あらすじ
元刑事でフリーライターの柚木草平は、雑誌への寄稿の傍ら事件調査も行なう私立探偵。今回もち込まれたのは、女子大生轢き逃げ事件。車種も年式も判明したのに、車も犯人も発見されていないという。被害者の姉の依頼で調査を始めたところ、話を聞いた被害者の同級生が殺害される。私生活でも調査でも、出会う女性は美女ばかりで、事件とともに柚木を悩ませる。人気シリーズ第1弾。
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Posted by ブクログ
主人公柚木草平を取り巻く事件の美女たちと、
殺人事件を地道に解決していく柚木。
それらがうまく絡み合って、解決へと導いていく
特に、美女と柚木の会話はナンパの雰囲気があるものの、
お世辞というのは筆者の、腕の良さをうかがわせる。
ミステリーでも、私が大好きなシリーズです
Posted by ブクログ
何となくタイトルに惹かれて衝動買い。
不勉強でこの作者のことは知らなんだが、
いやこれは素晴らしく面白い(^o^
主人公は、元警察官のフリーライター...
の振りをして探偵で食いつないでいる男。
やたら女に惚れっぽいと言う弱点(?)があり、
また行く先々で美女にもてる(^ ^
当人はフィリップ・マーロウを気取っているのか、
小洒落た台詞回しが「大人の楽しみ」って感じで、
しかも根底のところで当人が「バカバカしさ」を
きっちり理解しているのが好感持てる(^ ^
事件の「依頼人」の謎めいた美女や、
二転三転していく謎解きの展開など、
主人公のキャラ以外もきっちり描き込まれていて、
「隙がない」大人向けエンタテインメント。
惜しむらくは、この人の読点の打ち方が
私にはちょっと気持ち悪くて...(^ ^;
趣味の問題でしょうが、これさえ気にならなければ
もっと手放しで楽しめたのになぁ...(^ ^;
でも続編もあるそうなので、ぜひ読もうと思います(^ ^
Posted by ブクログ
「ぼくと、ぼくらの夏」を読んでからずっと読んでみたかった本。
探偵柚木草平が依頼された本筋の事件も気になったけど、それ以上に、「彼女」がどんな魔法を使うのかが気になって仕方なかった。
ラストは、いいオチです。ものすごく続きが読みたいけど。
Posted by ブクログ
柚木草平シリーズ、1作目。
元刑事の探偵さんが主人公。とりあえず、主人公が女性によく絡み、モテる。元刑事の割に女性に対して調子の良いセリフがポンポンと出てくる。そういった描写が多くて、事件自体はなかなか進んでくれないんだけど、、、まぁ、嫌いじゃなかったです。実際、自分がリアルに対峙するとなると嫌いなタイプだけど、読み物の中では、草平さんのキャラ、好きだし、格好良いと思っちゃった。シリーズモノなので、続きも読んでいこうと思う。
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元刑事のフリーライターが、ある轢き逃げ事件の調査を行う。
主人公がハードボイルドぶって皮肉の利いた台詞を連発する、主人公がモテまくる、主人公だけど推理を外す、など、普通の推理ものとはちょっと違う流れが特色。
主人公のキャラクターには好き嫌いが分かれるかもしれないけど、話は若干ユーモアが混じりつつもしっかりしたミステリー。
主人公のキャラクターが嫌いでなければ、台詞の掛け合いなんかが楽しめて一気に読める作品。
Posted by ブクログ
はじめはなかなか読み進まなかったけど終わってみれば結構どきどきした。久々の推理小説。
草平さんのしゃべり方?視点が彼だから面白い。よくある探偵の口調だけど。勘が鋭いとことか。
解決しちゃって最後の二三ページにものすごくどきどきさせられた。ええ、ここで終わったか!? って感じ
解説をみてさらにどきどきしたというか…この終わりかたは割としっくりきた。
所々くすっと笑える場所があった。たまの推理小説もいいなぁと思った。
Posted by ブクログ
ミステリーとハードボイルドを適度に混ぜた、おしゃれなミステリー略してオシャミス。
主人公草平の無自覚なプレイボーイぷりにはイラつく箇所もあるが、意外に足を使った操作をしつつも推理が必ずしも当たらない部分が変にリアルで(逆に言えばミステリ定番の証拠が揃うとバシバシ推理を当てるような探偵ぽくなくて)良い。
シリーズものとしても各キャラ立っており、次の巻にも思わず手を伸ばしてしまう良シリーズ。
