樋口有介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
晩節を汚してしまったな、という印象。
後半に差し掛かるまで、登場人物の会話全部に、変なところで言葉を区切るという共通の癖が表れている。それはさすがにヘタクソすぎでしょ。主人公の会話が厨二病レベルのハードボイルド崩れであることは覚悟して読むのだけど、全員の会話がヘタとなるとしんどい。
差別主義的なネトウヨ思考がところどころで出てくるのもつらい。といっても、自分が左翼だから著者の思想が気に入らず作品の評価を低くしたいというわけではない。著者の思想が複数の登場人物によって語られるというのが小説のキャラクター造形として誤っているということ。ウヨ的な思想の登場人物がいるのはいいけどそれは一人であるべき。なぜなら人間の思想は人それぞれだから。主人公、補佐役、愛人、キーマン、と右翼団体の内部を描いているわけでもないのにウヨ思想を複数の人物に語らせてしまうのは、著者の思想が小説内に漏れてしまっているということ。これはやってはいけない。
それでも次々に現れる様々な美女という趣向は楽しかったし、最後の謎解きを犯人の安易な独白に委ねなかったことは前作よりマシといえる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ戸籍のない玲菜が母親と二人で「あの人」から逃げながら生きているところから始まる話。
14才で「考えても仕方ないことは、考えても仕方ない」と自分に思い込ませている玲菜が不憫だった。
周東との会話がコミカルで玲菜の生い立ちほどの深刻さを感じないが、それが余計に玲菜の諦めを浮き上がらせているように感じた。それと玲菜が、出会う人みんなに感謝している所も、その対比を手伝っていると思う。
秋吉と周東と三人でご飯を食べている時に「嬉しいときは、泣いてもいいのだ」と涙が止まらなくなった玲菜。14才が今まで我慢してきた物が一気に崩壊した瞬間は、本当に堪らなかった。