菅野雪虫のレビュー一覧
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さて、ここまでで沙維・江南・巨山、それぞれの国の事情が分かったところで第4巻に入る。
そこで本作では、江南が未曽有の大嵐に見舞われ、その復興を巡って色々な思惑が交錯する。
図らずも江南の王宮に、クワン王子はもとより、その妹リアン王女を訪ねたソニン、江南の状況を確認する役割になったイウォル王子、巨山からの使者イェラ王女が勢揃い。
クワン王子vsイェラ王女はまさに竜虎相打つ(本の中では虎と狼だが…)。
どちらも国を思い民を護らんとする気持ちは強く、しかし立場は異なるが故のぶつかり合いだけに、なかなかの見物だが、事情は違えど身を置く立ち位置や複雑な心境は似た者同士ってところがミソ。
間に立つソニンとイウォル王子も含めて駆け引きの中で4人の心が動いていく様が今回の読みどころになって、早く彼らの時代になり3つの国が仲良く発展していくようになったら良いと思わせた。 -
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「女神のデパート 1」
ちょっと何、この本、めっちゃ面白い。
めっちゃ面白いです。大人向けで出せばいいよ。あ、でもポプラ社か…。児童書のみなんかな。
以前、「和パティシエール」のマリエちゃん編が収録されているということで、「キラキラ」と、いうポプラ社アンソロジーを借りたのだけど、そのときに出会った話。
アンソロジーでは、弁天堂百貨店のルーツであるさらの話やったのだけど、冒頭にもその話がちらっと出てた。
小学生が社長になるっちゅうトンデモ設定なので、軽い感じのドタバタコメディかと思ったら、侮るなかれ。
侮るなかれ。(二度いう)
重い。重すぎた、この話は!!
諸事情が重なって弁天堂百貨店の社長に、小学生の結羽ちゃんが就任するのはタイトル通り。
ほしたら山あり谷ありで乗り越えていくのかといえば、確かにそうなんやけど、就任したというだけでこの巻は終わっちゃった。
紳士服売り場で手腕を振るっているイケメンの叔父さんがサポートしてくれるというのはあるとはいえ、もちろん重役たちはいくら社長の娘といえど小学生が社長なんて何をふざけたことを、と、なるよなあ。
さらに、「客寄せパンダ」と、自他ともに認めて地方紙の取材を受けたらその受け答えがズタボロ。
ほんで、その地方紙を目にした同級生たちからはやっかみや好奇の目にさらされて、何もせんうちから
「やめたい」
と、なってしまう結羽が、重いわ。めちゃくちゃ重い!
ちゅうか、そら、そうなるわ!!
せやけど、そこで出会ったはるかに触発されて、
「もう少しやろう」
と、なったものの、売り場に出てみたら何もできずにオロオロするばっかりで、お客さんには怒られるわで、またもやどん底に・・・。
そら、そう、なるわ!!
そこからの盛り返しはややファンタスティックなので(そらそのぐらいの脚色がないと児童書にはできん)、気持ちよくこの巻は終わったよ。
もちろん、続編も読みたい。
と、いうか、著者は大人向けの小説も書いてはるよね。
この本を読んだ日、私は去年の年末からずーーーっと気に病んでいた案件をひとつサッパリと終わらせた日でもあった。
前述のとおり、
「思い出は美化」
な、タイプやし、そのうえ、基本的に物事のええ面ばっかりを見るので、終わってみれば、しんどかったしつらかったけれど、なんとかここまでこれたのは周囲の方が支えてくれたからやな、有難いな、と、思える。
ほんで、有難いなと思う気持ちは何かで返したいな、と、なって、よし、もう少しがんばらねばな、と、なってしまうのがふつうの人間なんやろうけれど、残念ながら私にはそうならなかった。
受けた恩を返さないい不義理以上に、この業務に対しての熱意がない。
仕事だけど、ボランティア並みの話なんやから、熱量がないととてもできんわ。そもそも熱量がすべてを支えている。
期間限定の社長をやる、と、決めた結羽に桔平がまず言うたことは
「七割の人間には嫌われると思え」
と、いうことやった。
んもう、ずがーんときたよ。
新しいこと、人と違うことをやろうと思ったら、それくらい抵抗があるのだそうだ。
ああ、そうだ。そうやろうなあ。私はそこが甘かった。
ほんとうに私は七割の人間に嫌われて、今日までこの業務を続けることに、初めてのことや知らないことに対面して失敗したり、
「〇〇じゃなくて、△△でやらなければあかんよ」
と、いわれたりすることは、すみません、気をつけますと頭を下げて心にメモはするけれど、少しも苦じゃなかった。
「うわー」
って恥ずかしい失敗もようけしたけれど、それが苦痛かといえばそうでもない。
次は、せんとこ
って思って終わるので。
でも、何が重かったかって、ほんまに、
「あれこれ他人に言われること」
やった。
勢いだけで受けて、その結果あれこれ他人に言われることがつらかった。
ほんまに七割の人やったのかもしれなくても、残りの三割は何も言わなくても、世界中の人に嫌われてる気になっていた。
