村井章子のレビュー一覧

  • NOISE下 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    下巻は、統計的な手法から距離を置き、各人の資質、個人の判断を中心として、バイアス、ノイズの排除に関する考察です。

    下巻の範囲は以下

    第4部 人間心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因の検討(途中から)
    第5部 判断を改善しエラーを防ぐ実際的な問題への取組み
    第6部 ノイズの適正水準はどの程度なのか。経済的な要請からの考察

    終章に展開される結論は以下です。

    人間の判断を補うために、今日よりずっと幅広くアルゴリズムが導入されるようになる
    複雑な判断はシンプルな媒介評価項目によって分解される
    できるだけ多くの独立した判断を集めて統合される。
    統計的な視点が組織的な判断プロセスに組み込まれるよ

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    2022年05月22日
  • NOISE上 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    ノイズ(Noise)とは、原因不明な異音、転用して、判断に含まれている説明のつかない誤り

    628頁、29章にも及ぶ大作、統計学、心理学、行動経済学にまたがる
    理解困難な難書でした。見慣れない用語が、複数の章にまたがって、現れるので
    その確認を含めて、一読に1週間以上も時間がかかってしまいました。

    冒頭には、本書をまたがる、大きな地図があり、また、各部の冒頭、各章の終わりにはまとめがあって理解を助けてくれます。

    刑罰への量刑とか、病気への診断とか、人事評価とか、似たような状況なのに、人間によって、その判断が大きくことなっていて、理解不能な不平等がこの世に広がっている。その差は人々が考えてい

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    2022年05月22日
  • プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?

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    デジタル技術の進化による環境変化を、AI、マッチングプラットフォーム、ブロックチェーン技術の観点から論じている1冊。
    重厚な1冊だが、技術的なテーマだけに特化することなく、経済性への影響・変化を連続性をもって語られており、ビジネスパーソンとして本領域を学ぶ上では活用しやすい形で情報が整理されているのではないか。
    特に後半については従来型組織と分散型自律組織(DAO)との対比まで触れられており、2018年時点で既にここまで論じられているというのが衝撃。

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    2022年05月11日
  • NOISE下 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    行動経済学という学問をまさしく一般に普及させた立役者の一人といえば、『ファスト&スロー』等の著作で知られるダニエル・カーネマンであろう。彼が、ナッジ理論の理論的中枢もであるキャス・R・サンスティーンらと記した新作にあたり、行動経済学の新たな世界が開けた、といっても過言ではない面白さに満ち溢れている(私はこの本をコロナワクチン3回目接種の副反応で寝込んだベッドの中で読み通してしまった。そのくらい面白い)。

    行動経済学の定義は幾つかあると思うが、オーソドックスな定義の一つは”人間の不合理な行動やエラーというのはなぜ起きるのかを解き明かす学問”であるというものではないか。その際によく言及されるのが

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    2022年03月21日
  • NOISE上 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    行動経済学という学問をまさしく一般に普及させた立役者の一人といえば、『ファスト&スロー』等の著作で知られるダニエル・カーネマンであろう。彼が、ナッジ理論の理論的中枢もであるキャス・R・サンスティーンらと記した新作にあたり、行動経済学の新たな世界が開けた、といっても過言ではない面白さに満ち溢れている(私はこの本をコロナワクチン3回目接種の副反応で寝込んだベッドの中で読み通してしまった。そのくらい面白い)。

    行動経済学の定義は幾つかあると思うが、オーソドックスな定義の一つは”人間の不合理な行動やエラーというのはなぜ起きるのかを解き明かす学問”であるというものではないか。その際によく言及されるのが

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    2022年03月21日
  • ブラック職場があなたを殺す

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    1. 私の知り合いがブラック企業に勤めているものの、なんだかんだで辞めようとしない心理について知りたくなったので読みました。

    2.ブラック職場の特徴は①裁量権がないこと、②ソーシャルサポートが整っていないことです。つまり、人間個人を尊重する意志がないことと、安全な環境を構築していないという特徴があります。これら2つが成り立たない理由としては社風や上司の機嫌、業界の構造上の問題など、様々な理由があります。本書では、このようなブラック職場を徹底的に分析し、どのような職場が良くないのかを具体的に述べています。

