あらすじ
羽田法律事務所で調査員として働く風町サエは、殺人罪で服役経験のあるシングルマザー。ある日、芸能界のフィクサーと呼ばれる小田崎が、羽田法律事務所を訪れた。小田崎は、アイドル候補生を店頭に立たせる安売りピザ店で大儲けをした男。店頭に立つアイドル候補生は、ファン投票の結果でメジャーグループに昇格できる仕組みで、自分が応援する候補生をメジャーにするため、ファンはピザを注文し投票券を獲得するのだ。このピザ店でアルバイトをしていたひとりの少女が自殺をし、両親が1億2千万円の賠償金を要求しているという。賠償金額を減額させたいという小田崎の依頼に調査を始めるサエだったが、次第にある人の過去にも迫ることになり――。
『笑う少年』を改題。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
お仕事小説に分類したが、冒頭のシーンから
なかなかのハードボイルド(^ ^;
またある人物の過去を明らかにしていく過程は、
ミステリ要素でもあるし...分類が難しい(^ ^;
ジャンルはどうであれ、大変楽しく読めました(^ ^
テンポよく、乾いた文体で、所々にはさまれる
ユーモアも「ちょうど良い」塩梅で(^ ^
謎解き的要素があるので、詳しくは書けませんが、
最後の種明かしは結構な「そう来たか感」(^ ^;
続編を期待できる「含み」の残し方もあるし、
いやこれはまたおいしいシリーズになるかと(^ ^
唯一「消化不良感」が残るのは、
ターゲットの「奥さん」の正体...と言うか...
これもまた何か「次への伏線」があるのだろうか(^ ^;
Posted by ブクログ
シリーズ第2弾。
弁護士事務所で働くサエは、表向きは事務員だが、実際には様々な手口でターゲットを探る調査員。
今回はアイドル候補生でありピザ店で働く少女が自殺の真相を探る。。
アイドルを売り出す手法がAKBを思わせるが、それ以上によくできており過酷。
ストーリーはいつものごとく面白かった。
Posted by ブクログ
「猿の悲しみ」の続編。
ここに登場する人物たちは、いずれもしたたかで、クセが強く、あまり可愛げはない。
だが、ワルとしての魅力はプンプンと匂ってくる。
正義なんてクソくらえ。欲のオンパレードなんだが、それが実にさっぱりしていて、いっそ清々しい。
ワルにはワルの事情があり、正義には少々、引っ込んでもらおうか。
メインキャラの風町サエは、羽田法律事務所の「調査員のようなもの」。
十六歳で人を殺し、少年院から女子刑務所で服役した後、所長の羽田に弁護を担当してもらった縁で、この事務所に雇われた。
彼女の担当は、借金の回収、脅しなど、裏の汚れ仕事。
子どもの頃に身に付けたムエタイを駆使して、大立ち回りも辞さない。
服役中に出産した息子は高校生となり、シングルマザーとして奮闘中。
と、なかなかハードな人生を送っている。
事務所には、新米弁護士の島袋(この男は幾分まとも?)、そして、八十を過ぎたと見える老女、雪原玲香が事務員として勤めている。
彼女は、羽田の父親の愛人だったらしい、というのだから、キャラの濃いメンバーがそろっている。
さて、今回は、芸能界で顔役でもあり、アイドル育成のピザ店で成功をおさめた男が依頼人。
ピザ店でアルバイトをしていた少女が自殺し、その両親から1億2千万の賠償金を要求されているという。
その額を何とかして下げてもらいたいというのが依頼内容。
自殺した少女の家族を探るうち、事態はとんでもない方向に…。
Posted by ブクログ
2作目にして少しこのシリーズに慣れてきたかも。
相変わらず息子への執着は度を超えているけれど、周りを固める人たちの人格が固まってきて個性が輝き出した印象です。物事に完全に白黒を付けない落とし所が良いかも。
Posted by ブクログ
法律事務所の調査員、風町サエの2作目。
自殺したアイドル候補生への賠償金の減額のために、調査をしていくうちに、そのプロデューサーの過去にいきあたる。
まるで、某アルファベット3文字のアイドルですか、って感じだけど、それよりえぐい。まぁ、いや全然別なんですよってなった時に、こっち方向に行かざる得ないんだろうけどね。物語の上とはいえ、架空のものとはいえ、そのやり方には辟易した。
で、その辟易するやり方を考えた男なので…。
タイトルがいいんだけど、よくない。
かといって、元のタイトル「笑う少年」は、もっとダメなんだけど。
樋口有介は、タイトルが斜めすぎて…。
まぁ、そこがいいんだけど。
サエさんは相変わらずしっかり地に足をつけて生きている感じがいい。
でもって、前作でのあの方も出てきて、満足。(こっそり贔屓にしているのだ)
…どんなに人間の暗黒面を見ても、最終的に息子の存在でリセットされるってすごいよね。
Posted by ブクログ
法律事務所調査員・風町サエは服役経験のあるシングルマザー。アイドル候補生自殺事件の裏側には、意外な過去と真実が隠されていた。樋口ワールド全開のハードボイルド作品。
最後の最後でタイトルの意味が分かる。それなら現代版「砂の器」になっても良かったのにと思った。ヒロインがとても魅力的で、そう言えば樋口作品で女性が主人公って過去にあったかなあ。