弘兼憲史のレビュー一覧
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前巻とはガラリと変わって一気に劇画タッチのキナ臭い内容に。出発集団の若手No.1の呼び声高い曽烈生が現れたからだ。彼は表向きは出発集団の若手筆頭株のカリスマ的な社員ではあるが、実は裏の顔を持ちヘロインの密輸に関わっているようだ。お久しぶりのグレちゃん登場。待ってました。部長シリーズの時は丸々出ていなかったのですっかり死んだのかと思っていた(失礼)がご存命で何より。今回も安定した仕事っぷりで貢献する。ここへ来て日本のライバル企業東立も密輸に関わっていることを知った耕作はこの後どのような対応を取るのだろうか?命をかけたやり取りが待っている。サラリーマンと言えども命をかけなければ何も得られないだろうか?典子に骨抜きにされている孫鋭の実力やいかに。今その力が試される。今後は少数精鋭の天才集団が世の中を変えるような仕組みを作る流れになっていくのか?だとすればわれわれ凡人は何をして生きる時代が来るのだろうか?(写真①表の曽烈生)(写真②ウラのラリる曽烈生)(写真③久しぶり登場のちゃんグレこと木暮探偵、実写版なら中野英雄一択の髪型)
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「社長の星春」株式会社フォーイーストは運動靴の分野でシェアトップを誇る一流スポーツメーカーである。その会社の代表取締役社長を務める中津川修三はある日、自分の身一つで築きあげたこの会社がファンド会社によって敵対的買収を仕掛けられたことを知る。実直な人柄と仕事ぶりで今の地位を築いてきた修三はこの会社を守るためTOB(株式公開買付)で対抗する。ちょうどその頃通りがかりで初めて入ったイメクラ風俗店でめぐみと言う女と昵懇になり一息も気が休まらない緊張の毎日を送る修三にとってオアシスのような存在になる。だが結局TOBは思惑通りに進まず、古くからの付き合いのある会社も今回の騒動を静観している。どうやら内部にも裏切者が出たらしい。精根尽きていよいよここまでかと覚悟を決めた時、株を34%取得していたファンドが業界1位のサイキ産業に持株を全て売却した。その結果業界4位のフォーイーストと1位のサイキ産業の経営統合という形で事態は収まったが、実際は最初からフォーイーストの運動靴部門のシェアを狙ったサイキ産業が裏で糸を引いた強引な乗っ取り工作だった。納得のいかない結果に終わった修三だったが、めぐみと深い仲になり人となりを聞くうちにピンと来た。偶然にも(本当に偶然にも)めぐみの父はサイキ産業の社長であった。そんなまさかに驚きながらもその後ひっそりと修三は会社と彼女の前から去る。3年後懇意にしていた職人たちと小さな靴会社を立ち上げていた修三の元にめぐみが結婚の報告に来た。心からお互いの幸せを願って2人はキスをして別れた。「隣の星人」 毎日毎日同じ仕事の繰り返しで倦んでいた片山美波(47)は同僚の小倉かおり(50)に最近アパートの隣りに越してきたうだつのあがらない中年男のことをこきおろして自分たちの不満の日々の溜飲を下げていた。そんなある日隣の男が急病で玄関で倒れているのを発見し介抱したことがきっかけで美波とその男は男女の仲になる。男は見た目こそうだつが上がらないが肉体はかなり鍛え上げられて逞しくセックスも強い。決してロマンティックとはいえないが女の歓びを満たしてくれる男の存在が徐々に大きくなる。その事を何となくかおりには伝えられずにいたが、ある日上司が駅で飛び込み自殺した現場にその男佐藤和夫が居たのを見て、かおりは彼がやったのではないか?彼は殺し屋ではないか?と言う。当然男にその話をしてみても笑って否定されただけだが、事態は急変する。今度はそのかおりが(絶対散歩などしないと普段から公言していたかおりが)散歩中に川から転落して亡くなったのだ。しばらく経ちかおりの兄が遺品を整理した中にあった美波宛ての手紙を読むと、そこには和夫を尾行し名古屋のホームで人を落とす所を目撃したと書いてある。確かにその期間出張で名古屋に行くと言っていた。美波はもう一度本人に問い質すも否定され、証拠に明日会社に付いて来れば良いというので付いていくと(当たり前だが)ちゃんと会社で働いているようだった。やはりミステリー好きのかおりのただの妄想なのか?と思っていたところ和夫から結婚を申し込まれた。慎ましい新居でのささやかな生活を送る2人。そんなある日、駅で和夫が電車を待っていると何者かに背中を押され線路に落とされた。落ちながらも振り返るとそこにはアパートに住んでいた頃に途中で隣りに越して来た大学生の男だった。その瞬間ホームに電車が入ってきた。やはりかおりが言ったように和夫は殺し屋であり、美波との結婚を機に引退したいと組織に申し出たが、その世界の事を知りすぎた男は組織から消されたのだった。という世にも奇妙な物語的なめちゃ怖いオチ。まさに落ち。面白かった。(写真①裸腕立て伏せ)(写真②腹筋ギューンギューン)