    3.友人の場合はプライドが高いため、「今ここで辞めたら負け犬」というプライドがあること

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    2022年03月02日
  • NOISE下 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    上巻の方では、ノイズとは何かについて紙幅が割かれていた。
    今回の下巻の方では、ノイズを防ぐ方法について言及されている。
    本書(上下両巻)を読んでいくと「ノイズは厄介だ!良い判断をするためにも、全ての意思決定プロセスを厳しく取り決めよう!」という発想に陥りやすい。たしかに、筆者たちは「判断ある所にノイズあり」と繰り返し訴えている。ノイズが意思決定において好ましくない存在であることはその通りなのだ。その領域が、医療業界など、専門性の高い分野なら尚更のことである。
    しかし、全ての判断をアルゴリズムやAIに委ねることも危険だと筆者らは言う。結局のところ、最終的な判断は人によって下されることが望ましい。

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    2022年02月16日
  • 国家は破綻する―金融危機の800年

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    ネタバレ

    国家は破綻する 金融危機の800年 2011
    2011年3月7日第1版第1刷発行
    カーメン M ラインハート (著), ケネス S ロゴフ (著)
    村井章子(むらいあきこ)訳

    2011年3月の出版なので丁度、
    東日本大震災の時期になる。
    当時は緊急事態だった。
    そのせいで平時なら話題になるものが埋もれている。
    有名人の死亡もそうだし、コンマリのヒットもそうだ。
    本書も本来なら当時もっと話題になっておかしくない本なのだが、やむを得ない。

    本書には索引があり、それだけでも力を入れて作った本であることがわかる。
    野口悠紀雄氏によれば、米英のまともな専門書には索引があるのだという。
    索引をつけるの

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    2022年02月14日
  • 新ジャポニズム産業史 1945-2020

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    サブカル現代史小説といった感じ。小菅のジープやカラオケ、ウォークマン、Kawaiiとキティちゃん、アニメそしてゲーム。それぞれ社会的ヒットとなったモノについて、その時々の時代的背景を鋭く解説しつつ、その生みの親や渦中の人と情熱にも丁寧にスポットライトをあてる。サブカルという側面から戦後史を楽しくなぞることができたし、登場人物の大義に触れて目頭が熱くなる場面も多くあった。著者の持論に若干違和感を抱く部分もあったが、それを補って余りある日本の産業史を紐解くために費やした熱量と知的好奇心には素直に敬意を表したい。

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    2022年02月04日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    従来の経済学では、移動が可能なら賃金の安い地域から高い地域に移るのが当たり前だが、実際の人間は多くは移住しない。
    人間はリスクを過大評価して、リスクを取りたがらない生き物なのだ。
    さらに、人間としての尊厳が重要で、金だけの価値で動くことはないし、あったとしても幸福にはならない。
    これを前提とした政策を打ち出す政府、政治家が必要だ。

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    2022年01月21日
  • NOISE下 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    この本は、裁判官や医者などの社会的地位が高く、信用の高い人たちの判断にもノイズ(判断のばらつき)がありますよー!しかも思ったより大きなばらつきです❕と考察しています。
    めちゃくちゃ論理的で納得できるいい本でした!
    ぜひぜひ読んでみてください。

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    2022年01月07日
  • NOISE上 組織はなぜ判断を誤るのか?

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    本書は、ノーベル経済学賞を受賞した「ファストアンドスロー」の著者であるダニエルカーネマン等が
    ヒューマンエラーである「ノイズ」について考察した本です。
    多角的に研究された内容が多数紹介されており、この本を読めるというのは「めちゃくちゃ、お得だー❕」と思いました。
    医者や裁判官の判断でさえ、ノイズがあるとは、、、
    ぜひぜひ読んでみてください。

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    2022年01月03日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    まさに「自動化」の渦中にある現代テクノロジーにおいて「人々の仕事は機械に奪われてしまうのか?」「社会経済は、人々は、どうなってしまうのか?」という大問に、真正面から対峙した重厚な一冊。

    古くは先史時代から技術革新の歴史を顧みながら、特に近代以降の大変革ーーイギリス産業革命並びに第二次産業革命ーーを敷衍し、これらがいかにして起こり、特に労働者に対してどのような影響を与えたのかについて考察を重ねていく。またこれらの決定因子として、2つの労働の型ーー「労働置換型」と「労働補完型」ーーを提示し、補助線とすることで、難題を柔らかく解きほぐしていく。
    著者曰く、特にブルーカラーで起きている自動化はまさに

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    2021年12月30日
  • ザ・セカンド・マシン・エイジ

