あらすじ
警視庁(ただし経理課一筋三十七年)を定年退職した木野塚佐平氏。フィリップ・マーロウ、リュウ・アーチャーなど、ハードボイルドに心酔する氏は、長年貯めたヘソクリを元手に、憧れの探偵事務所を開業する。しかし、凶悪事件の依頼どころか、念願の美人秘書もやってこない。そんなある日、近所づき合いで掲載した業界誌の広告から、ひょんな依頼が舞い込んでくる。記念すべき木野塚探偵事務所最初の事件は、何と、金魚の誘拐事件だったのだ。気鋭の著者が、愛すべき老人探偵。木野塚氏の活躍(?)を描く、大爆笑必至のハードボイルド連作集、シリーズ第一弾。
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定年を過ぎてから私立探偵を始める木野塚氏。憧れの事務所を開設しなんだかんだでうまくやってるところがすごい。
桃世という助手にも恵まれ、ほのぼの感漂う探偵話が面白い。
ハードボイルドに憧れており吸えないタバコや飲めない酒を始める形から入る感じも面白い。
歳をとってからでも学んで成長しやりたいことをできるんだなーという話。
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ハードボイルドな私立探偵を目指す木野塚氏、最初は痛々しいだけなんだが、読み進むにつれて何か愛着が湧いてくるから不思議。
但しまともな推理物を想像すると肩透かしを食らう。
ミステリーかどうかも怪しい内容。
Posted by ブクログ
ユーモア小説である。主人公である経理一筋37年で定年退職した警察OBが探偵事務所を始め、たまたま採用した若い女の子が秘書というか助手として大活躍するというストーリーである。
その主人公が木野塚佐平である。誇大妄想というかフィリップマーロウに憧れたという設定からわかるようにコメディーである。サスペンスでも推理ものでもない。
今度TVで志村けんが演じるそうだが、よく合いそうである。ちょっとコメディーぶりがくどいが、気楽におもしろく読めるところがお勧めである。
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「木野塚探偵事務所だ」。
タイトルからして笑えてしまうのは、作品を読み終えたからかもしれない。
ハードボイルド大ファン木野塚は、定年を迎えてからようやく憧れていた「探偵事務所」を設立する。探偵事務所所長、殺人事件の依頼が来て颯爽と問題を解決していく。酒と煙草を愛好する彼の隣には美人秘書。そんな妄想ばかりしていたが、実際殺人事件の依頼など一つもこない。
「金魚が居なくなった」「犬の恋を実らせて欲しい」など変わり種な依頼がぽつぽつとやって来るのみだ。
この作品にミステリのいわゆる解決編はない。こうだったんですね、と童顔秘書の桃世が、当たり前のように解決し、わかった顔して木野塚氏が頷いて体裁を保つ、というもの。
この木野塚氏、見た目は冴えない上に夫婦仲もあまり良好ではない。さらには酒には弱く煙草も吸ったことがない、基本的には非常に真面目な人物なのである。
そんな彼がハードボイルド探偵を気取るため、酒を飲み煙草を吸い、警察捜査に携わっているなどという嘘まで吐いている。
私はハードボイルドはあまり得意ではないのだが、木野塚氏の憧れのあまりの行動を見ていると少々痛々しいどころか、微笑ましくなってくる。基本的に「良い人」でしかいられない木野塚氏。
続きを読むまではいかなかったが、新宿にそんな初老のおじさんが居ても良いのかもしれない。
Posted by ブクログ
定年退職を機に長年夢だった探偵事務所を始めた木野塚氏の奮闘記。いたって平凡な木野塚氏の憧れは、フィリップ・マーロウのようなハードボイルドな探偵だが、一つも思い描くようにはいかない。さらにひょんな事から雇った助手が切れ者で、いつも遅れをとったと感じている木野塚氏のなんとか体裁を保とうとする言動に悲哀を感じる。滑稽なくらいハードボイルドであろうとする木野塚氏にエールを送りたくなる作品。それと、相棒にたまに出てくる探偵さんとイメージが重なってしまって、どうしても抜け出せなかった・・・(^_^;)
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2014.10.11(土)
警視庁一筋…
ただし経理課一筋37年の木野塚佐平が定年後に選んだ職業が『私立探偵』。
ハードボイルドに憧れて、こうあるべきと決めつけて夢見る60歳。
名探偵が誕生!!?!
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樋口有介さんの小説は何冊か読んだけど
主人公が不潔でだらしなかったりするけど
本当にかっこよくて、お話のなかで恋が始まってほしいと思うほどなんだけど
今回選んだ小説は主人公が60歳。
どんな感じかと開いてみたら…
こういう小説も書くんですねという印象。
でも。途中飽きちゃったかな。
続編があるからか、終わり方も「あれ(*゚ー゚)」って感じだった。
でも、『ピース』よかった。うん。
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20130225 デビュー作の後、二作くらい読んだ記憶がある。昨年ピースを久しぶりに読んだ。この作品は作者の今のとしだから読めるのかも。笑えない哀愁がハードボイルドなのだろうか。
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ユーモアハードボイルドと言うとペット探しを得意とする私立探偵の物語を思い出す。この連作集も望んでいないのにペット探しが専門になってしまう老私立探偵物語と思って読み進めると、ハードボイルドらしい寂しいエンディングが用意されていた。助手に手柄を横取りされ続けて、悔しがる老探偵の悲哀で終わるよりこちらのほうがずっと記憶に残る。
Posted by ブクログ
定年を迎えた木野塚氏がハードボイルド目指して探偵デビュー。が、実際にはそうかっこよくいきません。来る仕事は主にペット探し。理想のようなセクシーな美女が秘書になってくれるわけでもなく。頑張りが空回りする様子がかわいくもユーモラスですがいまいちテンポにのれませんでした。ラストで言われるとおり木野塚氏が根っからの善人で、それ故に単純すぎるんでしょうか。読後はあっさりしてました。