syo5のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった。
自分もいつ癌になってもおかしくない年齢だけど、どこまで治療するかっていう問題は真剣に考えないといけないなと思った。
どんな時でも奇跡を諦めない熱血医師と、ただ冷静に事実だけを伝える死神と言われる医師。
そしてその間で患者と一緒に迷い、寄り添う医師。
3人ともが患者のことを第一に考えているのが興味深くて少し切ない。
昔、「振り返れば奴がいる」っていうドラマあったなぁ。
そのことを思い出した。
しかし、最後桐子には迷ってほしくなかったな。
本人が言っていたように、そこで迷うのは今までの患者さんに対しても失礼に当たるのではないかと思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
とある病院で意見が対立する2 人の医師。
副院長であり、奇跡を信じて患者の「生」を諦めない福原と、「死」を受け入れ残りの人生をどう過ごすか考えることを患者に促す桐子。
自分の正しさを疑わない2人を、2人の同期である音山はなんとか取り持とうとする。
3人の医師を軸に、様々な患者がどんな決断をしてどう生き、そしてどんな最期を迎えるのか。
この作品に登場する患者さん一人一人の闘病の様子は、読んでいて苦しくなるものだった。
これから先も普通に続いていくと思っていた人生が突如崩れ始め、そういった状況で様々な選択を自分でしなければいけない戸惑いや苦しさ、闘病の大変さがリアルに丁寧に描かれていたからだ。
また、この作品の大きな軸である福原と桐子は、どちらも正しいことは言っているし患者のためを思っていることは伝わるのだけれども、どこか絶妙にそのやり方で良いんだろうか、とモヤモヤを感じさせる部分がある。
そんななかで、悩みながら患者と向き合う音山の人間らしさが際立っていて、音山自身が医者になってやりたかったことに気づく場面は特に印象的だった。
福原と桐子がこれからどうやってお互いと、そして患者と向き合っていくのか、今後のシリーズ作品をしっかりと見届けたいと感じた。 -
Posted by ブクログ
「最後の医者シリーズ」第三弾
前作、前前作を読んだのが3年前でしたが、その時の感動までは至らなかった。
どちらかというと哀しく、厳しいストーリ展開でした。
残された者たちの再生の物語。
クリスマスに、藍香の夫が劇症型心筋炎で緊急搬送。担当医となった福原は必至の治療を行いますが、結局は亡くなってしまいます。
愛する人を失った藍香の悲しみ。
立ち直れないほどの辛さ。
愛する人をいきなり失ってしまうとそうなるんだろうな。と思います。
さらに、救うことが出来なかった福原も手術が出来なくなってしまい、失踪。
前作での福原ってスーパードクターというイメージでしたが、今回、彼の弱さを知ることになります。
今までの苦労も語られていきます。
この二人はそれぞれ乗り越えることができるのか?
藍香のパートと福原のパートが交互に語られていきます。
藍香にはチャラ男の尋が献身的な愛で彼女を救っていくことに。
ここまで献身的にはなれないなぁ。
さらに、福原には親友の桐子。
桐子の福原への想いも温かい。
人は一人では生きていない。誰かが支えてくれている。
そんな想いを感じられる物語でした。
とってもお勧めですが、1作目から読みましょう! -
Posted by ブクログ
最後の医者シリーズ二作目の上下巻のうちの下巻。桐子と福原、二人の医師の因縁を読み解いていく医療小説です。
上巻で途切れた第二章の続きから。子どもの頃の桐子はアレルギー体質で、強い発作を起こしては入院を繰り返していた。そんな自分の身体のことを諦めてしまっていた桐子は、隣のベッドに入院してきた女性と会話するうちに段々考えが揺らいでいく。その女性こそ、子どもの頃の福原の母親だった。第三章は、第二章で描かれた風景を元に更に先の時間軸を描く。外れ者にされていた副院長である福原の前に、突如として出現した事態。院長であり父親でもある男が、倒れたという知らせ。脳卒中で倒れた後、認知症を発症した父親の主治医として福原は桐子を呼び寄せる。とにかく何もしなくていいから楽に死なせてやってくれと福原は桐子に望むのだが。
下巻を読んで思うのは、今作は上巻の第一章だけ趣が違ったなということです。第二章と第三章ははっきりと物語としてつながりがあり、第二章の途中で切るのであればいっそ三作とも一冊にまとめてしまえばよかったのでは、と思ったりもします。
上巻は、なかなか感情移入が難しい部分がありました。が、下巻は考えさせられることが多い内容でした。死を前にして、どのようにその現実に向かっていけるのか、立ち向かうとはどういうことで、受け入れるとはどういうことなのか。現在の桐子の考えにも影響を及ぼした福原の母は、優しくて強い人だったのだなと改めて思います。
そして、福原の父も。認知症がどのような症状を特徴とする病気なのか、知識の上ではわかっていると思っていました。認知症の家族を見てきたし、介護の資格を取った時にも様々に学んだはずだと思っていました。けれど、この話には認知症になった人の目線で世界がどのように見えているのかが描かれる部分があります。ついさっきまで見えていた景色が突然切替わって、わけのわからないことを言われたり、こちらが言っていることが何かわかってもらえなかったり、自分の身体が自分のものでなくなったように思えてしまったり…そんな迷子になったような、何もかも知らない世界に迷い込んでしまったような、不安で恐ろしい体験を何度もしているようなものだとは、あまり認識していませんでした。どんどん過去と現在が混濁していく中で、それだからこそその人の本質が浮き出してくる。とても、切なかったです。
今作は認知症と終末期の医療について、改めて考えさせられた話でした。
桐子と福原という、対照的なようでよく似たところのある二人は、様々な因縁が絡んで関係を築いてきたのだなと感じます。今後このシリーズが続くのであれば、父を亡くしたあとの福原『院長』がどのようにしていくのか、桐子医院がどうなってしまうのかをもう少し見てみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3人の患者の死の中で、異なる思想を持つ2人の医者がどのように振る舞うのか、という物語。
第一章は描かれる患者の死に様が凄絶で物語に引き込まれ、その中で信念を貫いた2人に心揺さぶられた。
第二章では若くして難病に罹ってしまった患者の葛藤もさることながら、2人に影響を受けつつ、自分が彼らのように強く居続けられない存在であることを自覚した上で、自分だからこそできる治療を精一杯行う音山に対し、感情移入せずにはいられなかった。
第三章ではその音山が患者となり、2人の仲を取り持とうとしつつ自身に残された時間をどう生きればいいかについて真剣に考える様が描かれる。同期でもある音山の治療を通して2人はこれまでの信念とは必ずしも一致しない行動を取るが、極端な思想がぶつかり合うのが醍醐味だと感じていただけに少し残念な印象を持ってしまったことも否めない。
もっとも、全体としては読んでよかったと思える物語。今余命宣告されたとして自分は何を考えどんな行動に出るのか、そのときに自分が求めるのは桐子なのか福原なのか、はたまた音山なのか、そんなことを考えるのも楽しかった。
積読がある程度片付いたら続編も読んでみようと思っている。