樋口有介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ戸籍のない玲菜が母親と二人で「あの人」から逃げながら生きているところから始まる話。
14才で「考えても仕方ないことは、考えても仕方ない」と自分に思い込ませている玲菜が不憫だった。
周東との会話がコミカルで玲菜の生い立ちほどの深刻さを感じないが、それが余計に玲菜の諦めを浮き上がらせているように感じた。それと玲菜が、出会う人みんなに感謝している所も、その対比を手伝っていると思う。
秋吉と周東と三人でご飯を食べている時に「嬉しいときは、泣いてもいいのだ」と涙が止まらなくなった玲菜。14才が今まで我慢してきた物が一気に崩壊した瞬間は、本当に堪らなかった。 -
Posted by ブクログ
柚木草平シリーズ。
2年前女子高校生が殺された事件を調べ始めた柚木は、彼女が通っていたボランティア団体に糸口を見出す。
派手というか、個性的な女性が次々出てくるので、ちょっと目くらましされるけど、根底にあるのは持てるものと持たざる者の差なのだと思う。
持てるものがいて、持たないものがいた、その格差が悲劇を連鎖させていく。
被害者には、同情する。が、純粋に同情できない。
が、そのチョイスをしてしまった、せざる得なかった背景を哀れに思う。
私はもう少女ではない。むしろ彼女の親の世代だ。だからこそ、いらだつ。子供を子供として守ってやらなかった周りに怒りを覚える。
きちんと子 -
Posted by ブクログ
発表から時間が経ってはいるけれども、樋口センセが描くローカル色っていうのは変わってないんだなぁ…と再確認。
そこに息づく人が醸し出す空気感がリアル。
で、今作も四十路の刑事が語り部ということで、もうそろそろ自分のなかでの「青春ミステリ」な樋口センセというポジションが消えかかって…w
ただ「強い正義感を厭う」ていう人物造形は、なるほどなー…と感じるものであります。
センセらしい。
自分もまたそういう側の性格だからかもしれないけど。
しかし作中でも述べているように「正義と正義感」は異なるものですし、そして「正義感を厭う」からといって真の意味での正義に敬意を払うのかといえば別…っていうことを物語