村井章子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とても素晴らしい本だった。
できるところから実践していきたい。
・実績と昇進は関係ない
・上へ行くためには、上の人に存在を知らせ、評価してもらわなければならない
・自分が階層の頂点でない限り、上には必ず誰かがいる。したがって大事なのは、上の人間があなたの昇進を望むように持っていくことである。
・将来の目標達成のために自分を変える
・組織内のパワーポリティクスを理解する
・7つの資質:①決意、②エネルギー、③集中、④自己省察、⑤自信、⑥共感力、⑦闘争心
・自分は優秀だと思い込むと自信過剰になり、ひいては傲慢になりやすい
・キャリアをスタートさせるときには、やりたいことを臆せず要求する意思と、自分を「その他大勢」から際立たせる演出力がモノを言う。
・何かを頼んだときに想定し得る最悪の結果は、断られること。断られたところで、どうと言うのだ。初めから頼まない場合と同じ結果になるだけではないか。
・あなたを昇進させるかどうかは誰かが決める。その誰かに選ばれるためには、あなたの存在に気づいてもらわなければならない。
・目指すべきポストがあれば、「その仕事には自分が最もふさわしい。皆さんは私を必要としている。」ぐらいのことを言うべきである。
・他人があなたをどう思うかなどあまり気にせず、欲しいもの、必要なものはとりあえず頼んでみよう。
・就職という人生の一大事が外見や演出で決まるのはどう考えてもおかしいが、世の中は正しいことばかりではない。
・失望よりも怒りを表す人間の方が、権力の座にふさわしいと見なされる傾向がある。
・まだそれほど偉大ではないのに、そんなに謙遜することはない
・強い立場にいる側が一段と優位に立つときの常套手段は、相手がつゆほども疑っていない基本的前提に疑義を提出すること
・すぐに立ち上がる:捲土重来を期すためには、自分を責めるのをやめなければいけない。敵をつけ上がらせてはいけない。手をこまねいていると、世間から失敗者の烙印を押されかねない。
・内心は不安でも自信があるようにふるまう術を身につけることは、とても大切。
・挑戦しなければ、絶対に成功しない。
・結局のところ、世界は常に公平なわけではない。だから、自分の高潔な人格や卓越した実力だけで上に行けると考えるのは、やめた方が良い。人間は勝ち馬に乗りたがるものである。あなたから階段を上ろうとしないなら、誰も後押しはしない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ蒸気機関が馬の仕事を奪ったように、コンピュータが人間の仕事を奪うのか?
最近特に興味を持っているテーマなので読んでみました。
同じく興味を持っている人にはおすすめの本です。
本書では、肉体労働が機械に置き換わった産業革命を「ファーストマシンエイジ」、知的労働がコンピュータに置き換わる近い将来を「セカンドマシンエイジ」として、セカンドマシンエイジではどんな世界(経済など)になっているかについて言及しています。
・生活の豊かさは現在のGDPや生産性統計では計れなくなる
・定型的な仕事は肉体労働、知的労働によらず激減
・否定型的な知的労働(アナリストなど)、肉体労働(美容院など)は増加
・勝者総取り市場の増加
・標準分布(一億総中流)からべき分布へ
<個人への提言>
・人間の比較優位性を探せ(発想、認知、コミュニケーション能力)
・教育の見直し。読み書き数学から発想力、パターン認識能力、高度な -
Posted by ブクログ
ネタバレ「テクノロジー失業」
テクノロジーの進化の早さは指数関数的に伸びており、人間が調整可能な範囲を超えているため、人間の雇用を奪っていく。
自動運転、翻訳。
複雑なパターン認識での進化のスピードも加速している。
人間が機械と共存するには、
組織革新と人的資源への投資。
組み合わせによる新規市場・ビジネスモデルの創出、人的資源を育てる教育の革新が求められる。
"
分散するのは時間や場所など特定の状況に関する知識である。十分に活用されていない機械を見つけて利用すること、もっとうまく活用できる人材やスキルを発掘して生かすこと、供給が途絶えたときに使える余剰在庫の存在を知っておくことなどは、優れた新技術に関する知識と同じくらい、社会にとって役立つものである。