Posted by ブクログ
好みど真ん中の作品だった。本書は1990年に出版された。なんと19年前。その頃、知らずに横を通り過ぎてしまっていたのは惜しかった。作者のあとがきを読むと、『ぼくと、ぼくらの夏』でデビュー後の、創作に苦しんでいた時期の作品らしい。息の長い作家を目指すにはシリーズものだ、ということで誕生したのがこの<柚木草平シリーズ>ということだ。本書を読むと、日米のハードボイルドやミステリ作品を研究した、作者の努力が窺える。探偵に美女たち。気障な台詞に洒落た言い回し。減らず口。ストイシズム。そこに樋口有介さん独自の人物造形、ユーモア、ひねり過ぎない事件、鋭すぎない推理などが加えられ、独特の軽やかさ、爽やかさを生んでいる。それにしても柚木草平はもてすぎる。文章からすると、ハンサムだからではないようだ。会話が面白いから?南の島への夏休み旅行を誘った美人女子大生とは、今後どうなるのだろう。その女子大生と、草平が不倫関係にある人妻とのかち合わせはどうなったんだろう? 続編が楽しみだ。
Posted by ブクログ
本書(創元推理文庫版)は2006年発売であるものの、元となった単行本は1990年と、その時代ならではのゆる~いトレンディドラマ風な(ファジーと書いた方が分かりやすいか)雰囲気の中、著者の樋口有介さん当時の年齢である38歳という設定で描いた、元刑事でフリーライターの「柚木草平」が私立探偵として活躍するシリーズの第一弾です。
読んでいくと、どうやら草平はハードボイルド風に気取りたいのかなと感じたものの、それもオープニングが娘の加奈子(小4)に遊園地に付き合わされる場面だったことによって、却って人の良さが滲み出てくる感覚は、特徴的な主人公を確立させる手段として上手さを感じられた上に、彼は妻の知子と別居中で(離婚はしていない)、娘の親権は妻にあることもまた切ないではないか・・・と書きつつも、実は仕事を回してくれる元上司の吉島冴子と愛人関係であることや、娘の頭の上に煙草の煙を吹く行為は、私的にアウトなんだけれども。
ただ、それでも悪い人では無いのかなというのは感じられて、例えば『恐ろしいのは女が、理屈ではものを考えない生き物だということだ』と言った後に、『さっきのは、あれは、冗談だ』なんて言うことには、一つの物事やマニュアル的なものに固執しない柔軟な考え方を持っていることが分かるし、更に元刑事の設定あるあるとも思えた彼の過去には、倫理的な問題こそあるのかもしれないが心に響くものを感じた人もきっといるだろう、といった賛否両論分かれそうな部分にこそ、もしかしたら人間を信頼できる要素はあるのかもしれない、なんてことを考えさせてくれる。
島村香絵から依頼された妹の交通事故死の真相に挑む草平は、元刑事の経験を活かし、地道に聞き込みを重ねていっては考察することで、着実に真相に迫っているように思われたものの、そこは彼の完璧でない人柄も見事に活かして二転三転することで、派手さは無いもののミステリとしての面白さもありつつ、事件の関係者の殆どが大学生ということで、社会へ踏み出そうとする前の最後の青春を謳歌する時期に垣間見えた、ちょっとした野心の無垢さや愚かさ、そして将来に対する不安から覗かれた哀愁は何とも切なく、それらは事件の後味にも繋がっている。
最後に気になった点として、本書のあらすじに「出会う女性は美女ばかり」と書かれていたものの、それぞれに際立った個性や魅力がいまいち伝わりきらなかったことに加えて、この素敵なタイトルの意味について、物語に登場した中の一体どの彼女が魔法を使っていたのか未だに分からないのだが、多分草平だったら、そういう表現をしたがるんだろうなという気持ちは分かるような気がする。
Posted by ブクログ
樋口有介の初期の作品。概ね発表順に読むとモチーフがほぼ一緒に感じられる。気に入れば期待を裏切らないけど、変化も感じられない。謳い文句が推理、青春とか宣伝されてるけど、主人公が中年なので、違和感がある。基本はやっぱりハードボイルドだと思うので、会話の妙みたいのを楽しめるかどうかが作品の良し悪しだと思う。
Posted by ブクログ
1990年の作品。当然携帯電話やネットのない時代なので主人公の捜査や生活もそれが前提となっている。読んでるこちらがその時代を知ってるいい歳のおっさんなので、瞬時に昭和〜平成初期に戻れるけど、今の若者には辛いのではないかといらぬ心配をしてしまった。電話ボックス?なに?
