syo5のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
その前の話もその後の話も、本筋とは違う番外編ぐらいの受け取り方で読む本。
神も相関図もわからなくなっていて、この作品だけだとこんがらがってわからなくなる。人と関わるためにというか人を知ったことによる小狡さとか、不器用さみたいな部分が多く見えて、本筋で言う人が勝手に受け取った、又は人なんか知ったこっちゃねえ神の悪意とかは無く、ほのぼのとしたやっぱり番外編。
豊穣の神と曳手の神が、この世界でいうところの神の在り方みたいなのが見えて、生贄を喰らおうとする神か、人の営みがあるからいる神か、人の営みに寄り添いすぎて削られた神か、そんな立ち位置が見えた気がする。 -
Posted by ブクログ
伝承や口承などの民俗学を舞台に描かれる「やおろずの神」はどこか柳田国男の『遠野物語』を彷彿させる。
領怪神犯で描かれる描写はページを捲る度にじめっとした纏わり付くような闇や雰囲気が、うすら寒く、おどろおどろしさを感じさせるも、怖いもの見たさで物語の行き先が気になってしまう。対峙するわけでもなくただ調査で終ってしまうところはどこか「触らぬ神に祟りなし」というように神の畏怖、畏敬の念を感じさせる。
ただ今はなにもしないという決断は、この物語の未来、結末への伏線なのかもしれない。
なかでも「ひとつずつ降りてくる神」のビジュアルのインパクトはアニメ『進撃の巨人』も顔負け、エレンやミカサが駆逐した巨人の一部のようだ。
本当に怖いのは神の神威より人間の業や毒、口承や伝承を自分達の都合の良い間違った形で伝えられたり、過度な神様への期待が人間のみならず神様さえ歪めていってしまい、村人達の同調圧力、薄ら笑いの描写には背筋がゾッとしてしまう。
主人公の片岸の追う妻・実咲の謎、部下の宮木のミステリアスな過去が、より一層物語を逃れられない深淵へと引きずり込んでいく構成と、最後の宮木の「今昭和何年でしたっけ?」この台詞とその答えに畏怖の念と好奇心をそそられてしまう。
この『令和の遠野物語』は今までの神様に対する概念を覆す物語だ -
Posted by ブクログ
最後の医者シリーズ二作目の上下巻のうちの上巻。前作『最後の医者は桜を見上げて君を想う』のその後の時間軸を描く医療小説です。
前作、とある大病院で働く二人の医師は、院長の意向を無視してと一人の患者の手術を行った。院長の怒りは深く、院長の息子であり副院長でもある福原は、病院内で孤立し、担当科での診療も手術も関わることができない状況に追い込まれていた。また、もう一人の医師である桐子は病院をクビになり、路地の雑居ビルで桐子医院なる診療所を開くことに。ある日、暇を持て余していた福原のところに、指名で感染症患者がやってくる。聞けば、彼女は付き合っていた彼氏からHIVを移されたようだ。HIV感染=エイズだと思っていた彼女は、HIVについての最新の知識を福原から授けられ、前に進むことを決意する。一方、桐子の元に訪れたのは彼氏の方。HIVへの偏見や偏った認識、元々の病院嫌いも相まって診察を拒むも、とにかく職場の店長に報告するために『風邪』と診断書を書いてほしいとやってきた。桐子は無理に診察を進めようとはせず、彼の様子を見守ることに決めるが。
前作は衝撃作でした。二人の医師のスタンスの違いもさることながら、『生』とは何か、何をもって『死』というのか、生き方を選ぶこと、もしくは死に方を選ぶことは、本当はどういうことなのか、そんな問いを何度もぶつけられる一冊でした。
今作も、第一章は立場の違う方向から二人の医師はそれぞれの患者を通してHIV感染者、そしてエイズ患者に向き合う形で物語が進みます。あまりに対照的に明暗が分かれてしまい、最後には取り返しのつかない状況になってしまったことが哀れです。
知りたくない、知らないままでいたいと思うことも、あるのかもしれません。けれど、知りたいと思ったなら知った先の結果を、知らないままでいたいと思ったなら知らなかった先の結果を、受け入れなくてはならないのだと思います。人生は選択の連続で、選択しなかった先の結果は得ることができないのが道理です。私は、彼氏さんの方の理屈はどうにも理解ができなかったのですが、そういう考え方をする人もいるのでしょうね。私だったら、本当の答えを知らずにずっと怖い思いをするくらいなら、いっそ一思いにばっさりと引導を渡してほしいと思ってしまいます。それでも最後、何かが見つかったならいいとも、思ってしまうお話でした。
上下巻なのに第二章の途中で下巻に続く、となると思っていなかったので、このまま続けて下巻を読んでいこうと思います。年末の大掃除をしながらのオーディブル読書、はかどりそうです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「カフネ」と「金環日蝕」が面白かったので読みました。
夏に公開されるアニメ映画化っぽい…と思いました(七緒のCVはきっと花澤香菜)。
七緒とたまきの対決シーンが印象的でした。
「そんなの、好きって言わない」はちょっと言葉が強いのでは、と思いましたが
「自分のしたことに好きって言葉をつけ足して、まるで仕方なかったことみたいに話すのはやめて」って台詞は正論すぎてぐうの音も出ない…。ハッとしました。
主義主張がはっきりしててカッコいいです。
良い教師になっただろうなあと思います。
序盤から登場していた十六代校長が七緒だったとは。ミステリ要素が入ってくるのが楽しい作家さんだなと思います。
最後は2人は別々の時代を生きることになりましたが、私は好きなラストでした。
「あなたが笑っていてくれたら、もう、ほかに望むものはない」
亡くなっていたのは残念でしたが、七緒のほとんど最期のメッセージは、あなたをずっと大切に思う私がいるよ、応援してるよ、という和希へのエールになるだろうなあと思います。
手紙が和希に届いてよかったです。
細かい描写や伏線が丁寧に回収され、疑問の残らないきれいな畳み方だったと思います。
仁科先生と高津、幹也と和希、ヨシキとたまきの話はまだまだ膨らませられると思うので、続編に期待です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ阿部暁子さんの作品。
仙台の大学に通う支倉 爽太は、人には言えない過去を抱えていました。小学校三年生のとき、溺れたことがきっかけとなり、なんと遠い未来――2070年の世界へ時間を超えて迷い込んでしまったのです。現代に戻った後も、その「未来で助けてくれた女性」のことを忘れられず、大学とアルバイトに明け暮れていました。
あるとき、爽太はアルバイトを通じて知り合った青年の八宮 和希と親しくなります。和希はある日、爽太にこう言います――「おれは、過去から来た人に会ったことがある」。この言葉をきっかけに、爽太の“過去/未来”という時間を超えた記憶と、和希と結びつく“今”の出来事が交錯し始めます。
前作の『どこよりと遠い場所にいる君へ』の続編となります。でもわたしは前作より好きかな。
やっぱりタイムトラベルもののラブロマンスは、時空の旅の果ての後でふたりが結ばれる話が良いです。そして、この話のヒロインである五鈴の気持ちも痛いほど伝わってくるから。
読み終わってからタイトルを味わうと感慨深いです。『また君と出会う未来のために』。