「組み合わせ爆発」は指数関数的な上回る数少ない数学関数の一つである。このことから、組み合わせによるイノベーションは、創意工夫によって人間が競争にとどまる最高の方法だと言えよう。
生産性の向上に教育は飛び抜けて重要な貢献を果たすにもかかわらず、教育そのものの生産性を計測する系統的な試みはほとんど行われていない。
" -
Posted by ブクログ
下巻では、上巻で述べられた認知バイアスのフレームを受けてさらに議論が進み、一般的傾向としての「自信過剰」の問題と、実はそれが資本主義の原動力になっていることや、計画の錯誤、保有効果、稀少確率の過大評価、メンタル・アカウンティング、感情フレーミング、「経験する自己」と「記憶する自己」の2つの自己、物語として記憶される人生、幸福の基準などなど、どれをとっても興味深い話題がてんこ盛り。おもしろくて最後まで一気に読み通しましたが、読み流して終えてしまうにはもったいない深い話ばかりでした。
この手の話題は、年齢を重ね、経験を経るに連れて一層理解が深まるように思いますし、いずれ時間を経てぜひまた読み返してみたい本だと思います。 -
Posted by ブクログ
著者ダニエル・カールマンは2002年のノーベル経済学賞を受賞した心理学者である。
本書は氏の研究業績が上下2冊に収められており、下巻は「自信過剰」「選択」「二つの自己」の3テーマからなる。いずれも、経済学が想定する合理的な「エコン」と現実の「ヒューマン」がとる行動の違いを解き明かしている。
「エコン」は自信過剰にならないし、矛盾する選択もしないし、自己は一つである。すなわち、エコンは一貫性がある。
だがヒューマンは一貫性をもたない。どういった場合に一貫性が損なわれやすくなるのかを、本書は様々な実験結果を踏まえて解説する。
・自信過剰が起こるのは、不都合な要因の過小評価・手持ちの情報の過大評価をするから
・同じ質問も表現を変えるだけで矛盾する選択を誘導できる。多くの場合、選択した当人は矛盾に気付かない
・ある体験から生じる「幸福感」は、体験を通じてもっとも幸せだったときのピーク値と、体験を終えたときの程度で決まる。持続時間は関係ない。
また「幸せ」はさまざまな意味をもつので、人生の一つ一つのできごとにおける満足と、全体としての幸福感の評価は別物である。
本書を読みながら自分の行動を振り返ってみたとき、著者が「矛盾」と指摘する選択を自分自身がとっていることに気付かされる。
自分としてはその選択はごく自然な選択であり、合理的に判断したつもりであったにも関わらずだ。
本書は研究業績の総括である。ノウハウ本ではない。したがって、本書を読めば合理的な判断ができるようになるものではない。
とはいえ自分の思考を客観視する手がかりがたくさんある。また、思考のフレームワークを作る手がかりにもなる。 -
Posted by ブクログ
著者のノーベル賞に繋がったプロスペクト理論についても登場する下巻。下巻は特に意思決定におけるバイアスの除去について重要な知見を与えてくれます。経営者、実業家、会社の幹部の人たちは当然知っておくべき知識だと思いますが、あまり浸透していないのかな。
逆に広告代理店や弁護士、代議士なんかは、この辺りの知識を巧みに使って商売してるのだから、世の中ちょっと怖いな、と思いました。つまり、バイアスを避けるためではなく、意図的にバイアスの罠にハメるような応用しかされていない。ちょっと表現を変えるだけで、一般人の判断を麻痺させる事ができるわけだから、ちょっとした殺戮器官ですよね。
それこそ義務教育で主要科目として教えておかないと、まともな民主主義は機能しないな、と思いました。 -
Posted by ブクログ