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上海で暮らし始めた耕作は徐々に現地での生活にも慣れ中国の実情をおぼろげながらも掴み始めた。それは多くの日本人が10年後20年後まで気づく事が出来なかった残酷な現実である。ようやく目下2019年の現在では当たり前の認識として受け入れられつつあるが(というよりなし崩し的に受け入れざるを得なかった方が正しいが)日本はこのままゆっくりと衰退に向かって行くという現実である。この時期にそれに気づいていた耕作と弘兼先生の慧眼は流石だが、ここからどんな日本になっていくのだろうか。おそらくこのまま日本は観光立国を目指し外国人を受け入れ、徐々にその外圧に押される形で日本としての個性を変貌させつつ折衷しながら新たな精神面での、また文化面での最高峰なものを生み出すフロンティア国家を目指すのではないか。世界の行先のキャスティングボードを握る哲人国家を。だが実際は衰退の一途を辿るかも知れない。悲観的に過ぎるかも知れないがそれ以上の悲惨な現実がやって来るかも知れない。歴史上日本が中国を上回っていたのは直近の200年間だけである。あとはうまく付き合っていくしかないだろう。それはともかく本編ではなんとあのチャコがヘロインの魔の手に捕まってしまった。賢い人でも一度ハマると抜け出すのは難しいらしい。なんと恐ろしいのか。そしてまだまだ闇社会が蔓延っている中国の現実。日本を同じようなシン・シティやゴッサムシティにしてはならない。
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課長→部長ときてこれでついに3役職目に突入。「取締役島耕作」2002年当時。日本社会はいまだ不況が続き年間自殺者数が3万人を超える「失われた20年」の真っただ中に居る島耕作と日本。当然といえば当然ではあるが、このタイミングで周りにも色々な変化があった。大泉会長夫人が亡くなり、大町久美子が日本に戻ってきた。色々あった今野さん(ほんとに色々あった)が引退し、だが最後の出勤日にスポーツカーで出迎える粋なサプライズをするのはさすが島耕作。(何故スポーツカー?とは思ったが…)利害関係を行動の規範にしていたら絶対この判断にはならない。とても見習いたい人として大事なところ(それゆえなかなか難しいのだが)だ。耕作に付きまとっていた?千鶴の結婚と耕作自身の福岡から上海への転勤。かつ子との二度目にしておそらく今生で最後の別れ。滑稽な「にわか面」が余計に物悲しくさせる。(写真①)かつ子とは来世で結ばれて欲しい。辺見さんならきっと幸せにしてくれそうだが…日本料理の料理人は何故か一途に見える。チャコだけは上海について来た。これからまた新しい街と人種さえちがう社会と会社のなかで「取締役」島耕作の闘いの日々が始まる。
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「守護星奇譚」今年で五十歳になる三浦は会社では上司に怒鳴られ家族には邪険にされ生きる楽しみを全く見出せないまま日々を鬱々とした気持ちで過ごしている。全く面白くない日常を少しでも変えようと、ある日通勤路を一本変えて歩いてみた。するとそこで偶然見かけた閑静な住宅街に住む峰岸さんという綺麗な女性に三浦は一目惚れする。ほんのささやかな楽しみを見つけた三浦は日常に少しハリが出るのを感じた。あれだけ気が滅入る上司からの暴言もうまく聞き流せるようになった。そんなある日街中で偶然峰岸さんの姿を見かける。彼女は男とラブホテルへ入っていくところだった。この辺りは街娼が立っているところ。まさかと思いまた別の日に行くとそこには派手な格好をした峰岸さんが立っていた。