樋口有介のレビュー一覧
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かつて辣腕の刑事として
順風満帆の人生を送っていた椎葉。
ある不幸な事件をキッカケに
警察を辞めホームレスに身を落とす。
半年前の惨殺事件捜査が息詰まっていた頃、
新人刑事の夕子はかつて尊敬していた刑事の姿を
ホームレスの中に見つける。
新たな視点からの捜査を行うために、
夕子は椎葉に日当2000円で救いの手を求める。
セリフ回しやキャラクターの描写が
コミカルに描かれていて面白かったです。
小説的と言うより戯曲的なイメージ。
リアリティが有り過ぎず、無さ過ぎず。
全体的なバランスが良く、
とにかく読みやすかった。
小説は読みやすいのが、いちばん。 -
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1988年に作家「ぼくとぼくらの夏」で第6回サントリーミステリー大賞の読者賞を受賞し、作家デビューした樋口有介の初期の快作の一つ。
デビュー作は主人公が高校生のカップルで、1990年に和久井映見主演で映画化されたが、「風少女」は映画化もTVドラマ化もされていないようだ。この作品も映画向きと思うのだが。
「ぼくとぼくら〜」に比べて爽やかな映画にはならないけれども、映画で見てみたい。
というのもミステリーではあるけど、中学の同級生の女の子の死の真相を突き止めるために、考えたり行動したりのドラマが面白く描けている。主人公・21歳の大学生、斉木亮の発想やセリフ、言い回しがとても学生っぽくないとか、相方や脇の女の子がいい女過ぎないかなど、謎解きとは特に関係なくもない細かいところがとても面白い。
個人的に事件の真相とラストのところは、自分の身に起きたとしたら相当辛いけど、かりにそうなったらこのミステリーのように振舞おうというような、イカしたものなのである。ぜひ古い作品ではあるけど映画化してもらいたい。
ラストはもっとも映画的なので、映像化の場合さらにクールなカットを考えていただければいうことなし。 -
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ミステリー長編。
全く解決の糸口が見出せない一家惨殺事件に、主人公の女刑事は頭をかかえていた。そんなある日、かつての上司でキレ者のエリートだった男を偶然見かける。彼はなんと、警察を依願退職した後ホームレスになっていた!!主人公は彼に日当二千円を払い、家惨殺事件の真相解明を手伝ってもらうことにした。彼はなぜホームレスになったのか?そして、犯人は一体誰なのか・・・?
いいじゃん×2♪かなり長い話(約500P)なんだけど、話に惹きこまれてあっという間に読み終えてしまった。主人公と男の会話が、ジョークきいてておもしろい。女刑事の皮肉と、男の嫌味がなんともいえず、思わずクスリとしてしまう。
事件も二転三転し、最後の最後でうっちゃりをくらいました。最高に楽しめた♪
実際には、男は重い過去を抱えているんだけど、妙に達観(もしくは諦観?)してるのょ。とはいっても、達観できるようになるまでには、紆余曲折あったんだろうけどねぇ。ラストで、男が選んだ道はなんだか切ないけれど、彼が幸せならそれでいいのかもしれないと思う。 -
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60で警察、しかし事務職を退職した木野塚は、退職金やアパートからの収入を使って、かねてからの夢であった探偵事務所を新宿に作る。しかし、来る以来は、金魚を探してほしいだったり、猫を探してほしいというものばかりであった。
60過ぎで戦前、戦中生まれというあたり、えらくアナクロチックだなと思ったが、出版が1995年。その頃の60歳って戦前の世代なんだっけか。
樋口有介の、ちょっと厭世的というか、気だるい雰囲気を期待していたが、全く別の方向で、1980~90年代の勢いとバカっぽい雰囲気のコメディー作品である。ミステリといえるのかどうかだがあ、一応謎解きは有るか。
内容は、短編5つで、こういう小説の定番の凸凹コンビ、木野塚と桃世という組み合わせである。シリーズ化しそうなものだが、方や老人、方やいなくなるという話なので、多分出てないんだろうなあ。
桃世をもうちょっと今風ギャルっぽくしたら、十分現代でも通用しそう。ポンコツと空気を読まないという定番は、やはり王道の面白さを生む。
樋口有介らしいかと言われると、ワタシなんかだと違うなと言いたくなるものの、ずっと読んできた人にはこちらが樋口有介らしい作品だったりして? -
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柚木草平シリーズ最後の作品。
10年前に失踪した女子高校生の行方を追っていた柚木は、別の殺人事件に巻き込まれる。
相変わらずちゃらちゃらしているようで、へんに硬い柚木さんなのである。
で、なぜか美女が周りにいっぱいいる。作者の願望かww
まぁ、一見無関係のようだったものが、つながって、っていうのはミステリーの定石なので、いわずもがな、なのだけど、まあちょっと無理やりすぎかな。
って、結局はオチがね、って感じなのでそこに終点をもっていくには、仕方ないのだろう。
が、そこが終点でいいのか?
なんというか、すごい理不尽さを感じるのである。
うん。
そうだ。この小説の根底にあるのは、<理不尽>なのだ。
うーん。
世の中、そんなにいつの間にか、こんなに閉塞感にみちてしまっていたんだな。
狭いところで、あがくしかないから、理不尽に耐えるしかない。それに気づいている人もいたら、気づいていない人もいる。
まあ主人公が、そもそも閉塞に生きてるシリーズだからな。
って、面白く読んで終わったら…。
そうか。
そういうことだったのか。
だからシリーズ最後の作品なのか。
…人間としていつか来る、当然のことなのだけど、切ない。
ただ、切ない。 -
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2019 年に文庫化されていた作品ですが、発売に気付かず、久々の草平さんとの再会になりました。
読み進めていくうちに、一人娘の加奈子ちゃんがそろそろ小学校卒業という記述があったり、冴子さんとの別れの気配が匂わされていたりと、シリーズ完結の気配が感じられて、どうしてもそこが気になってしまって、続編が出ているのかを確認。
そこで、作者の樋口有介さんが2020 年に急逝されていたと知り、衝撃を受けました。
今回の「少女の時間」の後にまだ文庫されていない続編が発売されており、完結編の構想に入っている段階での訃報だったと、東京創元社の HP に掲載されていて、あまりの衝撃に続きが読めなってしまい、再び本を手に取るまでに数日を要しました。
それでもなんとか続きを読み進めているうちに、シリーズが完結しないままというのも悪くないかも、と思えました。もちろん、樋口さんが急逝されていたことは悲しいことです。けれど。「草平さんはずっと変わらずに、女性たちに振り回され続けて生きて行くんだろうな(苦笑)」という、そんな気持ちでいるのもいいんじゃないか、と。
今回も女性に振り回されて、なんとなくハードボイルドになり切れない、いつもの草平さんが、ちょっと重たい事件を追い、その真相に迫っていきます。扱う事件やその背景には世の中の闇みたいなものが潜んでいて、だからこそ、いつもの草平さんに救われました。
最終巻となってしまった最後の1冊は、文庫になってからのお楽しみとして取っておきたいと思います。