樋口有介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★5つは、この文春文庫版が出た頃に読んだ時の(たぶんの)評価。
今更読んでみた評価だと、おおまけにおまけして、★4つくらいかなぁー(^^ゞ
そんな、樋口有介の『ぼくと、ぼくらの夏』。
いまさら読みたくなったのは、宮部みゆきの『ソロモンの偽証』を読んでいて主人公の担任である森内先生のキャラに、『ぼくと、ぼくらの夏』に出てきた担任の先生を思い出したから。
そんな村岡先生だけど、まぁなんと言うかw
宮部みゆきの小説に出てくる担任の先生だと森内先生になるけど、樋口有介だと村岡先生のキャラになる…、みたいな?(^_^;)
ということで、この本の感想にいく(爆)
ウィキペディアを見ると樋口有介は16歳で作家を目指し、文學界新人賞に毎回応募し続けたものの芽が出なくて。秩父の廃村にこもって5年目の1988年に『ぼくと、ぼくらの夏』が第6回サントリーミステリー大賞の読者賞を受賞。作家デビューとある。
樋口有介というと、洒脱さを装うことで「自分なんて信じてるわけないじゃんw」と常に照れてる主人公が出てくる、軽いハードボイルドタッチのミステリーというイメージがあるが、それはデビュー作のこれも全く一緒。
というか、自分が最初に読んだ樋口有介の小説はこれだし、これでファンになったので(^^ゞ
この『ぼくと、ぼくらの夏』こそ、The 樋口有介みたいに思ってきたけど、今読んでみると、うーん…、まだ、樋口有介にはなってないかなぁー、って感じw
ていうのは、ギャグになっちゃてるんだよね。
ジョークじゃなくて。
微笑ましくて面白いのは面白いんだけど、樋口有介特有の“照れ”からくる洒脱さがない。
ただ、それを補って余りあるのがヒロイン酒井麻子と主人公の親父さんのキャラw
この2人と主人公の掛け合いがすごくイイのだ。
あと、そう、まだ、樋口有介にはなってないと書いておいてなんだけど、犯人の隠し方…、というより、ストーリー上の犯人のポジションって言ったらいいのかな?
それはデビュー作からなんだなぁーと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙に惹かれ手に取りました。お恥ずかしながら初めての作者さんでしたが、2021年ご逝去とのこと、続編を待ち望むことは叶わないんだな、というのが読後の最初の感想でした。面白かったー!
ハードボイルド、の言葉が裏表紙にありましたがそこまで硬すぎず、かといって本格ミステリでもなかったと思います。筋としては殺人事件の新犯人捜し、なのですが、超推理や謎解きはあまり複雑に無くて、椎葉という主人公の人生をなぞるような場面が私は読んでいて心地よかった。ブレない諦念、というんですかね…30過ぎにしては人生悟りすぎでは、と思わなくもないけれど、元妻との境遇の対比が(暗に元妻が悪く描かれているような気がしなくもなかった)ラストにつながっているんですかね。きっと椎葉は幼い頃から孤独に慣れさせられすぎていて、一人でいる自分に違和感は無いのでしょう。それでもまるっきり誰もの存在がない世界観で生きるには寂しがりすぎて、ホームレスという特殊な社会は息がしやすかったのかもしれない。
椎葉が座間味まで無事たどり着いて、トメさんの遺骨をご親族にお渡しできて、その後 暖かくゆるやかな時間が過ぎていく島で、無理せず暮らしてほしいと親のように願ってしまいます。 -
Posted by ブクログ
元刑事のフリーライター柚木草平は、山代母娘の家で鎌倉在住の薬膳研究家である藤野真彩という女性と出会う。
10年前、高校生だった真彩の同級生が失踪しており、その同級生らしき人物の目撃情報が鎌倉周辺で増えているという。
成り行きで女子高生の失踪事件を調べることになった草平だったが、関係者が殺害される事件が起きてしまう。
1990年に「彼女はたぶん魔法を使う」で始まり、本作で12弾を迎えた柚木草平シリーズ。
いつだったか、書店で手に取った縁でずっと読み続けてきました。
主人公の草平さんはいつまで経っても歳を取らずに永遠に38歳のまま。妻とは別居中で、一人娘の加奈子には頭が上がらず、そして美女にはめっぽう弱い(というより甘いw)という、なんとも不器用で愛すべきキャラクターでした。
その草平さんの周辺が、前作の「うしろから歩いてくる微笑」でちょっと様変わり。これは新章突入かな?と思っていたのですが、作者である樋口有介さんが2021年10月23日に急逝されたとのこと。
本書の帯に記された、おそらく編集担当さんの文章によれば完結編の構想もあったとのことで、それを見届けることが叶わないということがとても悲しいです。
