村井章子のレビュー一覧
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中世イタリアで複式簿記が生まれたことから、リーマンショックまで、会計と監査の重要性を時系列でおった作品。
なぜ会計が広く用いられるようになるまで時間を要したのかをうまく説明できていると感じた。
特に、ルネサンス期の人文主義に偏重した考え方や、絶対王政における秘密主義的な考え方が会計・監査の広まりを妨げた一方で、
プロテスタント的な職業倫理が浸透していたイギリスやオランダでは円滑に運用されるに至った。
17世紀初頭には世界初の株式会社(東インド会社)が設立されたこと、
18世紀の南海泡沫事件において首相ウォルポールが最小限の混乱に食い止めたことなども具体例としてあげられ、読み物として興味深い。
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チェコ人の経済学者による、経済論。
歴史を紐解き、聖書や古代ギリシア、ローマにおける哲学、倫理学、数学等と経済学との関連を明確にし、善悪を含めた倫理の要素と経済学とに焦点を当て論述している。以前は倫理的要素が経済学でも大きく論じられていたが、現在は経済学と倫理学、哲学とは切り離されている。善悪の観点を排除した現在の経済理論は、目的を見失っていると批判している。常に進歩と発展を追及している資本主義のあり方に警鐘を鳴らす著者の考え方は理解できた。
「よい経済学者であるためには、よい数学者であると同時によい哲学者でなければならない。経済学は数学に肩入れしすぎて、人間的な要素をおろそかにしてきた」 -
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ネタバレ表紙買いして大正解よ!
最近は、物流がらみを続けて読んでいたので、その背後にある「帳簿(会計技術)」の歴史ってのも関連してるしね。
メディチ家の繁栄とあっという間の衰退、コジマの「帳簿(会計技術)」で栄え、栄えた果実としてのギリシャ文化かぶれが、以後の党首の「帳簿(会計技術)」離れを招き、あっという間の衰退につながったとか、もう道徳の教科書に載せるレベルだよね。
ほかにも、フランス革命への道(ネッケルの奮闘と挫折とその予期せぬ影響の果て)とか、今まで読んできたものの裏側に「帳簿(会計技術)」の進化があったんだなあと、改めて。
そして、日本語版解説にざっくりと書いてある「日本における帳簿( -
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システム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読
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1929年の米国での株式市場の大暴落の前後とその後の経済情勢を述べている。現在はそのころとが違って政府の規制やいろいろな仕組みができてはいるが、第九章のガルブレイスの以下の言葉が気にかかる。「だがかつてもそうだったように現在も、金融上の判断と政治の配慮は逆方向に働く。長期的にみれば経済を救う措置であっても、現在の安寧と秩序を乱すものであれば、けっして高くは評価されない。そこで、たとえ将来に禍根を残すとしてもいまは何もしないでおこう、ということになる。こうした姿勢は、共産主義を蝕んだのと同じように資本主義も脅かす。このような考え方に陥るからこそ、事態が悪化していると知りながら、人はあの言葉を口に
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国富論に並ぶアダム・スミスの主著。
「道徳感情論」と「国富論」前提となる人間観が、共感的か、エゴイスティックかということで矛盾しているみたいに言われることもあるが、「道徳感情論」の初版は、「国富論」出版前だが、「道徳感情論」の第6版は、「国富論」の出版後に出ていることから、アダム・スミスとして、この2冊には、一貫した人間観があると考えて良いはず。
実際に読んでみると、人間の共感性を基本としているが、同時にエゴイスティックな面やしょうもないまでにセコイところ、とほほな面もしっかり観察している。
そして、そういうしょうもなさも含めて、自然、神の大きな意思(見えざる手)のもとでは、全体としてO -
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無味乾燥で数式とCeteris paribus(他の条件が一定なら...)のオンパレードとなった経済学を、倫理と哲学の視点からRe-buildを諮るユニークな一冊である。
アダム・スミスの代表的著書が『国富論』と並び『道徳哲学論』であることを考えれば当然なのだが経済活動と道徳は呉越同舟である。しかし皮肉なことにアダム・スミスを契機に無機質化した経済学に再度有機的要素の復権を試みる。ギルガメッシュ叙事詩や新旧約聖書、ギリシャ哲学のなかに経済学的要素を見出し、特にマンテヴィルの「蜂の寓話」の非効率非対称だからこそ経済は発展する例えは示唆に富む。
「不足感が不足を生む」「数学はエレガントに創って -
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あの陶器で有名なウェッジウッドは、最終監査役は自分であり、リアルタイムで監査を行う「毎週月曜日に帳簿を見られるように、これを永久運動のように継続して欲しい」と私設会計士に依頼した話。経営者にとって会計とこれを永久運動のようにする事が期待されてるって、自分も外資系企業の営業一員として動いてると今も同じかと…
この本は、なんで会計なんてやらないと行けないんだ?と素朴に疑問に思っている人に、歴史的な事象をストーリー仕立てで必要性を感じることが出来るんじゃないかな。そして、ウェッジウッドの言葉にある、リアルタイムで監査ができ、「永久運動」と言うという言葉に愕然としたりして…
本書では、帳簿が発生し -
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試し読み
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著者のジェイコブ・ソール(1968年~)は、歴史学と会計学を専門とする南カリフォルニア大学教授。
本書は、2015年に単行本で邦訳が発刊され、2018年に文庫化。
本書は、「帳簿(会計)」という斬新的な視点を軸に歴史の裏側を明らかにしたものであるが、一般に経済に大きな影響を与えると考えられている「帳簿(会計)」が、実は政治や文化に影響を与え、更には歴史までも動かしてきたことを示す、興味深い内容となっている。
大まかな内容は以下の通りである。
◆会計の初歩的な技術は古代メソポタミア、ギリシャなどに見られ、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスは、会計の数値を自らが建造した記念碑にも刻み、透明性の高い精 -
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これはアメリカ人がアメリカ人に向けて書いた物である。日本人の感覚からすると少し違和感があるが、普遍的な真実を言い当てていると思うところもある。
曰く、アメリカのリーダーシップ論では以下の5箇条が良いリーダーの条件とされているらしい。
①謙虚さ、②自分らしさ、③誠実、④信頼、⑤思いやり。
この内①謙虚、③誠実な人はリーダーになる前の競争でふるい落とされるので、そもそもリーダーには備わっていない資質であり、またリーダーも一人の利己的な人間に過ぎず、闇雲に④信頼したり、⑤思いやりを期待したりするのは間違っていると言う。もっともである。ただ②自分らしさについて言えば、日本ではそれほど重視されない資質で