樋口有介のレビュー一覧

  • 遠い国からきた少年

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     法律事務所の調査員、風町サエの2作目。

     自殺したアイドル候補生への賠償金の減額のために、調査をしていくうちに、そのプロデューサーの過去にいきあたる。
     まるで、某アルファベット3文字のアイドルですか、って感じだけど、それよりえぐい。まぁ、いや全然別なんですよってなった時に、こっち方向に行かざる得ないんだろうけどね。物語の上とはいえ、架空のものとはいえ、そのやり方には辟易した。

     で、その辟易するやり方を考えた男なので…。

     タイトルがいいんだけど、よくない。
     かといって、元のタイトル「笑う少年」は、もっとダメなんだけど。
     樋口有介は、タイトルが斜めすぎて…。
     まぁ、そこがいいん

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    2018年12月31日
  • 金魚鉢の夏

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    ネタバレ

    樋口センセの作品を上梓順に読んでるわけでは無いし気にしても居なかったから今作に触れるのがたまたま2018年の終わりになったワケなんだけど。
    しかし今作で描かれる作品背景がフィクションなんだけど妙に生々しく感じてしまう世界情勢との符号か。
    創作だと絵空事だと捨てるのも簡単だけど、少しでも針が振れたら今作のような日本もあり得るのではないかなー…というあたりが巧みなのかそれとも自分の政治信条と近しいのか。

    自分が触れてきた樋口センセの作品にしては、推理役が真面目に推理しているなぁ…という。
    そりゃ「元刑事」なら当然でもありますか。
    刑事ってのは元が付こうが、作品の中では勘が働いて不整合や不条理が気

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    2018年12月09日
  • 遠い国からきた少年

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    法律事務所調査員・風町サエは服役経験のあるシングルマザー。アイドル候補生自殺事件の裏側には、意外な過去と真実が隠されていた。樋口ワールド全開のハードボイルド作品。
    最後の最後でタイトルの意味が分かる。それなら現代版「砂の器」になっても良かったのにと思った。ヒロインがとても魅力的で、そう言えば樋口作品で女性が主人公って過去にあったかなあ。

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    2018年11月26日
  • 彼女はたぶん魔法を使う 柚木草平シリーズ1

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    フリーの記者をしながら、未解決事件の調査を行う柚木のところに女性が訪れ、交通事故として処理された妹の死を調べてほしいとの依頼をされる。何ということもない事故のようだが、事故車が見つからないなど不自然な部分が多い。

    ハードボイルドなんだか、ミステリなんだか、それらを茶化しているのかかなり混乱する作品である。メインの部分としては、事件解決を目的としたミステリなのだろうが、証拠を押えて次々解決するでもなく、小学生からOLまで、数々の女性に振り回されて、核心に向かえない柚木を楽しむという作品である。

    樋口有介の以前に読んだ作品に比べると、相当読みやすく、犯人探しなんかどうでもいいと思いながら読むの

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    2018年11月05日
  • 平凡な革命家の食卓

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    東京・国分寺署の管轄内の住宅地で、新米市会議員・増岡の死体が発見され、医師は病死として判断する。これに待ったをかけたのが、卯月枝衣子警部補。警視庁捜査一課に転属したいと考える彼女は、この死に事件性ありと主張し、自ら手柄を立てたいと考えていた。増岡家の前にあるアパートの住人を巻き込み、捜査を開始すると・・・
    強引な捜査なのか、初動が杜撰なのかはおいておき、それほど警察は甘くはないだろうと。軽い感じで読むには、楽しめる一冊。

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    2018年09月03日
  • 亀と観覧車

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    生活保護を受給する両親とともに暮らす16歳の女の子が主人公。自分はホテルの清掃をしながら夜間の高校に通う。何もかもに我慢する毎日を送る中、あるパーティに参加したことで人生が変わっていく。
    そんな感じの前情報で、しかも純愛の話ってことだったけど、結構印象が違う物語だった。
    救われない状況で、救われない展開。主人公の行動や発言にもあまり共感できないまま読み終わってしまった。なんだこれ?と思うが不思議と嫌な気分ではない。
    是枝監督の映画を連想してしまった。映像化されるとまた違う印象になるかもしれない。

