樋口有介のレビュー一覧

  • 苦い雨

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    零細業界誌の編集長・高梨が、かつて追い出された会社をめぐる陰謀に巻き込まれる、幻のハードボイルドミステリー。
    樋口作品には雨がよく似合う。それも梅雨の時期特有の肌にまとわりつくようなジメッとした雨が。組織内の権力争いや金や女が絡む人間関係。関わらざるえない高梨の身体は末期的。そして降り続く雨。読み手側も酒と煙草で身体を壊したくなる。救いは家族の明るさと、紫陽花の美しさ。

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    2016年12月25日
  • 刑事さん、さようなら

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     タイトルの意味がわかったとき…。

     樋口氏は、すごい上手いタイトルつけるときと、おい、って時があって、今回は、おい、の方かと思ったら、失礼しましたm(__)m

     自殺した警官に、風俗ライターの死。無関係に思われたそれは、ある女によってつながっていた。
     たたき上げの警部補、須貝と、焼肉屋の店員、ヨシオの視点が交錯するのだが、それぞれがそれぞれの生活があってむしろそれが面白い。特にコリアン焼肉屋の猥雑さと、その中で淡々と仕事をこなしていくヨシオのテンションの落差がむしろ安心感になっている。
     警察の中身がおいおい、っていうのは、警察ってろくなのいないじゃん、ってなるのでちょっとやりす

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    2016年08月17日
  • 彼女はたぶん魔法を使う 柚木草平シリーズ1

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    ちょっとカッコつけすぎだよー。
    主人公のセリフがキマリすぎて、読んでいて
    ねーよと思ったのは私ばかりであるまい。

    謎解き自体は先が見えちゃってイマイチだが
    読みやすくて、テンポがいいから飽きさせない。
    さらっと読むにはいいかんじ。

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    2016年05月30日
  • 木野塚探偵事務所だ 木野塚佐平シリーズ1

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    「木野塚探偵事務所だ」。
    タイトルからして笑えてしまうのは、作品を読み終えたからかもしれない。

    ハードボイルド大ファン木野塚は、定年を迎えてからようやく憧れていた「探偵事務所」を設立する。探偵事務所所長、殺人事件の依頼が来て颯爽と問題を解決していく。酒と煙草を愛好する彼の隣には美人秘書。そんな妄想ばかりしていたが、実際殺人事件の依頼など一つもこない。
    「金魚が居なくなった」「犬の恋を実らせて欲しい」など変わり種な依頼がぽつぽつとやって来るのみだ。

    この作品にミステリのいわゆる解決編はない。こうだったんですね、と童顔秘書の桃世が、当たり前のように解決し、わかった顔して木野塚氏が頷いて体裁を保

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    2016年05月05日
  • 林檎の木の道

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    ピースが衝撃的だったのでファンになった作者の青春小説。バナナや屋上の池など世界観、タイトルの理由など全体的に少しモヤっとした作品。

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    2016年04月15日
  • 刑事さん、さようなら

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    樋口作品に付きものの小生意気で魅力的な美人と優柔不断な男のストーリーを期待して読んだら、驚くことに人情刑事物語だった。
    何の心境の変化なのか、いいところもあるけどやっぱり樋口節の方が好きですね。
    本作で描かれている警察のなあなあ加減も気に入らなかった。

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    2016年03月11日
  • 笑う少年

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    1月-7。3.5点。
    風町サエ第二弾。
    ピザ屋発のアイドルが、自殺。遺族が損害賠償をピザ屋の
    やり手経営者に要求。サエが弱みを調査し、取り下げさせようとするが、
    別ルートで経営者の調査も。
    軽妙な文章は相変わらず。面白い。
    終盤に意外な展開が。

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    2016年01月20日
  • 彼女はたぶん魔法を使う 柚木草平シリーズ1

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    前から興味のあった作者。
    読みやすい、どちらかというとなんちゃってミステリーという印象でしょうか。
    美人な女性に囲まれてうらやましい…というかハーレム状態ですが、そのなかでも女性への感性は鋭いと思います。
    単にきれいでかわいいだけではなく、その強さも強かさも男性ならではの視点ですが、女性から見てもわかります。
    そういった人間への捉え方が鋭いということは他の小説にも期待できると思います。
    シリーズものらしいので、続きもよみたいですねー

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    2016年01月18日
  • 金魚鉢の夏

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    12月-11。3.0点。
    近未来が舞台。収入の少ない家庭は、生活保護が廃止され、
    希望の家というハウスへ。
    そのハウスで、老婆が死亡。用務員が誰かに押されたと目撃証言。前の用務員も変死。果たして殺人なのか。

    うーん。広げた風呂敷がイマイチ回収されていない。
    あの女子中学生の、もっと深い事情やその後が必要かな。

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    2015年12月28日
  • 木野塚佐平の挑戦だ 木野塚佐平シリーズ2

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    警官生活37年、警視総監賞も受賞した木野塚佐平。ハードボイルド気取りだが、美女に弱く妄想の日々。だが今度の事件は国家を揺るがす大事件だ。
    シリーズものだが、前作からはかなり年月が経っているので、独特の空気に慣れるまで時間がかかった。いちばん面白いのは木野塚氏の妄想タイムだが、最後の最後に、日本犯罪史に深く刻まれるあの事件が登場するのに驚く。