うろたえながらも客として関係を結ぶ三浦。思ってもみない出会いだったが彼女と知り合えたことで毎日はこの上なく楽しいものに変わった。ある日彼女とたわいもない会話をする中でよく見かける船に乗ったジイさんの話をすると峰岸さんはその人を見てみたいと言う。そのジイさんの姿を見た峰岸さんは一言あれは死に神だという。不幸な空気を出している人間に近づきその人間を死へと誘うのだと。確かに少し前まで鬱々とした気分の時に限ってそのジイさんに会い、そのジイさんと会った後より気分が落ち込んだ。その事を知った三浦は峰岸さんのアドバイス通り死に神が来ても強い態度で跳ね除けるとそれ以来そのジイさんは姿を現さなくなった。いよいよ意を決して自分の気持ちを峰岸さんに伝えると、その気持ちには応えられないと三浦の前から忽然と姿を消す。その後会えない日々が続いていたのだが思わぬところで再会を果たす。それは父の十七回忌で新潟へ帰った時だった。偶然見た先祖の写真の中に峰岸さんは居た。その人は自分の曾祖母のフジという人だった。彼女は三浦の命を守る為に現れた守護霊だったのだ。その事が分かると気持ちが吹っ切れて毎日活き活きと感謝しながら充実した日々を過ごせるようになった。死に神の見た目が完全に普通のジイさんなのに目が黒目がちなのが不意をつかれて怖かった(写真①)微妙な距離感で見つめ合うの怖すぎ「こっちを見てる」の距離感。 (写真②③)たまに街で見かけるこういうジイさんは「死に神」やったんかと思うとかわいいネ。「星を追いかけて」そうかこのタイトルがすでにかかってたんや。しゃれとう。43歳女性タクシードライバーベテラン刑事の不器用な恋。今どき警察の事マッポていう人居らへんよね。
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「輝ける晩星」41歳になって未婚のまま17年間も不倫を続けてきた看護師の井川美智子だったがここへ来て自分は今のままで良いのだろうかと疑問に思うようになっていた。ちょうどその頃、病院に一人の患者が入院し井川はその患者の看護を担当することになる。財界の大物だったらしい患者の曽根はしかし尊大に振る舞う訳でもなく常に上品で紳士的な対応でとても優しく接してくれる。そんな人柄にだんだんと惹かれ出した井川はある日自分が曽根に恋をしていると気づく。そこから曽根の奥さんとの奇妙で静かで(また手前勝手な)三角関係に陥る井川であったがある日曽根の病状が悪化し意識が混濁し物言わぬ人となってしまう。それからあっという間に還らぬ人となってしまったがあの時に反応した「あれ」は何だったんだろうか?と不思議に思う。(写真①黒い影越しの井川美智子)人生はほんとにあっちゅう間、あゝ無情。「薔薇の刺星」若い頃左翼運動に情熱を燃やした男と自ら書いた詩を路上で売っていた女は共に薔薇の刺青を入れる。世間体、地位、欺瞞そういう世界から逃れるために、この刺青が不都合と思われるような世界には生きたくないと男は言い、そんな男に惹かれた女はいつまでも一緒に居たいと願ったがいつの日か男は家を出たきり帰って来なかった。37年ぶりに偶然再会した男と女。リルケの詩と共に薔薇の刺青を見せ合う二人。THE「若気の至り」多かれ少なかれみんながこんな青くさい失敗したことだろう。あの頃歳を取るなんて思いもしなかった。本を読むとバカになるあるいは本を読むとアカになるは本当だと思う。あとはそれを徹底するか否かだ。(写真②若い時の男)(写真③37年後の男)「再会流れ星」度重なる暴力に耐えきれず夫を刺し殺した罪で服役した西本真理はたまたま出所前に聞いたラジオ番組で昔付き合っていた男がもう一度自分と会いたがっていることを知る。あの頃必ず連絡すると言っていたが返事が出来なかったことを後悔していた西本は勇気を出してラジオ局へと赴く。その話を聞いたラジオDJは興味を示し話の相談に乗ってくれた。そのおかげで再会を果たし一時期は順調に行くのかと思ったが女の前科を知るや男は一方的に別れを告げてきた。こんな事ならいっそ初めから出会わなければ良かったと悲しみにくれる西本真理であったが、その話をラジオDJ吹田邦夫に伝えると「今度オレにビーフストロガノフを作ってくれないか?」と誘われた。人生どこでどうなるか分からない、思わぬことがきっかけで良い方に変わることもあるのがまた人生。(写真④吹田邦夫の大ボラワイド)月〜金の午前中の帯番組かな?
