朝井まかてのレビュー一覧
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長崎の「あきない正伝」だ!
油商家の女将で、幕末の動乱期
外国に茶葉を売り込み富を築くも
詐欺事件に巻き込まれて財も信用も失い
それでも最後はまたひと花咲かせた
剛気な大浦慶の一代記。
朝ドラいけそうやん。
慶も魅力的だけど
彼女の意気に賛同してくれる
船員テキストルや商人ヲルトや
ガラバアといった異国の人々がまた
なんとも魅力的です。
あと、父親の代からの番頭さんが
目の上のたんこぶ的な存在なのだけど
後半、彼が店のことを大切に想い
慶のことも考えていたことがわかって(T_T)
昔読んだ漫画『ニュクスの角灯』にも
大浦慶が出てたな〜。
ああ、また長崎に行きたくなった。 -
Posted by ブクログ
読書備忘録764号。
★★★。
幕末から維新、明治にかけて、鎖国状態から一気に世界との外交に晒された日本。不平等条約のオンパレード。その外交を食で支えた男がいた。草野丈吉。
日本初の洋食屋「自由亭」を長崎で開き、大阪に拠点を移し、レストラン、ホテルを開業し大きくしていった男。
それを支えた偉人達。陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎。
特にうちの企業グループの礎を作った弥太郎さま。
土佐藩出身。国に期待し、裏切られ、だったら企業で世の中を動かしてやろう。どんだけ凄いの!あなた様は!息遣いが聞こえてくるような弥太郎さんを感じられたのは凄く嬉しかった。
なので、どんだけワクワク感満点で、どんな壮大な大河ドラマを楽しませてくれるのか、と思いきや・・・。
物語は丈吉の妻ゆきの視点で描かれる。
やはりまかてさんはそっちに行ってしまうか。
丈吉の強い意志を感じたかった。ゆきはすごいですよ。でもやはり、どこまでも受け身の世界での凄さ。「夫婦で挑んだ」と書かれているが挑んだのは丈吉。全然面白いです。ただ、500pの大作。山崎豊子を期待してしまった。
例えば、ゆきの視点では丈吉は一度外出すると何ヶ月も帰ってこない・・・。
丈吉がその何ヶ月なにをしているのか?日本国の文明開化の為に。命を削って。それが知りたい!その物語が!まあ、個人的にはそっちを読みたかったです。
はい。繰り返します。間違いなく面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作は、長崎の三女傑の一人、茶葉商人の大浦慶を描いた歴史小説です(ちなみに残りの二人はシーボルトの娘で医師の楠本イネ、ロシア語を極めロシア人専用ホテルなどで繁盛した道永栄)。
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で、やはり人物がダントツに面白い。
幕末に商家の一人娘として生まれたものの、祖父が跡継ぎたる父を見限り、孫の慶へ英才教育を施すという背景もあります。この慶が、落ち目の家業である油商ではなく、当時藩の直轄だったオランダとの交易にどうにかして食い込もうと奮闘します。
ちなみに、お慶さん、驚きのどストレート発言が信条。
せっかく婿をとったのに、数日で離縁したいと周囲に漏らす。それも、「これはダメな男」だとの勘。というのも、火事の際に娘(慶)を置いて逃げ出した父と同じ匂いがするとのこと。されたほうはたまったものでもないが、周囲も離縁を認めてしまうのは、おそらく信用されている証拠。破天荒というより直情径行、雰囲気を読まないところが豪快で逆に胸をすく人物です。
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個人的に最も印象的だったのは、慶にとって外国人との初取引となる、ヲルトと茶葉販売の納品のシーン。
やっては見たのの、とにかく品物が揃わない。前銀を貰った手前、「やっぱりできませんでした」は期日に言えない(船がカラで帰るだけ燃料代が無駄になるし)。そもそも自由に外国人と取引していいと言われていないグレーな時に、大っぴらに助けも求められない(ってか罰せられるよ)。何とか言い草をつけて知り合いの茶葉商人から相当量をおろしてもらったり。その顔をつぶさないように、他の茶葉商人には話さず、直接嬉野の農家へ赴き商品確保に成功したり。それでもまだ足りずその農家の家庭用の粗茶(枝と葉とないまぜになったもの)をバルクで買い上げ、自前で茶葉だけにふるい分けしたり。期日までに所定の納品量の9割程度まで集め、若干足りないものの何とか納品が終わりディールが完了したところは圧巻。
私もかつて証券マンで営業しましたが、ノルマが期日ギリギリのところで(大抵最終日に残業しながら)各自電話やPCにかじりつきながら、ホワイトボードでノルマ残が少しづつ減り、すんでのところで全部売り切る、そういう感覚を思い出しました。
ちなみにこの後、慶の茶葉交易は爆発的に拡大し、商いは年々うまくいきますが、好事魔多し、大切な部下に死なれたり、騙されたり、一本調子ではありません。でもだからこそ、もう一発ツイストが来ます。ここもビジネスパースン感涙の「やっぱりコツコツ頑張るのが大事だ」って場面になります。ぜひご堪能を。
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あと、歴史人物が相当数交錯します。
幕末を駆け抜けた武器商人のグラバーや、茶葉商人オルト。どちらの邸宅も現在のグラバー園に移設されていますね。また大浦屋の二階でたむろすることを許すことでいつの間にか支援する形になった、大隈重信や亀山社中の面々(坂本龍馬も)が登場。私はこの本で、なぜ土佐藩脱藩兵士が日本の転換期に関わったのかをやっと理解しました。
それ以外にも慶の脇を固める頑固頭の番頭の弥右衛門、弥右衛門なき大浦屋を支えた元気キャラの友助、夫を7人持った月花楼の女将のお政など、物語を彩ります。
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ということで、長崎の歴史ものでした。
著者の朝井まかてさんの作品は初でしたが、ちょっと風景描写が多い気がしました。「これっていわゆる心情を表す風景描写か」って国語の受験テクを思い出しました。
なお斎藤美奈子さんの解説は簡便にして的を射ており、読んだ瞬間感想を書く気が失せました。書いているけど。
歴史好き、長崎好き、幕末好き、女性のトップランナー系の話が好きな方、お勧めです。 -
Posted by ブクログ
江戸幕府開闢後間もなく、幕府の許しを得て吉原遊郭を創設した庄司甚右衛門の妻として妓楼西田屋の女将となった花仍の目を通して語られる、吉原とそこに生きる遊女たちの物語。
江戸歌舞伎の始まり、猿若勘三郎や伊達騒動の殿様なんかも登場するし、明暦の大火にも見舞われて、なかなかダイナミックな時代の動き、変わり目を感じる話でした。
ちょっと終盤の展開が飛ばし過ぎなのが勿体ない感じもありますが、遊女若菜とその忘れ形見の鈴、その娘菜緒、菜緒の子の小吉と、血は繋がらないけど、心の葛藤を越えた絆に結ばれた家族に囲まれて、花仍の賑やかな晩年は安らいで見えました。