Posted by ブクログ
元刑事のハードボイルド風ライターの柚木。
女好きで飄々とし過ぎていて、身内にいたらイラっとしそうだけど、刑事としては優秀だっただろうことが何となく分かります。
その経験も活かして交通事故の真相を明らかにする訳ですが、女性関係はモテるが故に前途多難。
タイトルだけだと爽やかなイメージだったので、柚木のキャラの癖が強くて意外。でもさらさらっと読めて面白かった。
Posted by ブクログ
あらすじ
元刑事でフリーライターの柚木草平は、雑誌への寄稿の傍ら事件調査も行なう私立探偵。今回もち込まれたのは、女子大生轢き逃げ事件。車種も年式も判明したのに、車も犯人も発見されていないという。被害者の姉の依頼で調査を始めたところ、話を聞いた被害者の同級生が殺害される。私生活でも調査でも、出会う女性は美女ばかりで、事件とともに柚木を悩ませる。人気シリーズ第一弾。
Posted by ブクログ
フリーの記者をしながら、未解決事件の調査を行う柚木のところに女性が訪れ、交通事故として処理された妹の死を調べてほしいとの依頼をされる。何ということもない事故のようだが、事故車が見つからないなど不自然な部分が多い。
ハードボイルドなんだか、ミステリなんだか、それらを茶化しているのかかなり混乱する作品である。メインの部分としては、事件解決を目的としたミステリなのだろうが、証拠を押えて次々解決するでもなく、小学生からOLまで、数々の女性に振り回されて、核心に向かえない柚木を楽しむという作品である。
樋口有介の以前に読んだ作品に比べると、相当読みやすく、犯人探しなんかどうでもいいと思いながら読むのが正解であろう。犯人探しを主に読んでしまうと、古いミステリにありがちな、煮え切らないアレが待っている。「動機が弱い」
全体に、ハードボイルドのパロディーのような雰囲気が漂うのだが、テーマの一つが女に振り回されるのであれば、最初に神社にでも行って「女難の相あり」なんていうおみくじのシーンでも入れて於けばよかったんじゃないかな、などという編集目線で締め。
Posted by ブクログ
久しぶりに主人公の語り口調での綴られる本を読みました。ものすごく読みやすいです。主人公、どこかで見たような・・と思ってたら、シティーハンターの冴羽獠でした。それに気付いてからは頭の中で上川隆也が大活躍(笑)冴子は吉瀬美智子、香絵は仲間由紀恵、夏原佑子は小松菜奈と、想像力は止まらず、そういう面でも楽しめました。殺人事件の調査が軸のはずなのに、半分位は主人公と色んな女性とのやりとり、みたいな感じなのですが、気付くとちゃんと事件解決してました(笑)
Posted by ブクログ
ちょっとカッコつけすぎだよー。
主人公のセリフがキマリすぎて、読んでいて
ねーよと思ったのは私ばかりであるまい。
謎解き自体は先が見えちゃってイマイチだが
読みやすくて、テンポがいいから飽きさせない。
さらっと読むにはいいかんじ。