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    「ムーアの法則」=Digital発展の鍵 
     1年半ごとに半導体の性能が倍増する
     指数関数的進化 ①処理②記憶③通信(81)(87)
     例外は「バッテリー」 電子品ではなく化学
     増加率は一定だが、増加分は激増 特に期間の後半
     人は指数関数=非線形をイメージ出来ない

    「社会革命」へ ←産業革命から (152)
    ①Digital化   copy自在 限界コストただ
    ②Network化 時間・空間を超える 
     Global化 世界最適へ

    「補完イノベーション」が不可欠=社会変革難しい(168)
    ①社内体制 業務改革 組織・人事・運営の改革
      vs既得権・守旧派
    ②社会体制 規範 制度 体

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    2021年12月17日
  • ジョン・P・コッタ― 実行する組織

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    難解 一読をしても容易にイメージができませんでした。

    デュアル・システムを用いて大組織を、ベンチャーの速度で動かしてビジネスを加速させるが、ゴールです。

    効率的な階層組織で日常業務をこなしながら、創業時と同様のネットワーク組織をあわせて導入する。

    階層組織の10%のメンバーをネットワーク組織に参加させて、自発的に変革を進めるもの。

    コンサルタントが、行うのではなく業務に精通しているメンバーが行うことでやりたい気持ちを引き出し、少ないコストで成功に導きます。

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    2021年12月09日
  • 新ジャポニズム産業史 1945-2020

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    各章の主題がときに相互に絡み合いながら、周辺分野にも十全に触れられている。
    戦後日本から連なるポップカルチャーとそのクリエイターの物語を仔細に語りつつ、
    外側から見た日本文化、そしてそれが波及した海外文化のありかたなどは幼少期から日本文化に親しんだ著者の視点に依拠する部分も大きい。
    それでいて、著者本人の日本文化的素養が我々と変わらない程度に高まっているかと思うほどに、翻訳作品の違和感もない。

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    2021年10月18日
  • 分析力を駆使する企業 発展の五段階

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    企業の分析担当は勿論、アプリ販売やデータビジネス従事者は必携の書。
    分析は分析家だけのものでなく、民主化していく必要性があり、そのプロセスを詳細にフレームワーク化。実際のコーポレート事例もかなりの量が盛り込まれており、唯一無二かと思われる。

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    2021年10月13日
  • 新ジャポニズム産業史 1945-2020

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    竹内まりあの「プラスチックラブ」や松原みきの「真夜中のドア」などの日本のシティポップスが海外に見つけられた、という話題に触れると、なんだかうれしいような気がします。YouTubeでいろんな国の人がとても上手な日本語で「♪私のことを本気で愛さないで♪」なんて歌っているのを見ると、こっちだって単なるリスナーだったのに変にプライドが満たされるような気持ちになってしまいます。この本を読んでもそんな気分になります。ハイスクールの日本語のクラスで手塚治虫にハマったことで日本のポップカルチャーの研究家になった著者が、世界の人々の生活を変えた日本発サブカルチャーの歴史をぐいぐい紐解いていく本です。玩具、アニメ

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    2021年10月03日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    ネタバレ

    今までなんとなくそうだろうと思っていたことが、実際のデータに照らすと実は間違っているということがこの本の中には多くでてきた。貿易はどの国にとってもメリットはもたらすわけではないし、移民は受け入れ国の雇用を奪うことはなく、常に賃金を下げるわけではない。移民は仕事があるからといってたくさんアメリカなどの国にやってくるわけでもない、など読んでいなかったら誤解したまま物事を考えてしまっていたので、なんとなく知っているというのは危ないと思った。全ての人間が人間らしく生きられるようにするという前提で考えることが、政策を考える上で重要だと思った。

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    2021年08月21日
  • 絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか

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    2019年ノーベル経済学賞受賞のインド系米国人とフランス人(おそらく夫婦)の著作。
    様々な視点について最新の学説を紹介しながら、筆者qとしての見解を示している興味深い著作。特にUBIや格差是正などに強い想いがあるのだろうか、踏み込んだ提言が多かった。リベラル的な立場と言って良いと思う。
    面白かった。再読したい。


    以下、備忘的な学び事項。
    国際貿易論: グローバルに貿易を行うことによってお互いの国が成長するという確かサミュエルソンの定理は、個別の産業のことに触れておらず、淘汰される産業への救済、他の成長産業への労働資本の移転が求められるが、必ずしも上手くいっていない事を最新の論説を紹介しなが

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    2021年08月16日