菅野雪虫のレビュー一覧
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主人公の透馬は、精神的に不安定な母に気を使いながら、日々過ごしている15歳。母の過剰な心配を訝しく思う透馬の元に、1通の封書と黒い砂が届く。透馬の記憶にない5歳の夏。10年前に何があったのか、透馬は記憶を探し始める。大人たちは何を隠しているのか。幸島(さちのしま)の遊園地で遊んだ記憶と、爆発による島の閉鎖は関係しているのか。そして、誘拐犯の告白文が雑誌に載り、記憶のピースははまっていく。
「いつも大人の甘い見込みで、酷い目にあうのは子どもだ」と、透馬が言ったひと言は、重い。生活の場を失うことは、お金の問題だけではない。そして、精神的なものはさらに派生し広がっていく。あるはずだった子どもたちの未 -
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<天山の巫女ソニン>の外伝、その2。
今度は南海の美丈夫クワン王子のお話。その境遇については本編の中でも語られているが、ここでは何不自由ない少年時代が暗転し王宮で暮らすことになった前後が描かれる。
言いつけを守らず都へ行って首飾りを失くしたことがきっかけで伯父が死に母を亡くし住み慣れた湾を離れることになるクワン。
直接手を下すわけではないがミナ王妃の横暴ぶりも彼女に対するヘスをはじめとする周りの忖度も江南王の愚鈍さも、この頃から変わりないんだな。
王妃に疎まれ無茶な任務を押しつけられるが、初仕事を手始めに次々と乗り越えて、王宮の外での人気を得ていくところも将来を彷彿させる。
湾が毒された謎を -
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<天山の巫女ソニン>の外伝、その1。
草原と森林が広がる寒さ厳しい巨山の国で、孤高の王女イェラの気質がどのように形づくられたが描かれる。
本編最終巻の「大地の翼」のレビューに「うぁ~、もぉ~、イェラ王女、かっこいい!!!」と書いたけど、今回も彼女は格好いい。
占い師が『人生の前半は、絶え間ない戦いの星』と見立てた通りに、王女であるが故の冷遇、妄執に囚われた祖父の奸計、望まない権力争いと兄たちとの確執など、王家に生まれたが故の苛烈な経験が積み重ねられ、まだ幼さ甘さを見せる彼女にハラハラもするが、『真の王たる者が安らかに眠ろうなどと思うな』という覚悟を決めるところが凛々しいな。
一方で、年老いた -
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〈東琴〉の姫君・アトリは、生まれてすぐに母である王妃が亡くなったために、現在の王妃から疎まれ、王女らしい扱いも教育も受けないまま育った。
アトリが九歳の時、アトリを厄介払いしたい王妃の決めた縁談により、辺境の貧しい国〈柚記〉の領主・月王に嫁がされることになった。
月王は三十才を越えている上持病で寝たきりだったが、愛情も知らず放置されて育ったアトリの将来のために、“知識”と“常識”と“愛情”を教えようと考え、その導きでアトリはぐんぐんと賢く、優しい少女に成長してゆく。
月王の死後、〈東琴〉に戻ったアトリは、そののち次々に気性も考え方も違う五人の王に嫁ぐことになるのだが…
『天山の巫女ソニン