樋口有介のレビュー一覧
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1988年に作家「ぼくとぼくらの夏」で第6回サントリーミステリー大賞の読者賞を受賞し、作家デビューした樋口有介の初期の快作の一つ。
デビュー作は主人公が高校生のカップルで、1990年に和久井映見主演で映画化されたが、「風少女」は映画化もTVドラマ化もされていないようだ。この作品も映画向きと思うのだが。
「ぼくとぼくら〜」に比べて爽やかな映画にはならないけれども、映画で見てみたい。
というのもミステリーではあるけど、中学の同級生の女の子の死の真相を突き止めるために、考えたり行動したりのドラマが面白く描けている。主人公・21歳の大学生、斉木亮の発想やセリフ、言い回しがとても学生っぽくないとか、相方 -
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ミステリー長編。
全く解決の糸口が見出せない一家惨殺事件に、主人公の女刑事は頭をかかえていた。そんなある日、かつての上司でキレ者のエリートだった男を偶然見かける。彼はなんと、警察を依願退職した後ホームレスになっていた!!主人公は彼に日当二千円を払い、家惨殺事件の真相解明を手伝ってもらうことにした。彼はなぜホームレスになったのか?そして、犯人は一体誰なのか・・・?
いいじゃん×2♪かなり長い話(約500P)なんだけど、話に惹きこまれてあっという間に読み終えてしまった。主人公と男の会話が、ジョークきいてておもしろい。女刑事の皮肉と、男の嫌味がなんともいえず、思わずクスリとしてしまう。
事件も -
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柚木草平シリーズ最後の作品。
10年前に失踪した女子高校生の行方を追っていた柚木は、別の殺人事件に巻き込まれる。
相変わらずちゃらちゃらしているようで、へんに硬い柚木さんなのである。
で、なぜか美女が周りにいっぱいいる。作者の願望かww
まぁ、一見無関係のようだったものが、つながって、っていうのはミステリーの定石なので、いわずもがな、なのだけど、まあちょっと無理やりすぎかな。
って、結局はオチがね、って感じなのでそこに終点をもっていくには、仕方ないのだろう。
が、そこが終点でいいのか?
なんというか、すごい理不尽さを感じるのである。
うん。
そうだ。この小説の根底に -
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2019 年に文庫化されていた作品ですが、発売に気付かず、久々の草平さんとの再会になりました。
読み進めていくうちに、一人娘の加奈子ちゃんがそろそろ小学校卒業という記述があったり、冴子さんとの別れの気配が匂わされていたりと、シリーズ完結の気配が感じられて、どうしてもそこが気になってしまって、続編が出ているのかを確認。
そこで、作者の樋口有介さんが2020 年に急逝されていたと知り、衝撃を受けました。
今回の「少女の時間」の後にまだ文庫されていない続編が発売されており、完結編の構想に入っている段階での訃報だったと、東京創元社の HP に掲載されていて、あまりの衝撃に続きが読めなってしまい -
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初めてこの著者の本を読みました。
一読でも面白く、ただ一読では物足りない。
二度、三度、主人公レイナについて読み解していきたいと思わせる本だった。
文章は読みやすく、テンポも日常ミステリに近いので軽く読みやすい。
しかし、一点集中に世でいう大きな謎を追うということではないので一気に読めはしなかった。
私なりに読み解いたテーマは、
普通の幸せと本当が全て?という疑問。
まぁ一読なので、二転三転するかもしれない。
伊藤沙莉さんの解説は面白かった。
演技人であるからこその読み解き方や文章の解釈、感情。また、伊藤さんとレイナの共通点等。
是非、著者の別の作品も読みたいと思わせられた。
まずは、