Posted by ブクログ
前から興味のあった作者。
読みやすい、どちらかというとなんちゃってミステリーという印象でしょうか。
美人な女性に囲まれてうらやましい…というかハーレム状態ですが、そのなかでも女性への感性は鋭いと思います。
単にきれいでかわいいだけではなく、その強さも強かさも男性ならではの視点ですが、女性から見てもわかります。
そういった人間への捉え方が鋭いということは他の小説にも期待できると思います。
シリーズものらしいので、続きもよみたいですねー
Posted by ブクログ
私立探偵・柚木草平シリーズ1作目。
おしゃれなタイトルに惹かれて読んでみました。
元刑事の柚木草平は、フリーライターで探偵もしている。
どこかのんきなタッチで、次々に登場する美女に振り回されつつ、何となく事件の真相に近づくという話。
気楽にするする読めます。
草平は妻子ありだったが、別居して長い。娘の加奈子は小学生で、幼い娘にすら振り回されぎみな様子。
元上司のきりっとした美人・吉島冴子には密かに仕事を回してもらいつつ、実は大人の関係。
島村香絵という女性の依頼で、妹の事故死について調べることになります。
轢き逃げした車のことはわかっているのに、いまだに車も持ち主も見つからないという。
何か隠しているような姉は、かなりの美女。
妹の身辺を探って行く草平は、出会った女の子に話を聞いているうちに‥?
魔法を使っているのは彼女? いや、こっち?
‥みんなかも。
なんでモテるのかはっきりしないけど、好みの俳優を当てはめて軽やかで親切に振舞うところを想像すれば、ああそういうこと♪
著者は1950年生まれで88年デビュー。
感じはいいので、そのうち他の作品もトライしてみようと思ってます。
Posted by ブクログ
事件、推理自体は二時間サスペンスのよう。
どちらかというと、事件そのものよりは会話や人間模様や恋愛(?)の方が楽しめた。
またシリーズ読んでみよう。
Posted by ブクログ
元警察、いまは私立探偵で女性好きな主人公が、個人的に依頼をされた事件?事故?を調べて行く・・・。後半終わりかけでようやく犯人が予測できた・・・。
Posted by ブクログ
行く先々で女性にモテる、ってところを除けば、普通にハードボイルドな推理小説。ドラマのノベライズみたいな感覚なので、そういうのが好きな人にはウケると思う。
Posted by 読むコレ
柚木草平シリーズの第一弾。
これ1990年作品なんだね。まったく古さを感じないし
むしろ瑞々しいくらいです。
「ぼくと、ぼくら~」を読んだときにも感じたし、恐らく
作家さん独特の力なんでしょうね。凄いなー。
当然携帯電話なんてないから探偵は電車を使って
ウロウロとし、足で動きまわるんですねー。
自分にとっても携帯なんて付き合いはここ数年の
ものだし、こういった状況を読む方がしっくりきます。
これは全シリーズ読まねば!
