樋口有介のレビュー一覧
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内容(「BOOK」データベースより)
真鍮色の光におおわれる夏。松華学園高校、江戸文化研究会の部長・高原明日奈が姿を消した。部員の「ぼく」は後輩の紅亜に叱咤され、無理やり事件にまき込まれる。元刑事の「親父」も美人教諭への下心から、やはり事件を追う。東京の下町を舞台にくり広げられる爽やかで可笑しくて、ちょっと切ない青春ミステリー。
樋口有介さんはウィットに富んだ会話を盛り込んだ洒脱な展開が持ち味ですが、主人公が高校生にしては物言いがおっさんなのでしっくりこないのが残念。つまらなくないのですが褒め処よりも突っ込み所が目についてしまって・・・。幽霊になって出てくる幼馴染をもうちょっと上手く使って切なくすればもう一ランク上の話しにできたのではないかと。 -
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強い人間と弱い人間。
いったい誰がその判定を下すのだろう。
強そうに見えていても、黒魔術に頼ったり自分を変えようともがいている人間だっている。
いつだって自分は被害者で、いつだって誰かのせいで自分は幸せになれない。
そんなふうに考えていたら、どれだけ恵まれていようが一生幸せだという実感は持てないのでは?と思ってしまった。
主人公である広也が元恋人が焼き殺された事件を調べていくという物語だ。
元恋人・千秋の実家を訪ねたり、友人だったと思われる人間に会いに行ったり、そのたびに広也は自分が知らなかった千秋を知ることになる。
本当の千秋を知ろうともしなかった広也と、自分を見せようとしなかった千秋。
二人がともに過ごした時間はいったい何だったのだろう。
人にはいろいろな面がある。
そして、人は自分に都合の良い面だけを見て、その人を評価しようとする。
殺されたことによって千秋の人生は終わった。
人に知られまいと隠してきたことも、自分なりに修正しようとしていた人生も、すべてが無になった。
最後まで、千秋とは本当はどんな人間だったのか。
捉え所のないあやふやな印象しか残っていない。
犯人の言い分もよくわからなかった。
殺して、この世から抹殺して、それで何が変わるのだろう。
殺したいと思うほどの怒りが感じられずに、やけに犯人の中途半端さだけが気にかかった。
実際に人を殺そうと思うときには大した理由なんて無いものだ・・・と言われてしまうかもしれないけれど。 -
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タイトルの意味がわかったとき…。
樋口氏は、すごい上手いタイトルつけるときと、おい、って時があって、今回は、おい、の方かと思ったら、失礼しましたm(__)m
自殺した警官に、風俗ライターの死。無関係に思われたそれは、ある女によってつながっていた。
たたき上げの警部補、須貝と、焼肉屋の店員、ヨシオの視点が交錯するのだが、それぞれがそれぞれの生活があってむしろそれが面白い。特にコリアン焼肉屋の猥雑さと、その中で淡々と仕事をこなしていくヨシオのテンションの落差がむしろ安心感になっている。
警察の中身がおいおい、っていうのは、警察ってろくなのいないじゃん、ってなるのでちょっとやりすぎな気がしないわけでもないですが。
とはいえ、汚濁の中で自分を保っているように見える二人だけど、結局は…。
帯に「あなたはこの犯人を赦しますか?」ってあるのだけど、許せるわけないと思うのだが。つか、それは彼の結局のところ妄想の産物だと気づいたとき、彼がそのままでいられないだろうと想像できて憂鬱。
なんか、読後にじわっと毒がしみてくる感じだった。 -
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「木野塚探偵事務所だ」。
タイトルからして笑えてしまうのは、作品を読み終えたからかもしれない。
ハードボイルド大ファン木野塚は、定年を迎えてからようやく憧れていた「探偵事務所」を設立する。探偵事務所所長、殺人事件の依頼が来て颯爽と問題を解決していく。酒と煙草を愛好する彼の隣には美人秘書。そんな妄想ばかりしていたが、実際殺人事件の依頼など一つもこない。
「金魚が居なくなった」「犬の恋を実らせて欲しい」など変わり種な依頼がぽつぽつとやって来るのみだ。
この作品にミステリのいわゆる解決編はない。こうだったんですね、と童顔秘書の桃世が、当たり前のように解決し、わかった顔して木野塚氏が頷いて体裁を保つ、というもの。
この木野塚氏、見た目は冴えない上に夫婦仲もあまり良好ではない。さらには酒には弱く煙草も吸ったことがない、基本的には非常に真面目な人物なのである。
そんな彼がハードボイルド探偵を気取るため、酒を飲み煙草を吸い、警察捜査に携わっているなどという嘘まで吐いている。
私はハードボイルドはあまり得意ではないのだが、木野塚氏の憧れのあまりの行動を見ていると少々痛々しいどころか、微笑ましくなってくる。基本的に「良い人」でしかいられない木野塚氏。
続きを読むまではいかなかったが、新宿にそんな初老のおじさんが居ても良いのかもしれない。 -
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柚木草平シリーズ、5作目。
もともと別の人間が主人公であった「ろくでなし」という作品を、柚木草平に置き換えて大幅に改稿し、改題したという異色のシリーズ作品。というのを後で知って、ナルホドなぁと思う。確かに、元の主人公は柚木にそっくりで、柚木っぽく改稿したのかもしれないけど、読んでいて何か違和感が残る。私の中の柚木さんは、ギリギリまではいくけど一線は越えない、ってところだったんだけどな。まぁ、だからこそ「38歳」ではなく少し若めの「35歳」に設定したのかな。
事件の方は、裏表紙のアクロバティックな展開とは何ぞや、と思っていたら、確かにアクロバティックでした。まさかこのシリーズでこんなSF的展開が来るとは思わなかったワ。一応、落ち着くところで落ち着きますが。
シリーズ作品の中の一つとして、らしくない異色の展開もあっていいのかな、とは思いますが、正直、私は望んでなかった展開だったかも。