[並走から、追い抜きへ]企業が莫大な利益を得る中で、雇用者数の改善が一向に見られない状況に目をつけた著者は、経済と技術の相関に目をつける。そして、雇用者数の改善が見られない理由を、技術のあまりにも急速すぎる発展にあるとし、多くの労働が機械にとって代えられるという事態が既に起こりつつあることに気づく......。ディストピアのような話が現実に生じていることを鋭く指摘した警句の書です。著者は、米国のマサチューセッツ工科大学に務めるエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィー。訳者は、経済関係の著書の翻訳に定評のある村井章子。原題は、「Race against the Machine」。
機械が人間の労働にとって代わる事態が起きているという指摘に、「ホントかよ?」と疑問符つきで読み始めたのですが、読み進めていくうちに「ホントかよ!」と驚かされずにはいられませんでした。実証的なデータを示していますので、極端ながらも説得力のある帰結に読者は真剣にならざるを得なくなるはず。大著ではありませんが、その分研ぎすまされているようで、惹き付けられるものがありました。
その一方で、著者の二人があくまでテクノロジーは良いものであるという立場を崩していない点が印象的。大胆に途方もない現実を突きつけておきながら、その現実を凛々しく越えていこうとする研究者の態度に、知的な強さを感じることもできた作品でした。
〜言い換えれば、多くの労働者がテクノロジーとの競争に負けているのである。〜
将来のことはよくわかりませんが☆5つ -
Posted by ブクログ
エコン(合理的経済人)とヒューマン。
80%の確率で100万円•20%は0円と、確実に46万円もらえるのとどっちがいい?という時、エコンは期待値が高い前者を選び、ヒューマンは後者を選ぶ。
前提が違うのは、経済学と心理学という分野の違いだと思うけど、学生の時はエコンに固執していたなあ。ヒューマンという考え方でもう一度あの題材を取り扱ってみたい。
また、公正性に対して参照点があるというのも興味深い。10ドルのスコップが売っていて、大雪の日に需要が上がるから15ドルにした。エコンは正しいと考えるが、ヒューマンは不公正と考える。
さらに、10ドルで雇っていたバイトの給料を、失業者がたくさん出た際に7ドルに下げるのは不公正と考えるが、そのバイトではなく新規バイトを7ドルで雇うのは公正とする。参照点を何にするかは大切。
企業も、社員の給料を下げたい場合は、今いる人は据え置きで、次に入社してくる人や中途採用者の給料を下げた状態で雇うのが反発は少ない。
利得と損失では、損失への効用は利得の2倍。
テロは利用可能の連鎖を引き起こす。統計的に無視できる確率であったとしても。
ヒューマンは、合理的な判断をしていると考えていても、実は損失回避性が働き、適切な判断が出来ていないことがある。
個々の判断よりも総和で考えるほうが、期待値は高くなる。
サンクコストはサンクコスト。現状で最善の選択をすることが必要。赤で終わりたくないとか、気質効果まんまだよね。
大事なのは並列評価だ。単独評価では回答が変わってくる。
宝くじが300円で、期待値は145円だから、「1550円損する宝くじを買うかどうか」という質問にも置き換えられる。ぷぷっ。
燃費と環境問題もそう。リッター18kmを25kmにする努力よりも、リッター5kmの車を10kmの車に交換するような施策の方が効果があるかも。まあ、どれくらい使われているかという前提次第だけど。
訳がうまいのもあって、スラスラ読めるし、読むと賢くなった気にさせる良書でした。 -
Posted by ブクログ
下巻では2つの人種と2つの自己が語られる。2つの人種とは、理論の世界に住む、経済学に登場する合理的な存在のエコンと現実の世界に住む、行動経済学に登場する合理的ではない存在のヒューマン。2つの自己とは、現実を生きる「経験する自己」と記録をとり選択をする「記憶する自己」。
直感や計画の錯誤、楽観主義によって、大抵予測は外れる。この話は上巻の、システム1,2の続きだ。
そこから、従来の経済学よりも現実に則したプロスペクト理論が説明される。効用は参照点からの変化に影響され、さらに損失は利得より強く感じられる。保有効果や損失回避、単独評価と並列評価が不一致する選好の逆転などにより、人間はエコンのように合理的にはなれない。
また人間には記憶する自己を過大評価し、エンディングの記憶が幸福度の評価になりやすい。このように人の心理に従って正しく幸福の計測値を図ることは、政策などにも関わってくる。 -
