村井章子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
# ヒトの思考・判断プロセスに一石を投じた名著
## 面白かったところ
* `1 + 1` の解と `24 × 17` の解が導かれるまでの時間差異から、ヒトの思考には少なくとも2つ以上存在する。などの研究結果がとても興味を唆られた点
* ヒトの思考や判断には特徴があって、それを理解していた上で異なる行動を図ろうとしても並々ならぬ注意力が必要だと知れる点
## 微妙だったところ
* シンプルに、記述量が多く理解が難しい。これはまだ上巻で下巻も同程度の分量で存在する
## 感想
学生時代、後輩に勧められて購入した一冊。当時の自分の読書レベルでは到底太刀打ちできなかった苦い思い出から一念発起して再度読書に挑戦。
前半部分は、特に自分を通じてヒトの特徴的な癖を体感しながら学習することがでた。
後半部分では、もう少し俯瞰してヒトの思考・判断行動を観察。理解はできても納得は難しいヒトの行動を魁に、世の中の事象に切り込んでいく様子を垣間見ることができ、読み応えがあった。
下巻もとても楽しみである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても分厚く読み応えがある
過去のイギリスとアメリカの産業革命からテクノロジーが人々の生活にどのような影響をもたらしたかを分析し、今のAIによる自動化の影響を考察している
初めて自動化してもそれによるダメージの大きさを知った。昔のイギリスでは産業革命が起こっても人々の賃金レベルは変わらず、上位の人々だけ恩恵を被ったこと、アメリカでは対して労働補完型のテクノロジーという受け入れ方のため、受け入れられ、生活レベルの向上をすぐに促したことがかかれている。しかし現在のコンピューターの出現により、高卒などの賃金は下がっており、格差がどんどん広がっていることを知った。
そのため、一概にAIによる自動化を喜べるわけではない。ただ、最終的にみると生活水準を上げているため、そこに達するまでの間の職を失った人々をどのように守るか、そしてその人々が織りなすポピュリズムを防ぐかを考えなければならない。
生涯勉強あるのみ… -
Posted by ブクログ
「実行する組織」
1.購読動機
戦略、戦術、戦闘。
最後の戦闘、行動があって、初めて戦略の有効も失敗も検証できるから。
2.書籍からの学び
実行できない、しない組織にはいくつかの原因が存在します。
その一つの原因が、組織のメンバーが、下記を理解できていないこと。
①外的環境が自社にどんな脅威をもたらすのか?
②①に対して、自社は、何を目的に、どの市場を、いつ、どのように獲得するのか?
さらに、ドリルダウンすれば、会社が考える重要性とメンバーが考える重要性の方向が合致すればこそ、変化への適応スピードに良い影響をもたらすということ。
3.最後に
継続性が大事ではなく、組織がとる戦略が有効ならば、それは徹底的に実行するが成果となる。
最近考えることは、プロジェクトが時間の経過とともに、行動の量も質も低下する傾向が観察できること。
当事者がもったいない、やらないことの機会損失を定量的に把握したときに自律的な変化が起きるのだろう。
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Posted by ブクログ
経済を歴史や倫理、哲学等の観点から深堀りした読み応えのある良書。
現代の数式やお堅い専門用語を並べがちな主流の経済学へ一石を投じる内容になっている。
文章の大半は偉人や古典文学からの引用で構成されており、現代の通説は過去の原則で成立している事を理解させてくれる。
知性は情動の奴隷であり、「見えざる手」は人間の情動で成立している。
人の強欲さが現代の継続したGDP上昇の源泉となっている。
様々な観点から経済学を捉えてみたい。
そのためには一見関係なさそうに思える歴史や心理学にも目を向けてみよう。
そんな気持ちになれた、良い読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
原題: Good Economics for Hard Times.
