樋口有介のレビュー一覧

  • 遠い国からきた少年

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    シリーズ第2弾。
    弁護士事務所で働くサエは、表向きは事務員だが、実際には様々な手口でターゲットを探る調査員。
    今回はアイドル候補生でありピザ店で働く少女が自殺の真相を探る。。

    アイドルを売り出す手法がAKBを思わせるが、それ以上によくできており過酷。
    ストーリーはいつものごとく面白かった。

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    2020年12月28日
  • 少女の時間

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    永遠の38歳、柚木草平シリーズ。
    2年前の女子高校生殺害事件の調査を請け負ったフリーライター・柚木草平。一方、東南アジアからの留学生支援のボランティアをしていた女子高生が殺害され、2年前の事件との関連性を疑う草平だが・・・。
    相変わらず美女(しかも性格が面倒臭い)ばかり登場し、好意を寄せらる草平。
    今回は特に女性が多かったような。
    恋人・冴子との今後が一番気になった。

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    2020年12月21日
  • あなたの隣にいる孤独

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    「あの人」から逃げている母親と転々としながら暮らしている玲菜。無戸籍が学校にも通ったことないが、自分で教科書を購入して勉強だけはしてている。
    似たような話があるし、似たような展開の話もある。この手の小説は設定や展開の奇抜さよりも、登場人物のキャラがどれだけ魅力的かということが大事のような気がする。そういう意味で本書は正解。玲菜をはじめ、リサイクルショップの店主・秋吉とその孫・周東がいい。玲菜の生真面目なところと秋吉・周東のゆるい感じが物語を重苦しくさせなかったんだと思う。
    もちろん背景にある事件性については軽く考えられるものではないが、とても前向きな終わり方でよかった。伊藤沙莉の解説も面白かっ

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    2020年12月15日
  • 風景を見る犬

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    那覇市大道の栄町、表向きはスナックである売春宿の息子・香太郎は、高校最後の夏休みにゲストハウス「アミーゴ」でバイトをする。悠々自適なマスター、個性的な美女たちに囲まれ、それなりに充実した夏休みを過ごしていた。そんな中、栄町界隈で2つの殺人事件が起こる。
    幼なじみから「野良犬」と言われた香太郎だが、野良犬だからこそ見えるものがある。

    ストーリーもさることながら、沖縄の暮らし、沖縄の人々の県民性や心情などが興味深かった。

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    2020年12月12日
  • 猿の悲しみ

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    弁護士事務所で働くサエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。16歳の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口でターゲットを探る調査員。

    著者初の女性主人公。
    タイトルは、デズモンド・モリスの「裸の猿」から。
    つまらない人間特有の感情に流されそうになると「私なんかのしょせんはただの猿」と自分ら言い聞かせる主人公。
    人生を達観しており、潔く格好いい。

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    2020年11月30日
  • 刑事さん、さようなら

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    後輩の警官の自殺、風俗ライターの死体、2つの不審死を調査する警部補・須貝は・・・。
    テーマは「善人の罪科」と「悪人の正義」、警察組織の裏金やねつ造などの暗部も組織で生きていく視点で語られている。

    これまでの著者の作品とは異なり、勧善懲悪でもなく読後感の爽やかさはない。
    ラストは驚いた。好き嫌いが分かれる話だと思うが、面白かった。

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    2020年11月24日
  • 礼儀正しい空き巣の死

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    卯月枝衣子警部補シリーズ、2作目。

    前作「平凡な革命家の食卓」から続くシリーズ2作目。樋口作品では恒例とは言え、前作はシリーズ1作目として登場人物の自己紹介も兼ねてか本筋からかなり脱線した会話劇が多く目に付いたが、今作はさすがに抑えられていて、その分、事件の方に集中できて良かった。一見事件性のないように見える重大事件を首尾よく嗅ぎつけるという超能力(?)の持ち主の卯月を素直に受け入れ、彼女の意外や優秀な捜査能力に一目置く他の署員の対応も良き。男女差別をやたら強調する警察小説に辟易としている身としては、こういった雰囲気の警察小説の方がストレスなく読めて非常に好みです。卯月を始めとして、キャラは

