樋口有介のレビュー一覧

  • 楽園

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    以前、燐鉱石の国・ナウルで突然通信が途絶えて「すわ、革命か!?」と騒がれた事があったけど、本作はあの事件をモチーフに書いたのかと思ったら、それよりもずっと前の作品でビックリした。
    預言者か。
    あと、島の原住民の訛りに上州弁を使ったのは上手いと思った。
    樋口さんおなじみの切な系青春ストーリーでも枯れかけのおっさんが頑張っちゃう話でもないけど(いや、スタッド氏は枯れかけのおっさんか)、これはこれで十分面白かった。
    ナウルやらパラオやらミクロネシア連邦やらの歴史をかじってから読むのと読まないのとでは、感じる面白さに差があるような気もする。

    0
    2016年07月11日
  • 片思いレシピ

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズ、番外編。柚木の娘・加奈子が主人公。

    巻末の著者のあとがきを読むと、主人公を加奈子に置いて描くのは結構な冒険であった様子。しかしながら、いざ読むとちゃんと柚木草平ワールドになっている。これまでほとんど草平の電話の相手として登場してきただけだが、私のイメージと合致して違和感もなく読めた。加奈子目線では柚木がどのように映っているかも、これまでシリーズを読んできただけに興味がわき、満足もできた。
    そして、今作ではもう一人強烈な個性のあるキャラが登場。加奈子の友達の柚子ちゃん。正直、最初はキワモノキャラだな、と思ったのだが、これがなかなか可愛い。加奈子も可愛いが、柚子ちゃんはまた違う

    0
    2016年02月09日
  • 捨て猫という名前の猫 柚木草平シリーズ9

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズ。長編作。

    相変わらず美女ばっかり出てくるけど、それはこのシリーズのお約束ということで。ちょいちょい美女との会話に浮かれて話が脱線してしまう柚木だが、私はその柚木の軽口がテンポ良くて、味もあって好き。ミステリとしてもちろん面白いけど、このシリーズはこの会話の掛け合いがあってこそ、とつくづく思う。

    そして今回、出てくる美女たちがそれぞれ結構なえげつなさで、結末はなかなかのハードなものに。柚木さんじゃないけど、久々に読みながら犯人に対し本気で怒りを覚えずにはいられなかった。事の真相を知れば余計に怒りがフツフツと。後味の悪い事件だったけど、それがヤサグレ中年男の柚木には妙に合うの

    0
    2016年02月02日
  • 笑う少年

    Posted by ブクログ

    「猿の悲しみ」・風町サエのシリーズ続編。

    樋口作品らしいユーモラスな会話劇が女性主人公でも健在。ハードな一面がありつつも、自分の息子にぞっこんラブな一面もあって可愛らしい。目下お気に入りの女性キャラ。
    A○Bのようなアイドル育成商法の中で起きた一人の少女の自殺事件と「笑う少年」の真相、両面からの調査が行われるが、両方とも意外な真相で面白かった。シリーズ化を期待したい作品。

    0
    2015年12月03日
  • 船宿たき川捕物暦

    Posted by ブクログ

    著者初の時代小説とのこと。しかしながら、初とは思えないくらい、違和感なく面白く読めた(上からでスミマセン)。
    ただ、やっぱり主人公の女性に対する口の上手さは時代小説においても健在のよう(笑)。どちらかというと時代モノには女性に対しては口下手な主人公剣客が多いだけに、倩一郎の人物設定は新鮮だったかも。キザったらしい言葉も様になっていて、キュンとなった。
    陰謀の結末がちょっと頼りなかったのが残念なところ。これが真相なら狭量過ぎじゃない??定信よりは田沼派の私なので、ちょっと納得いかないワ。
    と言いつつ、全体的には楽しめた。テンポ良く会話も進み、非常に読みやすかった。続編があるので、それも楽しみ。シ

    0
    2015年11月13日
  • 誰もわたしを愛さない 柚木草平シリーズ6

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズ、6作目。

    創元推理文庫出版での刊行順で読んでいますが、前2作が番外編的な感じでもあったので、漸く本来の柚木草平氏に再会出来たような気がした。
    いずれも一筋縄ではいかない色んなタイプの女性と交わす会話が秀逸。よくもまぁ、これだけポンポンと気障なセリフが出てくることと、作中の人物ながら感心してしまう。女性から振り回される具合が今作も絶好調だったな、と。その中で、新しく出てきた新米女性編集者。草平を取り巻く個性ある女性がまた一人増えました。最初は高飛車で鼻持ちならない感じだったけど、読み進めていくうちに可愛くなって、狸の生態研究のところで見事に撃ち抜かれました。これからも草平氏と

