樋口有介のレビュー一覧

  • 誰もわたしを愛さない 柚木草平シリーズ6

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    読み終わって題名の意味を理解。犯人の心情なのか、それとも探偵の信条なのか、どちらとも取れる題名に憂鬱な小説全体を覆う雰囲気がよくマッチしている。今回は一時流行した女子高生文化が題材なだけに明るい感じがするシーンもあるが、シリーズ物のお約束の暗さは健在。ちゃんとドンデン返しもある、犯人が意外だったかどうかは別として。

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    2011年06月26日
  • 刺青白書 柚木草平シリーズ4

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    主人公が2人、三人称など、シリーズ異色作。その異色さが成功しているかどうかというと、なかなか難しい。軽さと同居している意外性のあるミステリー、普通ならば青春もので書かれそうなミステリーがハードボイルドと言う変わった味付けによって印象的な読後感を残すのがこのシリーズの特徴であり、魅力だと思う。ところがこの作品では眼鏡のおっとりした大学生が登場することによって、中途半端になってしまった印象が強い。愛すべきキャラクターなので、作品の魅力となっていることは間違いないが、逆にそちらの視点だけでもよかったのではと思えてしまった。いつのまにか携帯が普及しているのや、歌舞伎町がまだまだ元気なのは時代の流れで仕

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    2011年06月18日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    ネタバレ

    ほどよい長さの中編集。題名通りにどの話も憂鬱な事件なのに美女とハッピーエンドになりそうな所でエンディングと言うストーリー展開が後味の悪さを消してくれて、楽しく読みきれる。生臭くならないのが逆にハードボイルドらしくなくて共感。ミステリーとしてはその手紙インクもちゃんと調べればわかるだろうとか、それはいくらなんでも依頼の前に調べるだろうとか穴がなくもないが、雰囲気を楽しむと割りきれば、十分楽しめる。

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    2011年06月14日
  • 彼女はたぶん魔法を使う 柚木草平シリーズ1

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    ネタバレ

    妻に逃げられ、娘の成長に心痛めているのは、このテイストのミステリーの主人公に似合わない気がしないでもないが、日本人だからという理由で納得させる。気の聞いた科白、作品全体に漂う倦怠感と紫煙。ウイスキーとコーヒーの香りとくればまさしく男の子の憧れるハードボイルドな私立探偵である。さらに起こる事件はペットの失踪ではない。美しくも怪しい依頼人が持ち込む未発覚の殺人事件。きちんとドンデン返しもあり、ミステリーとしても楽しめた。怪しい人物が実はそんなに悪くなかったという程度のドンデン返しであるが、こちらもそんなにミステリーを求めていない。20年前でパソコン、携帯と言った現代では不可欠なツールが未登場なのが

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    2011年06月09日
  • 魔女

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    死んだ元恋人の足跡を辿るうちにそれまで知らなかったもう一つの顔が見えてきて・・・よくあるストーリーと言ってしまえばそれまでだが、オカルトチックなスパイスと作者得意のライトな文体が飽きさせずに最後まで読みきらせる。犯人は確かに意外な人物だったが、ちょっとアンフェアかもと言う気がした。よく読み直せばわかるのかもしれないが。それよりも本当に黒魔術ってあったのかもと思わせる展開はお見事。オカルトに流れてしまいそうで不安にさせておいて、そのギリギリのところでミステリーに帰ってくる。決していい読後感ではないのだが、ほっと一息つかせるエピローグは印象的だった。アリバイも密室も何かトリックがあるわけではない。

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    2011年05月31日
  • 夏の口紅

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    ネタバレ

    言葉を発しない少女・季里子と普通な中に複雑さを抱える礼司の物語。礼司と彼のずれた言葉に地味に吹きました。彼のお母さんもすばらしい。

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    2011年05月07日
  • 船宿たき川捕物暦

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    話は比較的よくできていると思う。しかし時代小説をほとんど読んだ経験がなかったので、読むのに苦労してしまった。

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    2011年04月16日
  • 木野塚探偵事務所だ 木野塚佐平シリーズ1

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    作者の作品全般に言えることだが、ミステリー要素には期待すべきでない。作者のユーモアセンスだけで書いたような話。何度も笑った。

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    2011年04月14日
  • 月への梯子(はしご)

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    感動を狙ったものだろうが、どうも感情移入できなかった。作風を逆手に取った有効な仕掛けだとは思うのだが。密室もお粗末に過ぎる。

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    2011年04月15日
  • 木野塚佐平の挑戦だ 木野塚佐平シリーズ2

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    良くも悪くも、ユーモアセンスとキャラクター、独特の文体だけで読ませてしまう。木野塚氏の今後の活躍にも、大いに期待。

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    2011年04月14日
  • 風少女

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    父親の死を聞かされ、故郷に戻った主人公は
    駅で好意を寄せていた川村麗子の妹と出会い、
    そこで初めて聞かされる初恋の女性の死。

    死に方に納得がいかない主人公は事件を
    調べはじめるが・・・。

    調査の過程で再会する変ってしまった友人達。
    誰がキーパーソン?