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    2020年09月28日
  • 笑う少年

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    殺人罪で服役した過去を持つシングルマザーの『風町サエ』は、弁護士事務所で裏の仕事を受け持っている。
    自殺した店員遺族への賠償金を減額すべく依頼を受けたサエは、別口からその社長の調査も依頼される。調べても中々過去がつかめない男の正体とは・・・。

    元ヤンのサエの軽めの口調で語られるのだが、内容は結構ハード。
    まんまAKBのようなシステムのピザチェーン店ということは、インチキ慈善団体にもモデルがあるのかな?にしても、ビジュアル的にも某プロデューサーだったはずの社長が、某国の将軍様になるとは・・・。
    声高に正義を叫ぶ気はないが、毒を持って毒を制するのような制裁だしスッキリとはいかない終わり方だったけ

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    2020年07月08日
  • 船宿たき川捕物暦

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    樋口氏の作風に時代小説は合わないだろうと勝手に決めつけて今まで読まずにいたことを後悔しました。
    主人公の真木倩一郎は樋口作品史上でも珍しい明らかな男前の超武闘派ですが、表面的には冷めているものの熱い心を持っている共通点は健在。女性に対して口が上手いのもいつもの通りですが、行動力はピカイチという点が他作品の主人公とは一線を画しています。
    長屋の住人や目明しとの交流、江戸の日常の描き方などは初めての時代小説とは思えない堂に入ったものでした。

    長屋住まいの浪人からすれば田沼、松平といった幕府の重鎮たちは雲の上の人のはずなのに、、、という違和感がありますが、エンタテイメント作品なので大丈夫。
    樋口作

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    2020年07月04日
  • 礼儀正しい空き巣の死

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    ネタバレ

    国分寺が舞台の警察小説。
    続編が出るとは。
    前作は、意外と面白い、と思ったが、今回は抜群に面白かった。
    キャラクターも捜査も人間模様も一気にパワーアップした。
    何より、国分寺署の人間関係の良さと有能な人たちがちゃんと仕事する姿は読んでて気持ちがいい。
    同僚同士で毒吐いたりしない(何か読んだ笑)
    会話も親愛の情が感じられる。

    一気に大好きなシリーズになったので、早く次作が読みたい。

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    2020年04月10日
  • 枯葉色グッドバイ【新カバー版】

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    「誰もがなりたくないと思い、それでいて誰もがなれてしまう。そこがホームレスの面倒なところだな」
    代々木公園のホームレスで元刑事の椎葉は、女性刑事の夕子に日当2千円で雇われ、一家惨殺事件の推理に乗り出す。

    主人公がホームレスであっても、相変わらずの斜に構えた語り口、登場する女性が美女ばかりで、なぜかモテル主人公。
    面白かった。

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    2020年03月28日
  • 窓の外は向日葵(ひまわり)の畑

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    デビュー25周年、原点に帰って書きあげた青春ミステリー。
    松華学園高校、江戸文化研究会の部長・高原明日奈が姿を消した。部員の「ぼく」は後輩の紅亜(くれあ)に叱咤され、無理やり事件にまき込まれる。元刑事の「親父」も美人教諭への下心から、やはり事件を追う。

    デビュー作「ぼくと、ぼくらの夏」を彷彿させる設定、というか、どの作品も同じように、シニカルな会話、男やもめの父、経済力のある別れた母、女性がすべからく美女で、なぜかモテる主人公。

    今回は、ちょっとしたサプライズがあり、ほろりとして、ラストはとても良かった。

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    2020年03月03日
  • 平凡な革命家の食卓

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    どう見ても事件性なしの変死の案件を、手柄欲しさに殺人事件に格上げし、無理くり捜査に乗り出す主人公の女性刑事。一見、無茶苦茶な暴走捜査をしているかと思いきや、意外に洞察眼が鋭く、捜査能力に秀でている主人公が魅力的。ワトソン役の専門学校講師の男性との軽妙な会話の応酬も洒落ていて、柚木草平シリーズを彷彿とさせる。脱線、脱線の連続なので、好き嫌いの分かれる作風だろうとは思うけど、私にとってはこれぞ樋口ミステリの醍醐味。また柚木草平シリーズを読みたいナと思っていたら、山川さんが出てきてビックリ。彼の口から草平さんの名前が出てきて、途中からニヤニヤが止まらず。名前しか出ていないのに、何て美味しい登場の仕方

