樋口有介のレビュー一覧

  • 苦い雨

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     零細業界誌の編集長、高梨は、かつて勤めていた会社のトラブルに首を突っ込んでしまう。
     カギを握るのは姿を消した女で、人探しから始まったそれは、次第に会社乗っ取りの策略にまで及んでくる。

     ハードボイルドです。
     でも、愛妻家で、義理の娘にもとっても甘い。
     その相反する面がいいバランスを保っていて、高梨という男の複雑さを、明確にしている。複雑なのに明確というのは、矛盾しているようだが、この感じが物語全体のあり様にもつながっている。
     
     失踪した女が、いい。

     一向に姿が明確にならない。行方もわからない。が、存在感は匂い立つように迫ってくる。

     高梨という人物造形ももちろんだけど、この

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    2011年07月29日
  • 月への梯子(はしご)

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    小学生並みの知能しかない、主人公のボクさん。
    周りの人たちの優しさに包まれながら、日々を平和に送っていました。
    …その平和な日々が、ある事件がきっかけで壊れて行きます。
    ラストは「ええー」って感じでした。

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    2011年06月24日
  • 魔女

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    表面的には感情の起伏が乏しく周囲に流されるように生きている少年が、個性豊かで気が強く魅力的な女性に振り回されながら謎を解決していくストーリーは著者ならでは。本作もその持ち味が存分に発揮されています。デビューから長い間それほど人気がなかったのに、最近になって結構注目されている(ように思う)のは、草食系男子vs肉食系女子の時代にマッチしているからでしょうか。

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    2011年11月08日
  • 林檎の木の道

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    樋口有介のエッセンスを詰め込んだような作品。ミステリ部分のつまらなさと幼稚園の同級生という繋がりの弱さがなければ、代表作たりえたのでは。

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    2011年04月14日
  • 八月の舟

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    樋口有介は、こういう純文学系の作品のほうが絶対合っている。唐突なクライマックスは全然好きになれないが、なんとなく文章を読んでいるだけで幸せ。

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    2011年04月14日
  • 魔女

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    再読。
    母と姉、年上の恋人の尻に敷かれモラトリアムな毎日を送る就職浪人中の広也は、二年前に別れた恋人・千秋の死の真相を追うことになる。
    彼女は、中世の魔女狩りのように生きたまま焼かれた。果たして彼女は魔女のような女だったのか・・・。
    母、姉、恋人と登場する女たちが強く魅力があり、千秋の人となりが霞んでしまった感があるが、真相を含め、ミステリーとしても面白かった。

    2010.10.28
    いつもながらの樋口氏の世界。
    今回の探偵役は就職浪人中と若めで「ぼくと、ぼらの夏」をに近い。
    猟奇系に対抗して、「懸命に生きる人びとの常識を重みを大切に描いた」という著者に共感。

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    2015年01月03日
  • 雨の匂い

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    借本。
    著者の本はこれが初めて。
    読みやすくて、一気に惹きこまれた。
    面白いといえばそうだけど、ちょっと違う面白さがある。
    少しおすすめ。
    著者の違う本も読んでみたい。

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    2012年12月29日
  • 夢の終わりとそのつづき 柚木草平シリーズ5

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    柚木草平シリーズにしてはいつもの面々がでてこないし、変な終わり方と思っていたら、デビュー前の習作「ろくでなし」の改稿だそうです。
    それならエイリアンとか有り得ない話がでてくるのも納得(笑)

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    2010年10月02日
  • 月への梯子(はしご)

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    『アルジャーノンに花束を』のテーマをハードボイルドミステリ調にしたらこんな感じかも。ただ著者は『アルジャーノン・・・』を未読だそうです。自然と思い浮かびますが、似てるかと言われれば全然違います。殺人事件が起こるミステリですが、それよりもミステリを題材にして語りたいことが大きいような気がします。面白かったです。読後感は爽やかです。

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    2010年09月11日
  • プラスチック・ラブ 柚木草平シリーズ8

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    著者が苦手と称する短編集。

    高校生・木村時郎を主人公にした八編の連作短編。

    著者の代表作・柚木シリーズと共に紡がれ、ミニ柚木とまで呼ばれる時郎の活躍をお楽しみ下さい。


    個人的には、是非、次の短編集を!!

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    2010年08月25日
  • プラスチック・ラブ 柚木草平シリーズ8

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     読み終えるやいなや、またこの作家の短篇を読みたいと思った。物語世界を包む空気感が、特に気に入ったポイントだ。本書は、高校二年生の木村時郎を主人公に据えた、ハードボイルド風青春ライト・ミステリの短篇集。8篇を収録している。軽妙洒脱な会話、勝気でかわいい女の子たち。そしてなにより高校生でありながら世の中を達観しているかのような主人公・時郎が生意気でいい。文章の心地よさもプラスポイント。街の風景、鳥や植物をさりげなく描写する文章が、読者をやさしくストーリー世界へと誘ってくれる。それから、女心の描き方が憎らしい。作者の樋口さんは1950年生まれの男性。年配のしかも男性の創造が書かせた女心なのだから、

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    2011年09月30日
  • 風少女

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    良作。
    文句ない名作ではないが、シブイ良作ですね。

    地方都市特有の閉塞感が良く出ていて、クローズドサークルを自然に描いている。
    ただ、青春小説と思って読むと少しツマラナイ。ってかこれホントに青春小説?って思いたくなる。
    軟派なハードボイルドだと思うとめっちゃいいけども。

    ミステリとしては平凡ですが、犯人の動機に一読の価値有。
    そこらへんがきっと青春小説たるゆえんなんだと思う。青くさい、とでも言おうか。

    米澤穂信を昔くさくするとこうなるかな?

