村井章子のレビュー一覧

  • 善と悪の経済学―ギルガメシュ叙事詩、アニマルスピリット、ウォール街占拠

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    現在のウォール街の問題をギルガメッシュの壁から語り起こす経済学についての一大叙事詩です。道具としての経済学はいかに近年のものであり、経済が人間とか社会に向き合う学問である限り、「倫理」からは目を背けてはならない、という熱い想いが一貫されています。「神の見えざる手」の元祖とされているアダム・スミスに対してさえ「国富論」より「道徳感情論」の作者として光を当て直しています。キーワードとしてアニマルスピリットが多く使われていますが、レヴィ・ストロース「野生の思考」を連想してしまいました。また最近、シンギュラリティが間近とされているAIの専門家が、これからはテクノロジーには倫理についての議論が求められて

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    2017年03月15日
  • 大暴落1929 (日経BPクラシックス)

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    経済の本は何冊も読んできたが最高品質の本。
    ただ単に過去を知るだけではなく、今後何度もくりかえされるはずのバブルと株価下落を鳥瞰的に見れるのではないだろうか。

    村井章子さんの翻訳が秀逸の出来栄え。
    自然な訳を堪能されたい。

    なお、この投稿は2017/02/24(金)。
    ここ何ヶ月も賃貸不動産のバルブ感が新聞や雑誌などで書かれている。
    今後、どうなるか?!

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    2017年02月24日
  • ジョン・P・コッタ― 実行する組織

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    組織のデュアルシステム化の話。
    ネットワーク型組織のアクセラレータ
    危機感を高める
    コア・グループを作る
    ビジョンを掲げ、イニシアチブにきめる
    志願者を増やす
    障害物を取り除く
    早めに成果を上げて祝う
    加速を維持する
    変革を体質化する

    運転をするというタスクに求められるスキルはレースサーキットにいるのか、大型バスを運転するのか状況によってまったく違う

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    2017年02月22日
  • 人質の経済学

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    人質ビジネスについて、経緯、事例など詳しくまとめられていた。
    21世紀の現代に起こっていることとは容易に想像できない、悲惨な現状を知った。
    誘拐、海賊、不法移民などすべてつながっていて、犯罪組織の資金源となっている。日本も他人事ではない。
    大変興味深い本でした。

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    2017年01月21日
  • ザ・セカンド・マシン・エイジ

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    現在、話題になっている自動車の自動運転は経済学者が2004年の著書「新しい分業」でコンピューターには無理が仕事を判断したそうである。この例が示すように、コンピューターが予想を超えたペースで人間の能力を超えてきてる状況を筆者は「第ニ機械時代」と呼んでいる。筆者によると現在はその「第二機械時代」のほんの序章に過ぎないとして、その根拠として、指数関数的な高性能化、デジタル化、組合せ型イノベーションの3つの特徴に裏付けられているとしている。その影響は経済的、政治的に計り知れないものであり、企業経営者、政治家を含むリーダーが状況を的確に認識し、政策を実施すべきであり、そのための提言も行っている。より多く

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    2017年01月08日
  • 悪いヤツほど出世する

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    長くも短くもない個人的な社会人経験から正にこのタイトルの事は真理を突いているなと感じた本でした。世間が描くリーダー像と実際のリーダーとの乖離を、個人が持つ感情や想像では無く、学問として研究し説明された良書です。無論、例外がある事もしっかりと認められているがその数は極めて少ないと言ってくれている事もスカッとします!