巻末の解説を担当された杉江さんの言葉にあるように、草平さんはきっと今もどこかを軽やかな足取りで歩き続けているのでしょう。そう思うと少し心が軽くなります。
なんだか完全に追悼文になってしまいましたが、本作でも草平さんの洞察力は相変わらず。
前振りが長いと言えば長いのですが、後半で一気に真相に近付いていくくだりはやはりお見事でした。
やっぱり草平さんはいいですね。きっと草平さんにまた会いたくなると思うので、しばらくしたら最初からまた読み返すのもいいな、と思っています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ柚木草平が嫌いということではないんだけど、樋口有介は、やっぱり青春真っただ中な主人公が事件を探っていく話の方がいい。
それは、最初に読んだ著者の本が『ぼくとぼくらの夏』と『風少女』だからだろう(どっちを先に読んだのかはおぼえていない)。
これは主人公が大学4年の女の子ということで、そういう意味でも樋口有介っぽくって、すごく好みの話。
というかー。
柚木草平って、このポジションの方がおさまりがいいと思うんだけど?w
読み始めて、最初に感じたのが、え? 樋口有介って、こんな文学的に情景描写する人だったっけ!?ということ(^^;
たしかに、変に詩的なタイトルwとか、ムダにキザなへらず口とかw(いや。どっちも好きなんだけどさ)、書きたがる作家だとは思っていたけど。
でも、“細い地雨がフロントガラスをけぶらし、ワイパーの移動が隅田川の夜景を飴色に明滅させる……”みたいな描き方、記憶ないけどなーと、他の本を見てみたら、やっぱりないと。
え? これ、なんなの!?なんて思いながら読んでいたんだけど、特にはわからなかった。
ま、たんに他の柚木草平の話は、彼の語りで話が進むけど、これは三人称の文章だから、そういう風に書いたっていうことなのかな?
ていうかー、樋口有介。こっちの描き方の方がよくない?(^^ゞ
話は主に、主人公の三浦鈴女のパート、柚木草平のパートと進んでいくんだけど、それぞれ初めにその情景が描かれることで、二人の感情や思いがより鮮明になってくるっていうのかな?
この話のやりきれない結末もあって、描かれた風景が無機的なんだけど、だからこそ、それらは誰にも平等で、優しくて、哀しい。
そこが、すごくいい。
唯一難点を言えば、左近万作の物言いが柚木草平と妙にダブることw
いや。決してキザなへらず口をたたくわけではないんだけど、ぶっきらぼうな物言いがなぁー。
もうちょっとバリエーションがあってもいいんじゃない?(爆)
読み終わって、違和感を覚えたのが『刺青白書』というタイトル。
だって、これって、刺青白書な話でないよね?w
『刺青白書』ってタイトルを見た時、すごく樋口有介あるある的なストーリーをイメージしたんだけど、でも、これはそういう週刊誌的なセンセーショナルさが事件になっている話では全然ない。
むしろ、事件の根本にあるのは、抑えきれない虚栄心の暴走(迷走?)みたいなものがきっかけになって起こっていく地味な話なのだ。
地味だし、また、意外なところに配置されていた犯人も、実はこの手の話の定番の配置だったりするwんだけど、ミステリー小説に、すごいトリックも、驚くようなどんでん返しも、これっぽっちも期待していない自分みたいな読者からすると、そこがよかったりするのだ。
ていうか、樋口有介のファンって、そういう読み方をする読者の方が多いような気がするんだけどな。
『刺青白書』というタイトルは、無理に煽ることで売ろうとする最近の新書のタイトル(or帯)みたいで、すごくイヤ(爆)
違和感といえば、もう一つ。
三浦鈴女の最初のパートで、彼女が神保町でカラスアゲハが飛んでいるのを見る場面があるんだけど。
神保町でアオスジアゲハが飛んでいるのよく見かけたけど、カラスアゲハは1回も見たことないんだよなぁ~(^^ゞ -
Posted by ブクログ
ネタバレ樋口有介は、ずいぶん前。駅前の小さな本屋で、最初に『ぼくと、ぼくらの夏』、翌日に『風少女』を買って以来のファンだ。
ジュブナイルというか、青春の物語というか。ジュブナイルに毛が生えたみたいなw感じなところがいいんだと思う。
確か、2000年代の初め頃だったか? 中公文庫からポツポツ出てた頃も、本屋で見かける度買って読んでいた。
ただ、創元文庫の柚木草平シリーズの『彼女はたぶん魔法を使う』を見た時は、「あぁまだ樋口有介って書いてたんだなー」と妙に懐かしくw感じた記憶があるから、
その頃は全く読まない作家になっていたんだろう。
その後、その『彼女はたぶん魔法を使う』と『初恋よ、さよならのキスをしよう』を読んだのは何年前だったっけ?