Posted by ブクログ
女に弱いハードボイルド、と言った感じでしょうか。矛盾してるようなそうでもないような。ハリウッド的な「タフな私立探偵の元にブロンド美女」みたいなのとはまたちょっと趣が異なりますが。
なかなか小説だとその辺りが難しいところではありますね。言葉で「絶世の美女」といわれてもなんとなくイメージしづらい。立ち居振る舞いで美女らしいところが表現されているとしっくりもきますが。
そう言った意味では今回のヒロインは非常に魅力的に思えました。なにがどう、というわけでもないんですがどことなく。
最後の真相判明部分が若干駆け足に感じたのも、どちらかというと主人公やヒロインの人物描写に重きを置いている作品ってことなんでしょうかね?次回作も読んでみようかな。
Posted by ブクログ
ストーリーは結構好きなタイプのミステリー。時代のせいなんだろうけど、探偵役はやっぱり自分の足で情報を探してナンボと思うんです。携帯とパソコンで情報収集する探偵の話なんて、動きがなくて読んでる側にはつまらないですから(その分、トリックに凝ったり動機に凝ったり、心理描写で読ませてくれるわけですが)。
ただ、やっぱりハードボイルドっぽいキザなやり取りとか、出てくる女性がみんな美人で主人公に関心もつとか、ないわーって思う。あーゆーのは、ボギーとかが、地理的にも時代的にも自分とは別世界でやってくれるからこそくーっとなるわけで、自分ちから片道◯分みたいな生活範囲でやられてもなぁ……
登場する女性たちも美人揃いではありますが、いかにもなテンプレ美女ばかりですね。好き嫌いの分かれる作風だけど、ハードボイルドを気取っているわりにはライトなので、読みやすいと思います。けなしているようですが、ちょっと昔の探偵ドラマみたいでわりと好きです。シリーズの他の作品も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
うーん、草平のノリと女の人のノリがなんだかな~。男の人が書いてるありがちな設定のような気がしました。あんまり好きじゃないかも、、、。シリーズものみたいなのでもうちょっと読んでみようかと思います。
Posted by ブクログ
刑事をやめ、妻と娘とも別居している柚木草平は気ままな一人暮らし。元上司だった吉島冴子と大人な関係を続けながら、仕事をまわしてもらって私立探偵もやっている。今回の以来は女子大生が轢き逃げされたという事件。警察は事故として処理するようだが、被害者の姉がそれに納得していないという。
この柚木草平が出てくる話はシリーズ化しているようだが、事件自体はそれ程特殊なものでも引き込まれるものでもないので、このキャラクターを好きになれるか否かで物語の評価がだいぶ変わりそう。妻や娘をはじめ、聞き込みで出会う美女やおばさんにいたるまで、ありとあらゆる女性にリップサービスというか、口説き文句や誉め言葉を繰り返す草平。ところどころに出てくるなら、「シャレた会話をする人だなぁ」と好感なのかもしれないが、ほぼ全部がそうなので正直疲れるし、こんな人が実際にいたらうざい(苦笑)。というわけで、私はもうお腹いっぱい。
Posted by ブクログ
柚木草平シリーズ第1弾。
ハードボイルドなんだろうけどソフト(軽め)な感じ。
ミステリ部分は特に捻りもなくサクッと読める。
柚木がやたらモテるけど、わたしはイマイチ魅力を感じられない。
Posted by ブクログ
柚木MR、非常に分かりやすい性格。こりゃ、単純だ。
しかしながらに、謎ときはおもしろかった。
デジタルなツールがない分、自分が動く。
コツコツ動く、それはなかなかよかったな。
しかし、出会う女性がみんないい女っていうのは彼の守備範囲が広いからだな。ある意味、いいことだ。
Posted by ブクログ
探偵が不可解なほどにもてもてである。
そして90年代の携帯とかインターネットがそこまで普及していない時期の事件のドキドキ感は独特で物語が面白くなる・・・ような気がした。
Posted by ブクログ
8月-4。3.5点。
元刑事のルポライター。現役警視から、事件を紹介され、調査。
妹の交通事故の真相をとの調査依頼。
最後は、人間関係がぐちゃっという感じ。
まあまあ。読みやすい。
Posted by ブクログ
妻に逃げられ、娘の成長に心痛めているのは、このテイストのミステリーの主人公に似合わない気がしないでもないが、日本人だからという理由で納得させる。気の聞いた科白、作品全体に漂う倦怠感と紫煙。ウイスキーとコーヒーの香りとくればまさしく男の子の憧れるハードボイルドな私立探偵である。さらに起こる事件はペットの失踪ではない。美しくも怪しい依頼人が持ち込む未発覚の殺人事件。きちんとドンデン返しもあり、ミステリーとしても楽しめた。怪しい人物が実はそんなに悪くなかったという程度のドンデン返しであるが、こちらもそんなにミステリーを求めていない。20年前でパソコン、携帯と言った現代では不可欠なツールが未登場なのがまたいい。少し古い感じが作品の雰囲気をさらに魅力的にしている。やっぱりハードボイルドの私立探偵は自分の足で調べなきゃね。