あらすじ
ソニンとの出会いと友情はまだ少し先のこと――。
父母である王と王妃から愛されずに育った北国の王女イェラの物語。
ソニンが天山の巫女として成長したのは美しい四季に恵まれた沙維【サイ】の国。イェラが王女として成長したのはその北に草原と森林が広がる寒さ厳しい巨山【コザン】の国。孤高の王女イェラが、春風のようなソニンと出会うまで、どのように生きてきたのかを紹介する、本編「天山の巫女ソニン」のサイドストーリー!
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Posted by ブクログ
<天山の巫女ソニン>の外伝、その1。
草原と森林が広がる寒さ厳しい巨山の国で、孤高の王女イェラの気質がどのように形づくられたが描かれる。
本編最終巻の「大地の翼」のレビューに「うぁ~、もぉ~、イェラ王女、かっこいい!!!」と書いたけど、今回も彼女は格好いい。
占い師が『人生の前半は、絶え間ない戦いの星』と見立てた通りに、王女であるが故の冷遇、妄執に囚われた祖父の奸計、望まない権力争いと兄たちとの確執など、王家に生まれたが故の苛烈な経験が積み重ねられ、まだ幼さ甘さを見せる彼女にハラハラもするが、『真の王たる者が安らかに眠ろうなどと思うな』という覚悟を決めるところが凛々しいな。
一方で、年老いた星世見フェソンとの交流に始まる天文台との関わりや愛犬ムサとの出会いなど本編に通じるエピソードもしっかり入っており、カナン王子との出会いと別れ、彼女の本質を見抜く将軍や慈愛溢れる乳母の存在など、本編で見せる彼女の人間性につながるものも見れて満足。
ソニンの登場は夢見の最中にムサに吠えられたところだけ。そんな場面、本編のどこかにあったような…。