【感想・ネタバレ】ファスト&スロー (上)のレビュー

あらすじ

我々の直感は間違ってばかり? 意識はさほど我々の意思決定に影響をおよぼしていない? 心理学者ながらノーベル経済学賞受賞の離れ業を成し遂げ、行動経済学を世界にしらしめた、伝統的人間観を覆す、カーネマンの代表的著作。2012年度最高のノンフィクション。待望の邦訳。

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Posted by ブクログ

あらゆる本で引用されてる古典なのでずっと気になっていて、いざ手に取って読んでみたが、いやはやなんとも素晴らしい。
SNS中毒、スマホゲーム中毒、フェイクニュース、陰謀論、ポピュリズム、トランプ現象など昨今の問題を理解する上で必読と言える。

ビジネス書では研究エビデンスを本文中に盛り込むことが多いが、取ってつけたような形が多く、読みにくいし印象に残りにくい。その点、本書は項それ自体のテーマを裏付ける研究であるし、著者本人が考えて生み出した研究であるから固有のエピソードもあって面白い。
やはり一次情報は強い。

身近な人を思い浮かべると、システム1優位な人もシステム2優位な人も思い浮かぶ。
しかし本書の別の項の例を読むと、今度は同じ人であっても、THEシステム1的なあの人も、あの部分はシステム2的だな、などと思い出されたりする。

となると、単純にAさんはシステム1でばかり考える、といった評価はやはり短絡的だ。誰しもがコンディションや環境条件などによってシステム1と2をコロコロと使い分けていて、ただAさんの目立つ一面が1だったり2だったりして、私が偶然そこを頻繁に、ないし強く印象付けられているだけなのだろう。

プライミングに関する記述は非常に編集工学的だ。
自分の思考は、事前に何らかの形でインプットされた別の情報によって左右される、という事実が、自己という枠が非個体的であることに繋がる。

起きてすぐに耳にしたTVのある音楽フレーズが一日中頭に流れ続けたり、ふと広告から目に入った食べ物が食べたくなってランチ選びに影響したり、夢に見た内容がポジティブなものかネガティブなものかでその日のテンションが変わったり。
絶えず目から耳から肌から伝わってくる情報、更には養老孟司がいうような脳内で情報をグルグル回すことで生まれる情報もある。

こうして自分と他者、自分と世界の境目というのが非常に流動的で、液体同士が混ざり合うような構造をしていることが分かる。

文化資本の差が子供の人生に影響する度合は数値化しにくいが、プライミングの強力さを考えると相当な影響力だろう。

その一方で、平均への回帰の存在もまた良くも悪くも刺激的だ。
変数が少ないものや、直近の未来予測などには相関関係が大きくみられるのに対し、変数が増えるほど関係は薄くなり、運要素の大きい、確率の問題に収束していく。結果、平均へと回帰していくと。

生殖細胞のDNA組み換えの際のランダム性によって平均へ回帰し、身長が高い人同士が交配し続けても巨人にならないように、プライミングによる影響も、社会で求められるスキルの変化や、子どもの素質といった変数によって大いに回帰しうる。

SNSや悪書に触れる機会量が自分を毒していくことへの注意意識と、その逆に「結局そこまで悪いことばかりではない」という安心を同時に得られた一冊だった。

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2025年07月23日

Posted by ブクログ

【書名】
ファストアンドスロー上 ダニエル・カーネマン

【目的】
自身のバイアスに自覚的になり、自身の判断エラーを防ぎたい。
そのために、システム1、システム2という概念を知り、判断エラー事例に触れる。
結論、辛かったがその分何かが身についた気がする。

【要点】
アンカリング効果、プライミング、問題の過度な単純化、平均回帰、ハロー効果、後知恵効果、が事例を通じてどう判断エラーにいたるか提示されている。
多くの直観に反する実験結果が提示されている。

【印象に残ったポイント】
わたしの理解力だと、難解で読みにくい。
ただ、数々の書籍で参照されていた本書の概念が身体知的にインストールできた気がする。

【具体的に生活や仕事にどう活かすか】
自分を疑い、システム1で安直に判断してるんじゃないか?とシステム2を動作させる。

【ふりかえり・気づき】
知ってはいたけど、以前に比べると本書の概念を活用できている気がする。
ファクトフルネスなんかも、合わせて読むとより、自分へ実装できそうな気がする。

わざわざ読むか迷ったが、本からの学びは、向き合った労力と有意に関係すると実感した。
読みにくい本書に対し、システム2を動員し長時間向き合ったおかげか(辛かった)、本書で提示されている概念が頭から取り出しやすくなった気がする。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

