感情タグBEST3
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樋口作品はミステリばかり読んでいたので、
こういう酸っぱいテーマの作品は新鮮(^ ^
登場人物が、みな世を拗ねていたり、
何かから絶賛逃避中だったり、
はたまた問題を抱えていたりと、で
「普通の人」が出て来ない気が(^ ^;
でも、誰もが皆「リアルな生」を生きていて、
もしや世の中に普通の人などいないのでは、
と思ってしまう危険な作(^ ^;
恥ずかし気もなく断言してしまうと、
主人公二人の「純愛」がテーマの作品。
二人をはじめ、周りの人間みながひねくれてるので、
とてもじゃないが話は一筋縄で進まない。
でも、本当に男女が惹かれ合うということ、
好きになるということ、もっと単純に
相手と一緒にいたいと願う気持ち...
ひねくれている筈の主人公二人は、
実は自分の思いに対しては
悲しい程ピュアだったりする。
だけど、と言うか、だからこそと言うか、
自分たちで問題を生み出したりもするが(^ ^;
いや〜、何か、若いというのも
悪いことばかりでもないね〜(^ ^
Posted by ブクログ
主人公たちのかみ合わない会話にイライラさせられますが、その内容に思わずクスッと笑わせられます。それが新鮮で、すごくおもしろかった。言葉選びが天才だと思った。男の子目線の恋愛小説は苦手だったんですが、きゅんきゅんせずにはいられなかった。
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先日読んだ「海泡」の解説で、樋口有介せんせの夏に関する作品がつらづらっと挙げられていたので、よっしゃ読み返したろー!っていう個人的気運盛り上がり中。
今作もまた主人公の男子はカッコつけてて、そしてカッコ悪い。
特異だなと感じたのは、せんせの作品で好きなトコロは主人公とヒロインの会話の妙にあると考えてるのですが、今作のヒロイン、会話のコミュニケーションに難あり。
いつもの小洒落た会話がなかなか繰り広げられないんですよねー。
もちろん、ヒロイン以外の女性との会話にその味わいは見られるのですが。
まあしかし、会話が無くても主人公の洒落た振る舞いは見どころあるわけで。
10代のヒロイン、20代のお姉さん彼女、40代のお母さん、50代のおばさん…て、どの年代の女性に対しても臆すること無く賢く振る舞いますねえ。
今作の解説は米澤穂信センセなのですが、そうした主人公の振るまいを気障ではなく照れているのだと評してますが、ああなるほどって感じ。
そうしたいわゆる「照れ」なんかだと、「ぼくと、ぼくらの夏」の戸川くんがヒロインに対して告白するシーンとか、あれなんかまさに照れだし照れ隠しだと思います。
ああ、「ぼくの」で思い出した。
今作もヒロインが主人公を迎えるように仕向けて待っているようなシーンが。
そういったところが樋口有介せんせの作品におけるヒロインの可愛らしさだと思うのですが如何に。
主人公は女性の扱いに長けているように見えて、いつだってヒロインに振り回される。
そこが面白いのです。
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15年前に母と離婚し、家を出たきり一度もあっていない父が亡くなった。
大学3年生になった礼司は、亡くなった父の形見を受け取りに本郷の親父が住んでいた家に向かう。
そこで自分には姉がいるという衝撃的な事実と、季里子という無口な従妹に出会う。
父は礼司に蝶の標本を残しており、姉にも同様のものが残されている。
姉の存在を探りながら、季里子との距離も徐々に詰めていく。
姉の過去をたどると自分が今、接点を持つ身近な人にたどり着く・・
そこでもまた衝撃的な事実が・・・
季里子は、徐々に礼司に心を開いていく。
この季節に読みたい本
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読んだのは、たぶん7月の中旬くらい。
樋口有介にしてはイマイチかなぁー(^^ゞ
たぶん、主人公たる二人(礼司&季里子)の魅力が、樋口有介の小説(のファン)としてはイマイチなんだと思う。
普通すぎる?、…んだよね。
ただ、この小説に出てくる二人が“普通すぎる”っていうのは、『夏の口紅』がミステリー小説(「事件」がテーマではなく)ではなく、文芸作品(二人が出逢った夏の話)であるということで、そうなった面があるような気がするかな?