Posted by ブクログ
産業革命が進展していた頃、機械に職を奪われるという危機感を頂いた労働者が織物機を破壊した事件(ラッダイト運動)については歴史の授業で習ったが、いまやICTが職を代替する時代になっているということを各種分析を根拠に解説している。「平均的な人間の大多数が従事している仕事については機械がこなせるようになるだろう。そしてその人達は新たな職を見つけることはできまい」「この時代は大不況でも大停滞でもない。大再構築である」
一方、機械ができない仕事は、クリエイティブな仕事とプロフェッショナルな仕事。起業家が作り出す新たな付加価値によって新たな雇用が生まれるということであり、そのための教育や制度作りを一層加速するべきという主張。これが米国の学者の書籍であることに驚く。米国に於けるこういう仕組みは最先端と思っていたがその米国でさえ危機感を頂いている。いわんや日本においておや・・・。 -
Posted by ブクログ
1929年10月24日にニューヨーク証券取引所で株価が大暴落。
その後、世界規模の恐慌へと発展した。
原書が出版されたのが1954年。
しかし、まるっきり古さを感じさせない。
まるでつい最近起きた出来事のように、
よくここまで当時の世相や情勢を調べたものだと驚かさせる。
世界金融危機が現在進行中だけに、単なる昔の出来事では済まされない。
ところどころにうかがえる著者のピリッと辛口のユーモアも見逃せない。
この本が堅苦しい経済学の教科書と一線を画している重要な要素といっていい。
もし、ユーモアのセンスをあまり理解できない大学のセンセイが、
この本の翻訳を担当したらどうなっていただろう?
何を言わんやである。
専業の翻訳業の方を起用した出版社の勝利。
ユーモアもきちんとわかった上で訳されているから、
生き生きした日本語になっている。
一昔前だったら、
この手のノンフィクションは大学のセンセイが片手間のアルバイトで翻訳するのが相場と決まっていた。
つくづくいい時代になったと思う。
活字離れなんてもったいないですぜ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「エコン」と「ヒューマン」についてはあまり興味を抱かなかったが、「二つの自己」はストライクだった。経験と記憶がどのように相互関係にあるのか、その特徴がよくわかる。
巻末の論文の資料価値も高い。
〈スキル習得の基本条件〉
①十分に予見可能な規則性を備えた環境であること
②長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること
→この二つがあれば直感はスキルとして習得可能である。まず規則性を見いだすこと、その上でその規則性を学ぶコンテンツを作成することが重要だ。
楽観バイアスは、認知バイアスの最も顕著なもの。人は自分の立てた目標は実際以上に達成可能だと思い込む。
行動して生み出された結果に対しては、行動せずに同じ結果になった場合よりも、強い感情反応が生まれやすい。後悔も含めて。
「フレーミング効果」
問題の提示の仕方が考えや選好に不合理な影響を及ぼす現象
〈経験と記憶〉
記憶の特徴は、「ピークエンドの法則」と「持続時間の無視」。
経験と記憶を混同するのは認知的錯覚。
過去から学んだことは将来の記憶の質を最大限に高めるために使われ、必ずしも将来の経験の質を高めるとは限らない。
きっと記憶に残るだろうと感じられる経験は、そうでない経験より大きな重みと意味を獲得する。
「焦点錯覚」
そのとき注意が向けられていた生活の一要素が、総合評価に置いて不相応に大きな位置を占めることになる。
システム1に起因するエラー防ぐには、認知的な地雷原に入り込んでいる兆候を見落とさず、思考をスローダウンさせ、システム2の応援を求める。 -
Posted by ブクログ
「テロは、利用可能性の連鎖を引き起こすのである。」
認識としての直感は、たとえば消防士がなんとなく危険だと思う場所を避けた次の瞬間に爆発した、というようなものである。これは奇跡的に分かったのではなく、今までの経験と新しい現場に向かう最中の思考実験によって認識されたものであるので、奇跡ではない。