ダニエル・カーネマン。人びとの日常における判断がいかにいいかげんかわかり、とても面白い。
大筋は認知的錯覚について説明し、それをさらに3つの観点から説明している。下巻は経済学との関連が多く難しかったが、実験や例えなどが大量に散りばめられておりページをめくるたびにへぇ~と感じるだろう。翻訳もので上下巻だが尻込みせず読んでほしい。

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2023年06月20日

購入済み

楽しく読めます

間違っていながら自信たっぷりってことありますよね。今更ながら反省することが多い私は、文中の事例がふに落ちるものばかりで、とても楽しく読めました。おすすめします。

#深い #タメになる

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2022年11月30日

Posted by ブクログ

行動経済学に興味がある人ならきっと聞いたことのある本であるし、そうでなくとも、出てくる話や実験をどこかで耳にしたことがある人は少なくないはず。
でも、そんなことは抜きにぜひ読んでほしい一冊。掛け値なしに面白い。

直感や熟考といった私たちの様々な思考の形態が、実際のところどんな働きをしているのか。
数々のユーモアあふれる実験結果とともに、筆者が紐解いてくれる。
読み進めるうちに、自分の身近な例で思い当たることも色々と出てきて、より引き込まれるだろう。

余談だが、上下巻としてもかなりのページ数と文章量があり、正直なところ物理的にそれなりに重い。
比較的平易な翻訳がされているので、手段があるならオーディオブックを探して聞くのも有効な手かと。
※自分は上巻途中から耳に切り替え

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2021年04月10日

Posted by ブクログ

自分で決定してると思っていることの、なんと無意識の気分(システム1)に誘導されていることが多いんだろう!本書をよむと、いかに直感がでたらめなのかよく分かる。迷ったら直感に従うことを心情にしてる人こそ読むべき。

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2020年10月04日

Posted by ブクログ

プライミング効果
確証バイアス
ハロー効果
メンタル・ショットガン
質問の置き換え
少数の法則
アンカリング効果
利用可能性ヒューリスティック
代表性ヒューリスティック
基準率
平均回帰
後知恵バイアス
妥当性の錯覚

これらがキーワード。

システム1、システム2の働きを理解した上で、認知のエラーを見越して直感に頼らずデータから読み取ることが大切だと学んだ。、

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2019年05月27日

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システム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読者向けの著作。

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2018年10月20日

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 マイケルルイスの本の主人公であるダニエル・カーネマンによる人間の意思決定の研究を解説した本である。
 マイケルルイスの本を読んだ後だけに、すんなりと読むことができた。実際、ルイス本は、本書の抜粋ではないかと思うくらいだ。
 人間の意思決定は、直感的で感情的なファースト思考のシステム1と、意識的で論理的だが怠惰なロー思考のシステム2から成ると説いている。そこから本書の題名が来ている。
 様々な例を挙げてそれを説明するが、自身でも心当たりのあるケースもあり、十分説得力がある。なにしろノーベル賞を受賞しているのだ。
 もっと本書を読み込んで、自分の行動や思考を分析し、難しいかもしれないが自分を変えてみたい気がする。それには、もっと理解を深めないといけないが。
 とても興味深い内容で、おすすめできる本である。

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2017年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実に面白い。以前から経済学的な綺麗なモデル(例:完全競争)に比べ、「人間とは?」を的確に捉えた一冊。この本を読むまでは、システム1ではなく、システム2を使う習慣を身に付けることが大事だと思っていたが、肝心のシステム2が実はシステム1に騙されやすいことを知った。では、どうすれば人間は論理的に思考できるのか、考えさせられる。

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2016年06月18日

Posted by ブクログ

元々行動経済学は非常に興味を持っていた分野で、その創設者でノーベル経済学賞受賞者のカーネマン自身の書いた本ということで、非常に期待を持って読み始めましたが、期待に違わぬ面白さ。長い本でしたが、一気に読み通しました。上巻の第1章では、この本の表題になっている「速い思考」(直感)と「遅い思考」(熟考)の特性や意思決定における役割などが述べられていましたが、これは行動経済学の文脈ではこれまであまり聞いたことがなく、興味深く読みました。
第2章のヒューリスティクスとバイアスはこれまでたっぷり読んできた話でしたが、これまであまり知らなかった例や考え方も豊富に取り上げられており、こちらも勉強になりました。