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四十年ぶりの同窓会だったー。から始まる一文からは想像もつかない物語へと展開していく「五里霧の星域」。同窓会で四十年ぶりに再会を果たした当時から仲の良かった四人組は、後日都心から離れた場所へゴルフをしに出掛ける。その帰り道突如として立ち込めた深い霧の中に現れた辺鄙な田舎の村に迷い込んでしまう。車を降りて村の中を歩いてみるが何故か人が一人もいない。不気味に感じながらも電波は届かないし霧も晴れないので大事をとってその村で一晩明かすことに。明け方になり人を探すのだがやはり誰もいない。それどころか夜が明けてその街並みが自分たちが子供の頃を過ごした町と全く同じであることに気づく。これは一体どういうことだろうか?訝しく思っていると四人のうちの一人がソ連の映画「惑星ソラリス」の話を始める。「それ」がそこにやってきた人間の潜在意識を実体化することができるという。つまりこの「霧」がひとつの知的生命体で我々が想像したものを現実に見せているという。とても信じられない荒唐無稽な話だが、それが本当かどうか確かめるために四人は自分たちの頭に思い描いたことが現実になるかどうかを試していく。子供の頃に作った秘密基地、子供の頃に食べたお菓子。実際に触れたものや記憶しているものはどうやら本当に具現化するようだ。信じられないがそれが現実に起こっている以上信じるより仕方がない。それだけなら良かったのだが(透明人間になる能力を得た男が必ず女湯をのぞきに行く様に)一人の男が初めてヤった相手を思い浮かべてしまい実際に目の前に現れてしまう。そこから仲の良い四人でもお互い共有していない秘密が次々と暴露され仲違いすることに。一緒にいても揉めるだけだからと四人は離れ一旦そのパートナーとそれぞれに過ごす。昔の淡い青春の時をもう一度体験してみるが、ちょうどその頃その街で起きた凶悪事件の犯人の顔を思い出し召喚してしまう。何とか命からがら逃げおおせた四人が目を覚ますとそこは車の中で実際には二時間しか経過していなかった。それから一か月が経ち不遇の状況に陥った四人のうちの二人はあの霧の中の世界に魅せられて現実逃避をするように自らの足で霧中へ進んでいく。世にも奇妙な物語のようなラストが憎い。(写真①秘密基地15歳でよう作ったなと思うほど立派)(写真②唐津6人殺しの犯人)(写真③カハァ)(写真④首切り)(写真⑤霧中に消える二人)
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「悪霊の星」最近何故か右の肩が重い辻は蕎麦屋で偶然居合わせた霊能者に生き霊が付いていると言われる。そういえば最近立て続けに身の回りで良くないことが起きている。気になった辻は霊能者に助言をもらうことに。曰く「あなたが好いている霊体が生き霊となってあなたに憑いている。だがその霊体とあなたは相性が良くない。だからあなたが今一番好きな女性と別れよ。そうしなければ2人とも不幸になる」と。自分の周りの女性たち。妻、娘二人、愛人二人。誰が一番好きなのか??真剣に問うが分からない。(ここの部分なぜかすごい共感した)ちょうどその頃愛人二人と距離を感じはじめ、辻は"最愛"の人"妻"に別れを告げる。妻からは突然の別れを拒否されるがこれを機にまじめに生きていこうと決心する。ーファミレスにて。妻と霊能者が談笑している。どうやら夫が言い出した肩の凝りに乗じて妻が一芝居打ったようだ。霊能者は彼女の友人の元劇団員。こういう時はいつも女性が一枚上手。かなわない。「初老星春哀歌」TV局の報道番組を作っている三井礼子は最近話題の高齢者によるストーキングについて、その昔自分が高校生の頃50代の男にストーカーされた事を同僚で浮気相手の北村秀夫に話した。その話に興味を示した北村はその男が今どうしているか取材をしようと言いだした。礼子もその話に乗り取材を兼ねた浮気旅行のつもりで岐阜県を訪れるが、当日北村は妻に浮気を突き止められてやって来ない。しょうがなく礼子は一人で地元を訪れるが、調べるとその男は事件の直後に亡くなっていることがわかった。自殺だった。その家には現在、男の息子が住んでいた。こちらが事情を告げる前に、息子が先に気づき謝罪してくる。当時の経緯を残した日記やスケッチブックを見せられてそこに描かれた礼子への純粋な想いを今頃知り礼子は自分でも思ってもみない涙を流す。