いつ頃読んだか皆目見当がつかないくらいだから、内容もほとんど憶えてなくて、ただ、柚木草平シリーズはイマイチだなぁーという印象だった。
そう、なんかこう、物語の広がりが今一つ物足りない、みたいな感じ?
今一つ物足りないから、読み終わって、今一つ食い足りないんだよなぁー、みたいなw
まぁ、それは、樋口有介=青春の物語というイメージなのに、主人公が中年男という時点で、そもそも食い足りないみたいな、読者側の勝手な思い込みも大きんだけどさw
とはいえ、樋口有介だって年をとるわけで、ていうか、もういい加減いい年(知らないけどw)なわけだ。
いつまでも青春の物語を書くわけにもいかないだろうし。
ていうか、この本のあとがきで著者は「若くて綺麗な女性を嫌いな男がいたら、それはただのビョーキなんですから」と書いているが、著者のその「若くて」って、中一も範囲なの!?と、かなり引いた(爆)
ま、それはともかく。
いや、あまり、ともかくでもない気もするのだが、それはとりあえず横に置くとして、この『捨て猫という名前の猫』は、食いでがあるところがいいんだと思うた。
よくよく考えると、かなりエゲツナイ話なんだけど、主人公とその周りのアホバカえぇかっこしぃーな会話がそれを中和するから、読んでいて気分が重くならないのもいい。
というか、そのエゲツナイ事件や出来事も、過去の出来事や事件のその関係者の哀しみや葛藤、後悔、諦念、身勝手、執念等々、様々な思いが絡み合うことでそれが起きたというところに、青春にはない、それなりに生きた人ならではの哀感みたいなものを感じるのだろう。
最後の方で、登場人物の一人が語りで手である柚木に「私のことを、そんなにロマンチストだと思うの」という場面があるが、そこがまさにそれで。
それなりに生きている人なら、誰しも大なり小なり抱えていくことになる負の側面を情感で化粧してやることで、読者の心を優しさの方に振れさせているように思った。
そこに横溝正史っぽさを感じて、いいと思うのだろう。
そんな反面、真ん中くらいである登場人物が言う、「あの業界ってね、モデルもカメラマンもクライアントもコーディネーターも、全員がバカなの。二年くらいしかやらなかったけど、脳が半分くらい、溶けてしまったような気がする」という辛辣なセリフには笑った。
いや、その「あの業界」が本当にそうなのかは知らないが。
でも、今って、本当にそういう業界が多いよなぁーみたいな?w
ていうか、現在の状況を見ていると、そのことは、自分も含めて誰もが頭の隅において置いとかないとヤバイよね、なんてw
たぶん、渦中に入り込んじゃったら、目の前に見えるものすら見えなくなってしまうってことなんだろうなぁー。 -
Posted by ブクログ
古文書を繙くと、どうやら2015年に
一度この本を読んでいるようだが...(^ ^;
全くもって記憶に無し(^ ^;
まぁ、だいぶ加筆訂正した、とのことなので、
印象が変わっているに違いない...(^ ^;
作者お得意の「韜晦した若者」が主人公。
二年ぶりに帰省した小笠原の父島で、
様々な事件に出会い、結果的にその謎解きをしていく。
様々な出会い、別れ、邂逅があり、
「余命幾ばくもない初恋の女性」のエピソードが、
通奏低音のように悲しみとノスタルジーを奏で続ける。
やり場のない怒り、無力感、虚無感...
刹那主義的に生きながら、悩み続けている主人公。
彼を取り巻く小笠原の人々がまた良い。
豪快な海の男を気取りつつも、小心者の漁師や、
働き者の旅館の娘、飲み屋のマスターとバイトの女性、
かつてエリートで心を病んでしまった男等々、
実にリアリスティックで、「それぞれのドラマ」を生きている。
また小笠原という、一般的には「陽」のイメージで
語られがちな「南の島」でありながら、
実は閉塞的な特殊な状況が作品に活きている。
「逃げ場のない」島は、縦にも横にも窮屈なのだ。
若い頃ロングで小笠原に滞在したことがあるので、
フェリーが出てしまった後の「虚脱した感じ」とかを
肌感覚で思い出せて、余計に感情移入。
ちょっとした描写が「そうそう」って思える。
巻末の解説を読んで、「以前のバージョンとは、
主人公のセリフがこう変わっている」という部分を読んで、
初めて「あ、このセリフ覚えてる」と思い出した(^ ^;
このセリフの変化によって、主人公の「立ち位置」が
前版と今版とで全く変わっている訳だが...
