樋口有介のレビュー一覧
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女に弱いハードボイルド、と言った感じでしょうか。矛盾してるようなそうでもないような。ハリウッド的な「タフな私立探偵の元にブロンド美女」みたいなのとはまたちょっと趣が異なりますが。
なかなか小説だとその辺りが難しいところではありますね。言葉で「絶世の美女」といわれてもなんとなくイメージしづらい。立ち居振る舞いで美女らしいところが表現されているとしっくりもきますが。
そう言った意味では今回のヒロインは非常に魅力的に思えました。なにがどう、というわけでもないんですがどことなく。
最後の真相判明部分が若干駆け足に感じたのも、どちらかというと主人公やヒロインの人物描写に重きを置いている作品ってことなん -
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2冊目の柚木草平。
相変わらずののらりくらりとしたキザな会話、登場人物は癖のある美女ばかり。それも、みんなどこか歪んだ人ばかりで辟易します。
柚木の推理、というか物語の展開が強引だと思う。違和感を感じるのはわかる。でも、思いつきとか勘だとか、○○は不自然だろう?→○○はありえない、という決めつけとか、それで展開する物語は、ミステリーじゃないよね。まあ、ハードボイルドだからそれでもいいのかもしれないけれど、本で読むよりドラマで見る方が自然ではないかと思う。
それでも、普段テキトーな柚木が、真剣に心を傾けることもあるんだというのが意外であると同時に、納得させられる。そして、そこに引き込まれる -
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南海の楽園を舞台にした…。
うーん、説明こまる。
かつては日本軍に占領され、今はアメリカの影響下にある島国が舞台なんだけど、言葉が…。
なまってるって設定で、なまってるんだけどこれに違和感がすごい。
まぁ、話の本筋には関係ないんだけどさ。
で、大量のプラスチック爆弾が行方不明になって、その島にいるCIAのスパイがその捜索を始めるんだけど。
それがメインでくるのかと思ったらそうでもなく、島の気候と同じように、だらだらとまったりとしてるだけなのだ。まぁ、それでも水面下では動きがあって…。
なんなんだろうなぁ。
どこをどうとっても消化不足というか、物足りなさがあるというか。 -
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ストーリーは結構好きなタイプのミステリー。時代のせいなんだろうけど、探偵役はやっぱり自分の足で情報を探してナンボと思うんです。携帯とパソコンで情報収集する探偵の話なんて、動きがなくて読んでる側にはつまらないですから(その分、トリックに凝ったり動機に凝ったり、心理描写で読ませてくれるわけですが)。
ただ、やっぱりハードボイルドっぽいキザなやり取りとか、出てくる女性がみんな美人で主人公に関心もつとか、ないわーって思う。あーゆーのは、ボギーとかが、地理的にも時代的にも自分とは別世界でやってくれるからこそくーっとなるわけで、自分ちから片道◯分みたいな生活範囲でやられてもなぁ……
登場する女性たちも -
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少女たちの強い絆が柚木に深い悲しみを背負わせる。
ひっそりと身を投げた少女に何があったのか?永遠の38歳を描く、シリーズ最高傑作。
柚木草平シリーズの新作待望の文庫化です。前作から12年ぶりの長編だそうです。(刺青白書は番外編という扱い)
作品の時間軸としては、前作、「誰もわたしを愛さない」から数カ月となっていますが、12年の歳月を感じさせる事のない、いつもの世界となっています。冒頭の娘の加奈子との会話には、思わずクスリとさせられてしまいますし、オールスター総出演は嬉しいものです。(無理なく登場しているのが良い)
総じて、このシリーズ。ミステリー色が薄いのですが、本作では、何重にも -
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読み始めてものすごい既視感。読み進めてそれは確信へ。
主人公、斉木亮という名前だけど・・・君、柚木さんでしょう? 絶対柚木さんの学生時代でしょう(笑)。
解説まで読むと、やはりこの『風少女』の設定は、のちにそのまま『彼女はたぶん魔法を使う』に始まる柚木草平シリーズへとつながる・・・というようなことが書いてあり、ああ、やっぱりなぁ、と思った。
どことなく感傷的で、それでいて乾いたユーモア。どろどろまどろっこしいのに、青くさい爽やかさ。
樋口さんのエッセンスがよく出ている作品だと思う。よくも悪くも、気障ったらしくナイーブで、それでいて女の子が可愛い。主人公はヒロインに翻弄されているようで、実は亭 -
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刑事をやめ、妻と娘とも別居している柚木草平は気ままな一人暮らし。元上司だった吉島冴子と大人な関係を続けながら、仕事をまわしてもらって私立探偵もやっている。今回の以来は女子大生が轢き逃げされたという事件。警察は事故として処理するようだが、被害者の姉がそれに納得していないという。
この柚木草平が出てくる話はシリーズ化しているようだが、事件自体はそれ程特殊なものでも引き込まれるものでもないので、このキャラクターを好きになれるか否かで物語の評価がだいぶ変わりそう。妻や娘をはじめ、聞き込みで出会う美女やおばさんにいたるまで、ありとあらゆる女性にリップサービスというか、口説き文句や誉め言葉を繰り返す