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    2016年11月13日
  • 悪いヤツほど出世する

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    現実の世界に立派なリーダーが少ない理由が良く分かった気がする。自分がそうなるのも難しそうだ。現実と対峙して生き延びるためのヒントを与えてくれました。

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    2016年09月17日
  • ザ・セカンド・マシン・エイジ

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    グーグルのハル・バリアンは「どんどん安く豊富になるものにとって必要不可欠な存在となる」ことを奨めるが、データ・サイエンティストや携帯電話向けのアプリ開発者は、まさにそれである。また遺伝子配列の解明が進むにつれて、遺伝子関連のカウンセラーも必要不可欠になるだろう。

    現在すでに利用可能なオンラインの教育リソースから最大のメリットを享受できるのは、まちがいなく、やる気満々の自学者である。一例を挙げるなら、12歳で大学の講義を受けている子供がいる。この年齢の子供が大学の講義にアクセスするなど、従来は考えられなかったことだ。その一方で、こうしたものにとんと関心を示さない子供もいる。これでは、両者に大き

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    2020年07月15日
  • ファスト&スロー (下)

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    上巻に続き、さらに深い世界へ。特にプロスペクト理論、「経験と記憶」は秀逸。いつも読み飛ばす解説も上下巻をうまく総括してくれており、さらにカーネマンの2つの論文付と魅力満載!

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    2016年06月25日
  • ファスト&スロー (上)

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    実に面白い。以前から経済学的な綺麗なモデル(例:完全競争)に比べ、「人間とは?」を的確に捉えた一冊。この本を読むまでは、システム1ではなく、システム2を使う習慣を身に付けることが大事だと思っていたが、肝心のシステム2が実はシステム1に騙されやすいことを知った。では、どうすれば人間は論理的に思考できるのか、考えさせられる。

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    2016年06月18日
  • ザ・セカンド・マシン・エイジ

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    人工知能についての学びだけではなく、

    過去のコンピューターの歴史、進化と合わせ、

    今後の世界が読み解けます。

    様々チャンスを得るヒントが詰まった1冊です。

    おすすめですよ!!

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    2016年05月29日
  • ザ・セカンド・マシン・エイジ

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    AIと経済社会に関する本。

    ファーストマシンエイジ(=蒸気機関)と匹敵する大変革をセカンドマインエイジ(=IT、AI)が起こすとの論拠を具体的な例を多数含めて説明している。

    AI関連で一番参考になる。

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    2015年12月26日
  • 「権力」を握る人の法則

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    とても素晴らしい本だった。
    できるところから実践していきたい。

    ・実績と昇進は関係ない
    ・上へ行くためには、上の人に存在を知らせ、評価してもらわなければならない
    ・自分が階層の頂点でない限り、上には必ず誰かがいる。したがって大事なのは、上の人間があなたの昇進を望むように持っていくことである。
    ・将来の目標達成のために自分を変える
    ・組織内のパワーポリティクスを理解する
    ・7つの資質:①決意、②エネルギー、③集中、④自己省察、⑤自信、⑥共感力、⑦闘争心
    ・自分は優秀だと思い込むと自信過剰になり、ひいては傲慢になりやすい
    ・キャリアをスタートさせるときには、やりたいことを臆せず要求する意思と、自

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    2016年01月16日
  • ザ・セカンド・マシン・エイジ

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    蒸気機関が馬の仕事を奪ったように、コンピュータが人間の仕事を奪うのか?
    最近特に興味を持っているテーマなので読んでみました。
    同じく興味を持っている人にはおすすめの本です。

    本書では、肉体労働が機械に置き換わった産業革命を「ファーストマシンエイジ」、知的労働がコンピュータに置き換わる近い将来を「セカンドマシンエイジ」として、セカンドマシンエイジではどんな世界(経済など)になっているかについて言及しています。

    ・生活の豊かさは現在のGDPや生産性統計では計れなくなる
    ・定型的な仕事は肉体労働、知的労働によらず激減
    ・否定型的な知的労働(アナリストなど)、肉体労働(美容院など)は増加
    ・勝者総

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    2015年10月04日
  • 機械との競争

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    「テクノロジー失業」
    テクノロジーの進化の早さは指数関数的に伸びており、人間が調整可能な範囲を超えているため、人間の雇用を奪っていく。
    自動運転、翻訳。
    複雑なパターン認識での進化のスピードも加速している。

    人間が機械と共存するには、
    組織革新と人的資源への投資。
    組み合わせによる新規市場・ビジネスモデルの創出、人的資源を育てる教育の革新が求められる。