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2015年03月17日

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下巻の半分ぐらいで挫折した

まあそうだろうという結論に
心理学実験の詳細な裏付けがあり
そこがただの自己啓発本やビジネス書とは
ちがう
ただいちいちなるほどと思うのだが
やたらなんとかバイアスがあって
頭が整理できなくなるのだ
読み込んでバイアスを整理できれば
なんというか一段上の自分になれそうな気さえ
するのだがいかんせん物量が

とにかく
いままでのビジネス書なんて
これ1冊で吹っ飛んでしまうんじゃないか
ビジネス書読んだことないが

いずれ購入・再読が必要そうだ
ダイジェスト版・電子書籍版希望

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2014年10月04日

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残念ながら、ある会社の将来性を評価するスキルだけでは、株取引で成功するには十分ではない。なぜなら、株取引における重要な問題は、その会社に関する情報がすでに株価に織り込まれているかどうかを見極めることだから!

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2024年06月13日

Posted by ブクログ

行動心理学の先駆け的な本らしい。訳本の読みづらさはある。正しく判断するためには人間が陥りやすいバイアスを学ばなきゃだめ。

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2024年05月25日

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ダニエル・カーネマンの本作は楽しみにしていたのだが、読むのが遅く、実際読み始めると、既に聞いたような話ばかり。流行り過ぎて、日本の新書で引用されまくったせいだ。著者に罪は無い。また、原典の良さもある。しかし、大部分ネタバレしている。それでも楽しんで読む。

脳の思考回路について。システム1は自動操縦モード。システム2は熟慮モード。ヒューリスティックで直感的、かつ低コストで判断が必要なため、通常システム1で物事を考える。しかし、騙されないように慎重にシステム2を作動する。印象論で人を査定する1に対し、客観性や比較により冷静に判断する2。

人間は生まれた時から、因果関係の印象を受けやすくできているらしい。図形同士が喧嘩をしたり、いじめをしたりするシーンを見たときに、それを解説するような言葉がなくても、人間は図形に感情移入をしてそのストーリーを作り出す。

身体的な反応でも、いずれのシステムを作動させているか分かる。知的努力に対する身体的な反応として瞳孔が開く。2桁の掛け算をやっている時、瞳孔がかなり広がる。心拍数も増える。そしてシステム2を使ってより高度な問題を解いているときには、視界が狭まるのだという。

対して、システム1は利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすい。社会的な状況について、表面的な判断をしやすいことも確かめられている。この辺は感覚的にもよく分かる。認知が容易な時、真実だと錯覚し、心地よく感じるのだ。

トルストイの書いた『ハリネズミと狐』。ハリネズミはある世界観を持っていて、どんな出来事も一環したフレームワークで説明する。自分の見方に従わない人には我慢がならず、自分の予測には自信満々。いつも明確な意見を持っている対して、狐は複雑な思考をする。

システム1がメインで生きている人は案外多い。論理的ではなく、騙され易いし、感情的で会話にならない場合も多々。一人の人間ならまだしも、集団がシステム1を共有した場合は危うい。誤った群衆心理は宗教的で恐怖だ。

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

面白い本だった。
人間が周りの環境に影響を受け、いかにいい加減な判断をしているかという事が良くわかった。

確かにアンカー効果みたいなのは、オークションでの言い値では感じる事である。
しかしその影響を取り払う事ができないのが人間なのだろう。

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2021年12月18日

Posted by ブクログ

# ヒトの思考・判断プロセスに一石を投じた名著

## 面白かったところ

* `1 + 1` の解と `24 × 17` の解が導かれるまでの時間差異から、ヒトの思考には少なくとも2つ以上存在する。などの研究結果がとても興味を唆られた点

* ヒトの思考や判断には特徴があって、それを理解していた上で異なる行動を図ろうとしても並々ならぬ注意力が必要だと知れる点

## 微妙だったところ

* シンプルに、記述量が多く理解が難しい。これはまだ上巻で下巻も同程度の分量で存在する

## 感想

学生時代、後輩に勧められて購入した一冊。当時の自分の読書レベルでは到底太刀打ちできなかった苦い思い出から一念発起して再度読書に挑戦。

前半部分は、特に自分を通じてヒトの特徴的な癖を体感しながら学習することがでた。

後半部分では、もう少し俯瞰してヒトの思考・判断行動を観察。理解はできても納得は難しいヒトの行動を魁に、世の中の事象に切り込んでいく様子を垣間見ることができ、読み応えがあった。

下巻もとても楽しみである。

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2021年10月02日

Posted by ブクログ

意思決定、行動経済学の本。この本については多くの方が書評しているので省略するが、内容は様々な類書やメディアで引用されているので、既に知っている記述も多かった。文章がやや難しく感じたが、頑張って読むだけの価値はある。人生の重大な局面で、自分の意思決定に必ず役に立つ本だと思う。

