「これからがデジタル革命の後半戦。飛躍的に能力を拡大していくコンピュータに人間はますます仕事を奪われる」 MITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センターの研究者2人が2011年に自費出版した本書の原書であるRace Against The Machineの未来予測は、アメリカ国内外で大きな反響を呼んだ。 本書の2人は、技術の進歩が速すぎて起きる雇用喪失説の立場をとる。つまり、コンピュータとの競争に人間が負け始めていることこそ、雇用が回復しない真の原因であると主張する。
[並走から、追い抜きへ]企業が莫大な利益を得る中で、雇用者数の改善が一向に見られない状況に目をつけた著者は、経済と技術の相関に目をつける。そして、雇用者数の改善が見られない理由を、技術のあまりにも急速すぎる発展にあるとし、多くの労働が機械にとって代えられるという事態が既に起こりつつあることに気づく......。ディストピアのような話が現実に生じていることを鋭く指摘した警句の書です。著者は、米国のマサチューセッツ工科大学に務めるエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィー。訳者は、経済関係の著書の翻訳に定評のある村井章子。原題は、「Race against the Machine」。