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    2010年05月10日
  • 林檎の木の道

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    長いので、一応あらすじを。
    夏休みで暇を持て余していた主人公・悦至は、ある日電話でかかってきた彼女(はっきり付き合っていたわけではない)からの誘いを断る。その後、彼女が自殺をしたことを知った悦至。その理由を探るべく、幼馴染である涼子と共に行動していると、自殺ではなく他殺だったことに気付く。二人は事件の真相を知ろうとするが――。

    今まで読んだ樋口先生の作品の中で、一番ラブラブだったような。とにかく恋愛要素のイベントがけっこう入っていて、個人的にかなり好きです。小説のクオリティも高いし、好きだけど、なんだろうな。主な登場人物に個性がない。今まで読んだ樋口作品の青春ミステリの設定が、ほとんど似てい

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    2010年01月27日
  • 月への梯子(はしご)

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     死んだ母親が遺してくれた小さなアパートの管理人として、幸せに暮らしている主人公・福田幸男、40歳。通称、ボクさん。知能は小学生くらいなのだが、事件をきっかけにある変化が……。切なく哀しい物語。裏表紙には「長篇ミステリー」の文字はあるけれど、ミステリーを読みたいと思って本書を読むとちょっとズレを感じると思う。多くを望まず、小さな幸せ感の中を平和に暮らしているだけなのに、どうしても悪意が入り込んでくる。日常にあるささやかな幸福や、人のあたたかさにホッとできるし、思いやり、優しさを嬉しくも感じた。でも、そんな生活も裏を見ると、思いも寄らない苦しみが潜んでいたり、小さな悪意から大きな犯罪まで企まれて

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    2011年09月30日
  • 八月の舟

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     樋口有介の著書は琴線に合う(だから「あんた、変わっている」)なかで、この作品は気持ちのよさ、という点では順位が落ちる(人が死んだり怪我したりが多い)が、主人公研一の母が遺した「遺書」の一節が妙に心に残った。「発作が起きてから気を失うまでの間、どれくらいの時間があったのか知りませんが、多くて一秒から二秒か、そんな処だろうと思います。そしてそれが本当に一秒か二秒であったとすれば、自分が、自分の人生に於いて一番知りたいと思っていた事の回答を出すのに、人間とはほんの一秒か二秒の時間しか必要としない生き物だということです。自分が生きてきた人生は最善であったのか、自分という人間がこれ以上生きる必要が有る

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    2009年11月07日
  • 刺青白書 柚木草平シリーズ4

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     登場人物の超然としたセリフ回しと諦めにも似た世界観がたまらない樋口有介の「柚木草平シリーズ」4作目・・・かな?
     主人公は、過去の同級生が相次いで殺された事件に首を突っ込む文系メガネ女子大生。青春小説+柚木という感じで、柚木草平は事件解決のためにちょこちょこ出てくるだけなので、草平ファンには物足りないかも。若い人達に囲まれると柚木さんもおじさんですねぇ。でも、作者もあとがきで触れていますが、カッコ良すぎないか?柚木さん。

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    2010年05月14日
  • 夢の終わりとそのつづき 柚木草平シリーズ5

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     くたびれた探偵、柚木草平35歳最初の事件。もともとは『ろくでなし』という題名で書かれていた作品ですが、今回文庫化に伴い大幅改稿されたもの。作風も少し変わっており、柚木草平シリーズ0作目といったところでしょうか。会話の妙と女性ばっかり出てくるところはいつもと変わりませんが、若さを感じさせる行動が見えるところがおかしいです。
     しかし、全く、東京にはいい女が多すぎる。

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    2010年05月14日
  • 不良少女 柚木草平シリーズ7

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     現代の作家の中で、最も哀愁漂う作家と言えば、私は樋口有介を真っ先にあげます。もうこの文体の虜で、実際文体がストーリーを食ってしまっているような、そんな作家。今作では、あとがきにその文体のことについても触れているので、ファンとしては要チェックです。あと解説には今までの作品に出てきた女の人リストとその名言集まで!これは、マニアの仕事だ・・・。というわけで、作品以外のところで楽しめてしまう作品でした。小説は、まあ、いつもの樋口さんと柚木さんでした。

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    2010年05月14日
  • 誰もわたしを愛さない 柚木草平シリーズ6

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    柚木草平シリーズ第6弾。

    1,2,6と3作連発で読みましたが、これがいちばんミステリ色が強いです。
    新キャラも良い感じだし、これはかなり好きな作品かも〜。
    やっぱり3〜5作目も買わなくちゃだめだな^^;

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    2009年10月04日
  • 初恋よ、さよならのキスをしよう 柚木草平シリーズ2

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    柚木草平シリーズ第2弾。

    やっぱりこのシリーズ好きだなー^^。
    今作は謎解き部分が結構大きいため、絶妙な会話のやりとりは少ないけど
    それでもやっぱり楽しい^^。

    このシリーズ全部欲しいのだけど、何故かこの次に持ってるのは第6弾・・・
    3,4,5弾も全部文庫で出てるから買わないとー。

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    2009年10月04日