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    2018年08月27日
  • 笑う少年

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    風町サエシリーズ第2弾
    非合法な手段も平気で用いる、シングルマザーの弁護士調査員・風町サエ。今回の依頼主は、安売りピザ店を成功させ、芸能界へも進出した小田崎。彼はピザ屋で働く女子高生を、お客の人気投票によりアイドルとして芸能界に送り込み、のし上がってきた。しかし、調査を続けていくと・・・
    凛花の登場により、前作のラストの疑問が解明されると思いきや分からずじまい。脇を固めるキャラクターは相変わらずよかった。しかし、ちょっと都合が良すぎた感も。続編に期待。

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    2018年08月08日
  • 平凡な革命家の食卓

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    積読本が溜まってしまって発売日に買ったのになかなか読み始められなかった樋口有介最新作。

    これまでに無い視点切り替えで展開されるストーリー。
    これまで通りの味わいを残しながら、テンポ感など新しさも感じられる作品。

    一癖も二癖もある登場人物達の真意を探りながら読み進める面白さ。
    シリーズ化するのかな?

    広告業界の話はいまいちリアリティーに欠けたけれど…。

    帯は、無いな。
    デザインなんだろうが文字と情報量が多過ぎ。
    その文字群も印象的な言葉じゃないし。

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    2018年07月31日
  • 平凡な革命家の食卓

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    ネタバレ

    *地味な市議の死。外傷や嘔吐物は一切なし。医師の診断も心不全。なんとか殺人に〈格上げ〉できないものか。
    本庁への栄転を目論む卯月枝衣子警部補29歳。彼女の出来心が、〈事件性なし〉の孕む闇を暴く!?軽妙に、見事に、人間の業の深さに迫る新感覚ミステリー!*

    樋口氏らしい、まったりのんびりお気楽調なテンポと文体がファンとしては無条件に楽しい。捉えどころのない事件の真相が二転三転した挙句、これぞ樋口ワールド!的なオチに持ち込まれ、なんだか煙に巻かれたような読後感もさすがです。増岡と真由美の結婚に至る経緯や、殺人に至る動機がやや弱い気もするけど、まあそこは…ご愛嬌かな。

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    2018年07月28日
  • 遠い国からきた少年

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    最後の謎は面白かった。それゆえに彼が魅力不足が残念。
    あらすじ(背表紙より)
    法律事務所で調査員として働く風町サエは、服役経験のあるシングルマザー。今回の依頼者は、アイドル候補生が店員の安売りピザ店で大儲けをした男。自殺した少女の両親から要求された一億二千万円の賠償金を減額させたいという。調査を進めるうち、ある人の過去にも迫っていくことになったサエは―。

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    2018年07月01日
  • 平凡な革命家の食卓

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    東京・国分寺市の閑静な住宅街で市議会議員の男が死んだ。遺体に不審な点もなく、病死として片付けられようとしたが、野心満々の女性刑事卯月枝衣子警部補は本庁への栄転の足掛かりにしたいと、昼行燈の刑事課長を言いくるめ殺人への格上げを目指して単独捜査に乗り出す。
    調べるに従って、小さな違和感は大きな展開をみせ、事件は意外な方向へと動いていく。

    地元が小説の舞台、それも殺人事件の!という高揚感、そして表紙の不穏な雰囲気も好みで手に取った作品。地元が東京の田舎のさえない所轄として描かれるのがちょっと残念(事実だけど)ではあるけど、ミステリーとしては事件の真相が明らかになっていく過程がなかなかいい。
    殺人の

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    2018年06月25日
  • 金魚鉢の夏

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    ネタバレ

    北朝鮮がミサイルを撃ってきた後の世界
    生活保護施設での転落死から
    事件が思わぬ方向に転がって…

    話の動き出しが遅いし、
    最後までモヤモヤした感じで終わった気がする。
    そんな終わり方でいいの?