悪く言われることなんて慣れてると思っていたけど、それでも、つらかったなあ。そんなこと、慣れてなんか、いなかったなあ。
面と向かって私に好意的なことを言うてくれる人もいたし、無関心な人もいた。
それも、当たり前。
ほんで、あれこれ他人に言われても、私が誠実にやっていればそのうちに根も葉もない話は消えていくだろうとも思う。
そうして得られた信頼は揺るがない。ほんで、それこそが私の財産になる。
辛くても、イヤでも、苦しくても、やると決めたのなら三年はやるべきだと思うのは私が昭和育ちやからかもな(笑)。
三年やったら、やめようと思う気持ちはなくなってるかもしれない。
そう思うけれど、今の時点で、もう、続けたいという熱量がないねんな。
それでもやらなければ、と、思う責任感すら、ない。
結羽は、さらに憧れて、はるかに憧れて、また、がんばろうと思ったのなら、それは一番最高の動機やと思う。
先代や現社長が療養中やからという後付けの理由よりも、やりたい、と、自分が思える何かが、一番自分を動かすよね。
好きでやっても、それでもつらい。
もしかして好きやからこそ切り離せなくてつらいのかもしれへんけど、切り離せないからこそたどり着く先がある。
ここを重ねるのはバカみたいな話かもしれへんけど(笑)、私は、おりる。
逃げるけれど、諦めるけれど、結羽ちゃんは諦めないで、ひとつずつステップを登って行ってほしい。
「出る杭は打たれ強い」って結羽ちゃんも言えるように、なってほしいな。
そんな気持ちにすら、なったよ~。(;^ω^)
読書ってタイミングやからね。
去年の今頃のように、わりとのほほんとしてすごしているときにこの本を読んでも
「ふうん、なるほどなあ」
と、くらいにしか思えなかったかもしれない(もちろん、好みなので面白いとは絶賛するやろうけど)。
そのときの自分の環境で、読書の深みって変わってくる…。
出会うべくして出会うんだよね~。不思議な話です。
私は私の気重業務を放り投げるけれど、今回こうやって感じたことそのものは(違うところで)私の財産にできるかもしれない。
出る杭は打たれ強くなれるように、この先、私も、がんばろ。
実は挿絵が結構好み。
桔平さんがイケメンすぎる。笑
ほんで、舞台は東北で「だいたいこのあたりなのかな」と、いう設定はあるんやろうけど、フィクションやと思う。
でも、東北地方は全然土地鑑もないのでようわからんけど、なにか買い物をするために仙台まで出るらしいのはさておき
往復で交通費二千円ってすごいな…!
イヤ結構びっくりした。
あー、でも、ここらから京都までJRで行ったら片道千五百円ぐらいか…。
そんなもんなんかな…。JRでは行かんけどな…。 -
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読みやすい物語だった。
天山や貧しい家、城の暮らしなど想像しやすい文章だった。
ただ小学生・中学生くらいには良いかもしれないが40代の私には物足りなかった。
天山で感情をコントロールするように鍛えられたとは言え、登場人物全員の感情の機微が詳しく描かれていないので感情移入をしにくい。
目的地にはあっという間に着いてしまう(他のファンタジーだと道中も一緒に旅をしている様な物語がある)し、登場人物も皆良い人風な感じ。
(善人と悪人に二分してしまうと個性を感じられない。
善人の闇も私は読みたい)
特に違和感があったのがイルギが詳細な心の動きがないまま簡単にソニンの味方になってしまったこと。
さらさら読めるので深く考えたくない時には良いかもしれないし、落ちこぼれと言われたソニンが活躍する姿は読んでいて楽しい。
まだ第一巻で続きが気になるところではあるので
この本の存在は心に留めておこうと思う。 -
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ネタバレ主人公はアトリ。数える歳で10才の初婚から9年間で5回も結婚する事となる、波乱万丈な姫君の物語。
中世の異国を思わせるよな架空の世界、東の小国〈東琴・とごん〉から物語ははじまる。昔話やファンタジーのようでいて、魔法などはない。
アトリの は東琴の第一子のお姫様ではあったが、美しかった産みの王妃はアトリを産んですぐに亡くなった。留守がちの王の代わりに、城で権力を持つ現在の王妃の娘のカティンはアトリの半年後に生まれ、美しく、賢く、皆に可愛がられている。けれどアトリは誰にも構ってもらう事もなく、話かけられる事もなく、話しかけられてもまともに答えないため、育ちが遅いのかとも思われていた。
現在の王妃はアトリを疎ましく思い、早く自分の目の届かないところにやりたかった。
そこで、9歳になったアトリを貧しい〈柚記・ユンロ〉という国に嫁がせる事にした。柚記の領主は月王と言われ、領民に慕われてはいるが、年は30代で、病に伏している。
王は王妃の言うまま、アトリの結婚を決めた。
