あらすじ
〈東琴(トゴン)〉の姫・アトリは王宮で虐げられ、まともな教育も受けられず内気に育つ。厄介払いとして幼くして送られた嫁ぎ先は、枯れ果てた小国〈柚記(ユシロ)〉に暮らす、病を得た王のもと。その地でアトリは王の教えを受け、知識と常識、そして愛情を手に入れる。やがて王は亡くなり、祖国へ帰ることになるのだが……。
これは生涯で5回も結婚することになった姫君の物語。数えで9歳の初結婚から、8年で5回というのはあまりに多い。
いったいどんな偶然で、5回も嫁ぐことになったのか。
それは、読んでのお楽しみ。
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最初に嫁いだ先の王に与えてもらった知識や愛情がアトリ(主人公)の芯になって、その後嫁いだ王達に影響与えていった話。
だいぶ前に読んだので細かい部分は忘れてしまったのですが、悲しくて優しい話でした。
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大きなうねりのような運命に翻弄されながらもハッピーエンド。とはいえ、完全解決みんながハッピーというわけではないビター加減もいい感じ。小さい頃に読んでも、大人になってから読んでも、数奇な人生をワクワクしながらページを捲ることができる。いい本。
登場人物それぞれが、多面的で複雑な心情を持っているところが、特にいいです。
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主人公のアトリが健気で、辛いことがあっても立ち止まらず進む姿が大好き。自分も頑張ろうって思える。
全てが上手く行く訳じゃない、でも中で幸せを見つけていくんだ!って思うえるようになった一冊。
辛いことがあったときに読むより、ちょっと落ち着いてから読むのがオススメ。
大変な時期に読むと涙が止まらない。そこまで泣ける話ではないけども。
自然と深い知恵を得られる。
分かりやすい言葉で綴られた面白いお話の中に、非常に深い知恵が散りばめられています。子供にも読んでほしい一冊でした。
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菅野雪虫さんの、少女が真面目に健気にがんばって成長していくお話って大好きです。過酷な運命に立ち向かいながらも、ひたむきに与えられた場所で自らやるべきことを見つけて進んでいくアトリの成長に目が離せません。
アトリの5人の夫の中では、月王が素敵でした。
あと、従者エンジとのくだりはもっと読みたかったです~。
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かわいい表紙からは思いもよらない展開なくらい激動なお話。
読者としては、それぞれの王に愛着が出てきた頃、結構なお別れになるので辛い面もあるけど、それも含めて好きな話でした。
妹のカティンや、従者の2人が、アトリについていてくれてよかった。
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ソニンと同じく、賢く思慮深い女の子の物語。雪虫さんの描く賢くやさしく平らかな目を持つ女の子は大好きです。
東琴の第一王女アトリは、第一王女でありながら城で虐げられて暮らしていました。
まともな教育を受けることすらなく、人との関わりもほとんどなかったために言葉を発することもなく内気に育ちます。
厄介払いのごとく、僻地の領主でありながら病床にある「月王」のもとへ弱冠9歳で嫁がされることになりますが、その「月王」との出会いがこれからのアトリを大きく変えるのでした。
「月王」によって"知識"と"常識"と"愛情"を与えられ、人間として大きく成長するアトリ。
生い立ちゆえに、結果的に早く自立せざるを得なかったということはありますが、聡明なアトリは継母へ、自分の尊厳を傷つけることはない、と言い放つ様はとても気高い。
幸いなのは、継母に溺愛されていたはずの義妹も、正しい目を持ち、アトリの良き理解者となってくれたこと。
誠意を持って仕えつづけてくれたエンジとロルモも、アトリにとってはなくてはならない存在でした。
思慮深いアトリの言葉には、大人のわたしもはっとさせられることが多かったです。菅野雪虫さんの他作品も、もっと読んでみたいと思います。
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知識、常識、愛情、何も持っていなかった幼い姫が
それらを得て、世界を知り、成長してゆく物語。
ちょいちょい泣いちゃったので、涙もろい人は
外で読まないほうがいいです☆
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主人公はアトリ。数える歳で10才の初婚から9年間で5回も結婚する事となる、波乱万丈な姫君の物語。
