた講演録。
「社会的不平等の違いや度合いや構造は・・・・参政権をはじめとする政治参加のほうが大きな要因だったかもしれない。その一方で、「自然」の要因、たとえば個人の能力であるとか、天然資源などに恵まれているといったことが果たす役割は、思うほど大きくない。」
スウェーデンの例は「ある国が本来的に不平等だとか平等だということはないと示した点で興味深い」「肝心なのは、政権運営を担うのは誰か、何を目指すのかということである。」
そして「不平等の大幅な解消無くしては、また現在の資本主義システムとはまったく異なる新しい経済システムの出現なくしては、気候変動問題は解決することはできない」と結論づける。 -
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正論だけではない リーダーとしての資質。示唆に富んだ内容。リーダーはアイドルのような 偶像なのかもしれない。また 読みたい。
リーダーの資質に感動させる要素は必要ない。必要なのは事実であり データであり アイデアだ。激励や応援はスポーツの役に立っても仕事の問題解決にはならない。
上司の情報を収集しよう。新入社員の情報よりもよほど重要である。欠点のない人間はいない。
人間は誰しも 他人の仕事に駆り出されるとか上司の命令 よりも自分の仕事の方がやる気が出る。
男性は女性よりも ナルシストになりやすい 。男性 は 競争 好きだが女性は協調を好むことが原因だろう。
決定的な瞬間にリーダーに求められるのは自分らしさではない。リーダーはその瞬間に 素の自分であってはならない。自分の気持ちに忠実に振る舞うことはむしろ リーダーが最も やってはならないことの一つである。
素の自分を出さないリーダーの方がはるかに多いこと また その方がリーダーとして力を発揮しやすいことは覚えておくべきだろう。
態度は行動に従う 置かれた環境で変わる かりそめの真の自分に いつまでも こだわるべきではない。
割り当てられた役割は その人の意識に多大な影響を及ぼす。要するに 物事にどう対処するかは その人の立ち位置 次第だということだ。
ほとんどの状況で そして 大方の人間関係においてはあまり信頼しすぎず ほどほどに 疑ってかかる方が賢明である
。
過去に注目しなさい。その人の将来の行動を最もよく表しているのは過去の行動である。
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具体の話が少し頭に入ってきにくい感じがあったので、機会があれば再読を頑張りたい。
第一次産業革命では、ラッダイトと呼ばれる機械を壊して抵抗する労働者が現れたりして、イノベーションに対するアレルギー反応ようなものがでたりするが、最終的には全ての人に技術革新の恩恵が行き渡ることもあり、受け入れられてきた。
ただ労働置換技術によって仕事を失ってしまった人たちが、恩恵を受けずに人生を終えてしまうようなことが第二次産業革命の際にも起きており、政治経済の面からのフォローが必要である。
自分個人としては、イノベーションにいち早く適応し、自身のスキルとして使っていかなければ、ならないと思う。 -
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ここ数年、天候不順や感染症の蔓延を発端に不安定な物流の現状を目の当たりにしている。特に、海運におけるコンテナ不足はたびたび問題となっている。今や当たり前に活用しているコンテナ、コンテナの歴史を見つめ直し、その将来を考察している本書は、物流との関係を断ち切れない現代人は必読だと感じた。
マルコム・マクリーンの優れた先見性は、あの時代に海運業を貨物を運ぶ産業と認識していたことと筆者は述べている。何かを発明することの重要性が注目されがちだが、埋もれた発明品を適応させるため、現状の制度を変えるマクリーンのパワフルさこそがコンテナの導入に繋がったのだろう。
本書の中で最も印象に残ってるのは7章の規格である。規格化は国際コンテナ輸送の実現に不可欠なピースであった。技術的また政治的な様々な問題に折り合いをつけながら、コンテナのサイズ、素材そして隅金具と規格化に翻弄した人々の苦労が伝わってきた。技術の過渡期における統一規格の作成は、不確定な技術革新に理解を示し挑戦決断することができてこそ果たすことができるのだろうと考えた。 -
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6年くらい前にビルゲイツがお勧めしてるからぜひ読みなよと同僚からお勧めされた本にやっと手を伸ばすことができました。
単なる箱に過ぎないコンテナは、いかに世界の物流に影響を与えたかが時系列でよくまとめられています。海運送業にもたらした構造変革(前時代の港における荷役による積み下ろしから工場からラストワンマイルまでの直輸送)の大きさを理解することができます。
【コンテナ輸送のポイント】
・如何に多くのコンテナを効率的に運送し、行き帰りで積載量を最大に近づけることができるか
・コンテナ輸送には特別な技術的ハードルもないため、先行者利益が小さく、完成したシステムを大規模に展開できるか
→現在繁栄しているコンテナ港でも後発新興国の脅威から逃れるためには追加の投資が不可欠。そのために、「財務管理」と「経営手腕」がモノを言う。
前半~中盤は正直に言ってかなり眠たくなる内容も多く、読み飛ばした部分もありました。しかし、第13章「荷主」からの内容は読みごたえもあり面白かったです。
序盤で躓いてしまった方は何とか13章までたどり着いてほしいなと感じた一冊でした。 -
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ネタバレこの書籍は、世界中でコンテナ輸送が成り立つまでの道のりが記されています。
コンテナが発明される前は荷物を船内に秩序なく詰め込み、沖仲仕が人力で運び出すというスタイルであった。
人力では効率も悪く、人件費もかかるということで、トラック運送業者のマルコム・マクリーンがコンテナを発明。
しかし、発明当時は受け入れられなかった。コンテナのサイズ、船までの輸送、港湾の整備に問題があるからだ。
コンテナの規格化、港湾整備、ガントリークレーンの建設等、現在では当たり前となった設備が開発、運用されるまでの物語である。
まさに、「箱」の発明が世界を変えたのである。
コンテナ、海運業界に従事し、興味ある方は必読です。