あらすじ
ホテルの清掃員として働きながら夜間高校に通う涼子、16歳。家には、怪我で働けなくなった父、鬱病になった母がいて、生活保護を受けている。ある日、クラスメイトからセレブばかりが集う「クラブ」に行かないかと誘われる。守らねばならないものなど何もなく、家にも帰りたくない。ちょっとだけ人生を変えてみようと足を踏み入れた「クラブ」には、小説家だという初老の男がいた。生きることを放棄しかけている親を受け入れ、人と関わらず生きる日々を夢見てきた涼子は、自らの人生に希望を見出すことができるのだろうか――。33万部超のヒットとなった『ピース』の著者が、原点に戻って描き上げた、一筋縄ではいかない一気読み「純愛」物語! 彼女は何をしたのか――このラスト、あなたならどう読む?
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夜間高校に通う女の子が、とある「クラブ」で初老の小説家の男と出会う。
女の子主観の話なので、まるでシンデレラストーリーなのだが…。
父はけがで働けない、母はうつ病ででもパチンコにはいっていて、生活保護をうけていて、そんなどん底にいても彼女は純粋で、というのが多分オッサンの理想なんだろう。
うん。
むしろ、これはオッサンの理想の話なのだ。
理想なので、彼女はだた自分の運命を嘆いているだけではない。行動をおこす。ただ、行動にはお金がいる。都合よく小説家の男は金をもっているのである。
とはいえ、彼女は純粋に男にひかれていくのだけど。
うーん。
ファザコンがあるのかと思ったりしたが、そういうのでもないみたい。つか、オッサンの理想なので、多分それはNGなのだろう。
彼女はまるで結婚式のスピーチの3つの袋的な感じに、がっつりつかまれていくのである。
と、シンデレラみたいにふわふわと流されていくのだけど、やっぱりオッサンの理想だよね、と思うのである。
一瞬、それが全部打ち砕かれるか、と思ったけど、オッサンの理想は手ごわい。
結局、夢見るオッサンの理想から、究極の理想にシフトアップして終わるのである。
あ、今回のタイトルは秀逸。
どう秀逸かは、ネタバレになるのでひかえますww
Posted by ブクログ
どこか達観しているような女子高生・涼子の視点で進んでいく物語。淡々とした語り口で進んでいき読みやすい。
俯瞰して人生を生きている様子だったので、家庭環境から自分の境遇を辛いと捉えないのかと思っていたら、亀の餌をやるシーンで涙を滲ませていた時にこの子は考えないようにしていただけなのかとハッとさせられた。
先生との描写が生々しくてビックリした。
親に反旗を翻してどう着地するんだろう〜とワクワクしたのに沖縄行ったので肩透かし食らった感じがあった。
Posted by ブクログ
ホテルの清掃員として働きながら夜間高校に通う涼子16歳。怪我で働けなくなった父、鬱病になった母がいて、生活保護を受けている。ある日、クラスメイトからセレブばかりが集う「クラブ」に行かないかと誘われ、小説家だという初老の男性と知り合う。
ミステリーではなく純愛物語らしいが・・・。
小説家は著者自身のよう。
著者の中で最も面白くなかった。
Posted by ブクログ
樋口作品には珍しい女子高生が主人公の物語。
いつもの若い男性が現状の辛さを受け入れながらシニカルかつ気楽に生きている物語は良いのだけれど、それが女性となると読んでいてキツくなるのは自分が男だからなのか。
確かに「純愛」なんだろうけど、感情移入が難しい関係だったな。
Posted by ブクログ
怪我で働けない父と鬱病の母を持つ女子高生・涼子。初老の小説家との出会いが彼女の運命を劇的に変える。一筋縄ではない純愛物語。
新機軸の樋口作品。いつものシニカルな少年や中年男性が登場しないので、なかなかその世界観に入り込めない。純愛ものでありながら、理想的とも憧憬も抱かない不思議なストーリー展開は、この小説を実験とするなら成功している。