    果たして川村麗子の死は殺人なのか?
    それとも事故なのか?

    すらすらと読んでしまった作品。
    割と面白いと思います。

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    2011年03月26日
  • 夏の口紅

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    すこしキザだけど好きな文体。

    「存在自体が困る」大学生の男の子が主人公で
    自分の知らない過去を探りながら、初恋をするというお話。

    相手が美少女じゃないほうがリアルでいいのに、と思った。

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    2011年03月05日
  • 月への梯子(はしご)

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    小学生中学年程度の知能のボクさん40歳は
    亡き母の残したアパートの管理人をして暮らしていた。
    ボクさんが梯子から落ちて頭を強打したことで
    バカが治るが、アパートでは殺人事件が起きていて
    住人全員が行方不明に・・・。
    更に、自分を取り巻くものが善意だけではなかったことを知る。

    「アルジャーノンに花束を」を連想するけど、違ってました。
    でも、殺人事件が解決して、アパートに幸福を訪れるのに
    用意されていた結末に愕然としてしまう。
    最後の3行でファンタジーになるけど、あんまりだわぁ~(p_q*)

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    2010年11月10日
  • 枯葉色グッドバイ【新カバー版】

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    未解決の殺人事件を担当する一所懸命だけれど空回り気味で上昇志向が強くやや自己中な女性刑事と、その事件で両親と妹を亡くしひとり生き残った女子高生美亜、不注意で我が子を死なせてしまい離婚し退職して代々木公園で暮らす元敏腕刑事の椎葉という全くバラバラの3人が、事件を巡りある種の不思議な信頼関係を築くお話。事件の内容も登場人物の抱える背景もしんどく重いし、椎葉の視点を介して作品全体に諦念が漂っているのに意外にも読後感はスッキリ。途中少々つらくなりましたが最後の事件解決のくだりは謎解きにも無理がなく、しかもテンポ良くトントンと展開するせいかも。読み応えありました。

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    2010年08月04日
  • 風少女

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    ミステリー小説としてみるとたいした内容ではない。
    ただ、青春小説として読む分には雰囲気が良かった。

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    2010年02月21日
  • 初恋よ、さよならのキスをしよう 柚木草平シリーズ2

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    柚木草平シリーズ第二弾。

    娘と訪れたスキー場で20年ぶりに初恋の君に出合った主人公。

    以前と変わらぬ美貌のまま、雑貨店オーナーとして活躍していた彼女はしかし、再開後まもなく何者かに殺害される。

    彼女の姪から事件の調査を請け負った主人公は・・・・・・。


    青春のほろ苦い思い出が柚木の心に影を落とす、あるいは、読者に。

    届かない過去と想いって、どこにぶつけたら良いんでしょうかね?

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    2010年02月13日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    探偵柚木宗平シリーズ第三弾にして初の中短編集。

    雨・風・光を冠した三つのタイトル。

    憂鬱になると知りつつも事件に関わってしまう探偵の憂鬱。

    読後に残る倦怠感に似た重さの理由は?と思っていたら、なんの事はない。

    作者が中短編を書くのが苦手なのね……。


    氏が思うほど悪くないと読者は思いますぞ。

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    2010年02月13日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    シリーズ3作目にして、やっと面白くなってきました。
    個人的には、こういう短編の方が読みやすいみたいです。

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    2010年02月01日
  • 探偵は今夜も憂鬱 柚木草平シリーズ3

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    東野圭吾さんの作品と思って買ってきてしまったみたいで。。
    でもおもしろかった!
    3本立ての短編集でいなくなった女優を探したりと元警察という力を利用してあいまーいなかんじなんだけど解決させる。
    味のある作品でした

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    2009年12月11日
  • プラスチック・ラブ 柚木草平シリーズ8

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    “「木村くん……」と、ペンギンハウスを出て、細かい雨に傘をさしかけたぼくの腕に、軽く指を突き刺して、夏帆が言う。「レジにいた女の子、新しい子だったよねえ」
    「気がつかなかった」
    「信じられない」
    「どうして」
    「だって、奇麗な子だったじゃない」
    「そうだったかな」
    「そうだったよ。知ってたくせに」
    「………」
    「木村くん、彼女の顔、じっと見てたじゃないの」”

    木村時郎くん視点の短編集。
    女の子をひっかえとっかえな木村くんの性格がつかめない。

    “「あなた、疲れるでしょう」
    「はい」
    「どこかに逃げる場所が、あるの?」
    「いえ」
    「やっぱり諦めて、我慢をして、最善をつくすの?」
    「ほかに方法が

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    2010年03月08日