若かった頃はその一方的な想いにどうすればよかったか分からなかったが、今なら素直に愛情として受け止められる自分がいる。その相手がその想いを継いだ息子であっても。時を経て繋がる不思議な恋。こんなこともあるのかな。「再星エボリューション」都内の閑静な住宅地でリサイクルブティックを営む大城由美。彼女は一度若い時に結婚し離婚したきりで今は独身を貫いている。そんなある日20年前に別れた旦那にそっくりな男が店に現れる。見た目はそっくりだが名前も出身地も違う。だがドッペルゲンガーかと思うほどに似ている。どうしても気になる由美は沖縄へ戻り元旦那のアキラが今何をしているか探すことにする。だがそこに元旦那はおらず共通の知り合いを訪ねると彼は行方不明になっていた。いよいよ不思議に思った由美は男に直接話しをする。と男はむかし新潟の海岸で記憶喪失になったことがあると明かしたのだ。そして二人の過去に何があったかを告げる前に男から結婚を申し込まれる由美。二回も惚れられたことを喜び結婚を快諾する。今度こそ2人は幸せを手にすることが出来るかな?この話は偶然だけど例えば仮に20年ぶりに再会する出会いを演出したら結構うまく行くんじゃないかとそんな事を思った。ゲスいか。20年経て同じ気持ちにもう一度なるのかどうかも人による気がする。20年前と自分は別人だと思うし60になった頃はさらに別の人間になってるって鶴瓶さんがテレビで言うてたし。ただそこまで思えれば幸せには違いない。
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「煌めかざる星」46歳で市長になった歌川哲彦はある日公務で高校の頃まで生活をしていた静岡県桜川市を訪れる。市長になっての3年間思っていた以上の重責でプレッシャーのかかる市長職に忙殺され家庭を省みる時間もなくプライベートもない日々を過ごしていた。そんな生活が幸せだったのかどうか今となってはよく分からず漠然とした思いを抱えながらも久しぶりの地元へ帰ってみると誰からも注目されない開放感をしばし味わっていた。そんな時たまたま入った割烹居酒屋で高校の頃に付き合っていた村井香織と偶然に出会い意気投合しその日のうちに結ばれる。次の日歌川が参加するシンポジウムに顔を見せると言っていた村井香織であったが結局姿を現さなかった。気になって調べると歌川と別れたそのあと、家で旦那を殺した罪で警察に捕まっていることがわかった。報道によると村井は自分の犯行は否定していたが、歌川を庇うためか一緒にいたことを警察に話していないようだった。すべてを話せば自分の市長の立場も家庭も崩壊する。最初は黙っていようかと迷う歌川であったが、彼女を助けるため動き出す事を決意する。そして結果ほんとうに今まで築いたものをすべて失うことになるのだが、歌川の顔には爽やかな笑顔がひろがっていた。そして二人は誰も知らない街へと旅立った。ラストの晴れやかな表情がとても印象的。金や名誉をすべて手放して幸せを選んだ二人のこれからはさて。「流星スケッチクラブ」弘兼先生の作品史上1.2を争う面白さだった。定年を過ぎ妻と別居することになった石崎は決して余裕はないが年金暮らしで大学生以来の一人暮らしを満喫していた。そんなある日立ち寄ったスーパーで妙齢のご婦人に「ヌードモデルにならないか?」と声をかけられる。話を聞いてみるとカルチャースクールの絵画教室で知り合ったおばあちゃん三人の前で裸になればアルバイト代をくれるという。話を聞いて面白そうだと興味を持った石崎はヌードモデルを快諾するのだが、実はモデルはただの口実に過ぎず三人の経験の少ない女性たちの夜の相手になることを望まれたのだった。はじめは驚いた石崎だったが女性たちの真面目な気持ちを汲んでそのままの関係を続けることに。しかし初めはよかったが、三人の女性たちと代わるがわる夜の相手をしているうちに少しずつお互いのことを貶すような本音がちらほらと。女の本性を垣間見るような気持ちに疲れだしたその頃、息子と同居していた妻が病気で寝たきりになる。一度は別居した妻だったが長年連れ添ってきた感謝の思いから介護をすることに。そしてそのタイミングでモデルと夜の関係も解消する。二年後偶然街のギャラリーの前を通りがかると見覚えのある絵が。なんとそこには自分をモデルとした絵があった。会いに行くと二年前に声をかけてきた女性の一人だった。あれからの顛末を話し終えお互いフリーだと分かると今度は一対一でちゃんと付き合うことに。そのほかの二人はあまり良い結末ではなかったみたいだ。せめてこの二人だけでも幸せになってほしいと願う。こんな話実際にあるのだろうか?おれがそのポジションに居たらどう思うのだろうか?多分夜の自信がないから断るやろね。へへへ。(写真①モデルをしているときにエレクトしてしまった石崎)ご立派。