    0
    2015年11月05日
  • 刺青白書 柚木草平シリーズ4

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズ、4作目。
    今回は柚木草平目線は少なく、三浦鈴女(すずめ)という女子大生の目線で描かれる番外編的なシリーズ作。

    ハードボイルドな探偵の中年男性から女子大生の若い女の子に主人公が変わって、正直そういうのあんまり好きじゃなくて期待はしてなかったんだけど、意外とこのすずめちゃんが可愛くて、最初から楽しく読めた。不器用な恋愛模様も、ほのぼのとしてて、好印象。第三者目線から描かれる草平の姿も新鮮だった。事件の方は打って変わってドロドロした人間関係だったけど。
    主人公が変わって、それまでの3作とは雰囲気が違ったけど、これはこれで面白かった。すずめちゃんが再登壇することってあるのかな。

    0
    2015年11月04日
  • 猿の悲しみ

    Posted by ブクログ

    「笑う少年」を先に読んでからシリーズ物と知り読んでみました。
    「笑う少年」がちょっとグダグダ感があったので期待せずに読んでみたら意外と面白かった(*´∀`)
    息子ラブなかーちゃんには変わりないが本作はラブ度が少なめでちょっとユーモアのあるハードボイルド風で女版「探偵はBARにいる」を狙っているかのような作品になっている。
    一番の悪は表だって動かないもんだよなあ(苦笑)

    0
    2015年09月26日
  • 刑事さん、さようなら

    Posted by ブクログ

    後輩の自殺に疑問を抱き独自に捜査をする須貝警部補。一方、施設育ちで今の環境に幸せを感じている焼肉店店員のヨシオ。二人を結びつける薄幸の美人が、両者の人生を変えていく。
    「善人の罪科」と「悪人の正義」を交錯させた挑戦的な物語。感情移入をどちらにするかで読後感がまったく変わってくる。作者の意図が怖いほど不気味に伝わる。もっと評価されていい作家の一人。

    0
    2015年09月23日
  • 笑う少年

    Posted by ブクログ

    風町サエシリーズ、第二段。
    話の展開や事件関係者のパーソナリティなどは、由緒正しい私立探偵のハードボイルドものでありながら、ユーモアある会話や、エッジの効いた人生観はたいへん著者らしい。
    ファンとしては、期待に応えてもらったようでありがたい。
    主人公は男性の方が好きは好きだが、だからこそ唯一の主役女性シリーズも、続編が待ち遠しい。
    4

    0
    2015年09月07日
  • 初恋よ、さよならのキスをしよう 柚木草平シリーズ2

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズ、2作目。

    今作の被害者、および容疑者は全員、草平の高校時代の同級生。そのせいもあって、草平の過去を含めた人間性も垣間見ることが出来る。前作でもチラリと出してはいたけど、見かけによらず、なかなか深刻な過去を色々持ち合わせているらしい。口からポンポンと飛び出す草平のキザなセリフは健在。ここまで達者だとお見事。女性の天敵みたいなキャラだけど、憎めないワ。ただ、相手になる女性がたくさん出てくるけど、2作目にしてすでに似通った傾向になりがちかな。
    前作もだけど、このシリーズ、青春モノのようなタイトルなのに、主人公がヤサグレ中年男であるのが笑える。

    0
    2015年08月04日
  • 彼女はたぶん魔法を使う 柚木草平シリーズ1

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズ、1作目。

    元刑事の探偵さんが主人公。とりあえず、主人公が女性によく絡み、モテる。元刑事の割に女性に対して調子の良いセリフがポンポンと出てくる。そういった描写が多くて、事件自体はなかなか進んでくれないんだけど、、、まぁ、嫌いじゃなかったです。実際、自分がリアルに対峙するとなると嫌いなタイプだけど、読み物の中では、草平さんのキャラ、好きだし、格好良いと思っちゃった。シリーズモノなので、続きも読んでいこうと思う。