タイトルの訳がちょっと微妙。
Hard Timesを絶望と訳すのはちょっと。
アイキャッチを狙ってかな。
どこかで誰かが勧めていて興味が湧いたので。
素晴らしい本でした。
是非いろんな人に読んでいただきたい。
著者のアビジット・V・バナジーとエステル・デュフロは存じませんでしたが、非常にバランスが取れている方々とお見受けします。
アビジット・V・バナジーは2019年のノーベル経済学賞を受賞した経済学者、エステル・デュフロはアビジットの配偶者らしい。
現代の世界が抱える問題について、経済学者の視点から考察した本。
不平等や不信が加速させる世界の二極化について、私達はどうあるべきか、考えさせる一冊。問題は何か、解決が可能なのか、あるいは、明るい未来に向かうために社会はどうするべきか。
極端に楽観的でも悲観的でもなく、常に一定の温度感なのがいい。
経済学とはあるが、経済を超えた現代社会分析でもあると思う。
アビジットは、自身が貧困問題が深刻なインド出身だからか、貧困問題を主に研究しているようで、本書もそのあたりがメイン。
また現在アメリカに住んでいるので当然だが、アメリカ経済を例に取り上げているケースが多い。
多くの賢明な人のご多分にもれず、明確な解決策を提示するわけではない。なので、何かクリアな解答がほしい人はがっかりするかもしれない。
しかしながら、一つひとつのケースを積み上げた分析は説得力があり、世界は複雑で様々な要因が絡み合っていることがわかる。世の中がいかに思い込みで溢れていて、いかに経済学者を含む人々にわかっていないことが多いか。
その上で、私達にはまだまだできることがあると希望を提示する。
そして最後に、この社会を良くするヒントは尊厳だと説く。この発想は実はアビジットがアジア出身という事実によるのではないだろうか。施しを与えるという行為は、一見良い行いに見えるが、実は根底に差別がある。自分は施しを与える立場、相手は可哀想な人、という。この視点は欧米人には決定的に欠けている、と私は個人的経験から思う(もちろん全ての人がとは言わない。教育と経験による?)。アビジットももしかしたらそういった経験をしているのかもしれない。
この本が述べるように、昨今は世界が分裂に向かって進んでいるように見える。
それでも、世の中にはこういった人間性に優れた賢い人がたくさんいるんだな、と思うと、希望が持てる。
そのためにも多くの人がこの本を読んでほしい。 -
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これを読んだから会計ができるようになるとか、ではないのだが、「教養本」として楽しく読めた。
ニュートンが南海株に結構な額を投資していたとか、ウェッジウッドが帳簿分析に長けていたとか、簿記・会計をめぐる小ネタも満載である。
さまざまな事件を経て、会計の技術やルールが進化してきたことはよくわかったのだが、どんなに精緻な仕組みを作っても、不正がなくなることはおそらくない。
これからも大きな事件のたびにルールを変えていくのだろう。本書が指摘するように、きちんと監査するのが不可能なくらい企業が大型化、取引が複雑化しているから、将来はAIに頼らざるを得ないはずだ。
巻末におまけのようについている、帳簿の日本史が結構面白かった。江戸時代から独自の複式簿記や減価償却(のようなもの)があったというのは初耳。 -
Posted by ブクログ
AIに代表されるテクノロジーは生産性の向上により人間を不要な労働から救う救世主なのか、それとも低付加価値の労働者の仕事を奪うことで失業率を押し上げる悪魔なのか。論争が尽きぬこの議論に対して、主に産業革命以降のテクノロジーの歴史を紐解くアプローチを取ったのが本書である。
本書では、産業革命以降、労働生産性を向上させたテクノロジーを2つに分解する。1つは”労働補完型”であり、こちらは労働者を存在とするがその労働をより簡易にできるようにし、労働者自身の安全性向上というメリットももたらす。もう1つは”労働置換型”であり、こちらは労働自体をテクノロジーが自動化することで不要としてしまうタイプであり、産業革命期のラッダイト運動の対象となったのもこちらである。
よって、テクノロジーが労働に与える影響を考えるためにはそのテクノロジーがどちらに該当するものなのかを見極める必要がある。”労働置換型”のテクノロジーの場合、歴史を紐解けばそこには必ず不要とされて職を喪失した労働者の存在がある。もっとも様々なテクノロジーによって失業した労働者のデータを追って見れば、年齢が若いなど再学習のチャンスがある労働者は再雇用に成功するものの、そうでない人間にとっては失業が長く続くというのが一般的な傾向である。
結論はシンプルであるが、テクノロジーを巡る長い歴史を押えた上での議論ができる良書。 -
Posted by ブクログ
ネタバレブラック職場で働く事10数年になるが、この本に書かれているダメなところがうちの会社には満載であることに気づいた。
変革の方法と手段も書かれている本書のやり方を私だけからでも会社で実行しようと思った!