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2021年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間はシステム1により、直感的な判断をせざるを得ない。しかし、その判断は正しくない場合があり、ヒューリスティクスの誤用や平均への回帰を無視してしまう。
また、自分の専門的な分野での決定では過剰な自信が現れ、アルゴリズムよりも低い精度になってしまう。
自信過剰にならず、錯覚を起こさず(起こしてもそれを認識できるようにし)、統計的な手法を重視して意思決定を行なっていきたい。

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2021年01月30日

Posted by ブクログ

ユーザビリティなるものの研究と応用実践を生業の一部としている者として、大変興味深く読ませていただいた。行動経済学もユーザビリティも人間の認知を探求する認知心理学を母体としているので同じバックグラウンドを持つのだと思い知らされた感がある。
また著者は「システム1」の働きや特徴を熟知しているからこそ、システム1/システム2という表現をうまく使いこなし、読者のシステム1に直接働きかけることを意識的に行っている。この点が最も感銘を受けた箇所でもある。

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2018年10月13日

Posted by ブクログ

名著の誉れ高い本だけに、やはり内容の詰まり具合が半端ではない。それにしても上巻でこんなにいろいろ書いて、下巻に書くネタあるんかいな、と心配するくらい。

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2016年01月31日

Posted by ブクログ

自動で働く速いシステム?、怠惰で遅く努力を要するシステム?。人間は、経済学でいう「合理的かつ利己的で選好が変わらない」エコンとは全く異なる存在である。

各章、オフィスでの井戸端会議会話例で締めくくられていますが、読み終えてなるほどと思いました。オフィスでの意志決定が良質なものになれば、人間の社会は変わり得るのだと。

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2015年11月27日

Posted by ブクログ

認知心理学の権威による著書。
人の判断にまつわる研究の成果を詳しく記した本。ファスト&スローと言われると脊髄反射と脳かと早とちりするけど、実際には脳を構成する2つの思考システムのこと。ファストは直感的な判断を司る自動運転プログラム群、システム1。スローはいわゆる人間的な知的決断を下すシステム2。それぞれのシステムの持つ長所と短所。問題の解決に関してそれぞれのシステムがどう関与するかが詳しく調べられている。

上巻で見られる大きな結論としては、人の脳は統計的に正しい判断を行う事が大変難しいシステムだ、という事。本質的には偏見を避けることはできず、余程の注意と教養を持ってしても是正は困難。

また、言ってみれば脳の脆弱性とも言える問題点が数多く紹介されているが、これらの弱点を突くことで印象操作や洗脳といった事がいともたやすく実践されうるし、実際マーケティングなどの分野では既に広く使われている。政治や宗教に転用されれば、戦争や虐殺にも繋がる。ある意味、核より恐ろしい研究かもしれない。

有名な平均回帰の話や、投資のプロの実力は猿以下という話も書かれていた。

しかし脳の仕組みというのは思っている以上に組織や計算機の構成法に似ている。それがこの世界の物理法則の上でやっていく最適な方法だからなのか、人の持つ先入観が計算機の設計や脳の理解に影響した結果なのかは興味深いところ。

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2014年12月23日

Posted by ブクログ

第一部
井戸端会議において他人や最終的には自分自身について、判断や選択のエラーを突き止め理解する能力を高めるのが本書の目的

システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考)

「注意を払う」とよく言うが、これはまさに当を得た表現である。というのも、注意は限度額の決まった予算のようなものだからだ。この予算はさまざまな活動に配分できるが、予算オーバーは失敗につながる。努力を要する作業の場合、多数の活動が互いに邪魔し合うという特徴があるため、同時にこなすのは難しく、ときには不可能である。

瞳孔は知的エネルギーの消費量を刻々と教えてくれる

認知心理学で重要な発見の一つに、あるタスクから別のタスクに切り替えるのは困難、とりわけ時間的余裕がないときに

セルフコントロールには注意と努力が必要、だから思考や行動にコントロールがシステム2の仕事になっている

自分がどんな気分のときも、つねにやさしく親切にしなさいという忠告はまことに当を得ている

見覚え、聞き覚えといった感覚は、単純だが強力な「過去性」という性質を帯びており、そのために、以前の経験が鏡に直接映し出されているように感じる

誰かに嘘を信じさせたいときの確実な方法は、何度も繰り返すことである。聞き慣れたことは真実と混同されやすいからだ

遠隔性連想検査は、認知容易性とポジティブな感情の関係について、さらに多くのことを教えてくれる

判断の独立性を保つ原則は、会議だと、前もって出席者全員に自分の意見を簡単にまとめて提出してもらうことだ

自分の見たものが全てだ(WYSIATI)(what you see is all there is)