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「同星時代」父に愛人がいることを疑った妻の頼みにこたえて義父を尾行する夫。その相手はなんと自分の中学時代の同級生の男だった。性転換し見た目は完全な女性になっているものの娘にバレたくないという義父のプライドを尊重し一芝居うつのだが…娘はすべてを見抜いているのだった。女の勘のほん怖いとこ。そして久しぶりに会った中学時代のスターだった男が何の変哲もない普通のつまらない下卑た人間になってた時に一言サ・イ・テ・イという表現の仕方が面白かった。オレも使・お。「攻撃する運星」嫁の尻に敷かれ娘にも煙たがれ典型的なうだつの上がらない中年のサラリーマンの元に突如として降って湧いた4億円。ロト6で当て自由に使えるお金が妻も知らない自分の隠し口座に振り込まれている。最初は天にも昇る心地で散財するが何せ周りに秘密だから大した事は出来ない。ならばと以前たまたま目にした高嶺の花の芸者とお近づきになり至福のときに浸るのだが結局は金で手にした幸せは所詮心まで惚れさせることは出来ないと悟った男はもう一度うだつの上がらない自分らしい自分に戻る為100万円だけを口座に残し残りのお金を全額寄付するというすごい自制のきいた判断。自分なら絶対にこんな判断は出来ない、身を滅ぼすまで堕落していくだろうことは想像に難くない。この判断が結局後の人生を価値ある良いものにしそうな気がする。「星夜の贈り物」なぜか昔からクリスマスイブだけ荘厳な神聖な気持ちになるのか分からないが、この日だけはシンプルでピュアな願いであれば叶いそうな気がするから不思議。このことは自分がキリスト系の幼稚園に通ってたことと無関係ではなさそうだ。知らんけど。クリスマスイブを切り盛りする中華料理屋で過ごす59の独り身の父と34で独身の娘親子の元に突然舞い降りたサンタに扮したティッシュ配りに扮した本当のサンタ。この日だけはロマンチストでいること、居られることは幸せなこと。
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「崩壊する星域」弘兼作品ではよく見かけると言っていい何度目かの親子丼の話。秘すれば花という風姿花伝の言葉を引用してるけど、結局秘すれてへんもんな、息子に知られてて。ちょっと気持ち悪い話だった。これが魅力とは思えないがそんな俺はしょうむないのか?グロはちょっと苦手。生理的に拒否反応が出てしまうからこれはきっと好みの問題なのだろう。まずあの女が誘惑してくるのがおかしいし、それをすぐ受け入れた父親もおかしい、別れを切り出されて飛び降りする息子はまだ分かるけどちょっとおかしい。欲望に正直に生きることは素晴らしいのかも知れんけどな。なんかショッキングな話だった。俺はまだまだうぶなのか知らん。「星界哀歌」不思議なSFチックなストーリー。学生時代の自分が政治家を志すキッカケになったのはその昔喫茶店で遭遇した中年のおばさんの助言が大きかったのだがそれが実は未来から来た政治家になった自分だったという。もちろん成立はしてないのだろうけども時空の狭間に迷い込んだバグのようなストーリー。時としてこういう事が起こりうる世の中であってほしいとこういう系の話にはとても胸襟を開く自分なんだなあと知った。二本のストーリーの対比が面白い。そういう意味でははっきり自分の好みがわかった。あと見た目が不利な女性議員のそれでも健気に生きる姿に共感を覚えたのかも知れない。ハードモードに生きることを己自身の努力と責任で乗り越えようとする健気さに。これを健気と取るのか焼け石に水と取るのかは体調次第ではあるのだが。でもその生き方で絶対間違ってないのだと自分に重ねて励ますように言うてみる。