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    2018年04月14日
  • プラスチック・ラブ 柚木草平シリーズ8

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    高校生・木村時郎が関与した八つの物語を、季節の移ろいと共に綴る異色の青春ミステリー。
    日本には四季があって毎日の景色も変わってくる。日々に同じ顔がないように、人間もそれぞれの個性を持ち、同じ人物も昨日の自分とは違う。木村に関わる人たちの変化は、当たり前と言えば当たり前のことであり、それをあえて物語にした作者の実験に、やっと時代が追いついた。

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    2018年01月14日
  • 木野塚探偵事務所だ 木野塚佐平シリーズ1

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     ユーモア小説である。主人公である経理一筋37年で定年退職した警察OBが探偵事務所を始め、たまたま採用した若い女の子が秘書というか助手として大活躍するというストーリーである。
     その主人公が木野塚佐平である。誇大妄想というかフィリップマーロウに憧れたという設定からわかるようにコメディーである。サスペンスでも推理ものでもない。
     今度TVで志村けんが演じるそうだが、よく合いそうである。ちょっとコメディーぶりがくどいが、気楽におもしろく読めるところがお勧めである。

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    2017年11月25日
  • 彼女はたぶん魔法を使う 柚木草平シリーズ1

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    久しぶりに主人公の語り口調での綴られる本を読みました。ものすごく読みやすいです。主人公、どこかで見たような・・と思ってたら、シティーハンターの冴羽獠でした。それに気付いてからは頭の中で上川隆也が大活躍(笑)冴子は吉瀬美智子、香絵は仲間由紀恵、夏原佑子は小松菜奈と、想像力は止まらず、そういう面でも楽しめました。殺人事件の調査が軸のはずなのに、半分位は主人公と色んな女性とのやりとり、みたいな感じなのですが、気付くとちゃんと事件解決してました(笑)

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    2017年11月06日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    シリーズ3弾。相変わらずトレンディでしたわー。美女に弱くてダメなやつだけど憎めない感じがもうトレンディ。そして携帯電話がない時代ってやはり面白い。

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    2017年11月05日
  • プラスチック・ラブ 柚木草平シリーズ8

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    「木村くん」は、いつも彼を取り巻く彼女たちにひっぱり回されている。

    中学から高校までの、閉塞した日常の中でおきるちょっと不可解な出来事たち。

    青春モノといえば、甘くて、すっぱくて、やるせなくって、そして少し熱いというのが相場だが、
    木村くん自身の、人を見る目の皮肉っぽさ、目線の乾き具合で、この作品はどこか、ハードボイルドっぽい。

    1編だけだけど、柚木草平の登場が嬉しい。

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    2017年09月03日
  • ベイ・ドリーム

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    ミミズの研究一筋の大学教授が、汚染された土地の利権をめぐる政財界の大スキャンダルに巻き込まれる、異色のハードボイルド作品。
    冴えない主人公に、魅力のない女性陣。なんかいつもの樋口ボイルドらしくない。あとがきでは、本作の初出はバブル景気がはじけて五、六年のころとあるので、きっと作者の迷走時代だったのでしょう。やっぱり樋口ボイルドには、シニカルな主人公に、滴るような美女と煌めく美少女が登場しないと物足りない。

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    2017年08月19日
  • 窓の外は向日葵(ひまわり)の畑

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    内容(「BOOK」データベースより)
    真鍮色の光におおわれる夏。松華学園高校、江戸文化研究会の部長・高原明日奈が姿を消した。部員の「ぼく」は後輩の紅亜に叱咤され、無理やり事件にまき込まれる。元刑事の「親父」も美人教諭への下心から、やはり事件を追う。東京の下町を舞台にくり広げられる爽やかで可笑しくて、ちょっと切ない青春ミステリー。

    樋口有介さんはウィットに富んだ会話を盛り込んだ洒脱な展開が持ち味ですが、主人公が高校生にしては物言いがおっさんなのでしっくりこないのが残念。つまらなくないのですが褒め処よりも突っ込み所が目についてしまって・・・。幽霊になって出てくる幼馴染をもうちょっと上手く使って切

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    2017年05月14日
  • 魔女

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    強い人間と弱い人間。
    いったい誰がその判定を下すのだろう。
    強そうに見えていても、黒魔術に頼ったり自分を変えようともがいている人間だっている。
    いつだって自分は被害者で、いつだって誰かのせいで自分は幸せになれない。
    そんなふうに考えていたら、どれだけ恵まれていようが一生幸せだという実感は持てないのでは?と思ってしまった。

    主人公である広也が元恋人が焼き殺された事件を調べていくという物語だ。
    元恋人・千秋の実家を訪ねたり、友人だったと思われる人間に会いに行ったり、そのたびに広也は自分が知らなかった千秋を知ることになる。
    本当の千秋を知ろうともしなかった広也と、自分を見せようとしなかった千秋。

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    2017年04月21日