例によってミステリなので、細かくは述べるまい(^ ^ -
Posted by ブクログ
お仕事小説に分類したが、冒頭のシーンから
なかなかのハードボイルド(^ ^;
またある人物の過去を明らかにしていく過程は、
ミステリ要素でもあるし...分類が難しい(^ ^;
ジャンルはどうであれ、大変楽しく読めました(^ ^
テンポよく、乾いた文体で、所々にはさまれる
ユーモアも「ちょうど良い」塩梅で(^ ^
謎解き的要素があるので、詳しくは書けませんが、
最後の種明かしは結構な「そう来たか感」(^ ^;
続編を期待できる「含み」の残し方もあるし、
いやこれはまたおいしいシリーズになるかと(^ ^
唯一「消化不良感」が残るのは、
ターゲットの「奥さん」の正体...と言うか...
これもまた何か「次への伏線」があるのだろうか(^ ^; -
Posted by ブクログ
+★★
あまりに面白くて、星七つ(^ ^
元刑事のフリーライターで、やたら女にもて、
しかも女難の相があり...というコメディ調ミステリ。
いやまぁ、「よくある話」とは言える(^ ^;
が、文章のテンポが良く、読んでて心地よい(^ ^
軽い文体ではあるが、取り上げてる「事件」は、
根が深く複雑な展開を見せ、容疑者も二転三転、
純粋なミステリとしてもワクワクしながら読める(^ ^
シリーズ物で「お馴染みの美女軍団」も健在、
「永遠の38歳」の活躍から目が離せない(^ ^
例によって「ミステリ」なので、細かくは書けませんが、
文句ナシに読める至高のエンタテインメントです(^o^ -
Posted by ブクログ
夜間高校に通う女の子が、とある「クラブ」で初老の小説家の男と出会う。
女の子主観の話なので、まるでシンデレラストーリーなのだが…。
父はけがで働けない、母はうつ病ででもパチンコにはいっていて、生活保護をうけていて、そんなどん底にいても彼女は純粋で、というのが多分オッサンの理想なんだろう。
うん。
むしろ、これはオッサンの理想の話なのだ。
理想なので、彼女はだた自分の運命を嘆いているだけではない。行動をおこす。ただ、行動にはお金がいる。都合よく小説家の男は金をもっているのである。
とはいえ、彼女は純粋に男にひかれていくのだけど。
うーん。
ファザコンがあるのかと思ったりしたが、そういうのでもないみたい。つか、オッサンの理想なので、多分それはNGなのだろう。
彼女はまるで結婚式のスピーチの3つの袋的な感じに、がっつりつかまれていくのである。
と、シンデレラみたいにふわふわと流されていくのだけど、やっぱりオッサンの理想だよね、と思うのである。
一瞬、それが全部打ち砕かれるか、と思ったけど、オッサンの理想は手ごわい。
結局、夢見るオッサンの理想から、究極の理想にシフトアップして終わるのである。
あ、今回のタイトルは秀逸。
どう秀逸かは、ネタバレになるのでひかえますww -
Posted by ブクログ
ネタバレ*社会福祉の大胆な切り捨てで経済大国に返り咲いた近未来の日本。警察の経費削減で捜査を委託された元刑事の幸祐は、夏休み中の孫娘・愛芽と共に、老婆の死亡事件が起こった山奥の福祉施設を訪れる。単なる事故死で片づけるはずが、クセのある施設の人々と接するうちに幸祐の刑事根性が疼きだして…ノスタルジックな夏休みの情景に棄てられた人々の哀しみが滲む傑作ミステリ*
一言で表すならば「ぎっしり」。これでもか!と言うくらいに色々なネタや仕掛けがぎゅうぎゅうに詰め込まれている感じ。近未来の設定も、まさに今起こりうるような展開も面白かったし、樋口ワールドも堪能したけど、ネタが多すぎて収束しきれていないのがもったいなかった。とは言え、さすが樋口ワールド、蜃気楼の向こう側に揺れるようなラストが心地いい。