菅野雪虫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの第4作は秀逸でした。
イウォル、クワン、イェラ。
三つの国の命運を握るこの3人が
初めて一堂に会し、三国の未来を
決めてしまいかねない大事を
収めてしまう。それぞれの正しさと
それぞれの欲望の狭間で揺れながらも。
彼らの心を救った者はやはり、ソニン。
策謀を自ら引き上げて戻ったイェラは
父王に問い詰められる。
「お前はあの娘といると自分らしくない
行動をとる。あの娘が持つ、おまえや
わたしにはないものとは何だ?」
イェラは
『ソニンには確かに何かがある。しかし
それは何なのかわからない…』
と逡巡する。
ソニンが天山の巫女であったことの
重要な意味が、わかったような気がする。
ソニンは何かを持っているのではない。
欲望を持たないのだ。
欲望は時に人の感情にさざ波を立て
さらに大波となって自らを翻弄しさえする。
ソニンにはそれがない。だから彼女の
判断はいつもその時に応じて
最良のものになる。しかもそれは
人間として生まれ、王族として生き、
多くの人々の欲望にまみれた生き様に
触れ続けてきた3人には決して
たどり着けない判断なのだろう。
真の聡明さ。
欲望に裏打ちされることのない判断が
できるとしたら、ソニンが持つものを
言葉にすればそれなのかもしれない。
感情も欲望も持つことは許されず
夢見に正しい判断を下すために
膨大な知識をおさめた天山の巫女。
ソニンが天山で過ごした12年は
下界で生きる者には計り知れないほどの
尊い時間なのかもしれない。
だからこそこの第4作は読み落とせない。
なぜならソニンは人間として成長を始め
今は「自分の幸せ」は何かを探し始めている。
私が「不吉な伏線」だと思っていた、
下界に戻されたもう1人の天山の巫女レンヒは
実はソニンが欲望や感情をその心に育みつつも
聡明な判断を見失わないために、
なくてはならない存在…ソニンの
鏡なのかもしれない。
いよいよ第5作。
この物語を読み始めてよかった。 -
Posted by ブクログ
世の中の仕組みをわかりやすくしたような物語。
巫女というエリート職を首になった少女が、俗世を知らない真っさらな目で世界を学んでいく。
例えば一巻では、貧しい農家を営む父に、もっと儲けの出る作物を作ってはどうかと提案するも、高く売れる作物の苗はリスクが高く、貧しい家は手が出せないため、安い作物を作り続けていくしかないと説明される。そこでソニンは、貧しく生まれた者は貧しいまま生きていくしかないのだと感じる。巫女としていたころは毎日本を読み勉強していたのに、働きづめの今は本のことなど頭にもない自分に気づきショックを受ける。
今回は障害による偏見に苦しむイウォルが、初めて知的障害の少女と対面し、無意識に偏見のある態度で接してしまったことに気付き、罪悪感に苛まれるシーンが特に印象深かった。 -
Posted by ブクログ
よかったー。天山育ちのソニンの少し人の心の機微に弱いけど、くるくると回る頭の回転の早さに読んでて、ウキウキしました。イウォル王子との出会いもとても印象的。イウォル王子…なかなか潔癖かもしらん。これはラブにはなかなか傾かなそう…と思ったら、周りのレビューみたら本当にそうみたいだね!えー、そんなのつまんない!そこはイウォル頑張ろうよ!!年の差3歳なんかあっという間ですよ!?
心に留まった人物は、上記の二人を除けば、ソニンのお父さんとクワン王子。ソニンのお父さんは、とても素晴らしい人だね。人の愚かしさも高潔さも、どちらもよく見てきたことがある人なんだと思う。それをソニンに訴えるシーンが良かった。いい親御さんを持って、ソニンは幸せだー。
さらにクワン。誰ですか、あなたは?と思ったら、なんか伏線ちっく!!次巻が楽しみー!ふふふ。
私としては、イウォルとクワンがソニンを取り合いして欲しいけど、そんなロマンス無さそうだなぁ…涙。
とにかく、人物がよく描き出されてます。ストーリーは良くも悪しくも先がちょっと読めたかな。でも、それでもよい本です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ6つの物語。
ジェンダーフリーとあったので、身構えて読んだ。身構えて正解だったなと思う。
・女子校か、共学か。それが問題だ! 作:小林深雪
仲の良かった男の子が共学に行って、恋人ができてしまったお話。
単純でわかりやすくてほのぼのしながら読めた。
・チョコレートの香りがするね 作:にかいどう青
友達の女の子が彼氏とののろけを話してくるお話。
トランス女性を応援する女性と男性の対立。この作品が一番最悪だった。
・チキンとプラム 作:長谷川まりる
家に居場所のない女の子たちのお話。
モラル(道徳)の問題ではなくて、虐待なので矮小化して書くのやめてほしい。
・いわないふたり 作:如月かずさ
女の子同士で付き合うお話。
感情の流れも物語も好み。だからこそ、細かい部分の雑さというか『空気感だけで押す』感じはがっかりする。
・羽つきスキップ 作:水野瑠見
子どもっぽい男の子のお話。
下ネタに乗らないのは当たり前だし、むしろ、下ネタを喜んでる方がガキだよという大人の指導を入れてほしい。このテーマで書くなら足りないと思った。
・いつかアニワの灯台に 作:菅野雪虫
母親に振り回される娘のお話。
作品の雰囲気も流れも、複雑で広がりあるテーマも好き。正しさの息苦しさがひやりと伝わる感じがした。
読み始めと読み終わりはホッと出来る物語だったので、読めた。でも、このテーマならあと一歩調べて考えて深めて書いてと思ってしまう。足りない作品が多い。
ごちそうさまでした。 -
Posted by ブクログ
『あれから十年たったね。』
15歳の誕生日に届いた一通の手紙と、一袋の黒い砂。この奇妙な贈り物が、止まっていた時計の針を動かし始めます。
世界各地で起こる事件・事故、無意識に自分には関係ないと思いがちですが、誰もが類似する事件・事故の被害者、または加害者になってしまう可能性を孕んでいます。
だからこそ、同じような歴史を繰り返さないために過去の事例から教訓を見出し、再発防止に取り組むことが大切だと感じました。
また、事件・事故の被害者の方には一過性の対応ではなく、長期的な支援が必然であることを再度認識させられました。
グリム童話『眠り姫』になぞらえて展開する物語。大人の方々にもぜひ読んでいただきたい一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ数年前から気になってたシリーズの1作目。
近年の入試問題頻出作家さん勢揃いの作品で読んでみたかった。メンバー勢揃いなのは珍しい。
登場人物は、小学5年生たち。
>本の数だけ、人の数だけ、遡った物語があると、わかっていただけたことと思います。
そして図書室には、あなたにぴったりな本が、必ずあるのです。
途方もないほどたくさんの本の中から、そんな本を見つけ出す……。
それは、宝探しのようなものかもしれません。その宝物を探し当てたとき、あなたの人生はきらきらと輝き、ほんの少し、あるいは、とても、豊かになることでしょう。
ほら、あなたも図書室で、宝物を探してみませんか?
このステキな言葉を胸に、運命の本を日々探していこうと思います。