菅野雪虫のレビュー一覧
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アイヌに伝わる神話をもとにしたファンタジー。おばあちゃんと二人暮らし、ちいさくて狩りがへたくそだったチポロが、魔物にさらわれた幼なじみを助けるべく旅にでる。
こんなにやさしい文章で、これだけの世界観を描けるってすごいと思う。最初に国のはじまりの神話があり、それからチポロの旅がはじまってゆく。物語がすすむにつれて、神話とチポロの旅がだんだんリンクしてくる。自然のなかに神々があたりまえのように存在する世界。神さまという存在が身近に感じられる。冒頭で初めてツルを仕留めてから、どんどんたくましくなっていくチポロの成長がうれしい。アイヌの空気を感じられる物語。 -
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ネタバレこのシリーズは
天山の巫女だったソニンが
多くの人との関わりの中で
自分になかったものを
どんどん吸収して成長しながらも
彼女の芯にある無私の純粋さは
失われないところが魅力だ。
少女の成長物語であり
平易な言葉遣いはまさしく
児童文学なのだが。
興味深いのは
心の中の言葉が
ほとんど余すところなく
書き尽くされているところ。
ソニンの内面の成長の過程が
手に取るように分かる。
閑話休題。
この物語も
中盤に差し掛かっているが
第1作からずっと不吉な伏線が
あちこちに顔を出してくる。
天山の巫女…というタイトルの
本当の意味が、いずれ明らかに
なる時が来るのかもしれない。
読みやすく、わかりやすく。
なのに深みのある物語だ。 -
Posted by ブクログ
今年はいいファンタジーに
たくさん巡り会えています。
この作品も素晴らしかった。
息をつく間もなく読み終えました。
ソニンは特別な人間です。
おおよそ普通の人間には
手も届かぬほどの清廉な人間です。
それは天山が与えたものでも
下界で育まれたものでもない。
彼女を愛した家族と友だちが
彼女の優しさと強さと清らかさを
彼女のものにしたのです。
ソニンのような清廉さに触れた
普通の人間たちは 善か悪か必ずどちらかに
振り分けられてしまうことでしょう。
さながら最後の審判のように。
さらりと物語に溶け込めました。
こんなにすんなりとこの物語が
大好きになれたことに驚いています。 -
Posted by ブクログ
これで一応本編は終わり。外伝も楽しみだなぁー。
相変わらずイェラがイケメンすぎて、他の空気感!!←
でも、最初の頃に比べて、イウォル王子、かっこ良くなりましたね。
手も足も大事にしてください。そこに恋心はないのか!!←
解説読んでて気づいたんですが、この本はファンタジーとしては、毛色が変わってるんですね。
なにせ、ソニンは「落ちこぼれ」として、天山から…きつい言い方すれば、放逐されてるわけですから、よくあるファンタジーの…あなたは伝説の魔法使いなのです!生き残った男○子万歳!…とかではないですよね。
ま、元気出せよ、人生天山ばかりじゃねぇよ、世界でたった12人しかなれない、エリート中のエリートな巫女さんじゃなかったとしても、君を必要としてくれる人はいるさ…家族とか、隣の家の男の子とか…嫁に欲しがってくれるかもじゃん?
みたいな、肩叩いて語りかけたくなるような始まり方でしたよね。
でも、最後は、彼女しかなしえなかったことがあった、巫女になるために、天の導きで、野に降りさせられた巫女なのかもしれない、なんて養母は語っています。
いや、まて、私が見つけた居場所だからね!!運命なんか、冗談じゃないよ、これ以上翻弄されてたまるか、くそくらえだよ!!おこ、とソニンは言っていいと思いますが笑。
でも、ソニンはそう思ってないんですよね。巫女であったことが、無駄だとは思わない。全て必要なことだった、全てがあって今の私があると言い切れる彼女は、ほんとに一本筋が通っていて、ハッとするほど美しい。だから、読者の心を打つ。
この現実の世界では、選ばれた12人の巫女じゃなければ、もちろん王子でも姫でもない、ふつーの人たちが溢れてて、読者もその多くがそんな人なはず。
かつては神童とか言われて、もてはやされたけど、それも今は昔…なんて人も腐るほどいるでしょう。
でも、彼女みたいに胸を張って生きていけるだけの何かを、その失敗が失敗じゃなくなるくらい、あたしの人生大正解!と言えるだけものを見出せる人は、どれくらいいるでしょう。
例えば国を救わなくても、街角の友人との交流の中でも、ソニンはそれをちゃんと見つけているのです。
そんな姿にとても勇気付けられるし、尊敬します。元気をもらって、また現実に戻っていける。これはそんな本です。 -
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ネタバレ祖母と二人暮らしの貧しい家の子チポロは、ある日見事な鶴を射止めます。その事から自信をつけた彼は、諦めることなく努力や工夫をするようになります。
ある日チポロは、村を訪ねてきた、人間に近い神シカマ・カムイから、魔物の襲来に気をつけるように言われます。だが、魔物が現れた時、チポロから教えられた呪文を唱えた友だちのイレシュはさらわれていきました。
チポロはイレシュを連れ戻すために、力を蓄え、魔物がいると言われる北の港を目指すのでした。
国造りの神兄弟の弟とアカダモの女神チキサニとの間の男児オキクルミ。そのオキクルミと妹と、人間たちとの関わりの中から生まれた冒険話。
ストーリーはとても面白く、ぐいぐい読ませるものがある。人物や場面の設定にも無理がない。
また、物語の随所に、諦めないことや思いやりの大切さが、くどくない形で盛り込まれており、好感が持てる。
ただ、登場人物(特に主人公のチポロと友人のイレシュ)の語る言葉が今風過ぎて、アイヌ民話を基調にしたこの物語の中では浮いてしまう点が残念。