分母の無視:確率で事象を現すように、何人中何人が、と表すことで低い確率のものをより深刻に考えさせることができる。
貧しければみじめ:貧しい人は裕福な人よりも生活に満足を感じていない(=幸福度が低い)、しかし、ある程度の裕福度に達すると、そこから先はより幸福になれるわけではない。換言すれば、幸福はある程度お金で買える。
死亡前死因分析は面白い! -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻では、システム1と2という2つの脳の働き(キャラクター)の違いと、それによる錯誤のメカニズムについて書かれていました。下巻では、さらに2種類の対比するキャラクターが出てきます。経済学で前提される合理的な人間(エコン)と、現実の間違いも犯す人間(ヒューマン)。経験する自己と記憶する自己。
これらのキャラクターの説明を通して、人間が何故、時として重大な間違いを犯すのかが書かれています。
最後にその間違いを重大なものに発展させない、政策や意思決定の可能性があるということ。それは個人では不可能に近いが、組織で行えば比較的可能であることが提案されています。
「なんでこんなことをしたのか?」という他人の行動を、もう少し近づいて考えることが必要で、人は全体で考えて幸せになる生き物なのだと考えさせられました。 -
Posted by ブクログ
下巻では、まず行動経済学として知られることになった人間の選択行動について論じられている。さらに、二つの自己として、経験する自己と記憶する自己の違い、苦痛や幸福の評価軸の違い、について論じられている。双方とも興味深いテーマである。
第四部は経済的合理人である「エコン」に対して、系統的に誤る「ヒューマン」を対峙させる。この議論が、行動経済学の名で知られる意志決定に関する理論である。プロスペクト理論という名前でも有名で、S字を描く価値関数のグラフで知られている。人の選択において「参照点」「感応度逓減性」「損失回避」の特性を考慮すべきとされている。いったん保有するとその価値以上に手放すことを忌避する傾向「保有効果」も有名だ。
たとえば、同じ金額であっても選択にあたっては、変化の絶対値よりも割合の方を重視するとか、得る方よりも失う方を重視するというものだ。これらは「システム1」の特質から導き出せる。期待値よりもリスクを嫌う、変化の大きさに反応する、ということが人が適者生存の過程で生き残るにおいて有利に働いたということだ。言われてみればそうだよなというものだが、慎重にデザインされた実験から導き出されたのは最近の研究からだ。この辺りの議論は、本書でも何度も取上げられているがセイラーとサンスティーンの『実践行動経済学』と合わせて読むとよいだろう。
めったに起りそうもないことに対して過大な重みづけをすることも知られているが、「システム1」で解釈可能とされる。質問の表現の仕方(「10%が死ぬ」か「90%が生き残る」か等)で選好が大きく変化することを示したフレーミング理論も行動経済学の大きな功績とされている。
これらの選好に関する結論だけでなく、その結果が導き出される実験についても解説が詳しい。本書が長くなっている原因でもあるのだが、非常に重要なポイントでもある。
第五部は、「経験する自己」と「記憶する自己」の話。
記憶に基づく評価はピーク時と終了時で決定され、その持続時間には影響されないというものである(持続時間の無視とピーク・エンドの法則)。つまり、記憶されるものは経験されたものと同じではないということである。記憶する自己自体は「システム2」の産物かもしれないが、その快楽の評価は「システム1」から来るものである。それは記憶というものが何のために進化の過程で獲得されたのかをも示している。
まとめると、これらのことを「システム1」と「システム2」という仮説モデルにて説明したのが、本書である。ある分野の活性化など脳神経学の知見にも一部言及されているが、今後より具体的な研究が進む分野となるだろう。コールドウェルの『価格の心理学』でも参照されているが、実際のビジネスや政策にも適用される分野で広がりが期待できる。
改めて、細かいところは飛ばしてもいいので、読むべき本。