システム1の特徴
・印象、感覚、傾向を形成する。システム2に承認されれば、これらは確信、態度、意志となる。
・自動的かつ高速に機能する。努力はほとんど伴わない。主体的にコントロールする感覚はない。
・特定のパターンが感知(探索)されたときに注意するよう、システム2によってプログラム可能である。
・適切な訓練を積めば、専門技能を磨き、それに基づく反応や直感を形成できる。
・連想記憶で活性化された観念の整合的なパターンを形成する。
・認知が容易なとき、真実だと錯覚し、心地よく感じ、警戒を解く。
・驚きの感覚を抱くことで、通常と異常を識別する。
・因果関係や意志の存在を推定したり発明したりする。
・両義性を無視したり、疑いを排除したりする。
・信じたことを裏付けしようとするバイアスがある(確証バイアス)。
・感情的な印象ですべてを評価しようとする(ハロー効果)。
・手元の情報だけを重視し、手元にないものを無視する(「自分の見たものがすべて」WTSIATI)。
・いくつかの項目について日常モニタリングを行う。
・セットとプロトタイプでカテゴリーを代表する。平均はできるが合計はできない。
・異なる単位のレベル合わせができる(たとえば、大きさを音量で表す)。
・意図する以上の情報処理を自動的に行う(メンタル・ショットガン)。
・難しい質問を簡単な質問に置き換えることがある(ヒューリスティック質問)。
・状態よりも変化に敏感である(プロスペクト理論)。
・低い確率に過大な重みをつける。
・感応度の逓減を示す(心理物理学)。
・利得より損失に強く反応する(損失回避)。
・関連する意識決定問題を狭くフレームし、個別に扱う。


第二部
私たちは、人生で遭遇する大半のことをランダムであるという事実を、どうしても認めたくないのである

ある未知の数値を見積もる前に何らかの特定の数値を示されると、その数値の近くにとどまる。この効果をアンカリング効果という

交渉におけるアンカリング効果に対抗する方法として、反対のことを考える。

リスクを定義することは権力を行使することにほかならない


第三部
予測は可能だとする錯覚はいっこうに消え去る気配がない

均等重みづけ方式は重回帰式を上回る

「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?ー重大な局面で”正しい決断”をする方法」アトゥール・ガワンデ

「小さな本」ポール・ミール

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2018年11月25日

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人間の判断がどういう場合に歪むのかを書いている。
歪みの力は極めて強く、それを免れるのは困難。
知っておくべき内容。

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2019年05月21日

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認知的錯覚について様々な種類が紹介されている。
話の軸は「システム1(直感)とシステム2(熟慮)型の認知」、「エコン(経済人)とヒューマン(普通の人間)」、「経験する自己と記憶する自己」

幸せの感じ方の議論が「経験する自己と記憶する自己」の流れであり重要

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2021年06月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

研究結果や人間の心理からどのようにして判断を行っているかの仕組みが詳しく書かれている。難しい内容。下巻もあるので読んでみようと思う。システム1、システム2

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2025年01月30日

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システム1(無意識)とシステム2(意識)を解説してくれる本。しかしすごいボリュームです。豊富な実例を持って、システム1、2の働きの違いを示してくれます。まだ行動経済学という言葉がはっきりしない頃の書でしょうか。この本にまとまっている実例をキッカケにして行動経済学は勃興していったのかと思いました。

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2018年11月12日

Posted by ブクログ

直感型思考と熟慮思考に関しての研究。人間の判断がどれだけ周りの影響を受けているかが書かれている。判断するとき周りにおいてあるものとか、事前に見たものとかに影響されてるんだなあ。例えばSO◽︎Pの四角の中には、事前に洗うと聞いていたらSOAP、食べると聞いていたらSOUPと答える確率が高いとか。

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2018年07月16日

Posted by ブクログ

ノーベル経済学賞(正しくはないのだが)をとった心理学者の本。訳本でもあり、最初のほうはかなり読みづらかった。統計の話になってからは、興味深く読ませてもらいました。下巻を直ぐに読みたいとまでは、思えませんでした。

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2017年09月23日

Posted by ブクログ

ファスト(システム1)とスロー(システム2)の状態説明。
ハロー効果、平均回帰。行動経済学では投資家の心理など。

著者は、認知心理学者でノーベル経済学賞受賞者。
C0011

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2016年08月25日

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