裁量とソーシャルサポートの重要性は本書で理解できたが、裁量についてはわからないところがある。それは最良の範囲である。
おそらくその人に合った適切な裁量が与えられないと、その人がどうしたら良いかわからず崩れかねないことがあるとも感じた。
また、人によっては決めてくれたものをやりたいという自分で考えるということをしたくないという人が一定数いるように私は感じていて、その人たちに裁量を渡して果たして幸福に感じるか?という疑問も持った。本書ではその答えがないのが残念に思う。
ただし、概ね私の実感とも一致する見解で合ったためロジカルに理解でき、エビデンスが提供された事はとても喜ばしい事である。
そして、最もためになったのは私がブラック企業に居続ける理由を明確に本書は教えてくれた事だ!
私自身諦めや疲れなどから転職を諦めている節はある。何よりメンタルが安定していない状態で、次の企業をうまく見つけられるかという不安を持つのは至って普通である。
が、本書はビシッと何言ってんの!サッサと転職しろ!と言わんばかりの心理を私に教えてくれた。
私がこれからどうなるかはわからないが、この本にきっかけをもらったのは事実だと思う! -
Posted by ブクログ
ネタバレ社会の重大な問題を、どう解決するかについて述べた本です。
重大な問題として取り上げられたのは、移民、自由貿易、経済成長、気温、不平等、政府について。
「経済学者の言っていることが信用されていない」という前提で、では、それはなぜなのかというと、悪い経済学がまかり通っているからということと、経済学者が根拠の説明が足りないということを理由に挙げています。
新聞やテレビなどでニュースを見聞きした時、自分自身で問題意識を持って、自分事に当てはめ、今後、どうなっていくのか、それに対して自分はどうしたら良いのかを考えられるようにしたいものです。 -
Posted by ブクログ
ビットコイン、リブラ、中銀デジタル通貨。いま、お金をデジタル化する動きが進んでいる。成功するか、あるいは成功すべきかは今のところ分からないけれど、この動きを理解するための古典として本書を読んだ。
◆貨幣発行自由化論とは
どんな国を見まわしても、貨幣を発行しているのは国(ないし中央銀行)だ。そして1つの国で1つの通貨はあたりまえになっている。そんな中で、ハイエクは一見突拍子もないことを主張する。インフレやデフレが起きるのは、貨幣発行権を国が独占しているからだというのだ。貨幣発行を自由化し、民間の銀行が自分で貨幣を発行してお互いに競争すれば、通貨の価値は安定する。
◆そもそもなぜ独占はダメなのか
ビール会社が1社しかなかったとしよう。1社だと大量生産できて効率的だし、上司の好きな銘柄を把握して店を選ばなくて済むのでラクなようだが、困ったことも起きてしまう。
独占ビール会社は何を考えるか。儲けたい。儲けたいからビールの値段を上げよう。1缶200円のビールを400円にしてもビール好きなお父さんはたくさんいるので、そこまで消費量は減らないはずだ。(さすがに1缶1000円にすると日本酒やハイボールに鞍替えするかもしれないし、そもそも酒を飲むのをやめてしまうのでそこまではしない)
他方、ビール会社が4社だったらどうか。1缶250円にした瞬間に(よっぽど美味しくなければ)他社に切り替えられてしまう。この場合、ビール会社は値上げしない。
独占は、価格の高騰を招くので、消費者にとって不利になる。
