樋口有介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
義父の死の報せを受けて、故郷に帰ってきた主人公。20歳の大学生。幼い頃から好きだった女性が1週間前に死んだことも知る。死んだ女性の妹と同じように事件に疑問を抱き、真相を探る。
樋口有介さんの代表的作品。
文章のあちこちから瑞々しい感性が顔を覗かせていた。
微妙な感情の動き、故郷の閉塞感などの描き方がうまく、著者の表現力、ポテンシャルを感じさせる作品だった。
登場人物たちの会話。ぎこちないような、それでいてしっくりしているような、ちょっと浮ついた印象。その世代を感じさせた。
学生時代。挫折と希望。今現在しか見えない者と、漠然とでも将来に目を向けている主人公との対比。同じ場所にいても、生きているところは違うのか。
1歩、自分のエリアから出ることができれば違った風景に出会えるかもしれない。読みながらそんなことを考えていた。
ミステリとしては、現在読むとさっぱりしたものにしか感じられない。しかし、主人公と同世代の読者なら、どうだろう。 -
Posted by ブクログ
ボクさんは知能に少し障害がある。四十歳、アパート「幸福荘」の管理人。
住人や近隣の人々に支えられ、自然を愛し人を愛し、幸福な日々を送っていた。
ところがある日、アパートで殺人事件が起きてしまう。それを目撃したボクさんは驚いて梯子から落ち、次に目が覚めた時は病院のベッドだった。
そして彼は気づいた。自分の知能が正常に戻っていることに。
善良だと思っていた住人は全員失踪したという。ボクさんは一人、真実を追うため動き出す。
「僕がみんなに親切にして、僕がいい人になれば、まわりの人もみんないい人になるよ。」
人からは苦笑されてしまうような、この信条。
これは本当に、のちのボクさんが分析するような「逃げ」の生き方だったのか?
ここが気になって仕方ないです。
これは極端だけど、ある種真実を衝いていますよね?いわば、彼は自覚的なムイシュキンですか。
作中で遊都子も「大家さんが薄バカでもお利口でも、あたしは大家さんのファンです」って言ってたしね。
白痴と純粋さを嘲笑わければならない社会が一番哀しいなあ。
この本を読んだわたしの考えはそんなところに着地したのでした。
ミステリとしては読みませんでした。だってミステリの書き方をしていないもの。
あとちょっと気になったのは老人ホームで働く文子の愚痴の内容かなあ・・・。
「老人ホームに来るような人たちはずるい」。これを彼女の若さと正義感のせいだとボクさんは言ってたけど、どうなんだろう。
わたしも大人になれば、そうやって人を呪ってまで生に拘泥する人たちを笑って許せるようになるのかね? -
Posted by ブクログ
矢口敦子の『償い』を読んで、ホームレス探偵という設定に興味を持って、こっちにも手を出してみた。この主人公は元敏腕刑事で、やっぱり過去に家族を亡くすなどという過去を持っていて、ホームレスになったっていう設定。このホームレス探偵のうちが面白いと思うところは、ホームレスらしからぬ言動に、まわりがびっくりしたりするところですかね。まぁホームレスらしいって何やねんっていえば、そうなんですが。話の展開も、二転三転し、ぜんぜん犯人がわかりませんでした。事件が二つあるんですけれど、どっちもなかなか確信持てなくて。そんな犯人でいいんか!?っていうのが正直な気持ちですがね。会話も面白いし、けっこう一気に読めてしまった。