それは、たぶん、必然として。
ミステリー小説というのは「事件」という、主人公たちが特異な状況に置かれる話であるのに対して、これはあくまで「日常」の話だ。
「日常」というのは普通だから、目立つ「特異」はない。
もちろん、「初恋」という人生の大イベントwの話ではあるのだが、でも、「事件」がテーマのミステリー小説でない以上、小説としては、あくまで「日常」の話なのだ。
事件という「非日常」は、普通である登場人物たちから「特異」な面を引き出すが、これは「日常」の話だから、登場人物たちも「日常」のままでいる。
この二人が“普通すぎる”のは、そういう理由なんだろう。
(もっとも、その“普通すぎる”は、あくまで樋口有介の小説としては“普通すぎる”だw)
そんな『夏の口紅』だが、個人的な好みを言うなら、いかにも樋口有介の小説に出てくるキャラって感じの画家の友部さんとその娘をエピソードとして、ストーリーに絡ませられなかったんだろうか?って感じかな。
だって、友部さんの娘さんなんて、友部さんの口から「わたしに似ているから美人よ」って紹介されるだけなんだもん(^^ゞ
友部さんが魅力的なだけに、なぁ〜んか、ちょっともったいない。
あと、香織も、もっとストーリーに絡んできてもよかったんじゃないかなぁー。
ぶっちゃけ、ヒロインである季里子がイモっぽい(爆)だけに、もうちょっとその魅力をエピソードとして描いてほしかった気がするかな?
あとは、和可子も、別のストーリーとして描かれてもよかったように思う。
もっとも、樋口有介の作風としては、そういうのはないんだろうけどさ(^^)/
シラケたのは解説。
“樋口作品たちの語り手はひどく恰好をつけているけれど、ただ気障なのではない。彼らは照れているのだ”って、そんなこと、説明されてわかっちゃったらさ。照れている当人たちの立場、ねぇーじゃん!(爆)
今はなんでもそんな風に、解説してわかりやすくしちゃうから、小説でも、映画でも、ドラマでもつまらなくなっちゃうんだよ。
この解説している人って、作家らしいだけど、そんなこともわからないのかな?┐(´д`)┌
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昨年亡くなられた樋口さんの青春小説。数々の青春小説から探偵小説等、様々楽しませてもらいました。謹んでご冥福をお祈りすると共に、残された作品を読み続けたいと思います。
本作はとにかく義妹の李里子がかわいいので、翻弄される主人公が見所。謎があるような無いような。
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あらすじ(背表紙より)
十五年前に家を出たきり、会うこともなかった親父が死んだ。大学三年のぼくは、形見を受け取りに行った本郷の古い家で、消息不明の姉の存在を知らされ、季里子という美しい従妹と出会う。一人の女の子を好きになるのに遅すぎる人生なんてあるものか…夏休みの十日間を描いた、甘くせつない青春小説。
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主人公のセリフでないつぶやきが秀逸。父親の訃報を起点とし、父親の遺品の意味と存在すら知らなかった姉捜しが始まる。奇妙な義理の従妹が義理の妹になり、そして特別な存在になる。彼女の、きっと捜してくれるから、捜してくれるはず、やっぱり捜してくれた。というありがちのパターンは十代の頃の出会いたくない恐怖の一つであったな。
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文章の雰囲気が好きです。
でも、ちょっと、何か、違う。
なんだろな?
物語の流れが、自分に、合わないのかもしれない。
でも、嫌いな感じではない。
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二十歳の男の子ってこんな大人びてたかな…?
26の香織も私よりはるかに大人だし…
季里子に一番共感してるあたり、自分は子供っぽいのかな。礼司が何故そこまで惹かれたのかよく分からない部分はあるんだけど、それが初恋ってやつか。
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大学の夏休みに何をしていただろうか。読み終わると遥か昔のことをふと思い出したくなった。夏の刺すような日光と対称的な廃頽的なけだるさが小説を覆っている。記憶にもない出奔した父親の死をきっかけに存在すら知らなかった姉を探すことになる主人公。少しミステリータッチな展開は作者ならではの魅力であろう。蝶のお腹と口紅に共通するオレンジが単色の絵の中で鮮やかに彩りを放っているかのように訴えてくる。
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すこしキザだけど好きな文体。
「存在自体が困る」大学生の男の子が主人公で
自分の知らない過去を探りながら、初恋をするというお話。
相手が美少女じゃないほうがリアルでいいのに、と思った。