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    2020年03月02日
  • 捨て猫という名前の猫 柚木草平シリーズ9

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    柚木草平シリーズ、
    ルポライター柚木草平は、編集者の依頼により飛び降り自殺した女子中学生を調査することに。
    悲しい話だった。

    実業家で亡くなった少女の母親、少女の通っていた七宝焼のショップ経営者など、相変わらず美人で強い女たちが登場し、彼女たちに惑わされているようで自分を持っている柚木草平。
    とにかくこの語り口、雰囲気が好きなんだといつも思う。

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    2019年12月26日
  • 林檎の木の道

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    1996年の樋口有介作品で、この2007年創元推理文庫版は中公文庫版に加筆した再文庫版。

    樋口氏のデビュー作『ぼくと、ぼくらの夏』と同路線の、男子高校生が夏休みの間に女子高校生の死の謎を解く、というストーリー。
    ですが、『ぼくと、ぼくらの夏』と比べて、だいぶハードボイルド風味が増しています。男子高校生・広田悦至が「ぼく」という一人称で語るスタイルがまずハードボイルドですが、新宿に近いやや寂れた街『梅園銀座商店街』という架空の街を舞台に、クールな主人公とその主人公を取り巻く個性的な人々を配置、ということからわかるとおり、私立探偵が男子高校生に置き換えられたハードボイルド小説、という雰囲気です。

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    2019年11月26日
  • 月への梯子(はしご)

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    知能は小学生程度だが、死んだ母親が遺してくれた小さなアパート「幸福荘」の管理人として、平和に暮らしていたボクさんこと福田幸男、40歳。
    ところがある日、アパートで殺人事件が起きたことをきっかけに、ボクさんとその周辺に変化が起こりはじめる。

    知らないほうが幸せであり、知ってしまった時にどう思いどう行動するのか。
    樋口有介らしくない設定、切ない話だった。

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    2019年11月25日
  • 不良少女 柚木草平シリーズ7

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    再読。
    探偵柚木草平シリーズ、連作短編集。
    ちょっと斜に構えた自由気ままなフリーライター兼探偵の柚木草平、毎度毎度綺麗な女性が出てきて、惑わされるといういつものパータン。
    この気ままな生活がひどく羨ましい。

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    2019年11月09日
  • 風景を見る犬

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    舞台が沖縄の売春宿でも、シニカルさと真っ直ぐさを兼ね備えた少年が周囲にいる個性的な美女たちに振り回されながらも、肝心なところでは勘の良さと勇気をもって事件を解決していくという構成はやはり樋口作品です。
    どこまでをハッキリさせ、どこまでを曖昧に濁しておくかという線の引き方も毎回興味深く注目しています。
    まあ、こんな贅沢な境遇になることは想像もできないので、何の参考にもなりませんけどね。

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    2019年09月06日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    あまり渋みのないハードボイルド。中編が3本収録されていて、どれも面白かった。
    金がなく、オシャレでもないが、何故か美人とよく出会って、よくモテるという、まぁハードボイルドの王道といえば王道な小説。でもノリが軽い。
    正統派ハードボイルドを求める人には向かないが、これはこれでアリだろう。

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    2019年05月29日
  • 窓の外は向日葵(ひまわり)の畑

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    名作青春ミステリ「ぼくと、ぼくらの夏」のリブートともいえる本作。人情ミステリのようなとぼけた味わいがありつつも、どこか切ない青春ミステリの雰囲気も漂わせている。江戸文化研究会の部活の部長である金持ちで美人の先輩、おどおどしつつも主人公を振り回す頑固さとアクティブさを持った眼鏡美少女、そして顧問の若くて美人な女教師と、魅力的な属性のヒロインが多数詰め込まれている。しかし本書の見どころはそこではなく主人公の父親であろう。「ぼくと、ぼくらの夏」もそうだが、父と子の距離感の描き方が絶妙で、父権的な押し付けがましさをまるで感じない。ぼんやりしててもいざというときには頼りになる父親、という安易な書割ではな

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    2019年05月28日