【感想・ネタバレ】海泡のレビュー

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Posted by ブクログ

大学生の木村洋介は夏休みに父の住む小笠原の父島に帰ってくる。
 そこには中学、高校をともに過ごした仲間と、その仲間のひとり、丸山翔子がいる。洋介から一年遅れて、この島に来た彼女は、誰もが一目おく美人だった。その彼女が病に侵されて、死に掛けている。
 元村長の娘で、同級生の一宮和希が崖から落ちて死ぬという事件がおこり、その犯人とみられ、彼女を追って島に来たストーカーと見られている男が彼女の墓場で殺される。そして、そのあとに翔子も命を尽きる。
 翔子は、和希の事件をベッドのなかから、丸山一族の財力と権力を使って追っていた。

 地元民である島の同級生、漁師の浩司、旅館の娘、旬子との友情、東京で精神をきたし、丸山を救う「グリーンペペ」という新薬を作るという藤井、この島に住みついている画家である父親、そのモデルの雪子、飲み屋「トムズハウス」のマスター、バイトの可保里、和希の妹の夏希、など、それぞれが絡み合い、洋介の夏休みが過ぎていく。

 実は洋介が島に戻ってきたのは、洋介の恋人が自殺未遂をしていることが、翔子の調査で明らかにされている。
 和希は妊娠していたので、この胎児の死も合わせると、洋介は短時間に多くの死と向き合っている。
 それでなのか、とにかく20歳にしてはとても老獪で不思議な感じがする。

 が、その不思議な洋介と父島の風土と仲間の話は、もっと読みたいと思った。リズム感がいい。

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2015年04月17日

Posted by ブクログ

小笠原 という 東京都でありながら 船で二十六時間も隔てられている いわば閉ざされた空間。
いつも通りののんびりとした亜熱帯の風景、代わり映えのしない日常、不自由さ。
その中に外から持ち込まれた厄介事。
言ってしまえばそんな話なのだが それだけではない。

閉ざされた世界には 閉ざされているが故に抱える 憂鬱さがあり 諦めがある。
島の風景描写が語る 長閑さと倦怠と退廃、そして たくましさは 魅力に富んでいる。

目新しくはない事件が この島ならではのスパイスで 一風変わった風味になっている。

樋口有介氏には 一作読むごとに 惹かれてきている。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

海泡 なんのことだろうと思いつつ
小笠原を舞台にした ひとりの青年 洋介が巻き込まれた
殺人事件を 心持ちエロティックな状況をおりまぜて
ドキドキを増幅させた ついつい読み進めてしまう1冊だった

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2020年03月17日

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