中世の異国を思わせるよな架空の世界、東の小国〈東琴・とごん〉から物語ははじまる。昔話やファンタジーのようでいて、魔法などはない。
アトリの は東琴の第一子のお姫様ではあったが、美しかった産みの王妃はアトリを産んですぐに亡くなった。留守がちの王の代わりに、城で権力を持つ現在の王妃の娘のカティンはアトリの半年後に生まれ、美しく、賢く、皆に可愛がられている。けれどアトリは誰にも構ってもらう事もなく、話かけられる事もなく、話しかけられてもまともに答えないため、育ちが遅いのかとも思われていた。
現在の王妃はアトリを疎ましく思い、早く自分の目の届かないところにやりたかった。
そこで、9歳になったアトリを貧しい〈柚記・ユンロ〉という国に嫁がせる事にした。柚記の領主は月王と言われ、領民に慕われてはいるが、年は30代で、病に伏している。
王は王妃の言うまま、アトリの結婚を決めた。
柚記はアトリが思った以上に貧しい領地だった。城には若い従者のエンジと、身の回りの世話をするサヤしかいない。毎日の生活はお金がなくなったら城のものを売ってお金にしていたため、城の中は物がほとんどなくなっていた。
月王は、アトリと話し、自然の事、歴史の事など知識を教えた。
サヤは常識を、エンジは愛情をアトリに与え、アトリは柚記で、はじめて生きる楽しさを知った。それは幸せな半年だった。
しかし、月王は亡くなり、寡婦となったアトリはエンジとともに東琴へ帰る事となった。
半年の間にアトリは成長した。東琴で、アトリは本を読み、町へ出て、さらに知識を増やした。寡婦としてひっそり暮らす筈だったアトリだが、思わぬ転機が訪れた。
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本作も、ここで終わりかぁ、、という。。
トナムとイムが仲良く統治する未来はみてみたいけれど、イムはアトリとの関係性発展しそうな感じだったので
別方向で荒れるだろうか。。
読み終えた後、創作で別ルートやパラレルワールドを展開したくなる。。
牢獄期間がサラリと描かれているけれど、発狂してしまうパターンもあったのでは。。
もっと掘り下げたいキャラが今作も。。妹はどんな人生を歩むだろう。。
月王の教育カリキュラムを知りたい。
「女の子が幸せになるのに必要なものは、知識(さまざまなことを知り、学ぶという事)・常識(世間での立ち居振る舞いを知る事)・愛情(自分が大切な存在だとしるといいう事)だよ。」
『この世に永遠などというものはない。守りたい者がいるなら、大人なら、最悪の事も考えるべきだったのだ。』
「知識は翼だ。それを得れば、飛びたくなる。世界を知れば、世界に出たくなる。」
(この人は大人だ。わたしより言葉や物を知っていると思ったけど、そうでは無いのかもしれない)
「この世で一番偉いのは…どんな者でも同等に扱うことができる人です」
『故郷というものは、歌や物語には美しく歌われるが、すべての者にやさしく温かい場所ではなかった。』
「お城みたいに人が多いところでは、仕事の種類がいっぱいある。いっぱいあれば、給金の高い仕事はみんなやりたがる。だから、そういう仕事は、競ってとらなきゃいけないんだな?」
(役職がつくと、利益も多いけれど、行動は制限されてしまう。一長一短だ。)
『大皿に盛りすぎた料理のような部屋はザオの趣味というより、貢がれたものはすべて飾っておくという、妙に律儀な性格ゆえだったのだが。』
笑ってしまった が、遺された奥方と遺児が王に復讐、という未来もあるのかなぁ。。
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楽しいだけのファンタジーでなく、辛いことも描かれていて良かった。
夢見るファンタジーを読みたいときには向かないけれど…。
周囲の評価に捉われず、自分の目で物事を判断できるようになりたいと感じた。
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〈東琴〉の姫君・アトリは、生まれてすぐに母である王妃が亡くなったために、現在の王妃から疎まれ、王女らしい扱いも教育も受けないまま育った。
アトリが九歳の時、アトリを厄介払いしたい王妃の決めた縁談により、辺境の貧しい国〈柚記〉の領主・月王に嫁がされることになった。
月王は三十才を越えている上持病で寝たきりだったが、愛情も知らず放置されて育ったアトリの将来のために、“知識”と“常識”と“愛情”を教えようと考え、その導きでアトリはぐんぐんと賢く、優しい少女に成長してゆく。
月王の死後、〈東琴〉に戻ったアトリは、そののち次々に気性も考え方も違う五人の王に嫁ぐことになるのだが…
『天山の巫女ソニン』シリーズが良かったので、また手にした。
9歳の少女が主人公の、小学生から読めそうなファンタジーながら、十分に読み応えがあり面白かった。
忠実な従者のエンジとロルモ、そして異母妹のカティンがいい味出してる。