柚記はアトリが思った以上に貧しい領地だった。城には若い従者のエンジと、身の回りの世話をするサヤしかいない。毎日の生活はお金がなくなったら城のものを売ってお金にしていたため、城の中は物がほとんどなくなっていた。
月王は、アトリと話し、自然の事、歴史の事など知識を教えた。
サヤは常識を、エンジは愛情をアトリに与え、アトリは柚記で、はじめて生きる楽しさを知った。それは幸せな半年だった。
しかし、月王は亡くなり、寡婦となったアトリはエンジとともに東琴へ帰る事となった。
半年の間にアトリは成長した。東琴で、アトリは本を読み、町へ出て、さらに知識を増やした。寡婦としてひっそり暮らす筈だったアトリだが、思わぬ転機が訪れた。
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ネタバレ前作「チポロ」でのヤイレスーホが不憫に思えたので、彼が救われる物語かと思った。
仲良しこよしにはなれなくとも、チポロやイレシュと普通に会話できるくらいの間柄にはなっていてほしいと思っていた。
だがそれはあいつも悪気がなかったんだから許してやれよ、と関係のない第三者が被害者に向かって言うのと同じことだ。
一度異端になった者は狭い村には完全に溶け込めなくなるし、残された家族も深い傷を負う。
イレシュが連れ去られた3年間はなかったことにはならないし、帰ってきたからといって元のままに戻ることなどできない。
納得できず、楽しめず、前に進めない出来事が起こった者はそれを片付けるしかない。そう言ったチポロは力強く明るい若者になっていたが、イレシュもその家族もつらい思いをしたのは自分のせいだという思いは拭えない。
チポロのように強くなって探しに行けなかったイレシュの弟のマヒトの傷もまた深い。
そんな彼らの過去を知らないランペシカは、子供ならではの無遠慮さと単純さで彼らの中に入っていく。
微妙な均衡で保たれていた生活がかき回されるが、彼らが過去の傷と向き合い進む助けになったのではないだろうか。向き合うことと乗り越えることは別だし、トラウマは必ず乗り越えなければならない訳でもない。
ランペシカは人間を信じられなくなった子供だ。でも与えられた好意は受け止めるし理不尽には憤る。人を恨むし強すぎる力を得て復讐することも、代償を払ったことを後悔しない、まっすぐな人間だ。
ランペシカはイレシュたちとは全く違う立場と角度からヤイレスーホに接することができる。
ヤイレスーホの願い通りではないかもしれないが、彼を理解して好きになってくれた人ができたのは良かったと思った。やっぱり不憫なままだけれど。
そしてやっぱりミソサザイの神様はいいキャラクター。
勧善懲悪ではないし、登場人物たちが全て報われる物語でもない。
悩み苦しみ、自分の中で折り合いを付けながら生きていくために選び取る。
そんなことが随所にちりばめられている物語だ。 -
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ネタバレ力も弱く、狩りも上手ではなかった少年チポロが連れ去られた幼馴染の女の子を探すために強くなり、旅に出る物語。
アイヌ神話をモチーフに、人間が大好きな神様や失望した神様も出てくる。
旅の道連れになった小さな神様の「いつも大きくて強くてなにかをほどこし助けてくれる、そんな神様ばっかり望んでる」というセリフにドキッとした。
神様が与え恵んでくれるのをいいことに努力を怠り恵みばかりを期待するようになる。
人間を嫌いになる神様はそこに絶望するのだろうし、そういった人間を含めて愛しいと思い寄り添ってくれる神様もいる。
少年が勇気を出し成長し、いろいろな人の助けを借りながら大切な女の子を取り戻そうと旅をする。王道で単純明快な物語の中に大切なことがいろいろとちりばめられていると思う。
ヤイレスーホが不憫。彼がイレシュを帰せなかったのは、かつて自分に優しくしてくれた女の子と一緒にいたいと思ってしまったからなのでは。
彼は彼で、大切な女の子と自身の信じる素晴らしい世界に行きたかったのだろう。
結局幼馴染の男の子に負けてしまい彼自身も罰を受けるのだが、その後どうなったのかが気になってしまった。
続編もあるようなので読んでみよう。 -
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アイヌに伝わる神話をもとにしたファンタジー。おばあちゃんと二人暮らし、ちいさくて狩りがへたくそだったチポロが、魔物にさらわれた幼なじみを助けるべく旅にでる。
こんなにやさしい文章で、これだけの世界観を描けるってすごいと思う。最初に国のはじまりの神話があり、それからチポロの旅がはじまってゆく。物語がすすむにつれて、神話とチポロの旅がだんだんリンクしてくる。自然のなかに神々があたりまえのように存在する世界。神さまという存在が身近に感じられる。冒頭で初めてツルを仕留めてから、どんどんたくましくなっていくチポロの成長がうれしい。アイヌの空気を感じられる物語。