    0
    2015年08月03日
  • 金魚鉢の夏

    Posted by ブクログ

     どこかの市長さんの目には、理想に見える世界観の下でのミステリー。
     パラレル・ワールドかと思うと、笑いも引っ込む。
     ただ、訝しく思うのは、せっかくのこの設定は、はたして謎解きには必要だったのかということ。

    0
    2015年05月20日
  • 木野塚探偵事務所だ 木野塚佐平シリーズ1

    Posted by ブクログ

    ハードボイルドな私立探偵を目指す木野塚氏、最初は痛々しいだけなんだが、読み進むにつれて何か愛着が湧いてくるから不思議。

    但しまともな推理物を想像すると肩透かしを食らう。
    ミステリーかどうかも怪しい内容。

    0
    2015年05月18日
  • 片思いレシピ

    Posted by ブクログ

    まさかの加奈子ちゃんが主人公のスピンオフ。
    予想以上と言っては失礼ですが、非常によくできていました。文庫版あとがきに樋口氏が自ら書いている通り、草平氏が直接登場せずに探偵役を務める構成がとても良かったです。
    ある種の男が理想とするであろう女性を描くのが得意な樋口氏が、小学生女子までもこれほど魅力的に書けるとは!

    0
    2015年05月14日
  • 海泡

    Posted by ブクログ

    大学生の木村洋介は夏休みに父の住む小笠原の父島に帰ってくる。
     そこには中学、高校をともに過ごした仲間と、その仲間のひとり、丸山翔子がいる。洋介から一年遅れて、この島に来た彼女は、誰もが一目おく美人だった。その彼女が病に侵されて、死に掛けている。
     元村長の娘で、同級生の一宮和希が崖から落ちて死ぬという事件がおこり、その犯人とみられ、彼女を追って島に来たストーカーと見られている男が彼女の墓場で殺される。そして、そのあとに翔子も命を尽きる。
     翔子は、和希の事件をベッドのなかから、丸山一族の財力と権力を使って追っていた。

     地元民である島の同級生、漁師の浩司、旅館の娘、旬子との友情、東

    0
    2015年04月17日
  • 夏の口紅

    Posted by ブクログ

    文体が独特でかっこいい。
    ハードボイルドに近い、心理描写を避けて、結果を書く。
    いつの間にかはまっています。

    0
    2015年01月29日
  • 魔女

    Posted by ブクログ

    悪夢から目を覚ますと、部屋は火の海。
    逃げようとするが力つき、生きたまま焼かれる女。

    ...そんなショッキングなシーンから始まる本作。
    全体の印象は...何と言うか、かなりクセがあるか。

    「元カノの死の原因を探る」といういモチーフは、
    樋口作品には何度か登場している。
    当然「素人探偵」なのだが、樋口描くところの主人公は
    韜晦しつつも常に鋭い頭のキレを見せて、
    淡々と真実を暴いて行く。

    本作も、その系譜。
    死んだ元カノの「引きこもりの妹」という存在が
    作品に特異性を付加してはいるが。

    細かいことを言い出すと、実はツッコミどころ満載。
    樋口作品では、よく「警察はアホ過ぎ」に描かれる。
    が、

    0
    2017年11月05日
  • 苦い雨

    Posted by ブクログ

    ハードボイルドとは言っても、起業ゴロの話。
    バブル崩壊後の「二台目社長の悪あがき」と、
    その取り巻きのドロドロを描いている。
    ボギーとはずいぶん違う(^ ^;

    そこへ「銀座の女」事情が絡んでくる。
    いや、私みたいな社会の下部で蠢いてる者には、
    まったく縁のない世界ではありますが...
    きっと大企業の「偉い人」なんてのは
    こういうことがリアルな日常なんだろうな...

    まったく縁のない世界なので
    まったく感情移入はできませんでしたが(^ ^;
    主人公の屈折した発想・言動・自縄自縛は、
    変わらない「樋口節」で共感できる。

    「娘」がもっと出てくると、より面白くなったか。
    単行本刊行時から、相当加

    0
    2015年01月26日
  • 刺青白書 柚木草平シリーズ4

    Posted by ブクログ

    柚木草平シリーズの番外編。
    主役がちょっと変わった女子大生で、いつもとだいぶ趣が違うが、主役に好感が持てる。
    真相の意外性はそこまでではないが、話は丁寧な作りで面白い。

    0
    2014年11月25日