あらすじ
シングルマザーの風町サエは、弁護士事務所の調査員。安売りピザで大儲けし、今や芸能界を牛耳る小田崎貢司からの依頼で、自殺したアルバイト店員の両親が求める賠償金を減額するための調査を始める。一方、別の依頼主から小田崎の弱点を探るよう依頼され――。謎に満ちた男の前半生に隠されていた真実とは!
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Posted by ブクログ
冒頭───
掴みかかろうとする男の脛に爪先蹴りを入れる。プロの格闘家でも骨は鍛えられないし、まして相手は二十歳ぐらいの素人。グエッとかなんとか喚いて床に崩れる。その向こうから鍋を持った男が襲いかかり、身を避して相手のこめかみに右肘打ちを当てる。男はカウンターに倒れ込み、箸や調味料入れが床に散らばる。もう一人、カウンターから飛び出した男はさすがに躊躇して店主と私の顔を見くらべる。店主が「やってしまえ」というように顎をしゃくり、男が反応して、私につめ寄る。
─────────
さてさて、次なるレビューは、高校時代からのファンでもある樋口有介さんの新刊「笑う少年」と。
法律事務所に勤務し、裏稼業で闇の世界を暴いていく女性「風町サエ」が主人公の第二弾。
結局、これは今後もシリーズ化していくつもりなのでしょうね、樋口さんは。
AKBをパロディ化したようなアイドルグループの一人の少女が自殺した。
本当に自殺だったのか?
彼女の親族から訴訟を起こされ、事務所に現れたのは、このグループの総元締めである秋元康ならぬ小田崎貢司。
彼の依頼を受けた所長の命により、風町サエは動く。
少女の身辺捜査とともに、小田崎の過去も調べるようになり、そこで発覚する驚きの事実。
本当の悪者はいったい誰なのだ?
とまあ、こんな感じで物語は進みます。
前よりは違和感がなくなったけれど、それでも女性一人称のハードボイルド文体は、さすがにちょっとつらい……。20年以上前のデビュー時からのファンである樋口さんの作品で、ストーリー的にもそこそこ面白かったので、星五つにしましたが。
タイトルも「笑う少年」とは。
デビュー作「ぼくと、ぼくらの夏」や柚木草平シリーズの「彼女はたぶん魔法を使う」や「初恋よ、さよならのキスをしよう」などと比べると、今一つ冴えない気がするのは私だけでしょうか?
やはり樋口さんには、男性一人称の味のあるハードボイルド作品を書いてもらいたいと願う私なのであります。
Posted by ブクログ
殺人罪で服役した過去を持つシングルマザーの『風町サエ』は、弁護士事務所で裏の仕事を受け持っている。
自殺した店員遺族への賠償金を減額すべく依頼を受けたサエは、別口からその社長の調査も依頼される。調べても中々過去がつかめない男の正体とは・・・。
元ヤンのサエの軽めの口調で語られるのだが、内容は結構ハード。
まんまAKBのようなシステムのピザチェーン店ということは、インチキ慈善団体にもモデルがあるのかな?にしても、ビジュアル的にも某プロデューサーだったはずの社長が、某国の将軍様になるとは・・・。
声高に正義を叫ぶ気はないが、毒を持って毒を制するのような制裁だしスッキリとはいかない終わり方だったけど、正体が見えてくる最後の展開はゾクゾクした。
ちょっと息子を溺愛するモノローグがくどかったけど、どうやらシリーズ物らしいので息子もどこかで活躍するのかな?他のも気になる。そしてタイトル、息子じゃなかったのね。
他作品もだが、社会の暗部の描き方が上手い著者だなと思った。
Posted by ブクログ
「猿の悲しみ」・風町サエのシリーズ続編。
樋口作品らしいユーモラスな会話劇が女性主人公でも健在。ハードな一面がありつつも、自分の息子にぞっこんラブな一面もあって可愛らしい。目下お気に入りの女性キャラ。
A○Bのようなアイドル育成商法の中で起きた一人の少女の自殺事件と「笑う少年」の真相、両面からの調査が行われるが、両方とも意外な真相で面白かった。シリーズ化を期待したい作品。
Posted by ブクログ
風町サエシリーズ、第二段。
話の展開や事件関係者のパーソナリティなどは、由緒正しい私立探偵のハードボイルドものでありながら、ユーモアある会話や、エッジの効いた人生観はたいへん著者らしい。
ファンとしては、期待に応えてもらったようでありがたい。
主人公は男性の方が好きは好きだが、だからこそ唯一の主役女性シリーズも、続編が待ち遠しい。
4
Posted by ブクログ
風町サエシリーズ第2弾
非合法な手段も平気で用いる、シングルマザーの弁護士調査員・風町サエ。今回の依頼主は、安売りピザ店を成功させ、芸能界へも進出した小田崎。彼はピザ屋で働く女子高生を、お客の人気投票によりアイドルとして芸能界に送り込み、のし上がってきた。しかし、調査を続けていくと・・・
凛花の登場により、前作のラストの疑問が解明されると思いきや分からずじまい。脇を固めるキャラクターは相変わらずよかった。しかし、ちょっと都合が良すぎた感も。続編に期待。