◆国(中央銀行)はなぜ貨幣価値を安定させられないのか
上記は非常に教科書的な話だが、ハイエクは通貨に関しても同様に、独占は消費者(=貨幣を使う人)の利益を損なうという。まず国には、インフレを起こして景気を良くさせたいというインセンティブがある(少なくとも政治家からそのような圧力が加わる)。それから国債を中央銀行に引き受けさせて、増税せずに使えるお金を増やしたいと思う。加えて、真の価値なんて誰にも分からないという技術的な問題もある(市場には価格発見機能がある)。だから国は通貨の価値を維持できない。たとえ通貨であっても、民間の競争に任せた方がうまくいくというわけだ。
◆理論上は同意するがそうは言っても…
理論上は同意するものの、通貨発行自由化が実践可能かと問われればボクには自信がない。果たして完全な競争は達成できるのか。国の支配がGAFAの支配に代わるだけではないのか。また、通貨発行銀行が夜逃げしないとも限らない(国だって夜逃げするんだもん)。
とはいえ、ハイエクの主張は明快であり、新しい通貨を考える上の理論的な基礎として、読んでおきたい古典には変わりない。多くの国がインフレに苦しめられていた当時と時代背景は異なるが、時代を超えて読まれていく古典だと思う。 -
Posted by ブクログ
大暴落直前、期中、その後の恐慌や人々の様子をデータとエピソードによりガルブレイスらしく描写。
直後の楽観論-ファンダメンタルは基本的に健全とのコメント-など現在のコロナ暴落後の様子ともシンクロ。
恐慌が長引いた原因
(1)所得分配 富裕層の消費は非恒常的で不安定、脆弱化(2)企業構造 資金詰まりを起こした企業は投資を犠牲にしてでも債務償還や配当に当てるため経済は縮小スパイラル
(3)銀行システム 経営基盤が脆弱な金融機関多数存在。システム的信用収縮、所得、雇用、物価の落ち込み銀行破綻
(4)経常収支 高関税政策による貿易収支黒字に加え資本収支黒字により不均衡が蓄積、ドイツと中南米債務国 資金出し手は州政府を含む政府。ペルーやキューバ政権の貸倒
(5)専門家の経済知識 政策アドバイザーは均衡財政、為替の金リンクなど当時の考え方に教条主義的墨守。 -
Posted by ブクログ
強く興味を惹かれた1〜5章のみ読んだ。
ノーベル経済学賞を受賞した大家による、一般向けの大著。
経済学者の仕事に興味があり、そのテーマに関連の深いところだけを読んだが、経済学がどういう学問か、経済学者に何が求められているか、わかりやすく書かれていた。
「経済学者がどんなふうに仕事をしているか」について書かれた本はそう多くないと思うので、そういった点でも面白い本。
・経済学者に求められるのは政策提言。
・経済学は変貌しつつある。今後さらに進歩するためには、他の社会科学や人文科学との再統合を進める必要がある。
・我々が十分に賢くないが故に、経済学者は数学を用いる。
・経済学者にできるのは、現時点での知識でわかっていることを述べるだけで、ある選択肢が他よりマシだというのがせいぜい。
・学者は謙虚であることと決断することの難しいバランスを取らなければならない。
こうした内容が印象的だった。
全編通して読むと、著者の知の広さと深淵さをもっと感じるのだろうな、と思ったり。
【2020.3.1 追記】
金融に関する第11、12章も読んだ。
金融の役割や問題点、さらには複雑を極めつつあるバーゼル規制について、驚くほど分かりやすく書いてあり、勉強になった。