    "
    分散するのは時間や場所など特定の状況に関する知識である。十分に活用されていない機械を見つけて利用すること、もっとうまく活用できる人材やスキルを発掘して生かすこと、供給が途絶えたときに使える余剰在庫の存在を知っておくことなどは、

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    2015年05月13日
  • ファスト&スロー (下)

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    下巻では、上巻で述べられた認知バイアスのフレームを受けてさらに議論が進み、一般的傾向としての「自信過剰」の問題と、実はそれが資本主義の原動力になっていることや、計画の錯誤、保有効果、稀少確率の過大評価、メンタル・アカウンティング、感情フレーミング、「経験する自己」と「記憶する自己」の2つの自己、物語として記憶される人生、幸福の基準などなど、どれをとっても興味深い話題がてんこ盛り。おもしろくて最後まで一気に読み通しましたが、読み流して終えてしまうにはもったいない深い話ばかりでした。
    この手の話題は、年齢を重ね、経験を経るに連れて一層理解が深まるように思いますし、いずれ時間を経てぜひまた読み返して

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    2015年03月17日
  • ファスト&スロー (上)

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    元々行動経済学は非常に興味を持っていた分野で、その創設者でノーベル経済学賞受賞者のカーネマン自身の書いた本ということで、非常に期待を持って読み始めましたが、期待に違わぬ面白さ。長い本でしたが、一気に読み通しました。上巻の第1章では、この本の表題になっている「速い思考」(直感)と「遅い思考」(熟考)の特性や意思決定における役割などが述べられていましたが、これは行動経済学の文脈ではこれまであまり聞いたことがなく、興味深く読みました。
    第2章のヒューリスティクスとバイアスはこれまでたっぷり読んできた話でしたが、これまであまり知らなかった例や考え方も豊富に取り上げられており、こちらも勉強になりました。

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    2015年03月17日
  • ファスト&スロー (下)

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    著者ダニエル・カールマンは2002年のノーベル経済学賞を受賞した心理学者である。
    本書は氏の研究業績が上下2冊に収められており、下巻は「自信過剰」「選択」「二つの自己」の3テーマからなる。いずれも、経済学が想定する合理的な「エコン」と現実の「ヒューマン」がとる行動の違いを解き明かしている。

    「エコン」は自信過剰にならないし、矛盾する選択もしないし、自己は一つである。すなわち、エコンは一貫性がある。
    だがヒューマンは一貫性をもたない。どういった場合に一貫性が損なわれやすくなるのかを、本書は様々な実験結果を踏まえて解説する。

    ・自信過剰が起こるのは、不都合な要因の過小評価・手持ちの情報の過大評

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    2015年02月07日
  • ファスト&スロー (下)

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    著者のノーベル賞に繋がったプロスペクト理論についても登場する下巻。下巻は特に意思決定におけるバイアスの除去について重要な知見を与えてくれます。経営者、実業家、会社の幹部の人たちは当然知っておくべき知識だと思いますが、あまり浸透していないのかな。

    逆に広告代理店や弁護士、代議士なんかは、この辺りの知識を巧みに使って商売してるのだから、世の中ちょっと怖いな、と思いました。つまり、バイアスを避けるためではなく、意図的にバイアスの罠にハメるような応用しかされていない。ちょっと表現を変えるだけで、一般人の判断を麻痺させる事ができるわけだから、ちょっとした殺戮器官ですよね。

    それこそ義務教育で主要科目

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    2015年01月23日
  • 機械との競争

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    [並走から、追い抜きへ]企業が莫大な利益を得る中で、雇用者数の改善が一向に見られない状況に目をつけた著者は、経済と技術の相関に目をつける。そして、雇用者数の改善が見られない理由を、技術のあまりにも急速すぎる発展にあるとし、多くの労働が機械にとって代えられるという事態が既に起こりつつあることに気づく......。ディストピアのような話が現実に生じていることを鋭く指摘した警句の書です。著者は、米国のマサチューセッツ工科大学に務めるエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィー。訳者は、経済関係の著書の翻訳に定評のある村井章子。原題は、「Race against the Machine」。

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    2014年10月20日