樋口有介のレビュー一覧
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法律事務所の調査員、風町サエの2作目。
自殺したアイドル候補生への賠償金の減額のために、調査をしていくうちに、そのプロデューサーの過去にいきあたる。
まるで、某アルファベット3文字のアイドルですか、って感じだけど、それよりえぐい。まぁ、いや全然別なんですよってなった時に、こっち方向に行かざる得ないんだろうけどね。物語の上とはいえ、架空のものとはいえ、そのやり方には辟易した。
で、その辟易するやり方を考えた男なので…。
タイトルがいいんだけど、よくない。
かといって、元のタイトル「笑う少年」は、もっとダメなんだけど。
樋口有介は、タイトルが斜めすぎて…。
まぁ、そこがいいん -
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ネタバレ樋口センセの作品を上梓順に読んでるわけでは無いし気にしても居なかったから今作に触れるのがたまたま2018年の終わりになったワケなんだけど。
しかし今作で描かれる作品背景がフィクションなんだけど妙に生々しく感じてしまう世界情勢との符号か。
創作だと絵空事だと捨てるのも簡単だけど、少しでも針が振れたら今作のような日本もあり得るのではないかなー…というあたりが巧みなのかそれとも自分の政治信条と近しいのか。
自分が触れてきた樋口センセの作品にしては、推理役が真面目に推理しているなぁ…という。
そりゃ「元刑事」なら当然でもありますか。
刑事ってのは元が付こうが、作品の中では勘が働いて不整合や不条理が気 -
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フリーの記者をしながら、未解決事件の調査を行う柚木のところに女性が訪れ、交通事故として処理された妹の死を調べてほしいとの依頼をされる。何ということもない事故のようだが、事故車が見つからないなど不自然な部分が多い。
ハードボイルドなんだか、ミステリなんだか、それらを茶化しているのかかなり混乱する作品である。メインの部分としては、事件解決を目的としたミステリなのだろうが、証拠を押えて次々解決するでもなく、小学生からOLまで、数々の女性に振り回されて、核心に向かえない柚木を楽しむという作品である。
樋口有介の以前に読んだ作品に比べると、相当読みやすく、犯人探しなんかどうでもいいと思いながら読むの -
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ネタバレ*地味な市議の死。外傷や嘔吐物は一切なし。医師の診断も心不全。なんとか殺人に〈格上げ〉できないものか。
本庁への栄転を目論む卯月枝衣子警部補29歳。彼女の出来心が、〈事件性なし〉の孕む闇を暴く!?軽妙に、見事に、人間の業の深さに迫る新感覚ミステリー!*
樋口氏らしい、まったりのんびりお気楽調なテンポと文体がファンとしては無条件に楽しい。捉えどころのない事件の真相が二転三転した挙句、これぞ樋口ワールド!的なオチに持ち込まれ、なんだか煙に巻かれたような読後感もさすがです。増岡と真由美の結婚に至る経緯や、殺人に至る動機がやや弱い気もするけど、まあそこは…ご愛嬌かな。 -
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東京・国分寺市の閑静な住宅街で市議会議員の男が死んだ。遺体に不審な点もなく、病死として片付けられようとしたが、野心満々の女性刑事卯月枝衣子警部補は本庁への栄転の足掛かりにしたいと、昼行燈の刑事課長を言いくるめ殺人への格上げを目指して単独捜査に乗り出す。
調べるに従って、小さな違和感は大きな展開をみせ、事件は意外な方向へと動いていく。
地元が小説の舞台、それも殺人事件の!という高揚感、そして表紙の不穏な雰囲気も好みで手に取った作品。地元が東京の田舎のさえない所轄として描かれるのがちょっと残念(事実だけど)ではあるけど、ミステリーとしては事件の真相が明らかになっていく過程がなかなかいい。
殺人の -
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内容(「BOOK」データベースより)
真鍮色の光におおわれる夏。松華学園高校、江戸文化研究会の部長・高原明日奈が姿を消した。部員の「ぼく」は後輩の紅亜に叱咤され、無理やり事件にまき込まれる。元刑事の「親父」も美人教諭への下心から、やはり事件を追う。東京の下町を舞台にくり広げられる爽やかで可笑しくて、ちょっと切ない青春ミステリー。
樋口有介さんはウィットに富んだ会話を盛り込んだ洒脱な展開が持ち味ですが、主人公が高校生にしては物言いがおっさんなのでしっくりこないのが残念。つまらなくないのですが褒め処よりも突っ込み所が目についてしまって・・・。幽霊になって出てくる幼馴染をもうちょっと上手く使って切 -
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強い人間と弱い人間。
いったい誰がその判定を下すのだろう。
強そうに見えていても、黒魔術に頼ったり自分を変えようともがいている人間だっている。
いつだって自分は被害者で、いつだって誰かのせいで自分は幸せになれない。
そんなふうに考えていたら、どれだけ恵まれていようが一生幸せだという実感は持てないのでは?と思ってしまった。
主人公である広也が元恋人が焼き殺された事件を調べていくという物語だ。
元恋人・千秋の実家を訪ねたり、友人だったと思われる人間に会いに行ったり、そのたびに広也は自分が知らなかった千秋を知ることになる。
本当の千秋を知ろうともしなかった広也と、自分を見せようとしなかった千秋。