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「誰の星でもありゃしない」何となく気がつけば独身のまま四十路に差し掛かっていた女性のフリーライターが電車の中で痴漢に遭う。母親の結婚式の相手との顔合わせの時、偶然その男と再会する。相手は母親の相手の息子だった。始まりこそ奇妙な関係ではあったが、よくよく話しをしてみると悪い人ではなくやがて打ち解ける。そんな中母親が痴呆を発症する。だが義父はそれでも構わないという。二世帯で新しい環境で暮らし始める。人生の幸せをトータルで考えるなら、遅すぎるスタートなんてないのよね。最後の言葉は年齢を重ねたからこそしみじみ感じる価値観。「星の遺産」著名な小説家の息子4人に遺産が分けられた。その中の1人だけ三男の男はハズレくじを引き、父親の元愛人を訪ねよというお願い。探しだした彼女と親子丼。弘兼作品は親子丼がよく出てくる笑。他の三兄弟はそれぞれにもらった遺産が無いものになるが三男だけは良い方向に転がる。人生はどこでどう転がるか分からんよというメッセージと思う。
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「笑う星るすマン」寂しい一人暮らしの女性を狙って時には詐欺まがいや違法なことまでやって高額な商品を売り付ける営業マン。これは漫画だけの世界か?決してそうではないような気がする。世の中綺麗事ではない。綺麗事から考え方を変えられないオレは現に契約を取れずに首になっただろう。営業。この世で1番難しい仕事。この50歳を迎えた女性は確かに寂しいのやろけど決してアホではない。氷山やすしのSS席の公演チケットもらってそれをすかさず他の人と替えてもらい相手の魂胆と出方を探る辺りとても賢い人だと思った(いやそれより氷山やすして何ちゅう名前)オレはとても思いつかなかったからあの場でうまく機先を制せられてチケットもらった弱味に付け入れられて買わされていたに違いない。まお金ないというのが身を守る最大の防御になる。どんな優秀な営業マンでもなければ取られへん。ともあれ偶然再会した2人はこれから仲良く過ごして生きそうだ。「星のペンパル」文通相手の事をペンパルというのは知らなかった。オレの世代よりひとつ上の世代くらいで文通が流行っていたというのは聞いたことがある。いよいよ目も見えなくなってきて死を意識し始めた頃になって思い切った行動に出るというのはよくある事なんだろう。オレからすればもっと早く動けばいいのになと思うけど、なかなかそう簡単ではない。これからの時代はますますこういう世間の常識とは外れた生き方をする人が増えそうだ。その方がきっと後悔もないと思う。あかんかったとしても死んだら終わりなのだからやらない手はないんじゃないだろうか。老年が元気ならその国はとてもいい国な気がする。
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続・フィリピン編。当時(1980年代)の1人あたりGNP(国民総生産)1年でフィリピンが700ドルの頃、香港で6500ドル、シンガポールで8500ドル、日本が20000ドル以上。それくらいの経済格差があった場合やはり現地妻を作ったりする余裕があるのだろう。経済的にも可能だからそれにすがる人も居たのだろう。時代の趨勢というか。戦後まもない頃の日本を見ているようだった。そして今のフィリピンはまた違うんだろうな、そういう意味では世界中を仕事で行く事が出来る職業が羨ましいと思った。話はスペイン系のセルバンデス一族との対決めいた構図になって来た。初芝の社長で耕作の同期の樫村(彼は耕作にほの字)はかなり家族の事で悩んでいる様子、あまり良くない結果が待ち受けている予感。頼むから生きていてくれと思った、読み進めるのが少し怖い。気のせいだと良いが…
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「恋する星霊」キャバ嬢の送りをするバイト。実際は車持ち込みだからやったことはないのだが、ちょっとやってみよかなと考えた事あるし、この主人公のおじさんが前の駐車場のバイトのおじさんに似ていて草。その人とアメ村の横の駐車場で大声を張り上げて口喧嘩したなあ。何をしとるんやオレは(笑)あんまり覚えてないけど「先輩やから敬え」ってイチローみたいな事言われた記憶だけはある。それはともかく元嫁の霊が普通に出て来て霊とヤろうとしてるおじさんの裸が面白い。最近の朝ドラも内田有紀の霊が普通に全編通して重要な役をやっていたしよくある手法ではあるのかも。最後は女の人だけ残される形にはなってしまったがちゃんと死んだことは伝えられたし、おじさんは元嫁と一緒に天国へ行けたのだから幸せっちゃ幸せやなあ。最後、死際がやはり大事なんやろな、人生。最後の最後で笑えたらそれでいい(東野)ということなんやろなあ。