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    2015年12月20日
  • 八月の舟

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    私自身が暑いのが苦手なので、この作品全体の底から湧きたち、空気全体、そして樹上、上空まで覆う何とも言えない暑さが読んでいて体にこたえました。
    爽快感と対極にある話。登場人物のすべてがすべからく鬱陶しい。晶子さんが少し涼やかかな。
    透明感に満ちた青春小説、とカバーにあったけれど、どうだろう。混濁している感じが強かったけれど。
    まあ、一気に読み終えたからきっと面白かったのだろうと思う。それくらい、読後に面白い、という実感は生まれなかった。途中で投げ出さなかったし。
    これは、20代までに読むのかなあ。

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    2015年11月23日
  • 夢の終わりとそのつづき 柚木草平シリーズ5

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    柚木草平シリーズ、5作目。

    もともと別の人間が主人公であった「ろくでなし」という作品を、柚木草平に置き換えて大幅に改稿し、改題したという異色のシリーズ作品。というのを後で知って、ナルホドなぁと思う。確かに、元の主人公は柚木にそっくりで、柚木っぽく改稿したのかもしれないけど、読んでいて何か違和感が残る。私の中の柚木さんは、ギリギリまではいくけど一線は越えない、ってところだったんだけどな。まぁ、だからこそ「38歳」ではなく少し若めの「35歳」に設定したのかな。

    事件の方は、裏表紙のアクロバティックな展開とは何ぞや、と思っていたら、確かにアクロバティックでした。まさかこのシリーズでこんなSF的展

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    2015年11月05日
  • 金魚鉢の夏

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    生活保護法は廃止され、刑務所が激減された代わりに島流し制度など、架空の設定でのミステリー。廃校を利用した、元生活保護者が生活する施設で起きた1人の老婆の転落死。事故死で片付けられた事故から、日本を揺るがす大事件へ発展する展開がとてもおもしろかった。ただ、全体的に間延びした雰囲気で、スピード感がなかったのが残念です。探偵役のおじいちゃんと孫娘の会話が楽しかった。

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    2015年09月19日
  • 夏の口紅

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    あらすじ(背表紙より)
    十五年前に家を出たきり、会うこともなかった親父が死んだ。大学三年のぼくは、形見を受け取りに行った本郷の古い家で、消息不明の姉の存在を知らされ、季里子という美しい従妹と出会う。一人の女の子を好きになるのに遅すぎる人生なんてあるものか…夏休みの十日間を描いた、甘くせつない青春小説。

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    2015年08月13日
  • 木野塚探偵事務所だ 木野塚佐平シリーズ1

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    定年退職を機に長年夢だった探偵事務所を始めた木野塚氏の奮闘記。いたって平凡な木野塚氏の憧れは、フィリップ・マーロウのようなハードボイルドな探偵だが、一つも思い描くようにはいかない。さらにひょんな事から雇った助手が切れ者で、いつも遅れをとったと感じている木野塚氏のなんとか体裁を保とうとする言動に悲哀を感じる。滑稽なくらいハードボイルドであろうとする木野塚氏にエールを送りたくなる作品。それと、相棒にたまに出てくる探偵さんとイメージが重なってしまって、どうしても抜け出せなかった・・・(^_^;)

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    2015年08月12日
  • 風少女

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    終始淡々と話しが進みます。
    主人公は元不良の三流大学の学生ということですが、感情の起伏があまり無く若者という感じがしませんね。

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    2015年08月06日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    柚木草平シリーズ、3作目。3編の中編集。

    依頼の最初は気乗りしないが、美女と金が絡みだすと結局捜査に乗り出す草平さん。シリーズを一作目から続けざまに読んできて、更に今回は中編集。さすがにちょっと飽きてきて、途中眠たくなってしまった。まぁ、このシリーズの醍醐味でもあるので、仕方ないけど、相手が美女ばかりだからかな。色々タイプがあるとは言っても、何だかみんな同じように見えてきた。でも、いい加減な言葉ばかり吐いてそうで、やる時はちゃんとやる草平さんが好きです。ちょっと時間を置いたら、こんなキザなセリフも恋しくなっちゃってまた読みたくなっちゃうんだろうな。

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    2015年08月05日
  • 刺青白書 柚木草平シリーズ4

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    ミステリーと云う感じがしませんね。
    主人公の女の子は、変人から普通の女の子になっちゃったのがちょっと残念。

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    2015年09月10日
  • 金魚鉢の夏

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    生活困窮者の施設、希望の家が舞台。恵まれない環境で育った主人公の由希也と階段から落ちて亡くなった老婆の事件を捜査しに来た捜査員の孫娘、みんなに愛されて東大に通う明るい孫娘とどうなるのか気になったけど、キーパーソンは由希也を思い続けてる妹のような蛍子。恋愛もふわ〜としたままミステリー性もふわ〜としたまま。樋口ワールドでした。

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    2015年07月12日
  • 月への梯子(はしご)

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    軽度の知的障害者である「ボクさん」こと福田幸男。死んだ母親が遺してくれたアパートの管理人として、またちょっと風変わりな住居人たちと平和に暮らしていたが、ある日アパートで殺人事件が起こって、ボクさんと周囲の人たちの人生が一変する。
    従来の作品群とは一線を画す異色作。ファンタジー感を匂わすラストといい、早々と犯人が現れて、さあどんでん返しの真相はと思いきや、実は作品の主題はそこじゃないというある意味の裏切り感。樋口作品を数多く読んでいる者ほどこの衝撃は堪えます。

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    2015年06月14日