朝井まかてのレビュー一覧
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明治の終わり、森鷗外の末子として生まれた類。愛情豊かな父と美しい母、ふたりの姉と、何不自由なく華やかに暮らした少年期。父の死という喪失を抱えながら画家を志し、パリへ遊学した青年期。戦後の困窮から心機一転、書店を開業。やがて文筆家の道へ。文豪の子という宿命を背負い、何者かであろうと懸命に生きた彼の、切なくも愛すべき生涯を描いた大作。著者による講演「鷗外夫人の恋」も載録。
森茉莉の大ファンとしては読まずにいられなかった。朝井まかてさんの作品は初めて読むけれど、すごい下調べしたんだろうなあと思う細やかな描写です。やや冗長な印象もあるけれどちょっとした植物や風景の描写があるから重厚な作品になるんだろうな。類はぽやっとした子で、鴎外とはイメージが違いますが、ある意味茉莉と似ていた部分があるんだろうな。でも当時は男女でかなり求められるものも違っただろうから大変さが伝わってくる。茉莉に助けを乞うところなんて泣けてくるよ・・・。書店をやっていたこととか全く知らなかったのでびっくりした。奥さんに支えられたわりにあっさり再婚に走るところは女性としては微妙な心持ちになった(苦笑) -
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歴史に悪名を残す将軍綱吉を彼の目線から描いた物語。
本書を読んで思うことは、たとえ崇高な思想をもって文治政治を目指したとしても、その意図を正しく伝えようとせず言葉少なに、かつ結論や指示だけを出したのでは上手く浸透するはずがなく、やはり彼は将軍としての資質に欠くということ。
更に桂昌院のような権力があるのに無邪気に欲望のまま振る舞う人をそのままにしたこと、彼と並んで悪名高い柳沢吉保を自分に忠実という理由で本質を見抜けなかったこと(伝聞が正しいとすれば)も罪が重い。
朝井さんの意図とは違うかもしれませんが、本書を読んで最後まで現実が見えていない最悪の将軍というレッテルに更に確信を持ってしまった。 -
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藤沢周平作品の次は、朝井まかて先生の作品にトライ。朝井さんなんて、今村翔吾先生の教養本触らなかったら一生知らなかったかも。時代小説って現代では使われていない独特の言い回しが沢山でてくる。勿論どれも知らない(なんなら初めて耳にする恥)なのでいちいち検索してはほーとかへーとかなってる。抜け参りとは、家族に黙ってふいっとお伊勢参りしちゃうこと。江戸時代に流行ってんですってよ。
主人公は幼なじみアラサー三人娘。10代で子供生んじゃう時代だから完全なるオバサン扱い(笑)その三人の抜け参りのハラハラドキドキの珍道中、恋あり、博打ありの痛快小説だ。
私時代小説いける口だわ、全然ハードル高くない!むしろ、AIだ、スマホだとめんどくさいデバイスなし、変なトリックなし、義理人情重視、きな臭くなると大立ち回り発生!!読んでると自然に江戸の生活ぶりがよくわかる、そんで結構チップ制じゃない?何かあるとすぐ一粒包んだりしてなんか粋。←すぐかぶれる -
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偉大な父鴎外没後、森一家の半生を末っ子「類」の目線で描いた作品です。主人公の類は、日がな一日を思うままに過ごせればそれで良しの、いわゆるおぼっちゃま。苦しみは遠ざけ、すべき苦労は周りに任せ、ピンチになれば「鴎外」と書かれた印籠を掲げてその場を凌ぐ。生活が困窮すれど変わることのないこのスタイル。本人に一切の悪気無し。そんな穀潰しのダメ男を支え続ける妻と姉、そして子供たち。あぁ、なんという人生。なんと腹立たしい所業の数々。だが、正直羨ましい。
検査入院した妻美穂との会話。病室で放つ美穂の言葉一つ一つが類の本質を的確に捉えて心を抉る。聞かされる方は逃げ場なくコーナーに追い詰められる。ノックアウト寸前。そして最後の一言が・・・。そして類はマットに沈むのでした。
良妻賢母美穂さん亡き後、60歳半ばを過ぎての再婚。おいおい、お前さんというやつは一体なんなのか。と思いつつ、だが羨ましい。
本書は、苦労もなく育った子供たちが、支えをなくした後、社会の荒波に揉まれながら人生の海原を渡る様を描いたアドベンチャーストーリーとも言えます。
姉茉莉さんの家でトーストを馳走されるくだりを読み終えた後、わざわざ厚切りの食パンを買いに行きました。その後バターを塗りまくった厚切りトーストを美味しく頂いたことは言うまでもありません。
ごちそうさまでした。
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長崎の「あきない正伝」だ!
油商家の女将で、幕末の動乱期
外国に茶葉を売り込み富を築くも
詐欺事件に巻き込まれて財も信用も失い
それでも最後はまたひと花咲かせた
剛気な大浦慶の一代記。
朝ドラいけそうやん。
慶も魅力的だけど
彼女の意気に賛同してくれる
船員テキストルや商人ヲルトや
ガラバアといった異国の人々がまた
なんとも魅力的です。
あと、父親の代からの番頭さんが
目の上のたんこぶ的な存在なのだけど
後半、彼が店のことを大切に想い
慶のことも考えていたことがわかって(T_T)
昔読んだ漫画『ニュクスの角灯』にも
大浦慶が出てたな〜。
ああ、また長崎に行きたくなった。 -
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読書備忘録764号。
★★★。
幕末から維新、明治にかけて、鎖国状態から一気に世界との外交に晒された日本。不平等条約のオンパレード。その外交を食で支えた男がいた。草野丈吉。
日本初の洋食屋「自由亭」を長崎で開き、大阪に拠点を移し、レストラン、ホテルを開業し大きくしていった男。
それを支えた偉人達。陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎。
特にうちの企業グループの礎を作った弥太郎さま。
土佐藩出身。国に期待し、裏切られ、だったら企業で世の中を動かしてやろう。どんだけ凄いの!あなた様は!息遣いが聞こえてくるような弥太郎さんを感じられたのは凄く嬉しかった。
なので、どんだけワクワク感満点で、どんな壮大な大河ドラマを楽しませてくれるのか、と思いきや・・・。
物語は丈吉の妻ゆきの視点で描かれる。
やはりまかてさんはそっちに行ってしまうか。
丈吉の強い意志を感じたかった。ゆきはすごいですよ。でもやはり、どこまでも受け身の世界での凄さ。「夫婦で挑んだ」と書かれているが挑んだのは丈吉。全然面白いです。ただ、500pの大作。山崎豊子を期待してしまった。
例えば、ゆきの視点では丈吉は一度外出すると何ヶ月も帰ってこない・・・。
丈吉がその何ヶ月なにをしているのか?日本国の文明開化の為に。命を削って。それが知りたい!その物語が!まあ、個人的にはそっちを読みたかったです。
はい。繰り返します。間違いなく面白かったです。